NEW働き方・お悩み
看護師が取り返しのつかないミスを起こした場合の対応方法とは?
16 hours ago

「取り返しのつかないミスを起こした場合はどうしたら良いの?」と不安を抱えている看護師もいるでしょう。看護師が取り返しのつかないミスを起こした場合は、すぐに上司に報告することが大切です。本記事では、看護師が起こしやすいミスやその理由、適切な対応方法を解説します。また、ミスをしてしまったときの精神的な乗り越え方や、アクシデント・インシデントの防ぎ方についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
看護師が起こしやすい取り返しのつかないミスとは
看護師が起こしやすい取り返しのつかないミスには、投薬ミスや患者の取り違え、申し送りのミスなどが挙げられます。ここでは、厚生労働省「重要事例集計結果」に記載されたインシデントを参考に、取り返しのつかないミスの具体的な内容やインシデントが起こった背景を紹介します。
投薬ミス
投薬ミスは看護師が起こしやすい取り返しのつかないミスの一つです。具体的な投薬ミスの内容とインシデントが起きた背景は以下のとおりです。
| 投薬ミス | A氏に睡眠薬与薬のため、ダブルチェックして投薬準備した十数人の与薬トレイからA氏の与薬ケースを取り出し、A氏に内服させた。 その後B氏に与薬しようとしたところ薬がなく、A氏にB氏の薬を投与したことに気づいた。 |
与薬ケースのネームとベッドネームの確認照合ミス |
投薬時のミスは、上記の例以外にも以下のようなものが挙げられます。
- 昼の内服薬が与薬されず午後4時に気づいた
- 前回の処方で中止となった薬品を処方してしまった
- 薬袋に「1日1回3日分」と記載するところを誤って「3回1日」と記載してしまった
患者名の確認不足や指示の聞き間違いなどによって投薬時にミスが起こると、医療事故につながりかねません。思い込みによる判断は避け、声だし確認や指差し確認といった方法で再発防止を図る必要があります。
患者の取り違え
患者の取り違えに関する具体的なミスの内容やインシデントが起きた背景は以下のとおりです。
| 患者の取り違え | 採血伝票と検体スピッツの氏名が違っていた。名字が同じであったが、下の名前を確認せずに採血し、採決後に再確認して間違いであることを発見した。 当事者はカルテと採血伝票を確認し、フリー業務の新人に採血依頼をしたが、新人は与えられた伝票の名前のみを見て、採血に至った。 |
同姓患者が3組いることで、日ごろから注意を呼びかけていた。カルテや診察券に「同姓有り」と表示をしていた。 検体作成時は「検体・伝票を確認して並べる」「採血前に担当看護師がカルテと照合する」といった一連の確認が曖昧であったために起こった。 |
患者の取り違えに関するミスは、上記の例以外にも以下のようなものが挙げられます。
- 氏名類似患者がいる病棟で検体ラベルを記載する際に「○○A子」と書くべきところを「○○A」としてしまい検査結果報告が違ってしまった
- ほかの患者の点滴を施行したが、患者自身が名前が違うことに気づきすぐに抜針した
- 違う患者にMRI検査のフェリデックスを注射してしまった
氏名や治療内容が類似している場合、患者のリストバンドや点滴ボトルのフルネーム確認を徹底することが重要です。
申し送りのミス
申し送りに関する具体的なミスの内容やインシデントが起きた背景は以下のとおりです。
| 申し送りのミス | IVH側管より抗生剤ゾビラックスを注入しようとしていた。ゾビラックスはほかの薬剤と混注すると結晶を作ってしまうため生理食塩水でフラッシュ後、IVHメインを止めてゾビラックスと生理食塩水のみで注入施行の指示だった。 しかし、IVHメインを止めずにゾビラックス注入し、結晶を作ってしまった。 |
深夜勤への連絡簿に「IVHメインを止めて」との指示があったが、見落としてしまった。 |
また、申し送りに関するミスは、上記の例以外にも以下のようなものが挙げられます。
- 移送してきたスタッフがクランプのことを知らずに胸腔ドレーンを開放した
- 前日に投与スピードが(2ml/H)から(3ml/H)に変更されているのを知らずに(2ml/H)で投与してしまった
- 患者の退院のための書類が精神医療審査会に提出されていなかった
申し送り時にミスがあると必要な情報が担当の看護師や医師に伝わらず医療事故につながる恐れがあります。場合によっては患者の命に関わることもあるでしょう。
参考:厚生労働省「重要事例集計結果」
看護師による取り返しのつかないミスが起きる理由
看護師による取り返しのつかないミスは、注意していても起きる可能性はあります。取り返しのつかないミスが起きる主な理由として考えられるのは、以下の3つです。
- 睡眠不足による疲労やストレス
- 慣れによる確認不足
- 人手不足
ここでは、上記3つの取り返しのつかないミスが起きる理由についてそれぞれ詳しく見ていきます。
