HCUとは？対象患者やほかの病棟との違いについて解説

「HCUとはどのような病棟？」
「HCUとほかの集中治療室との違いがわからない」
そう思う方も多くいるでしょう。この記事では、HCUの入室基準や対応する患者、ほかの集中治療室との違いなどを解説しています。HCUにおける看護師の役割や、勤務に活かせる資格なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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HCUとは

HCUとはHigh Care Unitの略で、高度治療室と呼ばれます。ICUと一般病棟の中間的な位置づけとされており、重篤な患者や重篤になりそうなハイリスクな患者を受け入れて治療を行う場所です。モニタリング装置などの医療機器の配備が充実しており、患者の急変にもすぐに対応できる環境が整っています。

診療報酬の加点対象は入室から21日までとなっており、それを超えると多くの場合は転棟や退院といった措置が取られます。

HCUの入室基準

HCUの入室基準について、明確な定義は存在していません。そのため、HCUでどのような患者を受け入れるのかは施設により異なります。一般的には大手術を行った直後の患者や、重症になるリスクが高い患者を受け入れることが多いようです。

HCUに入室するまでの流れとしては、術後やICUからの転入、救急外来から入院になるケースが多くみられます。

HCUで対応する患者

厚生労働省によると、HCUで対応する疾患は以下のとおりです。

• 意識障害または昏睡
• 急性呼吸不全、慢性呼吸不全の急性増悪
• 急性心不全、急性心筋梗塞
• 急性薬物中毒
• ショック
• 重篤な代謝障害（肝不全、腎不全、重症糖尿病など）
• 広範囲熱傷
• その他外傷、破傷風などで重篤な状態

上記のほかにも、HCUでは術後の患者や救急蘇生後の患者なども対応します。対応する疾患を限定していないため、さまざまな疾患の治療が行われています。

HCUの施設基準

厚生労働省の「基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」（2022年）によると、HCUの施設基準は以下のように定められています。

• 専任の常勤医師が常時1名以上いること。
• HCUの医療管理を行うにふさわしい専用の治療室を、一般病棟に有していること。
• 次に掲げる装置及び器具を常時備えていること。ただし、当HCUがICUと隣接しており、これらの装置及び器具をICUと共有しても緊急の事態に十分対応できる場合においては、この限りではない。
  　（ア）救急蘇生装置（気管内挿管セット、人工呼吸装置等）
  　（イ）除細動器
  　（ウ）心電計
  　（エ）呼吸循環監査装置
• HCUに勤務する看護師は、HCUに勤務している時間帯はHCU以外での夜勤を併せて行わないこと。
• HCUに入院する全患者の状態を、「ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票」を用いて毎日測定・評価し、その基準を満たす患者が8割以上いること。
• 「ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度にかかる評価票」の記入は、院内研修を受けたものが行うこと。

出典：厚生労働省「基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」を一部加工して掲載

以上から、HCUは専用の病棟を持っているわけではなく、一般病棟内に専用の治療室を有することがわかります。また、HCUとICUで医療装置の共用が許可されていることについて述べられているように、HCUとICUが隣接している施設もあるようです。

HCUの看護配置

厚生労働省の「基本診療の施設基準等」によると、HCUの看護配置は、患者4人に対して看護師1人以上と定められています。

ほかの看護配置をみると、ICUでは患者2人に対して看護師1人以上、一般病棟では最高で患者7人に対して看護師1人以上です。このことからも、HCUがICUと一般病棟の中間的位置づけということがよくわかります。

HCUには、ICUほど重篤な患者は入室しませんが、常にモニタリングが必要な患者が多くいます。綿密な観察が必要なことや急変時の対応を考慮し、一般病棟より看護配置が手厚く設定されているのです。

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HCUとほかの集中治療室との違い

HCUのように、一般病棟とは違う位置づけで特別な治療を行っている集中治療室は複数あります。それぞれの集中治療室の詳細と、HCUとの違いについて確認しておきましょう。

HCUとICUの違い

HCUと比較されることが多いのは、ICUです。ICUはIntensive Care Unitの略で、集中治療室と呼ばれます。生命の危機が迫っている重篤な状態の患者や、常に容体観察の必要な患者を対象に、疾患の種類を問わず治療が行われる場所です。

