職場・施設情報
病院の夜勤では何をしてる?仕事内容や勤務形態を解説
「病院では夜勤で何をしているの?」と疑問に思う人もいるでしょう。夜勤の看護師は巡回や点滴交換、急変対応などを行い、ほかの医療従事者は必要に応じて業務にあたります。この記事では病院の夜勤について、勤務形態の種類や看護師の仕事内容・スケジュールを紹介しています。看護師以外の医療従事者が夜勤・当直ではどのように過ごしているのかにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
病院の夜勤形態
患者が入院している病院では、医師や看護師をはじめとする医療従事者が夜間も勤務しています。病院では、どのような形態で夜間勤務を行っているのでしょうか。
2交代制
2交代制は、1日を日勤と夜勤、2つのシフトに分けて勤務する形態で、看護師のシフトに多くみられます。
日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」によると、同調査に回答した病院のうち、看護師に2交代制を採用している病院は78.3%でした。
内訳は、夜勤1回あたり16時間以上の勤務になる2交代制が64.6%、夜勤1回あたり16時間未満の勤務になる2交代制が13.7%です。多くの病院が看護師に夜勤16時間以上、日勤8時間前後の2交代制を採用していることが分かります。また、同調査によると、2交代制の夜勤時間の平均は1日あたり16.2時間となっています。
3交代制
3交代制は、1日を日勤・準夜勤・深夜勤の3つのシフトに分けて勤務する形態で、こちらも看護師によくみられる夜勤形態です。
日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」によると、同調査に回答した病院のうち、看護師に3交代制を採用している病院は19.1%でした。
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」
病院看護師の夜勤回数は?
日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」によると、病院看護師のひと月の夜勤回数は、2交代制で平均4.9回、3交代で平均7.5回となっています。
2交代制の場合は、日勤が3〜5日続いた後に1回夜勤が入り、夜勤が終わった後は1日休みになることが一般的です。この夜勤明けの休みの日は「明け」と呼ばれます。明けの翌日以降はまた日勤に数日入るというサイクルが通常です。2交代制の夜勤は勤務時間が日勤の2倍近くの時間となるため、看護師の体調を考慮し、夜勤が連続するケースはあまりみられません。
3交代制の場合は、日勤が2〜4日続いた後に準夜勤が1日、さらに翌日に深夜勤が1日、深夜勤の翌日は明けという形が多いようです。2交代制のときと違い、準夜勤から深夜勤、準夜勤が2日連続というように、夜勤が連続することもあります。
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」
病院看護師の夜勤に適用される72時間ルールとは
日本看護協会「入院基本料の通則『看護職員の月平均夜勤時間72時間要件について』」によると、入院基本料の算定要件に「72時間ルール」が定められている関係で、看護師の夜勤回数・時間はルールに違反しないように設定されます。
なお、72時間ルールを守れなかった病院には、入院基本料が減らされるというペナルティがあるため、どの病院もルールを守れるようにシフト組みを行っているようです。
同資料によると、72時間ルールとは、同一の入院基本料を算定する全病棟の看護職員の月平均夜勤時間を、72時間以下にしなければならないというものです。1人当たりの夜勤時間の上限を定めるルールではないため、時短勤務などで夜勤が短い看護師がいる場合、人によっては夜勤時間が72時間以上になることもあるでしょう。
参考:日本看護協会「入院基本料の通則『看護職員の月平均夜勤時間72時間要件について』」
病院看護師の夜勤の仕事内容
病院看護師は、夜勤のときは以下のような仕事を行っています。
病棟巡回
夜勤の看護師は消灯後、定期的に病室を回って患者の在室状況や容体を確認します。点滴が切れそうになっていたら点滴を交換したり、トイレに行きたいという患者がいたら付き添いや排泄介助を行ったりすることもあるようです。
