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フィジカルアセスメントとは?目的や手順、ポイントを解説

正看護師3 months ago

「フィジカルアセスメントとは?」と疑問に思う人もいるでしょう。フィジカルアセスメントとは、触診や聴診などの身体検査を用いて患者の評価を行い、患者に必要なケアを決めることです。この記事ではフィジカルアセスメントの流れや看護師が行う目的を解説しています。また、フィジカルアセスメントのポイントを身体の部位別に説明しているので、ぜひ参考にしてください。

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フィジカルアセスメントとは?

フィジカルアセスメントとは、問診・視診・触診・打診・聴診により身体を検査し、患者の身体に関する情報を収集・評価することです。フィジカルアセスメントは、直訳すると「身体的な情報」「身体診査」となります。

患者に適した対応を正確に判断するために、医師や看護師がフィジカルアセスメントを行っています。

看護師がフィジカルアセスメントを行う目的

看護師がフィジカルアセスメントを行う目的は、身体の情報を得て、患者に適した看護ケアを明確にするためです。また、実施した看護ケアを評価するためにもフィジカルアセスメントは使用されます。

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フィジカルアセスメントの基本的な流れ

フィジカルアセスメントは、基本的に問診・視診・触診・打診・聴診の順番で行われますが、症状や患部によりアセスメントの順番が変わることもあります。それぞれのアセスメントでどのようなことを確認するのか、みてみましょう。

問診

問診は、患者に直接症状や訴えを聞くアセスメントのことです。症状が出現した時期や程度だけでなく、既往歴や生活歴、家族歴に至るまで詳しく情報を収集します。外来やクリニックであれば、来院時に患者に「問診表」を書いてもらい、記載された内容をもとにより詳しく問診を行うこともあるようです。

視診

視診は、目で見て身体に異常がないか確認するアセスメントのことです。患部・異常部位の大きさや形・色・位置、左右対称性などを確認します。医学的な所見だけでなく、患者の表情や意識状態も視診で得られる情報です。必要に応じてペンライトやスケールを使用することもあります。

触診

触診は、直接患部や患部周辺を触るアセスメントのことです。皮膚の状態や異常部分の位置・大きさ・硬さを手で触れて確認します。炎症部位の熱を感じとったり、脈拍を取ったりするのも触診です。

触診は、患者が痛みを感じていない部位から触るのが鉄則となっています。また、触ることで患部を刺激してしまうこともあるため、正確なアセスメントを得るために、場合によりほかのアセスメントのあとに行われることもあるようです。

打診

打診は、手や器具を使い、患部を軽く叩くアセスメントのことです。患部の固さや反発具合を確認することで、腸や腹腔などにガス・空気・水分が溜まっているかが分かります。痛みのある箇所を軽く叩くことで痛みが響くか、左右差はあるかなども打診で得られるアセスメントです。触診と同様に患部を刺激してしまうこともあるため、痛みを感じていない部位から開始し、場合によりほかのアセスメントのあとに行われることもあります。

聴診

聴診は、患部に耳を当てたり聴診器を使ったりして、身体の内部の音を聞くアセスメントのことです。心音・血管音や胸・背中から分かる呼吸音、腹部から分かる腸蠕動音などを聞いて、患部の状態を判断します。聴診器はベル型と膜型の2面あるため、音を聞く部位や聞き取る音の種類により面を使い分けるようです。

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フィジカルアセスメントの部位別ポイント

フィジカルアセスメントは、部位ごとに確認すべきポイントが異なります。厚生労働省「看護師の特定行為研修における実習指導(共通科目)の手引き」より、主な部位ごとのフィジカルアセスメントのポイントをみてみましょう。

前胸部

呼吸苦や胸の痛みを訴えている患者に対し、前胸部のフィジカルアセスメントは主に以下のことに注目して行います。聴診器は金属製で冷たいため、手のひらで温めてから患部に当てる配慮が必要です。