ICUの看護配置は前述のとおり患者2人に対し看護師1人以上で、HCUよりさらに手厚い看護が提供されています。ICUは専用の集中治療室を持っていることが前提となります。

HCUとCCUの違い

CCUとはCoronary Care Unitの略で、一般的に循環器内科が担当する疾患を持つ重症患者のための集中治療室です。

日本集中治療医学会によると、CCUが対象とする疾患は以下のとおりです。

• 心不全
• 不整脈
• 心筋炎
• 急性大動脈解離
• 急性肺血栓塞栓症
• 冠動脈疾患　など

Coronaryは冠状動脈を意味する言葉ですが、冠動脈疾患以外の循環器内科領域の幅広い疾患を対象としています。HCUでも心不全や心筋梗塞の患者を診ることはありますが、CCUではより専門的な治療を行えるのが特徴です。

HCUとSCUの違い

SCUとはStroke Care Unitの略で、脳卒中集中治療室のことです。脳卒中や急性脳血管障害の患者を対象に治療を行っています。HCUと大きく違うのは、対象となる医療行為にリハビリが含まれることです。SCUではリハビリのために、専任の理学療法士または作業療法士を1名以上配置することが義務付けられています。SCUは専門治療とリハビリができる環境を兼ね備えているのがHCUとの違いです。

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HCUにおける看護師の役割

HCUでの看護師の役割は、患者のモニタリングや人工呼吸器などの機器管理、急変時の対応などです。ほかの病棟に勤務する場合と同様に、食事や清拭、排泄介助などの日常的な看護ケアや転棟・退院支援も行います。
ICUの患者と比べると、HCUの患者は会話ができる状態の方が多くいます。日常的に患者とコミュニケーションを取って、状態把握や精神的なケアを行うことも看護師の大切な役割です。

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HCUの看護師に求められるもの

ここまでHCUの概要や、HCUにおける看護師の役割について説明してきました。では、HCUの看護師には何が求められるのでしょうか。

観察力

HCUは慎重なモニタリングが必要な患者や、急変の恐れがある患者の治療を行う場所です。そのため、急変の兆候を見逃さないよう、バイタルサインや患者の様子を見て病状を読み取る観察力が求められます。また、治療する疾患が幅広いため、どのような状態だと急変しそうかなど疾患の特性を正しく理解しておくことも重要です。

体力・精神力

HCUの看護師は、体力勝負である一面もあります。急変時に素早い行動を求められるのはもちろん、緊急入院の受け入れも多く、急を要する業務の連続です。また、そもそも重症度の高い患者の対応は、一般病棟の患者よりケアや処置の量が増える傾向にあります。特に体位交換や排泄介助などは患者を持ち上げたり動かしたりする必要があり、体力を使うことになるでしょう。

加えて、タフな精神力も必要とされます。HCUには容体が急変しやすい患者が多く、緊張感のある場所です。HCUの看護師は、忙しさや緊張を感じても、慌てず冷静に対応することが求められます。

向上心

HCUで働く看護師には、向上心も必要です。HCUでは重篤な病状の治療が行われており、新しい医療機器や治療法、新薬に触れる機会も多いでしょう。また、対象の疾患を絞っていないため、さまざまな患者が入院します。HCUで働く看護師は、それらの疾患や治療法などをしっかりと理解しておく必要があり、常に勉強が欠かせません。

新しい知識を積極的に学び、知らない知識や技術を身に付けることが好きな方は、HCUで働くのに向いているといえるでしょう。

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HCU勤務に活かせる資格

HCUで勤務するには、高度な医療知識やスキルが必要です。事前に取得しておくと勤務に有利な資格をまとめましたので、HCUで勤務したい方はぜひ参考にしてください。

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HCUとは術後や重症度リスクの高い患者を診る高度治療室

• HCUには容態が急変しやすい患者がおり、ICUと一般病棟の中間の位置づけ
• HCUとICUは疾患を限定していないが、CCUとSCUは専門疾患を診る集中治療室
• HCUの看護師には体力や観察力、向上心が求められる
• HCUでは高度な医療とともに、患者に寄り添ったケアを行うのも看護師の役割

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