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食事介助とは?適切な方法や留意点について解説

仕事内容介護職・ヘルパー9 months ago

これから介護や福祉業界などで働くことを考えている方の中には、「食事介助とは具体的にどのようなことをするのだろう」と気になる方もいるでしょう。

また、実際に現場で働き始めると「食事介助が上手になって、利用者に楽しい食事の時間を提供したい」と考えることがあるかもしれません。

介護に携わっている人の多くが関わるのが、食事介助です。食事は介助を受ける方にとっての大切な時間・行為の一つであるため、介助する人はただ食べさせれば良いというものではありません。

本記事では、食事介助の目的や方法を詳しく解説しています。利用者へ安心・安全で楽しい食事を提供するために、ぜひ参考にしてください。

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食事介助とは

排泄や入浴、移乗など、介助にはさまざまな種類が存在します。そのなかの一つが食事介助です。老化や障がいなどを理由とした身体機能や認知機能の低下により、自分でご飯を食べることができない方に対して食事の支援をすることを「食事介助」といいます。

食事介助の目的

食事介助の目的の一つに、生命の維持が挙げられます。栄養の摂取は、生命を維持するために不可欠な行為です。自分の力だけでは食事を取るのが難しいものの、口から栄養を接種することができる方に対し、食事介助で生命を維持できるようにします。

また、食事介助は日常の楽しみを得ることにも繋がるでしょう。好きなものや美味しいものを食べることで、幸福感を感じる方も多いからです。

さらに、口腔内の機能低下防止も食事介助の目的です。食事ができないと、口腔機能が低下し、身体全体の機能にも影響を及ぼす可能性もあります。このようなリスクを減少するために、食事介助を通して口腔機能の低下を防ぎます。

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食事介助が必要になる主な3つの原因

食事介助が必要になる原因はさまざまです。ここでは3つに分けて、具体的に解説します。

身体的な機能の低下

身体的な機能の低下とは、手や指が動かなかったり、視力が低下して食べるものが見えなくなったりする様子を指します。老化や障がいなどによって、このような状態に陥ると、自力で食事をすることは困難になるでしょう。

また、脳梗塞などの脳血管障害を引き起こすと、身体に麻痺が出てしまうことがあります。片麻痺などの症状があり、自身でご飯を食べるのが困難な方は食事介助を必要とします。

認知機能の低下

認知機能の低下によって食事介助が必要になる場合もあります。認知機能とは、理解や判断、論理などに関する知的機能のことです。認知機能が低下し、日常生活などに支障をきたす状態を認知症といいます。

認知症が進行すると、以下のような症状が現れかねません。

  • 食事を食べるために何を使うべきか分からない
  • どれか食べ物が分からない
  • 徘徊などが原因で座っていられない
  • 食べるといった行為を忘れてしまう

このように食事を取ることが困難になってしまうと、食事介助が必要になります。

嚥下や咀嚼機能の低下

嚥下は、食物などを噛んだり潰したりして飲み込む動作のことです。嚥下機能が低下したときに、食事介助が必要になることもあるでしょう。

老化などにより嚥下機能が低下すると、気管の入り口で蓋の役割を担う喉頭蓋(こうとうがい)の閉まりが鈍くなり、肺に食物が入って誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう危険性があります。また、食べ物を噛む咀嚼力が低下すると、食物を適切な大きさに噛み砕けないため、窒息に繋がりかねません。

このように、食事はときに死に至る深刻な状況を引き起こす可能性もあります。サポートを必要とする方が安全に食事を取れるように、介助者は十分な注意を払って食事介助をすることが大切です。

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食事介助を行う前の準備

食事介助では、食事中のサポートだけでなく、事前の準備も大切です。ここでは、どのような準備を行えばよいか解説します。

体調のチェック

まずは利用者に普段と違う様子がないか確認します。熱や血圧、呼吸、顔色、吐き気、眠気などが正常かを確かめましょう。体調を確認し、状態に応じて看護師などと連携しながら対応方法を調整することが事故の防止にもつながります。

排泄

食事の前に排泄状況を確認します。食事中にお手洗いのことが気になってしまうと、利用者は落ち着いて食事を取れません。食事前にトイレに誘導するなどして、排泄を促しましょう。
また、下着や衣服、オムツなどが排泄物で汚れていないかを確認します。汚れていると、せっかくの食事が利用者にとっては不快な時間になってしまうでしょう。

声かけ

「食事なので席に付きましょう」など、今から食事だと分かるような声かけも忘れてはいけません。認知機能が低下している方は、自分の置かれている状況を理解できない場合があります。声かけをすることで、利用者が「今から食事をする」と理解できれば、スムーズに食事介助をできるでしょう。

声かけは大きな声で、はっきり話すことが大切です。高齢者の中には聴覚機能が低下しており、声を聞き取りにくい方も少なくありません。相手の表情をよく観察して、自分の声が届いているかどうかを確認しましょう。

環境づくり

食事介助をスムーズに行うためには、事前に環境づくりをしておくのも大切です。環境を作ることで利用者の気持ちを落ち着けたり、事故を防いだりできる可能性があります。事前にテーブルや椅子を拭いたり、不要なものを片付けたりしておきましょう。
さらに、利用者の状態に合った食事形態を確認しておくことのも大切です。

口腔ケア・嚥下体操

口腔ケアや嚥下体操は、食事に関するリスクの軽減につながります。身体機能の低下によって動く機会が減ると、人と会って話すことも少なくなり、口腔機能が低下しがちです。そのため、口腔ケアや体操によって、唾液の分泌を促したり、口の動きを良くしたりすることが大切です。また、ケアのあとは水分を補給してもらいましょう。