ナースコール対応
夜勤の看護師は日勤同様、ナースコールへの対応も行います。点滴交換やトイレのコールに対応することが多いようですが、ベッドセンサーのアラートが鳴ったときや急病時のナースコールがあった場合は病室に急行し、適切な処置を行います。必要があれば当直の医師を呼び、指示を仰ぐこともあるでしょう。
急変対応
夜間に容体が急変した患者への対応も、夜勤の看護師の重要な仕事です。病棟では夜間でも、突然ショックバイタルになる患者や、病気の進行によりバイタル値が次第に落ちていく患者がいることも珍しくありません。このような急変時には看護師は医師のサポートに回り、診療補助を行います。
そのまま夜勤帯で患者を看取った場合は、夜勤の看護師がエンゼルケアやお見送りを行うこともあるようです。
緊急入院対応
病院では、夜間に急患が入院してくることもあります。緊急入院の患者が来る場合は、夜勤の看護師が対応を求められるでしょう。看護師は緊急入院の連絡を受けたら、ベッドメイクや処置・物品の準備を行い、患者の受け入れに備えます。
家族が付き添いで来る場合は、看護師が家族へ入院に関する説明をしたり、医師の説明の場に同席したりすることもあるようです。
夕食・朝食提供
多くの場合、患者の夕食と朝食は夜勤帯と重なります。そのため、配膳・食事介助・下膳は夜勤の看護師の仕事です。内服がある患者には、配薬も行います。
書類整理・事務業務
多忙なあまり、日勤帯で着手できない業務は、夜勤中に手が空いたときに進めておくことが多いようです。具体的には、カルテなどの書類整理や備品整理、事務作業などを行います。
病院看護師の夜勤のスケジュール
ここまで、病院看護師の夜勤の仕事内容について解説してきました。ここからは、具体的に夜勤の看護師がどのようなスケジュールで勤務しているのか、みていきましょう。
2交代制
2交代制の病院看護師のスケジュールは以下のとおりです。ここでは、最も多いパターンである16時間勤務の夜勤のスケジュールを取り上げています。
午後4時30分 | 出勤、受け持ち患者確認・情報収集、日勤との申し送り |
午後5時 | 巡回 |
午後6時30分 | 夕食配膳、食事介助 |
午後7時 | 夕食下膳、配薬 |
午後7時30分 | トイレ介助、バイタル測定 |
午後8時 | 休憩 |
午後9時 | 消灯、巡回 |
午後10時 | 書類整理、事務業務 |
午後11時 | 点滴交換、トイレ対応 |
午前1時 | 巡回 |
午前2時 | 休憩 |
午前4時 | 巡回 |
午前6時30分 | 患者起床、更衣・洗面・排泄介助、バイタル測定 |
午前7時 | 朝食配膳、食事介助 |
午前7時30分 | 朝食下膳、配薬 |
午前8時 | 日勤との申し送り |
午前8時30分 | 退勤 |
2交代制の夜勤では、休憩が2回設けられている場合もありますが、忙しい場合は休憩が十分に取れないことも。勤務時間が長いため、休憩時間に仮眠をとる看護師も多くいます。また、出勤直後や退勤前はスケジュールが詰まっていて比較的忙しく、深夜は手が空く日もあることが多いでしょう。
3交代制:準夜勤
3交代制の準夜勤のスケジュールは、以下のとおりです。
午後4時30分 | 出勤、受け持ち患者確認・情報収集、日勤との申し送り |
午後5時 | 巡回 |
午後6時30分 | 夕食配膳、食事介助 |
午後7時 | 夕食下膳、配薬 |
午後7時30分 | トイレ介助、バイタル測定 |
午後8時 | 休憩 |
午後9時 | 消灯、巡回 |
午後10時 | 書類整理、事務業務 |
午後11時 | 点滴交換、トイレ対応 |
午前0時 | 深夜勤との申し送り |
午前0時30分 | 退勤 |
病院看護師の準夜勤は、夕方に出勤し、深夜に退勤するスケジュールになります。
3交代制:深夜勤
3交代制の深夜勤のスケジュールは、以下のとおりです。
午前0時 | 出勤、受け持ち患者確認・情報収集、準夜勤との申し送り |
午前1時 | 巡回 |
午前2時 | 点滴交換、トイレ対応 |
午前3時 | 休憩 |
午前4時 | 巡回 |
午前6時30分 | 患者起床、更衣・洗面・排泄介助、バイタル測定 |
午前7時 | 朝食配膳、食事介助 |
