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新人看護師に必要なことは?よくある悩みや研修の内容を紹介
a day ago
「新人看護師に必要なことがよく分からない」という方もいるでしょう。新人看護師が成長するために必要なことは、積極的に仕事に取り組む姿勢や仕事に対するやりがいをみつけることです。この記事では新人看護職員研修ガイドラインの内容を通して、新人看護師に必要なことを解説します。新人看護師のよくある悩みについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
新人看護師は何をするの?
新人看護師の業務はオリエンテーション受講や技術演習から始まり、患者に看護ケアを提供できるようになるまで、時間をかけて少しずつ経験を積んでいきます。教育プログラムの内容や進め方は医療機関によって異なりますが、1年目の新人看護師は看護師として必要な知識やスキルを身に付け、独り立ちすることが大きな目標となるでしょう。
新人看護師の1年のスケジュール例は以下のとおりです。
4~6月 | - オリエンテーション - 院内研修 - シャドーイング |
7~9月 | - 基礎的な看護スキルを修得 - 夜勤の研修スタート |
10~12月 | - 日勤業務の独り立ち - 患者の受け持ちスタート - 重症度の高い患者や急変時の対応 |
1~3月 | - 夜勤業務の独り立ち - 1年間の振り返り |
入職直後の新人看護師のスケジュールは、オリエンテーションや研修を受けながら、現場では先輩看護師に付いて、業務の流れや患者との接し方などを見て学ぶ「シャドーイング」などが中心となるでしょう。先輩看護師と行動をともにすることで、日々の業務での動き方だけでなく、ほかの職種・部署のスタッフとの関わりなども学んでいきます。
病棟勤務の場合、基礎的な看護ケアのスキㇽが身に付いてきた入職3ヶ月目くらいから夜勤業務のトレーニングが始まることが多いようです。
入職半年後くらいからは、重症度の高い患者へのケアや急変時の対応など、難易度の高い対応を経験する機会も増えてくるでしょう。このころから患者の受け持ちを始めることも多いようです。一人でできることが増え、看護師としてのやりがいを感じながら働けるようになる人もいるでしょう。
入職から1年が経つころには、1年間の振り返りを行い、習得できたものと未習得のものを整理しておくことが大切です。業務の範囲は医療機関や配属部署にもよりますが、1年目で習得できなかったものは2年目の課題として繰り越す場合もあります。1年間でできるようになったことと、自信がないことやまだできないことなどを理解し、2年目を迎える準備を行うと良いでしょう。
新人看護師の教育プログラムとは
新人看護師の教育プログラムの基となっているのが、厚生労働省が作成した「新人看護職員研修ガイドライン」です。多くの医療機関がこのガイドラインに基づき、新人看護師の教育プログラムを作成したり、教育制度を整えたりしています。
厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】 」によると、新人看護職員研修ガイドラインは、医療機関の機能や規模にかかわらず、すべての医療機関で新人看護師に対する研修が実施できるよう、体制を整備することを目指して作成された資料です。
実際の医療の現場で求められる「臨床実践能力」と看護基礎教育で習得する「看護実践能力」との間で生じた乖離が、新人看護師の離職の一因であるという指摘を受け、その対策として新人看護職員研修ガイドラインが作成されました。
新人看護職員研修ガイドラインには、新人看護職員の研修内容や到達目標に加え、研修の評価方法や研修プログラムの作成、実地指導者・教育担当者の育成などについても示されています。
到達目標
厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」によると、新人看護師の到達目標として 1年以内に到達を目指す項目とその到達の目安が示されています。到達目標の内容は以下のとおりです。
- 看護職員として必要な基本姿勢と態度
- 技術的側面:看護技術
- 技術的側面:助産技術(助産師のみ)
- 管理的側面
上記の各分野ごとに到達の目安が4段階で示されています。実務で経験することが多い項目から優先的に習得することが推奨されており、具体的な目標到達時期の目安は、医療機関や所属部署ごとで決めるものとされています。ここからは、上記4つの到達目標の詳細についてみていきましょう。
看護職員として必要な基本姿勢と態度
