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専門看護師になるメリットは?種類やなる方法を紹介
a month ago
「専門看護師とは?」と疑問に思う方も多いでしょう。専門看護師とは、専門領域に精通した看護実践や教育・研究などを行える看護師のことで、日本看護協会が認定している制度です。この記事では、専門看護師になる方法や種類一覧、メリットを紹介しています。専門看護師と認定看護師の違いについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
専門看護師とは
専門看護師とは、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた看護師のことです。日本看護協会「専門看護師」によると、専門看護師は保健医療福祉の発展に貢献し、看護学の向上を図ることを目的として設立された制度で、日本看護協会が資格認定を行っています。日本看護協会「専門看護師」に示されている専門看護師の役割は、以下の6点です。
- 個人・家族・集団に対して卓越した看護を実践する(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対してコンサルテーションを行う(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う(調整)
- 個人・家族・集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす(教育)
- 専門知識および技術の向上ならびに開発を図るために実践の場における研究活動を行う(研究)
専門看護師は、臨床での看護実践だけでなく、ほかの看護職員への教育や専門分野の研究活動を行う役割もあるのが特徴です。特定の分野において高い専門性を持つ看護師として、幅広い活躍が期待できます。
専門看護師と認定看護師の違い
日本看護協会「認定看護師」によると、認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する者として、日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。専門看護師と同じ日本看護協会が認定している資格ですが、求められる役割や認定審査を受けるまでの流れが異なります。
認定看護師が求められる役割は、看護実践と指導、相談で、認定分野は19種類に分かれています。実務経験の要件は専門看護師と同じですが、受ける教育が異なり、日本看護協会が定める600時間以上の教育を修了し、認定審査に合格することで資格が取得できる流れです。
認定看護師の教育は、大規模病院や都道府県の看護協会などで行われますが、専門看護師は看護系大学院の修士課程で学ぶという違いがあります。また、認定看護師より専門看護師になるほうが時間数が多いことが特徴です。認定看護師の役割にはない倫理調整や教育、研究の役割も担うため、専門看護師のほうがより高度で卓越した能力を有しているといえるでしょう。
専門看護師の種類一覧
専門看護師の専門分野は14種類あり、どの分野の専門看護師になるかを選択して単位取得を進めます。
日本看護協会「専門看護師」によると、2022年12月現在で特定されている専門看護師の分野は以下のとおりです。
がん看護 | がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。 |
精神看護 | 精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院においても心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。 |
地域看護 | 産業保健・学校保健・保健行政・在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。 |
老人看護 | 高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために、水準の高い看護を提供する。 |
小児看護 | 子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、ほかの医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。 |
母性看護 | 周産期の母子および家族への支援、女性のライフサイクル全般にわたる健康への援助など、水準の高い看護ケアを提供する。 |
慢性疾患看護 | 生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理・健康増進・療養支援などに関する水準の高い看護を行う。 |
急性・重症患者看護 | 緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるように支援する。 |
感染症看護 | 施設・地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに、感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。 |
家族支援 | 患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的・精神的・社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。 |
在宅看護 | 在宅で療養する対象者およびその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。 |
遺伝看護 | 対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けられる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。 |
災害看護 | 災害の特性を踏まえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種・行政などと連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。 |
放射線看護 | 放射線がもたらす身体・心理社会的影響の特性を踏まえ、放射線事故・災害における平時からの体制構築と健康課題を有する対象へ長期的な看護を提供する。また、放射線診療を受ける対象者とその家族へ水準の高い看護を提供するとともに、職業被ばく低減の方策など、施設における体制を構築する。 |
参考:日本看護協会「専門看護分野一覧」
日本看護協会「2023年度専門看護師教育課程修了者数実態把握結果」によると、1998年度から2023年度で専門看護師の教育課程を修了した人のうち、修了者が最も多い分野は、がん看護でした。ついで精神看護、急性・重症患者看護の順に修了者が多くなっています。
専門看護師が活躍できる場所
日本看護協会「データで見る専門看護師 専門看護師が所属する施設【全体】【分野別】(2023年12月)」によると、2023年12月現在、専門看護師が所属する施設は以下のとおりです。
所属先種類 | 登録者所属施設数 |
---|---|
病院 | 885 |
訪問看護ステーション | 157 |
クリニック・診療所 | 48 |
介護保険施設等 | 24 |
学校・大学 | 203 |
認定看護師教育機関 | 3 |
会社 | 12 |
看護協会 | 5 |
その他 | 55 |
参考:日本看護協会「データで見る専門看護師 専門看護師が所属する施設【全体】【分野別】(2023年12月)」
専門看護師は上記のようにさまざまな職場で活躍しており、最も多く活躍している施設は病院となっています。専門看護師は教育・研究も行うため、学校・大学で活躍している人も多いようです。
専門看護師になるには?
