豆知識

看護師の申し送りとは?テンプレートと記載例、項目を紹介

5 months ago

「看護師の申し送りにはテンプレートを使うのがいいの?」と考えている方もいるでしょう。申し送りとは、看護師がシフト交代をする際に、患者について情報共有を行うことで、テンプレートを用いるとスムーズに行えます。この記事では、看護師の申し送りで伝えるべき項目や、テンプレートの記載例について紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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看護師の申し送りとは?

看護師の申し送りとは、日勤と夜勤でシフトが変わるときに、新しく入院した患者の情報や入院中の患者の状態について、情報共有を行う短い会議のようなものです。看護師は申し送りの前に担当患者の情報をまとめて、患者ごとに担当の看護師が口頭で申し送りをします。

限られた時間内ですべての入院患者の情報共有を行う必要があり、テンプレートを用いて申し送りの準備をする看護師が多いようです。

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看護師の申し送りの目的

看護師の勤務になぜ申し送りが必要なのでしょうか。看護師が申し送りをする目的を押さえておきましょう。

患者の情報を共有するため

看護師は、カルテに目をとおせば患者に行われた処置やICの内容を把握できますが、勤務開始直前にすべての入院患者の情報をくまなく把握するのは不可能でしょう。しかし、担当患者の情報のみ理解しておけばよいというわけでもなく、ほかの看護師のヘルプに入るときや急変が起きたときなどに備えて、すべての入院患者についてある程度把握しておく必要があります。
そこでシフト交代時に患者の要点だけを情報共有し、効率よく勤務を始めるために、申し送りが行われます。

患者の希望に沿ったケアを実施するため

患者のなかには、シフト交代で担当看護師が代わるだけでストレスを感じる方もいます。看護師が代わっても、患者の希望や要望を理解したうえでケアが実行されていると、患者は安心してケアが受けられるでしょう。患者に合わせて適切なケアを実施するためには、申し送りでの情報共有は不可欠です。

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看護師の申し送りで伝えると良い項目

看護師の申し送りでは、どのような項目を伝えるとよいのでしょうか。ここでは、入院中の患者の場合と新規入院患者の場合に分けて、看護師の申し送りで伝えると良い項目を紹介します。

入院中の患者の場合

入院中の患者の申し送りをする場合は、前日とあまり変化がない項目や基準値内のデータまですべて伝えていると、時間が足りなくなってしまいます。下記に紹介する項目のなかで、前日から変化した項目や新しく出現した症状、異常値のデータなど、話す項目を絞るようにしましょう。

バイタルサイン

バイタルサインは「生命兆候」とも呼ばれ、患者の身体的な基礎データを指します。バイタルサインとして申し送りで取り上げられることの多い項目は、以下のとおりです。

  • 体温
  • 血圧
  • 脈拍数
  • 尿量
  • 呼吸状態
  • 意識レベル
  • 排泄回数
  • 飲水量
  • 食事量

バイタルサインは、特に変化のあった項目や異常値を抜粋して伝えます。特に変化がなかった場合は、「バイタルは特に変化なしです」と言っても構いません。

特に、術後患者や循環器疾患・腎疾患の患者は、飲水量と尿量といったin・out値を細かくチェックする必要があります。基準値を超える増減があった場合は、in・out値を伝えるのが良いでしょう。

治療・検査・処置

申し送りでは、直近で行った治療や検査・処置について伝えるようにします。たとえば、「昼食後に頭痛の訴えがあり、疼痛時処方のカロナールを内服していただきました。16時のラウンドにて経過良好であること確認済です。」のように、処置をしてどうなったのか、時系列で結果まで述べると聞き手も分かりやすいでしょう。「昨晩20時より補液継続中です。」など、継続中のものについても伝えると丁寧です。

また、「明日より2ndケモ(化学療法)1日目スタートです。」「明日午後より上部消化管内視鏡検査予定です。」など、入院の目的になっている治療や検査が控えている場合も申し送りで取り上げましょう。

患者に起きた事象や共有するべき事象

特別に処置の必要がないものでも、看護ケアのうえで注意しておくべきことがあれば、必ず申し送りで伝えるようにします。
具体的には、「夜間せん妄が起きやすく、3時ごろベッドから立ち上がっていましたが、担当者が付き添うことで3時30分ごろには再び就寝しました。」「最近せき込むことが多いので、与薬の際は付き添いをお願いします。」などです。
注意事項を共有しておくことで、きめ細かいケアの実現に繋がります。

IC(インフォームドコンセント)の内容

ICが行われたときは、どのような内容を患者・家族へ説明したのかを簡潔に共有しておきましょう。「〇〇様(患者)の意識レベルが下がっているため、××医師より長男夫婦に対しICが行われ、緊急時のDNARについて積極的な心肺蘇生は行わないとの確認を行いました。」というように、ICが行われた理由と出席者、ICの内容をまとめます。

ICでは、本人に病状を伝えるかなどセンシティブな内容が話し合われることもあります。「一昨日のCTで肺転移が確認できたため、××医師より次女様に病状説明のICが行われました。そこで次女様より、本人がひどくショックを受けそうなので、転移がみられたことは本人には言わないでほしいとのご希望がありました。ご本人とのコミュニケーションの際は注意してください。」のように、注意すべき内容は必ず申し送りで伝えておきましょう。

医師からの指示の変更内容

投薬や処置内容が変わった場合は、申し送りで伝えます。
「22時ごろより腹部疼痛がひどいとの訴えがありました。〇〇(痛み止めの薬)が△mgから×mgに変更され、初回は22時30分に内服しています。」「昨日よりSpO2の値が低下気味であったため、9時に酸素投与量〇リットルから×リットルに増量しています。」のように、なぜ・いつから・何が・どのくらいの量変わったのかを正確に伝えられるようにしましょう。