「看護職員として必要な基本姿勢と態度」の到達目標では、16個の項目が示されています。具体的な項目の一例は以下のとおりです。
- 職業人としての自覚を持ち、倫理に基づいて行動する
- 患者のニーズを身体・心理・社会的側面から把握する
- 病院および看護部の理念を理解し行動する
- 自己評価および他者評価を踏まえた自己の学習課題をみつける
「看護職員として必要な基本姿勢と態度」の16項目については、すべてが1年以内に一人もしくは指導の下でできるようになることを目標としています。上記の4項目については、1年以内に一人でできることが到達の目安です。
技術的側面:看護技術
「技術的側面:看護技術」の到達目標では、食事介助や与薬、感染予防など70個の項目があります。1年以内に一人でできることを目標としている項目の一例は、以下のとおりです。
- 食事介助(例:臥床患者、嚥下障害のある患者の食事介助)
- 自然排尿・排便援助
- 歩行介助・移動の介助・移送
- バイタルサイン(呼吸・脈拍・体温・血圧)の観察と解釈
- 静脈血採血と検体の取扱い
看護技術については、高度な技術を必要とするものや複雑なものを除き、比較的状態の安定した患者に対するケアができるようになることが目標です。到達の目安には、知識として分かることが到達目標である「人工呼吸器の管理」や、演習でできることが目標となっている「死後のケア」の項目なども含まれています。
技術的側面:助産技術(助産師のみ)
e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」によると、妊婦・褥婦・新生児の保健指導や助産行為を行えるのは、助産師資格を保有する看護師のみです。そのため、計28項目ある助産技術の到達目標は、新人助産師の教育プログラムにのみ組み込まれます。具体的な項目の一例は以下のとおりです。
- 正常分娩の直接介助、間接介助
- 新生児の正常と異常との判断(出生時、入院中、退院時)
- 育児指導(母乳育児指導、沐浴、育児法等)
「技術的側面:助産技術」では、妊産婦・新生児・褥婦・証明書などの分野での項目が設定されています。「母子の1か月健康診査と助言」の項目を除く27個の項目では、一年以内に一人もしくは指導の下でできることが到達の目標です。
管理的側面
「管理的側面」の到達目標では、18個の項目があります。項目の一例は以下のとおりです。
- 患者などに対し、適切な情報提供を行う
- 複数の患者の看護ケアの優先度を考えて行動する
- 規定に沿って適切に医療機器、器具を取り扱う
- 患者の負担を考慮し、物品を適切に使用する
上記4項目は、1年以内に指導の下でできるようになることを目標としています。薬剤などの管理については「1年以内に到達を目指す項目」とはなっておらず、2年目以降に習得する場合も多いでしょう。
参考:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」
e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」
新人看護師のための組織体制
厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」によると、新人看護師を支える組織体制として、以下の4つの方法が紹介されています。一つずつ詳しくみていきましょう。
プリセプターシップ
プリセプターシップ(プリセプター制度)とは、一人の新人看護師に対して、ある程度経験を積んだ一人の先輩看護師がマンツーマンで研修を行う方法です。先輩看護師は、教育者・指導者を意味する「プリセプター」、新人看護師は、教育・指導を受ける人を意味する「プリセプティー」と呼ばれます。
新人看護師は、先輩看護師が担当患者に接する様子を見たり、一緒に看護ケアを提供したりしながら、看護技術や医療・看護サービスを提供する仕組み、看護職としての自己管理の方法などを学んでいきます。
チューターシップ(エルダー制)
チューターシップ(エルダー制)とは、新人看護師に決まった相談相手(チューター)を配置し、仕事の仕方・悩み事などの精神面・生活面などの相談・支援を行う方法です。チューターは、先輩を意味する「エルダー」と呼ばれることもあります。
精神面や生活面の相談役はチューターが担い、日々の業務における実践的な指導はプリセプターが行うといったように、チューターシップとプリセプターシップを合わせて用いられることもあるようです。
メンターシップ
メンターシップとは、メンターと呼ばれる看護師が新人看護師に対して指導や助言をし、相談にのる支援者的役割を果たす方法です。メンターは、新人看護師の人間的な成長を支援する役割であり、中長期的にキャリア支援などを行います。メンターシップを取り入れている場合、直接的な実地指導者はメンターとは別に配置されることが多いようです。