日本看護協会「専門看護師」によると、専門看護師になる流れは以下の4ステップです。
- 1.看護師の実務経験を通算5年以上、うち3年以上は専門看護分野の実務経験を積む
- 2.看護系大学院で特定の単位を取得し、修了する
- 3.専門看護師認定審査に合格する
- 4.資格取得後は5年ごとに更新を行う
以下で各ステップの詳細をみていきましょう。
1.実務経験を積む
専門看護師になるには、看護師としての実務経験を通算5年以上積む必要があります。さらに、5年のうち3年以上は専門看護分野の実務経験が必要です。そのため、専門看護師の資格を取りたい方は、どの分野の資格を取るか決めて、計画的にキャリアを積む必要があるでしょう。
2.看護系大学院で単位を取得して修了する
専門看護師になるには、看護系大学の大学院修士課程で、専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得し、修了する必要があります。所定の単位数は分野や学校によって異なり、26単位か38単位です。
日本看護協会「2024年度専門看護師教育機関・課程一覧」によると、専門看護師教育課程の所定単位が取れる大学院は、2024年度で全国に109大学大学院・327教育課程があり、大学院によって担当している分野が異なります。
なお、単位取得のために講義を受講するだけでは、専門看護師になる要件は満たせません。看護師国家資格を取得するときに看護系大学や専門学校を卒業した方は、新たに大学院へ入学して2年間学び、修士課程を修了する必要があります。
3.専門看護師認定審査に合格する
実務経験と単位取得の要件を満たしたら、専門看護師認定審査を受けられます。認定審査は年1回行われており、書類審査後に筆記試験を受ける流れです。
日本看護協会「2024年度第34回専門看護師認定審査『認定の手引き』」によると、専門看護師認定審査は、6月から7月にかけて看護師免許証と履歴書などの画像データをオンラインで、単位取得証明書などを郵送で、提出を受け付けています。提出した書類が審査され、合格すると筆記試験の受験票がダウンロードできる仕組みです。
筆記試験は10月に実施され、合否は12月末にWebサイトで発表されます。
4.5年ごとに更新を行う
日本看護協会「資格認定制度に関するお問い合わせ」によると、専門看護師の資格を取得し、継続する場合は5年ごとに更新申請を行う必要があります。申請時には過去5年間で2,000時間以上の看護実践時間と、規定の申告表で100点以上の研究業績および研修業績が必要です。
更新審査は、必要書類をオンラインと郵送で提出する書類審査となります。もし、書類審査に不合格となっても、再認定審査に申し込んで合格すると資格を再取得できます。
専門看護師になるメリット
専門看護師になると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
高度な専門性をもつことの証明になる
専門看護師の資格を取得すると、高度で専門的な看護技術や知識をもっている証明になります。専門分野でより活躍できる機会も増えるでしょう。また、単位取得の過程で新しい知識を身に付けられるため、資格を取得する前よりもスキルや知識を高められるというメリットもあります。
資格手当がつくことがある
専門看護師の資格を取得すると、資格手当がつくこともあります。日本看護協会「『2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査』報告書」の調査では、専門看護師の資格に対し資格手当が支払われると答えた人は34.1%でした。そのうち、89.5%の人が毎月資格手当が支払われると回答しており、平均額は1万1,279円となっています。資格への評価が手当としてもらえるのは、大きなメリットであるといえるでしょう。
院外への活躍の場も広がる
専門看護師になると、院外への活躍の場も広がります。単位取得にあたっては、同じ分野の単位取得を目指すほかの人と一緒に講義を受けることになるため、専門看護師同士の横のつながりもできるようです。また、専門分野の教育を担える人材として、院内外を問わず研修会や勉強会の講師を任される機会もあります。
専門看護師は専門分野の看護実践や教育・研究を行う
- 専門看護師とは、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた看護師のこと
- 専門看護師は認定看護師と違い、倫理調整や教育、研究を行う役割も担っている
- 専門看護師になるには実務経験や大学院の修士課程修了、認定審査への合格が必要
- 専門看護師になると高度な専門知識があることを証明でき、院外へも活躍の場が広がる
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