新規入院患者の場合

新規入院患者の場合は、患者の基本的な情報にフォーカスして申し送りを行います。

基本情報

新規入院患者は、どのような患者が入院してきたのか基本的な情報を共有する必要があるため、下記のような情報は申し送りで押さえておくのがおすすめです。

  • 氏名
  • 年齢
  • 性別
  • 移送区分(担送・護送・独歩)
  • 病名
  • 入院目的・主訴
  • アレルギー歴
  • 既往歴

「〇〇〇〇様、65歳男性です。左上葉肺癌 StageⅠにて切除術目的で入院されました。自覚症状はなく、独歩で入院されています。糖尿病と高血圧に対し内服加療中です。アレルギーは特になしです。」のように、情報を入れ込んで文章にしましょう。

現病歴

現病歴とは、現在罹患している疾患に罹患した経緯や、罹患していることが分かった経緯のことです。申し送りでは現病歴に加え、入院に至った経緯までを簡潔に伝えましょう。

現状・入院時の検査データ

現在の病状と、血液検査やCTなどで異常値や異常所見があった場合は、申し送りで伝えておきます。

入院時ICの内容

外来で入院に関してICがなされていたとしても、入院した日には改めてICが行われるのが一般的です。患者や家族にどのような内容が共有されているのか、治療や検査に対し同意が得られているのかについても申し送りで伝えておきましょう。

医師からの指示

新規入院患者には、医師から基本的な指示が複数出されます。安静度や食事の制限、疼痛時の対応など、医師からどのような指示が出ているかも申し送りで確認しておくのが良いでしょう。

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看護師の申し送りのテンプレート

看護師は申し送りを始める前に、何を伝えればいいのか患者ごとに情報を整理しておく必要があります。口頭で発言する内容を一言一句考える必要はないですが、必要な情報を伝えそびれないためにも、あらかじめノートやメモなどにテンプレートを作っておくと良いでしょう。テンプレートの項目の例は以下のとおりです。

  • 氏名・病室
  • 疾患・病態
  • 今後の予定
  • バイタル
  • 内服
  • 点滴
  • IC状況
  • 特記事項

重要と感じる項目を患者に合わせて組み合わせ、多くても10項目までにまとめてテンプレートを作成しておくと申し送りがスムーズになります。「新規入院患者用」「入院中患者用」「術後患者用」など、何種類かテンプレートを作っても良いでしょう。

なお、申し送りで重視される項目は病院や病棟、診療科によって異なるケースもあります。何を伝えた方が良いのか分からない場合は、先輩看護師に相談するのがおすすめです。

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看護師の申し送りのテンプレートの記載例

実際に申し送り前にテンプレートをどのように書けばよいのか、記載例は以下のとおりです。

氏名・病室 107号室 〇〇 〇〇様
疾患・病態 横行結腸癌 StageⅡ 切除術後3日目
今後の予定 本日尿管カテーテル・創部ドレーン抜去
バイタル 直近のBP37.2℃ 尿量・滲出液量ともに問題なし
内服 〇〇:毎食後 ××:熱発・疼痛時
点滴 △△ 継続
IC状況 直近ではICなし
特記事項 やや体温が高い、熱発時は頓服内服と同時にクーリング希望、薬と一緒に氷枕を持っていくように

口頭での説明文例

上記のテンプレート記載例を用いて、実際に口頭で申し送りを行うときの説明の例を紹介します。

107号室〇〇 〇〇様、横行結腸癌StageⅡ、本日で切除術後3日目で、尿量・滲出液量ともに問題ないため、本日で尿管カテーテルと創部ドレーン抜去予定です。内服と点滴は一昨日から変更なく継続しております。術後よりBPはやや高めで、直近のBPは37.2℃でした。発熱時は××(内服薬)頓服と同時にクーリングを希望されますので、薬と氷枕を一緒に持っていくようにしてください。

テンプレートの項目を上から順に読んでいくのではなく、上記のように関連している項目はまとめて話すと分かりやすくなります。

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看護師の申し送りのポイント

看護師がスムーズに申し送りを行うには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここでは、看護師が申し送りをするときのポイントについて紹介します。

メモや口頭連絡はテンプレートを決めておく

申し送りを行うときは、伝える項目や順序を大まかに決めておきましょう。テンプレートを使用すると、スムーズに情報整理ができて便利です。患者や病態によって申し送りで話す項目や順番は異なりますが、「基本情報と病名・病態は最初に述べる」「注意事項は最後に述べる」など、大まかなルールを決めておくと慌てずに済みます。

必要な情報のみに絞って事実優先で伝える

申し送りでは情報を絞り、予測や意見よりも事実を先に伝えるようにしましょう。前述のとおり、変化のない情報や重要度の低い情報まですべて伝えていては、時間のムダになってしまいます。申し送りで取り上げる情報はだらだらと長くならないように注意しましょう。

また、看護師は患者の病態から今後の予測を立てて、看護計画を変更することもありますが、申し送りでは予測や意見を言及するのを避け、事実優先で伝えるようにします。

口頭連絡で伝える項目以外も把握しておく

申し送りでは、ほかの看護師から質問が来ることもあります。情報を絞らなくてはと、テンプレートの項目の情報のみ収集していては、突っ込んだ質問が来たときに答えられないことも。申し送りをする前は、口頭連絡で伝える項目以外もざっと把握しておくようにしましょう。

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看護師の申し送りはテンプレートを使うのがおすすめ

  • 看護師の申し送りは、シフト交代時に患者について情報共有を行うこと
  • 看護師の申し送りではバイタルサインや病状の変化、ICの内容などについて取り上げる
  • 看護師の申し送り前はテンプレートを使って情報を整理するのが良い

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