睡眠不足による疲労やストレス
睡眠不足による疲労やストレスの蓄積は、看護師の集中力や判断力を低下させ、ミスを引き起こす要因の一つとなります。
特に夜勤や長時間勤務が続いている場合は生活リズムが乱れやすく、十分な休息が取れなかったり心身のバランスが崩れやすくなったりすることもあるでしょう。
集中力や判断力の低下により、投薬量の誤りや指示の聞き間違いといったミスにつながるリスクも高まります。
また、睡眠不足に加えて慢性的な疲労や人間関係のストレスが重なると、精神が不安定になったり、通常なら避けられるミスを起こしてしまったりする場合もあるでしょう。
そのため、勤務スケジュールの見直しや十分な休養の確保など、心身を整える環境づくりが欠かせません。
慣れによる確認不足
業務に慣れている看護師ほど無意識のうちに確認を省いてしまい、思わぬミスを招く可能性があります。
ルーチン化された作業では「いつも通りできる」という安心感から注意が散漫になり、基本的な手順の見落としが起こりやすくなるためです。
また、「ミスは新人に多い」という思い込みから、経験を重ねた看護師が油断してしまうケースも少なくありません。
さらに、担当患者が多いときや業務が立て込んでいるときには、確認の優先順位が下がり、投薬ミスや申し送りのミスといったトラブルにつながる可能性があります。
経験の有無にかかわらず、常に確認を徹底する姿勢が、安全な医療現場を守るために欠かせません。
人手不足
看護師の人数が十分に確保されていない現場では、1人あたりの業務負担が増え、ミスのリスクが高まる傾向があります。
シフトの関係で人員が少ない日や突発的な欠勤が重なると、看護師1人で多くの患者を対応しなければならない状況が生まれます。
こうした過重労働が続くと、疲労や集中力の低下を招き、確認漏れや判断ミスにつながりやすくなるでしょう。
また、人手不足の職場では新人教育や情報共有が不十分な場合があり、組織全体での安全管理を徹底することが難しい傾向があります。
人員不足の問題を看護師個人の努力だけで改善するのは難しいため、職場全体で人員配置の見直しや教育体制の強化を行い、ミスを防ぐ環境づくりが求められます。
看護師が取り返しのつかないミスをした場合の対応方法
ここまで、看護師が起こしやすい取り返しのつかないミスの例や、考えられる理由などについて見てきました。ここからは、看護師が取り返しのつかないミスをした場合の対応方法を紹介します。
上司への報告
ミスに気づいたら、ためらわずに上司へ速やかに報告することが大切です。
小さなミスであっても、自分の判断で対応しようとするのは危険であり、患者の安全を脅かす可能性があります。
初期対応が遅れることで患者の症状が悪化するケースもあるため、上司への迅速な報告や医師との連携が不可欠です。
また、ミスを隠したり嘘をついたりすると患者の命を危険に晒すだけでなく、上司からの信頼を失ったり職場全体の安全体制に悪影響を及ぼしたりする可能性もあるため、すぐに報告しましょう。
「怒られるかもしれない」と不安に感じることもあるかもしれません。しかし、ミスを報告して再び同じ過ちを繰り返さないようにする姿勢こそが、患者を守ることや自身の成長にもつながります。
患者と家族の対応
ミスが発生した際は、患者やその家族に対して事実を正確に伝える必要があります。
小さなミスの場合も隠さず、発生の経緯や今後の対応方針を明確に説明することが重要です。
患者やその家族にミスの説明を行う際は、謝罪の言葉だけで終わらせず、再発を防ぐためにどのような対策を取るのかを具体的に示しましょう。
対応を誤ると医療事故として法的な問題に発展する可能性もあるため、個人の判断で動かず、病院全体で連携して進めることが不可欠です。
ミスの振り返り
ミスが起きた際は、自分の行動や当時の状況を冷静に整理することが大切です。
どの業務で何が起きたのかを精神状態や疲労の影響も含めて振り返ることで、ミスの原因を把握しやすくなります。
ミスが起きた原因を自分だけで整理するのが難しい場合は、先輩看護師やリーダーに意見を求め、客観的な視点を取り入れてみましょう。
ミスの振り返りを通して自身の習慣やクセ、課題に気づくことがあるかもしれません。
忙しさや状況のせいにせず、自分の行動を見直す姿勢が、同じミスを防ぐことや自身の成長につながるでしょう。
さらに、チームで原因を共有する場(インシデントカンファレンス)などを活用し、再発防止策を組織として検討することも不可欠です。
看護師による取り返しのつかないミスの精神的な乗り越え方
取り返しのつかないミスをした場合、落ち込むこともあるでしょう。ここでは、看護師が取り返しのつかないミスをした場合の精神的な乗り越え方を紹介します。
リフレッシュして十分に休息する
疲労やストレスが次のミスにつながる悪循環となる可能性があるため、心身を回復させることが大切です。
勤務後や休日には十分な休息を取り、自分に合った方法で思い切りリフレッシュしましょう。