チーム支援型
チーム支援型は、新人看護師に対して特定の指導係を配置するのではなく、チームで教育・支援を行う方法です。チーム内でそれぞれのメンバーが得意な分野の指導を受け持つよう分担されるため、より専門的な知識や技術が学びやすい体制となっています。
チーム支援型の場合、新人看護師は研修の段階で多くの看護師と関わることになるため、職場に早く馴染みやすくなるメリットもあるようです。
参考:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」
新人看護師によくある悩み
新人看護師が、研修や実務のなかで悩むことにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、新人看護師によくある悩みを3つ紹介します。
知識やスキルが足りない
新人看護師のよくある悩みの一つが、自身の知識やスキルが不足していると感じることです。入職して日が浅いうちは特に、先輩看護師の看護ケアを間近で見る機会が多くあり、自身の看護スキルと比べて悩んでしまうこともあると考えられます。
また、知識として頭に入っていても実際に行ってみるとうまくできず、もどかしさを感じてしまうケースもあるでしょう。新人看護師は、自身ができないことや不足していることをきちんと理解したうえで、多くのことを吸収し、自分のものにしようとする気持ちが大切です。
メンタルに自信がない
メンタルに自信がないことも、新人看護師によくある悩みの一つです。仕事に慣れるまでは、先輩看護師から注意されることが多かったり、うまく仕事をこなせないことに辛さを感じたりと、精神的に不安定になることもあるでしょう。
その場合は、プリセプターやチューターなど、身近な先輩看護師に相談してみるのも一つの手です。自分一人では解決できなかった課題や悩みに対する答えが得られることもあるでしょう。
身体的負担が大きい
新人看護師のなかには、身体的な負担が大きいことが悩みとなっている人もいるでしょう。医療現場では、ナースコールや急変、緊急入院への対応など、イレギュラーな対応が必要な場面も多くあります。一日中病棟内を動き回るといったことも珍しくないでしょう。病棟勤務の場合、夜勤の研修も加わり、身体的に負担が大きいと感じる人も多いようです。
また、新人看護師は覚えることが多く、家に帰ってから勉強をする人も多いでしょう。知識不足から焦りを感じた結果、睡眠時間を十分に取れず、疲れが残ったまま出勤するといったことも起こり得ます。仕事に慣れるまでは、身体への負担を増やさない工夫も大切です。
新人看護師が成長するために必要なこと
仕事について悩んでしまうことも多い新人看護師ですが、一人前の看護師として成長するにには、どのようなことが必要でしょうか。ここでは、新人看護師が成長するために必要なことを3つ紹介します。
積極的な姿勢で仕事に向き合う
新人看護師が成長するためには、仕事に対する積極的な姿勢が必要であるといえます。失敗してしまったり、先輩看護師から注意されたりすることで、自信がなくなってしまうこともあるでしょう。しかし、できることを少しずつ増やしていくことが何より大切です。前向きな気持ちで何事にも積極的に取り組むことで、成長するチャンスを多く掴めるでしょう。
学習意欲をもつ
学習意欲をもつことは、新人看護師が成長するために必要なことの一つです。業務のなかで分からなかったことを調べてみたり、自身が看護ケアを行った患者の疾患について学んでみたりと、入職後も自主的に学習を行うことが求められるでしょう。新人看護師には、業務を通して多くのことに興味をもち、意欲をもって知識を深める姿勢が大切であるといえます。
やりがいをみつける
新人看護師が仕事でつまづいてしまったときは、仕事のなかでやりがいをみつけることが大切です。実際の業務を通して、悩むことやつらいと感じることが多いと、仕事に対して前向きになれなかったり、人によっては辞めたいと考えてしまったりすることにもつながります。
患者の笑顔や感謝の言葉など、看護師として働くなかでのやりがいをみつけられると、つらいことを乗り越える支えとなるでしょう。
新人看護師が成長するには積極的な姿勢が必要
- 新人看護師は1年間で知識やスキルを身に付け、看護師として独り立ちすることが目標
- 新人看護師の研修は、新人看護職員研修ガイドラインに沿って行われることが多い
- 新人看護師は、自分ができることとできないことを把握することが大切
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