午前7時30分 | 朝食下膳、配薬 |
午前8時 | 日勤との申し送り |
午前8時30分 | 退勤 |
深夜勤は深夜に出勤し、朝に退勤するスケジュールです。生活リズムを戻すために、深夜勤の後は「明け」扱いとなり、明け翌日は日勤と決まっている病院もみられます。
病院における夜勤と宿直(当直)の違い
厚生労働省 東京労働局労働基準部監督課「2022医療機関における宿日直の許可基準について」によると、宿直とは、夜間に行う当直のことです。当直は通常の勤務時間外に待機し、必要に応じて業務を行うことを指します。当直には、宿直のほかに勤務時間外の日中に行う日直(日当直)もありますが、宿直のみを指して「当直」と呼ばれることもあります。
同資料によると、断続的な宿日直の許可基準(医師、看護師の場合)は以下のとおりです。
- 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
- 宿日直中に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限ること
- 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること
- 上記以外に、一般の宿日直許可の際の条件を満たしていること
夜勤では夜間に通常業務と同様の業務を行いますが、宿直では夜勤と違って睡眠が取れることがある程度保証され、業務は軽度・短時間であることとされています。
看護師は巡回や点滴交換など、夜間にも日勤と同様にやるべき仕事が多い一方で、医師は診察や処置が必要なときだけ業務にあたれば対応できるため、宿直で夜間対応することが多いでしょう。
参考:厚生労働省 東京労働局労働基準部監督課「2022医療機関における宿日直の許可基準について」
病院で働く職種別夜勤・当直の状況
看護師の夜勤の状況について、ここまで詳しく解説してきましたが、病院で働くほかの医療従事者の夜勤・当直の状況は、どのようになっているのでしょうか。
医師
医師の夜間勤務は、「当直」であることが多いでしょう。当直時間中は、基本的に机やベッドが用意されている「当直室」で過ごします。当直医師用のPHSが用意されている場合もあり、診察が必要なときや急変があったときは、病棟からPHSで呼び出されます。
前述のとおり、当直は「軽度のまたは短時間の業務に限る」「夜間に十分睡眠がとり得ること」という前提があるため、通常の労働時間として見なされません。そのため、日中に通常どおり勤務してそのまま当直勤務し、翌日も勤務日の場合は日勤にそのまま入るというハードなシフトになることもあるようです。
看護助手
看護助手が夜勤を求められるかは、病院や病棟により異なります。夜勤帯が忙しくなる夕食・朝食の時間帯のみ、遅出・早出の看護助手が対応する場合もあれば、看護師と同様に夜勤に入ることもあるようです。
看護助手の夜勤の仕事内容は日勤と同様、看護師の補助業務がメインで、看護師と一緒に巡回や処置を行います。
薬剤師・診療放射線技師など
薬剤師や診療放射線技師など、医師・看護師以外の医療従事者は、夜間は当直対応の場合が多いようです。大病院で夜間も需要が高い場合は、夜勤対応になっていることもあるでしょう。
薬剤師や診療放射線技師は、主に急患や急変、緊急手術の際に業務にあたります。夜勤の場合は看護師と同様、翌日は明けで休みとなりますが、当直の場合は医師と同様、翌日が勤務日の場合はそのまま出勤になるようです。
なお、医療従事者の中でも、「リハビリ職」と呼ばれる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などは担当業務にあまり緊急性がないため、夜勤や当直が求められることはあまりないでしょう。
病院の夜勤には2交代制・3交代制がある
- 病院看護師の夜勤は2交代制か3交代制で、医師は宿直のことが多い
- 病院看護師の夜勤では、夜勤が約16時間の2交代制を採用しているケースが多い
- 病院看護師の夜勤での仕事は病棟巡回やナースコール対応、夕食・朝食提供など
- 病院の医師の当直勤務では、当直室に待機して必要なときに患者対応を行う
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