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「療養上の世話」と「療養生活上の世話」の内容や職種の違いは?

「療養上の世話と療養生活上の世話の違いを知りたい」という方もいるのではないでしょうか?「療養上の世話」とは、看護職が専門的な判断の下で実施するケアを指します。一方、「療養生活上の世話」とは、病状が安定している患者に対して行う生活上のサポートのことです。この記事では、2つの違いをケアの内容や実施する職種の視点から解説します。看護職と介護職が実施するケアの違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「療養上の世話」と「療養生活上の世話」の違いとは?
「療養上の世話」と「療養生活上の世話」は、どちらも主に医療機関で患者に対して提供されるケアです。ただし、実施する職種や対象、ケアの内容などが異なります。
この2つは、医学の専門的な判断の要否で区別されるのが一般的です。専門的判断が必要なものは「療養上の世話」、不要なものは「療養生活上の世話」として実施されます。
ここからは、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
療養上の世話とは
「療養上の世話」とは、看護師や准看護師が傷病者や褥婦(じょくふ)に対して行う、専門的判断を伴うケアのことです。
e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」では、看護師および准看護師が担う重要な業務として定められています。
療養上の世話に該当する具体的なケアの例は、以下のとおりです。
- 病状や体調が不安定な患者の状態観察や分析
- 嚥下障害がある患者の食事介助
- 寝たきりの患者に対する褥瘡(床ずれ)のケア
- 体位変換によって循環動態(血圧・脈拍・血流など)が変動するリスクがある患者の清拭
上記のような「療養上の世話」には、患者の命や健康を守るための高度な判断が必要です。看護師は自身の責任で療養上の世話を行えますが、准看護師の場合、医師・歯科医師または看護師の指示を受けて実施します。
参考:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」
療養生活上の世話とは
公益社団法人日本看護協会「2021年度改訂版 看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド(p.20)」によると、「療養生活上の世話」とは、病状が比較的安定している患者に対して行うケアのこと。食事・清潔・排泄・入浴・移動などに関するケアのうち、医療の資格がなくても安全に行えるケアが該当します。
具体的には、以下のようなケアが療養生活上の世話です。
- 誤嚥のリスクが低い患者の食事介助
- 病院内の移動の付き添い・見守り
- 体位変換による状態変化のリスクが低い患者の清拭
- 病室の環境整備
療養生活上の世話は、看護師が「医学の専門性は不要」と判断したケアのため、専門的な資格のない職員も実施可能です。看護の現場では、医師や看護師の指示の下で、「看護補助者(看護助手)」が療養生活上の世話に携わることも少なくありません。
厚生労働省「看護補助者(看護助手、看護アシスタント、ナースエイド、ケアワーカー等) の確保について」によると、看護補助者とは、医療チームの一員として、専門的判断が必要ない看護の補助業務を行う職種です。働くうえで特定の資格は求められません。
「療養生活上の世話」は、専門的判断が必要ないものに限定される点や、医療の資格がない看護補助者も実施できる点が、「療養上の世話」との違いといえます。
参考:公益社団法人日本看護協会「看護補助者との協働の推進」
厚生労働省「看護補助者(看護助手、看護アシスタント、ナースエイド、ケアワーカー等) の確保について」
「療養生活上の世話」と「日常生活上の世話」の違い
「療養上の世話」や「療養生活上の世話」と混同しやすい用語に「日常生活上の世話」があります。
「日常生活上の世話」は、介護保険法に基づき、要介護者に対して提供するケアのことです。「療養上の世話」や「療養生活上の世話」は主に医療(看護)分野で使用される用語であるのに対して、「日常生活上の世話」は主に介護分野で用いられます。
厚生労働省「介護保険法施行規則」によると、日常生活上の世話の例は以下のとおりです。
- 入浴・排泄・食事の介護
- 調理・洗濯・掃除などの家事(生活援助)
- 生活に関する相談・助言
- 日々の健康状態の確認(異変の早期発見)
治療や医学的管理との関わりが深い「療養(生活)上の世話」に対し、「日常生活上の世話」は、介護の視点で充実した生活を送れるようサポートをすることを指します。介護を必要とする方が、自宅や施設で自立した日常生活を送るための支援が「日常生活上の世話」です。
参考:厚生労働省「介護保険法施行規則」
看護職が行うケアと介護職が行うケアの違い
看護職が行うケアと介護職が行うケアは、実施場所や対象者の違いがあります。
看護職は主に医療機関において、治療を受ける患者に対してケアを行うのが役割です。一方、介護職は、介護施設や利用者の居宅などで介護サービスを提供します。
ここからは、「看護師・准看護師」「看護補助者」「介護職」それぞれが担うケアの内容と役割を、詳しく見ていきましょう。
看護師・准看護師
看護師・准看護師は、主に病状が不安定な患者の対応に当たり、健康状態の回復や疾病の予防を図るケアを行います。具体的なケア内容は、点滴管理や褥瘡の処置、インスリン注射といった「医行為」や、喀痰吸引・経管栄養などの「医療的ケア」です。
なお、診療の補助として医行為を行う際は、看護師は医師の指示、准看護師は医師や看護師からの指示を受けることが法律で義務付けられています。
看護補助者
看護補助者の主な役割は、病状が安定している患者に対して、専門的判断が必要とされない療養生活上のサポートを行うことです。看護師が患者の容体を確認し、看護補助者に対応可能であると判断した場合、看護師の指示の下で療養生活上の世話を行います。
具体的な業務内容は、病室の掃除やシーツ交換といった環境整備や、医師・看護師が使用する備品の補充などです。看護補助者は医療の資格を持たない職種のため、医行為や医療的ケアを実施することは認められていません。
介護職員
介護職員は、利用者の生活の質向上や自立を支援する役割を担います。日常的な生活支援として実施するのは、食事・排泄・入浴・移動の介助や生活援助などです。
また、厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」によると、原則として医行為に該当しない「専門的な管理が不要なケア」として、以下のようなケアも行えます。
- 水銀・電子体温計、耳式電子体温計を用いた腋下や外耳道での体温測定
- 自動血圧測定器による血圧測定
- 軽度の切り傷・擦り傷・やけどの処置
- 軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)
- 湿布の貼付
- 点眼薬の点眼
- 健康な爪に対する爪切り・やすりがけ
上記のような専門的な管理が不要なケアは、利用者の状態が安定しており患部に異常がない場合は、介護職員も実施できます。
一方、看護補助者と同じく介護職員も、「医行為」に該当するケアは行えません。介護職員は、主治医や看護師と連携しながら、利用者が安心して過ごせるよう支援します。
なお、介護の現場で需要が高い医療的ケアである「喀痰吸引」と「経管栄養」は、必要な研修を修了して登録を完了した介護職員であれば、指定事業所で医師の指示に基づいて行うことが可能です。
参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」
「療養上の世話」と「療養生活上の世話」の違いはケアの内容
- 「療養上の世話」と「療養生活上の世話」の違いは、実施する職種やケア内容
- 「療養上の世話」は専門的な判断が必要なケアで、主に看護師や准看護師が行う
- 「療養生活上の世話」は専門的な判断が不要なケアで、看護補助者も実施できる
- 「療養(生活)上の世話」は、基本的に看護分野のケアを指す
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