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食事介助の手順

事前準備が整ったら、食事介助の開始です。利用者によって対応が異なる場合もありますが、ここでは基本的な食事介助の手順を説明します。

1.利用者の姿勢を正してエプロンをつける

食事において姿勢は非常に重要です。良くない姿勢で食事をすると、誤嚥や窒息につながります。
ただし、正しい姿勢を保持するのが困難な利用者も珍しくありません。この場合、座り直したりクッションなどで支えたりして工夫しましょう。

また、必要に応じて利用者にエプロンを着けます。着用を強制すると、場合によっては尊厳を傷つけることになるため、利用者に確認のうえで使用しましょう。

2.利用者と同じ目線の高さに座る

忙しいからといって、介助する側が立ったまま食事介助をするのは好ましくありません。せかせかした雰囲気が利用者に伝わり、食事が楽しい時間とならないためです。

椅子を用いて利用者の横に座り、同じ高さの目線を心がけてください。このような姿勢で接することで、利用者に落ち着いて食事をしてもらえるでしょう。

3.水分を補給する

適切なタイミングで水分補給する必要があります。水分を補給しなければ、食べ物が喉に詰まってしまうリスクがあるためです。一気にたくさん飲むことが難しい利用者の場合、食事の合間に少しずつ水を飲んでもらいましょう。
また、前述したとおり、食事の直前にも水分を補給してもらいます。口腔内が潤い、食事しやすくなるためです。

4.食べる順番に気を配りながら食べてもらう

食事介助では食べてもらう順番も大切です。順番が良くなければ、誤嚥に繋がる可能性があります。ご飯とご飯の間に水分の多い食べ物を挟むと飲み込みやすくなるでしょう。

5.口腔ケア

食事が終わったら口腔ケアを行いましょう。口の中に食べ物のカスなどが残っていると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
歯を磨くのはもちろん、義歯を取ってきれいに洗ったり、うがいをしてもらったりして、口腔内の保清に努めましょう。

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【利用者の状況別】食事介助の留意点

利用者の状況は一人ひとり異なるため、すべての方に同じ食事介助を提供するのは好ましくありません。そこで、ここでは利用者の状況別に食事介助の留意点を紹介します。

車椅子の方

車椅子のままで食べてもらう場合、利用者の足をフットレストから下ろし、床に付けましょう。車椅子はお尻が沈み込みやすく、食べにくい場合があります。椅子で座位の姿勢を保持できる場合は、移ってもらうのがおすすめです。
リクライニング車椅子を利用している場合は、負担のかからない角度を保持し、食事介助を行います。

片麻痺がある方

片麻痺のある利用者には、健側(けんそく)という麻痺のないほうから介助を行います。麻痺のある患側(かんそく)の方から介助をすると、利用者がうまく嚙んだり飲んだりすることができず、誤嚥や窒息に繋がりかねません。

また、麻痺があると一部が見づらい場合もあるため、患側(かんそく)に食事が残りやすくなります。麻痺の位置などを把握して、食事の配置にも気を配りましょう。

寝たきりの方

寝たきりの利用者の場合、ベッドのリクライニング機能を用いて上体を起こして食事介助を行います。利用者の状態に応じて、負担のかからない姿勢で食事を取ってもらうことが大切です。

認知症で意思疎通が困難な方

意思疎通が困難な方や認知症の症状が強い方は、誤食や異食に気を付けましょう。他人の食事を食べて他者とトラブルになってしまったり、食べ物と間違えてタオルやティッシュなどを口に入れてしまい窒息したりするケースもあります。

事故の原因となるものを近くに置かないなど、対策したり見守ったりすることが大切です。

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食事介助に役立つポイント

手順や留意点を知っていても、一様に上手くいくわけではないのが食事介助です。ここでは食事介助時に役立つポイントを紹介します。

利用者に合わせたコミュニケーションを取る

利用者に合わせたコミュニケーションを取ることを心がけてください。利用者によって「楽しい」「不快だ」と感じるポイントは異なります。

たとえば、楽しい時間にしようとして声かけばかりしていると、気が散って食事に集中できない可能性もあるでしょう。反対に、「気が散るだろうから」とコミュニケーションを怠ると、利用者と介助者との間に信頼関係が生まれず、食事介助を拒まれてしまう場合もあります。
利用者一人ひとりの状況やタイプ、自分との関係性を鑑みて、コミュニケーションの取り方を工夫しましょう。

スプーンは一口分だけすくえるものを選ぶ

スプーンはティースプーンなど、一口分しかすくえない小さなものを選ぶとよいでしょう。大きなスプーンだと、誤嚥だけではなく窒息のリスクも高まります。

食事介助では、効率より「いかに安全に食事を取ってもらえるか」が大切です。安全面を最優先しましょう。

尊厳を大切にした声かけをする

食事介助をするとき、次のような声かけをしてしまうことがあります。

  • 「あーんしてね」
  • 「もぐもぐ、ごっくん」
  • 「こんなにごぼして」

このような声かけはおすすめしません。介助者は優しく話しているつもりでも、利用者が大人の場合、不快に感じることもあるためです。相手の立場や尊厳を大切にした接し方を意識して食事介助を行いましょう。

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食事介助の仕事内容について理解しよう

  • 身体的な衰えや認知機能・嚥下機能の低下などにより食事介助が必要となる
  • 食事介助の際は、事前に利用者の体調や排泄状況の確認、環境づくりをする必要がある
  • 食事介助では利用者の姿勢や食べる順番などに注意する
  • 食事介助では車椅子の利用者や麻痺のある方など、状況によって留意する点が異なる

食事介助は介護において非常に重要です。しっかりと原因や準備、手順を把握して、介護の現場に役立てましょう。

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