趣味に没頭したり、軽い運動やストレッチをしたりするのもおすすめです。
また、睡眠不足は精神の安定を損なう原因になりかねないため、質の良い睡眠を確保することも意識しましょう。
自分に合ったリフレッシュ方法を見つけ、無理のないペースで心身のバランスを整えることが、精神的な立て直しにつながります。
気持ちを切り替えて再発防止に努める
ミスを起こした場合は、落ち込み過ぎず次に活かす姿勢が大切です。
出来事に引きずられるよりも、「同じ場面でどのような対応をすれば良かったか」「再発を防ぐためにどのような技術や判断力を身につけるべきか」といった具体的な行動に意識を向けましょう。
前向きな考え方は精神的な回復を早めるだけでなく、同じミスを繰り返さないための力にもなります。
気持ちを整理し学んだことを次に活かすことで、経験として自分の成長につなげられます。
転職を視野に入れる
ミスによる精神的な負担が強く、今後の仕事に不安や恐怖を感じる場合は、転職を前向きに考えることも一つの選択肢です。
職場の環境やサポート体制が不十分で「メンタルの回復が難しい」と感じる場合、無理に同じ職場に留まり続ける必要はありません。
思い切って働く環境を変えることで、前向きに仕事に取り組める可能性があります。
看護師による取り返しのつかないミスの防ぎ方
看護師のなかには、「取り返しのつかないミスの防ぎ方を知りたい」という方もいるでしょう。看護師による取り返しのつかないミスを防ぐためには、以下の3つの方法がおすすめです。
- 6Rのダブルチェックを行う
- 報告・連絡・相談を徹底する
- ストレスをため込み過ぎない
ここでは、上記3つの取り返しのつかないミスの防ぎ方について、それぞれ詳しく見ていきます。
6Rのダブルチェックを行う
看護師のミス防止には、6Rのダブルチェックがおすすめです。6Rとは、以下の6項目のことです。
- 正しい患者(Right Patient)
- 正しい薬剤(Right Drug)
- 正しい目的(Right Purpose)
- 正しい用量(Right Dose)
- 正しい用法(Right Route)
- 正しい時間(Right Time)
6Rのダブルチェックを行う際は指差し確認を心掛け、確認対象を目で見て指で指しながら声に出しましょう。1人で確認するのではなく、ほかの看護師や医師とともに確認することで、見落としや判断ミスのリスクを減らせます。
特に投薬や輸血などの比較的ミスが起きやすい業務では、手順通りに声を出して確認し、迷いや不安を感じたときは医師や上司に相談することも大切です。
「慣れているから大丈夫」と油断せず、常に慎重な姿勢を持つことが、取り返しのつかないミスを防ぐポイントとなります。
報告・連絡・相談を徹底する
医療現場でのミス防止には、報告・連絡・相談の徹底が不可欠です。
スタッフが少ない状況や多忙なときこそ、コミュニケーションの不足によるエラーが起きやすい傾向があるため、疑問や不安を抱えたまま業務を進めることは避けましょう。
「何かおかしい」と感じたときは、すぐに上司や同僚に相談することで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
また、申し送りや記録の正確さを意識することで、チーム全体が同じ情報を共有できるため、ミスを減らすことにつながるでしょう。
ミスや事故につながりかけたヒヤリ・ハット事例をスタッフ間で共有することも、現場全体の注意力や意識向上に役立ちます。
一人で抱え込まず、適切なタイミングで報告・連絡・相談をするよう心掛けましょう。
ストレスをため込み過ぎない
心身の疲労やストレスは、集中力や判断力を低下させ、ミスのリスクを高める可能性があります。そのため、日々の休息や健康管理を意識し、心身のコンディションを整えることが大切です。
具体的には、十分な睡眠や栄養のある食事、朝日を浴びて生活リズムを整えることなどがおすすめです。
また、業務中に感じる緊張やストレスは、深呼吸やストレッチ、気持ちを書き出すなどの方法でこまめに調整しましょう。過度な心身の負担を感じる場合は、上司に相談して勤務体制の改善を検討することも必要です。
看護師が取り返しのつかないミスをした場合は報告する
- 看護師による取り返しのつかないミスには、投薬ミスや患者の取り違えなどが挙げられる
- 看護師が取り返しのつかないミスを起こす理由は睡眠不足や確認不足、人手不足である
- 看護師が取り返しのつかないミスを起こした場合は、すぐに上司に報告する
- 看護師による取り返しのつかないミスを防ぐには、6Rのダブルチェックを徹底する
関連記事
NEW
世間が持つ看護師のイメージとは?実際とのギャップを紹介
mikaruおすすめブログ紹介_vol.14
自由診療クリニックの業務改善を支援!企業のシステム開発に注目
おすすめ記事
人気のエリアから求人を探す
看護師の求人を都道府県・主要都市から探す