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訪問入浴看護師とは?仕事内容や一日のスケジュールを紹介
2 days ago

「訪問入浴看護師は何をするのかよく分からない」という方もいるでしょう。訪問入浴看護師は、利用者宅を訪問し、利用者の体調チェックや入浴前後のケアなどを行います。この記事では、訪問入浴看護師の仕事内容や一日のスケジュールについて紹介します。訪問入浴看護師に向いている人の特徴についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
訪問入浴看護師とは?
訪問入浴看護師とは、利用者の居宅を訪問し、入浴の介助を行う「訪問入浴介護」に従事する看護師のことです。
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問入浴介護」によると、訪問入浴介護は、利用者の身体の清潔の保持や心身機能の維持・回復を図り、利用者の生活機能の維持・向上を目指して実施されます。
訪問入浴介護では、原則として看護師と介護職員が、持参した浴槽によって入浴の介助を行うのが特徴です。
訪問入浴看護師と訪問看護師の違い
訪問入浴看護師と同様に、入浴介助を行う職種に訪問看護師があります。どちらも利用者宅で入浴介助を行いますが、サービスの対象者や医療行為の有無などが異なるのが特徴です。
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問入浴介護」、厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問看護」によると、訪問入浴介護と訪問看護で行う入浴介助には、以下のような違いがあります。
項目 | 訪問入浴介護 | 訪問看護 |
---|---|---|
利用対象者 | 要介護認定を受けた方 | 療養生活を送っている方 |
サービスを行う職種 | 看護師と介護職員 | 看護師 |
医療行為 | 無 | 有 |
使用する浴槽 | 職員が持参した浴槽 | 原則、利用者宅の浴槽 |
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問入浴介護」
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問看護」
訪問入浴介護では、主に介護職員が入浴介助を行いますが、訪問看護では看護師が入浴介助を行う点が大きな違いの一つです。
また、訪問入浴介護と訪問看護で行う入浴介助では、使用する浴槽も異なります。訪問入浴看護の場合、利用者宅の浴槽は使用しません。そのため、訪問入浴介護は、利用者宅の浴槽での入浴が困難な場合にも利用されます。
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問入浴介護」
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問看護」
訪問入浴看護師の仕事内容
ここでは、訪問入浴介護における看護師の主な仕事内容を3つ紹介します。
健康面のチェック
訪問入浴看護師の主な仕事内容の一つは、入浴前後に利用者の健康面のチェックをすることです。
訪問入浴看護師は、入浴前にバイタルチェックや心身の状態の確認を行い、利用者が入浴できる状態かどうかを判断します。場合によっては、利用者の体調や状態について、利用者の家族から話を聞くことも。利用者の状態を確認し、全身入浴が難しいと判断した場合は、利用者や家族の希望に応じて清拭や部分浴を行います。
また、入浴は利用者の身体に負担がかかりやすいため、入浴後の体調のチェックも重要です。利用者の体調に異変があった場合、訪問入浴看護師は、ケアマネジャーや訪問看護師などへ連絡を行うこともあります。
入浴前後のケア
入浴前後の身体のケアも、訪問入浴看護師の主な仕事内容の一つです。訪問入浴看護師は、入浴前に利用者の身体に創部がある場合は保護したり、入浴後に軟膏の塗布や湿布の貼り替えなどを行ったりします。
なお、訪問看護の現場で行われることがある喀痰吸引や褥瘡の処置などの医療行為は、訪問入浴看護師は行わないのが一般的です。
入浴介助
訪問入浴看護師は、介護職員が行う入浴介助のサポートを行うこともあります。前述のとおり、訪問入浴介護での入浴介助は、介護職員がメインで行うのが一般的です。ただし、介護職員だけでは対応が難しい場合、訪問入浴看護師は介護職員とともに入浴介助を行います。
訪問入浴看護師の一日のスケジュール
訪問入浴看護師の一日のスケジュールの例を紹介します。
午前8時30分 | 出勤、訪問の準備、利用者宅へ移動 |
午前9時 | 訪問入浴(平均2~3件) - バイタルチェック、健康面のチェック - 浴槽への移動・脱衣のサポート - 入浴前の保湿や創部の保護などのケア - 入浴介助のサポート - 軟膏の塗布などのケア、着衣のサポート - ベッドへの移動のサポート - 片付け |
正午 | 昼休憩 |
午後1時 | 訪問入浴(平均3~4件) |
午後4時30分 | 事業所での業務報告 |
午後5時30分 | 退勤 |
訪問入浴介護は、1件あたり45~60分程度で行われることが多いようです。ただし、利用者の要介護度や身体の状況、入浴前後のケアの内容などによっては、それ以上の時間がかかる場合もあります。
訪問入浴介護では、1日に何件も利用者宅をまわるため、限られた時間内に入浴と前後のケアを終わらせることが大切です。そのため、介護職員が浴槽の準備・片付けを行っている間に看護師がバイタルチェックを行うなど、チームで連携をとりながら効率良く業務を行います。
訪問入浴看護師がきついといわれる理由・デメリット