フィジカルアセスメント
ポイント
視診 - 皮膚所見・表在血管を確認
- 胸郭の形状・動きを確認
- 胸骨角・剣状突起・肋骨を確認
- チアノーゼの有無や胸郭の変形・左右差・呼吸補助筋肉の使用の有無を確認
打診 - 肺尖部から肺底部に向かって左右交互対称に8ヶ所以上打診し、左右差を確認
- 清音(正常)・濁音・過共鳴音・鼓音の有無を確認
聴診 - 聴診器の膜型を使用し、打診と同じ部位を肺尖部から肺底部に向かって左右交互対象に8ヶ所以上確認
- 呼吸音の減弱の有無、複雑音の有無の確認

腹部

腹部の痛みや膨満感を訴える患者に対して、腹部のアセスメントは主に以下のポイントを押さえて行います。腹部の聴診は、蠕動が刺激されてしまう打診や触診の前に行うこととし、1ヶ所で1分以上聴取するとされています。

フィジカルアセスメント
ポイント
視診 - 腹壁の形状と皮膚の状態を確認
- 輪郭・形状(平坦・膨隆・陥凹及び腫瘤の有無)を確認
聴診 - 腸蠕動音の頻度(亢進・減弱・消失)や音の正常(金属性などの異常音の有無)、 腹部の血管音の聴取
- 腎動脈(両側)、腹部大動脈、総腸骨動脈(両側)で血管雑音の有無を調べる
- 振水音を聴取し、腸管内ガスと水の貯留を調べる
打診 - 腹部全体の打診(打診音の異常と痛みの有無を調べる)
- 肝臓の打診(肝のおおよその大きさを調べる)
- 脾臓の打診(腫大の有無を調べる)
触診 - 浅い触診・深い触診(圧痛や腫瘤などの有無を調べる)
- 肝・脾・腎(腫大などの有無を調べる)

気道・呼吸器

息苦しさを訴える患者に対して、気道・呼吸器のアセスメントは主に以下の点に気を付けて行います。

フィジカルアセスメント
ポイント
問診 - 問いかけに対して声が出ているか
視診 - チアノーゼを認めないか
- 胸郭異常を認めないか(変形、左右差、呼吸補助筋肉の使用、陥没呼吸・シーソー呼吸)
聴診 - 狭窄音は聞こえないか

循環器

胸の苦しさや脈の乱れなどを訴える患者に対し、循環器のアセスメントは主に以下の点に注目して行います。

フィジカルアセスメント
ポイント
視診 - 冷や汗を認めないか
- 末梢循環不全を認めないか(CTR>2秒、網状皮班)
聴診 - 末梢血管が収縮していないか

意識

意識が混濁している患者がいる場合は、意識の有無だけではなく、どの程度の意識レベルなのか細かくアセスメントを行います。

フィジカルアセスメント
ポイント
問診 - 呂律の異常は認めないか
- 意識レベルの低下を認めないか(JCS、GCS)
視診 - 外見上に変化はないか(表情)

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フィジカルアセスメントを行うときの注意点

フィジカルアセスメントを行うときは、SOAPを活用しながら行うのが良いでしょう。SOAPとは診療記録の書き方の一種で、主観的情報・客観的情報・評価・計画のことです。問診から得た情報は主観的情報、視診・聴診・触診・打診から得た情報は客観的情報に落とし込むことができ、2つの情報を評価と計画に繋げることでSOAP形式を用いたアセスメントができます。

また、SOAP形式から得られたアセスメントは看護計画を立てるのにも有効です。医師はフィジカルアセスメントから得た情報で治療方針を決めますが、看護師は療養上の世話や身体介助の方針を決めるのに情報を用います。どのような看護ケアを行うべきなのか、得られた情報を根拠に計画を立案できると、適切なケアが行えるでしょう。

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フィジカルアセスメントを正しく行い適切な看護に繋げよう

  • フィジカルアセスメントとは問診・視診・触診・打診・聴診にて身体を評価すること
  • 看護師がフィジカルアセスメントを行う目的は患者に適した看護ケアを明確にするため
  • フィジカルアセスメントの情報はSOAPに落とし込むと看護計画を立案しやすい

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