在宅患者訪問薬剤管理指導とは？サービスの流れや条件を紹介

「在宅患者訪問薬剤管理指導の内容がよく分からない」という方もいるでしょう。訪問薬剤管理指導とは、在宅療養を行っている患者の居宅に訪問し、服薬の指導や薬剤の管理を行うサービスのことです。この記事では、在宅患者訪問薬剤管理指導の目的や利用条件について紹介します。在宅患者訪問薬剤管理指導を行う流れや薬剤師の役割についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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在宅患者訪問薬剤管理指導とは

公益社団法人東京都薬剤師会「在宅訪問薬剤管理指導ってなあに？」によると、「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは、薬剤師が、通院が困難で在宅療養を行っている患者宅を訪問し、薬剤に関するサポートを行うことです。

薬剤師は患者の居宅へ薬を届けて、服薬指導やお薬カレンダーへの薬の配置といった服薬支援、薬剤の保管状況の確認などを行います。

なお、在宅患者訪問薬剤管理指導は、処方医の指示に基づき作成された管理計画に沿って行われるのが決まりです。そのため、訪問時の患者の状況や指導の結果を処方医に報告することも、在宅患者訪問薬剤管理指導に含まれます。

在宅患者訪問薬剤管理指導の目的

厚生労働省「在宅（その1）在宅患者訪問薬剤管理指導について」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導では、薬物療法を行っている患者に対して、有効で安全な薬物療法を切れ目なく継続的に提供することが必要とされています。地域の医療機関や施設が一体となり情報連携を行うことで、入院や通院、施設入所など、患者の生活環境が変化しても継続的に治療が受けられることを目指しています。

在宅患者訪問薬剤管理指導の利用条件

厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について（通知）　別添3　調剤報酬点数表に関する事項」によると、2023年度診療報酬改定時点の情報では、継続的な訪問薬剤管理指導が必要ない方や通院が可能な方、家族や介助者などの助けを借りずに薬局へ通える方は、原則として在宅患者訪問薬剤管理指導の対象外となります。

ただし、公益社団法人東京都薬剤師会「在宅訪問薬剤管理指導ってなあに？」によると、通院はできるが認知症の初期症状がある方や服薬を見守る人がいない独り暮らしの高齢者など、服薬を忘れてしまうことが多い方は例外的に対象となるようです。

居宅療養管理指導との違い

在宅患者訪問薬剤管理指導と似ているサービスの一つに、「居宅療養管理指導」があります。厚生労働省「居宅療養管理指導」によると、居宅療養管理指導は、医師などが在宅療養を行っている患者の居宅を訪問し、居宅での療養上の管理や指導を行うサービスです。

在宅患者訪問薬剤管理指導と居宅療養管理指導との違いの一つは、患者の居宅で管理・指導を行う職種です。在宅患者訪問薬剤管理指導は薬剤管理に特化したサービスですが、居宅療養管理指導では、居宅での療養全般における管理・指導を行うのが特徴です。そのため、管理・指導を行うのは薬剤師だけでなく、医師や歯科医師も含まれます。ほかにも、管理栄養士や歯科衛生士なども医師の指示に基づき、それぞれの専門分野での指導を行っている点が在宅患者訪問薬剤管理指導との大きな違いです。

また、これらの2つのサービスは、適用される保険の種類も異なります。厚生労働省「在宅（その1）在宅患者訪問薬剤管理指導について」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導は「医療保険」、居宅療養管理指導は「介護保険」の扱いです。
よって、同じような在宅での薬剤指導であっても、対象患者が要介護または要支援の認定を受けている場合は、介護保険の扱いとなるため「居宅療養管理指導」となります。一方、認定を受けていない場合には医療保険の扱いとなり「在宅患者訪問薬剤管理指導」の対象です。

参考：公益社団法人東京都薬剤師会「在宅訪問薬剤管理指導ってなあに？」
厚生労働省「在宅（その1）在宅患者訪問薬剤管理指導について」
厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について（通知）　別添3　調剤報酬点数表に関する事項」
厚生労働省「居宅療養管理指導」

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在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師の役割

厚生労働省「在宅（その1）在宅患者訪問薬剤管理指導について」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師の役割には、以下のようなものがあります。

• 患者の居宅へ医薬品や衛生材料を供給
• 患者の状態に応じた調剤（一包化、無菌製剤など）
• 服薬指導・支援
• 残薬管理
• 在宅担当医への処方提案
• ケアマネジャーなどの医療福祉関係者との連携・情報共有

