職種・資格情報
働きながら看護師になれる病院はある?支援制度や資格取得の流れ
「働きながら看護師になれる病院はある?」と疑問に思っている方もいるでしょう。実際に、病院で看護助手として働きながら准看護師を目指す方や、准看護師として働きながら正看護師を目指す方はいます。この記事では、資格取得までの流れや病院で働きながら看護師になる方法を紹介しています。利用できる制度についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
看護師の資格を取るまでの流れ
働きながら看護師になれる病院について知る前に、そもそも看護師の資格を取るまでにはどのような流れを踏む必要があるのかを確認しておきましょう。
正看護師
看護師は、保健師助産師看護師法第5条にて、「傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う職種」と規定されている職種です。准看護師と区別するために、正看護師と呼ばれることもあります。国家資格であり、正看護師として働くには「看護師免許」の取得が必要です。
日本看護協会「看護職になるには」によると、看護師国家試験の受験資格を得るには、高校を卒業後、4年制看護大学か3年制看護短大、もしくは看護師養成所(看護専門学校など)で必要な専門科目を修了する必要があります。
中学から高校へ進学する人向けである5年一貫看護師養成課程校以外の、一般的な看護師養成学校に入学するには、高卒以上の学歴が必要です。また、看護師国家試験の受験資格を得るためには、最短で3年かかることになります。
准看護師
准看護師は、保健師助産師看護師法第6条にて「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて第5条に規定することを行う職種」と規定されています。准看護師免許は都道府県知事が認定・交付しているため、正看護師とは違い、国家資格ではありません。
日本准看護師連絡協議会「准看護師になるためには」によると、准看護師資格試験を受験するには、准看護師養成学校で必要な専門科目を2年以上学ぶことが必要です。また、准看護師養成学校に入学するには、中学校卒業の学歴があれば入学できます。
働きながら看護師になれる病院はある?
実際に働きながら看護師になれる病院は、全国に存在しています。仕組みとしては、働く場の提供と奨学金制度を合わせて行っているケースと、養成学校と提携して看護学生を受け入れ、時短勤務やシフト優遇を行っているケースに分かれるようです。
看護師の資格を持っていない方でも、資格が不要な看護助手として看護技術を学びながら働けるケースが多くみられます。社会人の方にとっては勉強しながら働くことで、生活費や学費の確保ができるうえ、現場で看護業務を経験することで資格取得後にも活かせる知識や技術も同時に習得できるでしょう。
奨学金制度のある病院ではほとんどの場合、看護学校卒業後すぐに当該病院へ就職し、最低でも学費の援助を受けた年数または一律で規定された年数分は同病院で勤務する決まりになっています。規定の年数以上勤務すれば奨学金を返還しなくてよいという病院もありますが、規定の年数を待たずに退職すると、援助してもらえた金額を一部返還しなければならないこともあるため、注意が必要です。
病院で働きながら看護師を目指すプロセスに関しては、現状や目指す資格により詳細が異なるため、以下でケースごとに説明します。
働きながら無資格から正看護師になれる?
看護助手として無資格者に働く場を提供しつつ、看護学校に通う学費を奨学金で支援している病院もありますが、実際のところ、無資格で働きながら正看護師の資格取得に挑戦するのは難しいとされています。
現に、正看護師の資格取得を対象とした病院の奨学金制度は、卒業してから貸与元の病院で働く指定が設けられているのみで、在学中に病院で働くことを想定していないケースがほとんどです。
働きながら無資格から正看護師になるのが難しい理由は、カリキュラムの構造にあります。正看護師になるには養成学校で最低3年間学ぶ必要がありますが、正看護師の養成学校のすべてが全日制で、夜間部はありません。ほぼすべての学校が平日、朝から夕方まで終日授業が入っているため、日中に仕事をしながら学校に通うのはほぼ不可能でしょう。
また、最終年次には数ヶ月間、平日の日中に実習があるため、働いている方であれば実習期間中は仕事を休む必要があります。実習期間は帰宅してから実習日誌を書いたり、しっかりと身体を休めたりする必要もあるため、仕事との両立は難しいでしょう。
そのため、無資格から正看護師を目指す方は、まず、准看護師の資格を取るのがおすすめです。無資格から准看護師、准看護師から正看護師にステップアップする流れであれば、夜間制や通信制の学校もあるため、働きながら資格取得を目指せます。
働きながら無資格から准看護師になる方法
働きながら無資格から准看護師になるには、半日制か夜間制の学校・学科を選ぶと良いでしょう。准看護師養成学校は全日制だけでなく、半日制や夜間制を設けている学校もあります。なお、多くの場合で全日制は2年制、半日制や夜間制は3年制です。
半日制は、昼過ぎから夕方までが授業時間となるため、働きながら学校に通う方は午前中と夕方から夜にかけて働くことになります。朝、一般の職員と同じように出勤し、授業時間は職場を抜けて学校に行き、授業が終わったら職場に戻って仕事をしている方もいるようです。
夜間制は、夕方から午後9時~10時頃までが授業時間となるため、朝から昼過ぎまでは仕事に行くという方が多くみられます。