訪問入浴看護師の仕事は、いくつかの理由から、きついといわれることもあるようです。ここでは、訪問入浴看護師の仕事がきついといわれる理由や、働くうえでのデメリットを紹介します。
身体的な負担がかかりやすい
訪問入浴看護師は、身体的な負担がかかりやすいため、きついといわれることがあるようです。訪問入浴介護では、入浴介助に加え、利用者がベッドから浴槽まで移動する際のサポートや更衣介助など、力がいる業務が多くあります。
また、訪問入浴介護の利用者は要介護度が高い方も多く、利用者の全身を支えなければならない場合もあるでしょう。そのため、訪問入浴看護師は足腰に負担がかかりやすく、体力がない人にとっては、身体的にきついと感じることもあると考えられます。
人間関係に悩む場合がある
訪問入浴看護師のなかには、人間関係が原因で、仕事がきついと感じる人もいるでしょう。
訪問入浴介護は、介護職員2名と看護師1名で利用者宅を訪問するのが一般的です。少人数のチームで動くため、仕事の進め方や物事の考え方などが合わない人がいると、人間関係に悩むこともあるでしょう。
また、訪問入浴介護は、常にチームで連携をとりながら業務を行う必要があります。そのため、気疲れしやすい人は、訪問入浴看護師の仕事がきついと感じる可能性もあるかもしれません。
スピードが求められることがある
訪問入浴看護師の仕事はスピードが求められることから、きついといわれるケースもあるでしょう。
前述のとおり、訪問入浴看護師は、一日に複数の利用者の居宅を訪問します。訪問入浴介護では利用者ごとに開始時間が決まっているため、次の訪問に間に合うよう、計画的に行動することが大切です。
また、訪問の時間帯によっては、渋滞などで利用者宅への移動に時間がかかることも。訪問入浴看護師は、常に時間を意識しながら、スピーディーに行動することが求められるため、きついと感じることもあるでしょう。
訪問入浴看護師として働くメリット
訪問入浴看護師として働くうえでは、メリットもあります。ここでは、訪問入浴看護師として働くメリットを3つ紹介するので、チェックしてみてください。
ワークライフバランスがとれた働き方がしやすい
訪問入浴看護師として働くメリットの一つは、ワークライフバランスがとれた働き方がしやすいことです。訪問入浴介護は夜勤がないため、日勤のみの働き方ができます。また、訪問入浴看護師のなかには、パートや単発のアルバイトで働いている人もいるようです。
このように、訪問入浴看護師は、ワークライフバランスがとれた働き方が選びやすく、子育て・介護をしている人も働きやすい職場が多いでしょう。
利用者の反応が直接見られる
訪問入浴看護師は、利用者の反応が直接見られることもメリットの一つです。
訪問入浴介護の利用者にとって、入浴は心が安らぐ貴重な時間といえます。そのため、訪問入浴介護では、利用者のリラックスした姿や喜ぶ顔を直接見る機会も多いでしょう。
また、業務の中では、利用者や家族から直接感謝の言葉をかけてもらうことも。利用者に寄り添ったケアができ、やりがいをもって働けることが、訪問入浴看護師として働くメリットです。
急変対応や医療処置が少ない
急変対応や医療処置が少ないことも、訪問入浴看護師として働くメリットの一つでしょう。
訪問入浴介護でも、利用者が急変するリスクはありますが、病院や介護施設と比べると、実際に急変に直面して対応を求められることは非常に少ないでしょう。
また、前述のとおり、訪問入浴看護師が訪問看護師のように注射や点滴などの医療処置を行うケースは多くありません。そのため、ブランクがある人や看護スキルに自信がない人も、業務に慣れやすいことがメリットといえます。
訪問入浴看護師に向いている人
ここでは、訪問入浴看護師に向いている人の特徴を3つ紹介します。
コミュニケーションをとるのが好きな人
コミュニケーションをとるのが好きな人は、訪問入浴看護師に向いているでしょう。
訪問入浴介護では、入浴前後のケアを行っているときや入浴時など、利用者とコミュニケーションをとる場面が多くあります。
また、入浴を行うにあたり、家族から利用者の様子を聞くこともあるでしょう。業務を進める際は、同行する介護職員とコミュニケーションをとりながら協力する姿勢も必要です。そのため、コミュニケーションをとるのが好きな人は、訪問入浴看護師として利用者や家族に寄り添ったケアが行えると考えられます。
体力に自信がある人
体力に自信がある人は、訪問入浴看護師に向いています。
前述のとおり、訪問入浴介護は、移動や更衣、入浴時のサポートのような力がいる業務が多いのが特徴です。また、訪問入浴看護師は一日に複数の訪問を行うため、移動にも体力を使います。
そのため、訪問入浴看護師は、体力に自信があり、身体的な負担がかかる業務もこなせる人が向いているでしょう。
観察力がある人
訪問入浴看護師には、観察力がある人も向いています。
訪問入浴介護では、看護師は1名のみ派遣されるのが一般的です。そのため、訪問入浴看護師には、医療的な視点から利用者の様子を注意深く観察し、小さな変化に気付ける観察力が求められます。
また、入浴の可否判断を行ったり、利用者に異変があった場合にケアマネジャーや訪問看護師などに連絡をとったりすることも、訪問入浴看護師の役割です。そのため、訪問入浴看護師には、判断力も必要となるでしょう。
訪問入浴看護師は利用者宅で入浴介助や体調確認を行う
- 訪問入浴看護師は、入浴前後のケアや介護職員と入浴介助行う
- 訪問入浴看護師は、一日に複数の利用者宅をまわり訪問入浴を行う
- 訪問入浴看護師は、夜勤がないためライフスタイルに合った働き方がしやすい
- 体力に自信がある人や観察力がある人は、訪問入浴看護師に向いている
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