在宅患者訪問薬剤管理指導において、薬剤師は患者とコミュニケーションを頻繁に取ります。そのため、患者の様子や服薬状況を確認することはもちろん、患者の服薬に対する悩みや考えを聞くことも薬剤師の重要な役割であるでしょう。また、薬剤師は、在宅患者訪問薬剤管理指導を行ううえで欠かせない多職種間の連携をとる重要な役割も担っています。

参考：厚生労働省「在宅（その1）在宅患者訪問薬剤管理指導について」

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在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬剤師になるには

在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬剤師は、「在宅薬剤師」や「訪問薬剤師」と呼ばれています。在宅薬剤師になるのに必要な資格は薬剤師免許のみで、そのほかに特別な資格は必要ありません。

job tag（厚生労働省 職業情報提供サイト）「薬剤師」によると、そもそも薬剤師になるためには、原則として大学の6年制薬学部・薬科大学の薬学課程を卒業し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。薬剤師免許を取得した後、在宅患者訪問薬剤管理指導を行いたい場合は、勤務先に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局を選ぶようにしましょう。

参考：job tag（厚生労働省 職業情報提供サイト）「薬剤師」

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在宅患者訪問薬剤管理指導料とは

在宅患者訪問薬剤管理指導料とは、診療報酬における算定項目の一つです。厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について（通知）　別添3　調剤報酬点数表に関する事項」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導料は、薬剤師が医師の指示に基づき、在宅で療養を行っている患者に薬学的な管理指導を行い、指示を行った医師に対して文書で情報提供を行った場合に算定されます。

算定要件

厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示　別表第三　調剤報酬点数表」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導料は単一建物診療患者の人数ごとに算定されます。

「単一建物診療患者」とは、訪問薬剤管理指導の実施対象である患者と同一の建物に居住しており、同じく訪問薬剤管理指導を行っている患者のことです。患者一人につき、原則月4回まで算定できます。ただし、末期悪性腫瘍の患者や注射による麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者は、週2回かつ月8回まで利用可能です。

なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料は、保険医療機関や介護老人保健施設以外で療養している患者を対象としており、医師や薬剤師の配置が義務付けられている医療機関や施設に入院・入所している場合は原則算定できません。また、2か所以上の保険薬局の薬剤師から同時期に訪問薬剤管理指導が実施されている場合も、重複して指導料の算定は不可と定められています。

参考：厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について（通知）　別添3　調剤報酬点数表に関する事項」
厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示　別表第三　調剤報酬点数表」

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在宅患者訪問薬剤管理指導を行う流れ

厚生労働省「在宅医療における薬剤師の役割と課題」によると、在宅患者訪問薬剤管理指導を実施するまでの流れには、下記の4つのパターンがあります。

• 医師の指示型
• 薬局提案型
• 介護支援専門員提案型
• 多職種提案型

医師の指示型の場合は、在宅薬剤師が患者の居宅を訪問し、患者の同意が得られると訪問薬剤管理指導開始となります。

一方、医師の指示型以外のパターンの場合、医師の判断・訪問指示を仰ぐ過程が必要です。
まず、在宅患者訪問薬剤管理指導について相談を受けた在宅薬剤師は、患者の居宅を訪問した後、相談元と患者の情報や問題点の共有を行います。在宅患者訪問薬剤管理指導の相談元は、薬局窓口の薬剤師や介護支援専門員、看護師・訪問介護員などさまざまです。
その後、在宅薬剤師と医師がともに、訪問薬剤管理指導を行う必要があると判断した場合、患者の同意を得て在宅患者訪問薬剤管理指導が開始されます。

なお、患者の家族から相談を受け、訪問薬剤管理指導を検討することもあるようです。このケースは多職種提案型に含まれるため、薬剤師・医師が訪問薬剤管理指導を行う必要があると判断した場合、患者本人の同意を得てサービスが開始される流れとなります。

参考：厚生労働省「在宅医療における薬剤師の役割と課題」

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在宅患者訪問薬剤管理指導は患者宅で薬剤管理を行う

• 在宅患者訪問薬剤管理指導では、服薬時のサポートや残薬の確認なども行う
• 在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師は、多職種間の連携をとる役割も担う
• 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬剤師になるためには、薬剤師免許以外の資格は不要

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