特に地域ごとの医師会が設立している看護学校では、医師会病院や医師会に加盟している病院と提携して、准看護師養成学校に通う方へ働く場を提供しているケースがみられます。一般的な職場で「午前中と夕方以降のみ働く」といった働き方が可能な職場はあまりないため、医師会の看護学校や特定の病院と看護学生支援の提携をしている看護学校を探すのがおすすめです。
働きながら准看護師から正看護師になる方法
准看護師が働きながら正看護師の資格を取るには看護学校に通う必要がありますが、通信制か定時制かが選べます。それぞれ教育年限や必要な実務経験年数が異なるため、違いを理解したうえで選択しましょう。
なお、准看護師から正看護師の資格取得を目指して学べる学校については、日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」から、制度(全日制・定時制・通信制)や地域を絞って検索できます。
通信制で学ぶ
日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」によると、准看護師から正看護師を目指す場合、通信制の学校で学ぶことができます。通信制の看護学校に入学するには、准看護師として7年以上の実務経験が必要です。
教育年限は2年で、テキスト学習や放送授業だけで単位取得が完結するのではなく、2年間のなかで病院実習や対面授業も計2ヶ月ほどあります。そのため、通信制であってもできるだけ自宅から近い学校や、遠方に住む学生へのサポートが手厚い学校を選ぶと良いでしょう。
定時制で学ぶ
日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」によると、准看護師から正看護師を目指す場合、通信制のほかに、定時制の看護学校も選べます。定時制の看護学校に入学するには、中卒者であれば実務経験が3年以上必要ですが、高卒以上であれば実務経験は問われません。
教育年限は3年で、1年と2年次の授業の時間帯が異なっていたり、授業を設けていない曜日があったりする学校もあるようです。3年次は実習がメインとなります。准看護師から正看護師を目指すための定時制の学校も、無資格から准看護師を目指すための学校と同様に、半日制と夜間制があります。病院で准看護師として働きながら、学校に通う方も多くいるようです。
働きながら看護師になりたい人が利用できる制度
働きながら准看護師や正看護師の資格取得を目指す場合、フルタイムで働ける日が少なくなるため、学費を払うのに不安を感じる方もいるでしょう。ここでは、働きながら看護師になりたい人が利用できる奨学金・給付金に関する制度を紹介します。
病院による奨学金
病院による奨学金は前述で説明したとおり、養成学校卒業後に規定年数以上病院で働くことを条件に、学費の援助を受けられる制度です。
なかには、働きながら学びたい方向けに看護助手として働く場を提供している病院もあります。規定年数の決め方も病院により異なり、一律で年数が決まっていることもあれば、学費援助を受けた期間と同年数となっていることもあるようです。
奨学金制度を受けられれば、学費援助と同時に卒業後の就職先も決定できるため、就活の心配をせずに勉強に集中できるでしょう。
日本学生支援機構の奨学金
看護学校に通う学生は、日本学生支援機構が実施している奨学金制度を利用することもできます。日本学生支援機構の奨学金は幅広い学校を対象としており、看護師養成学校も対象です。
奨学金には返還不要の「給付型」と要返還の「貸与型」がありますが、ほとんどが貸与型で借りることになります。どちらも支援を受けるには学力審査や収入審査に通る必要があり、貸与型の場合は卒業後に働きながら返済していくことになります。
都道府県や自治体の奨学金
看護師や准看護師、保健師といった看護職員の人材確保のため、都道府県や地方自治体では看護学生を対象とした独自の奨学金制度を設けていることがあるようです。多くの場合は卒業後、すぐに対象自治体内の指定施設に勤務することを条件として、奨学金が受け取れます。規定年数以上勤めることで、奨学金の返金が免除となる場合もあるようです。
自治体により対象者や金額が異なるため、利用したい場合は自治体ごとに要件をよく確認しましょう。
専門実践教育訓練給付制度
准看護師養成学校や看護学校、看護系短大は、厚生労働省が定める「専門実践教育訓練給付制度」の対象に含まれるため、条件を満たせば給付金を受け取れます。
厚生労働省「専門実践教育訓練給付制度のご案内」と厚生労働省「教育訓練給付制度」によると、条件を満たす人が厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合、受講中6ヶ月ごとに受講費用の50%(最大年間40万円)が支給される仕組みです。さらに資格取得後、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(上限16万円)が追加で支給されます。
専門実践教育訓練給付制度の給付金は「支給」なので、返還は不要となっているのが魅力です。
病院で働きながら看護師になれる仕組みや支援制度がある
- 働きながら無資格から正看護師を目指す場合は、まず准看護師を取得するとスムーズ
- 病院で看護助手として働きながら、看護師養成学校に通って学ぶこともできる
- 働きながら准看護師から正看護師になる場合は、通信制か定時制かを選べる
- 働きながら看護師を目指す人は病院や自治体の奨学金で学費の援助を受けることも可能
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