仕事内容・働き方

精神科看護師の仕事とは?役割や向いている人の特徴を解説

正看護師2 months ago

「精神科の看護師はどのような仕事をするの?」このように疑問に思っている方もいるでしょう。精神科の看護師は服薬管理や身体介助といった一般病棟と同様の仕事だけでなく、患者の心理的ケアにも携わっています。この記事では、精神科看護師の仕事内容や求められる役割、向いている人の特徴について解説。精神科の看護師として働くメリット・デメリットや一般病棟との違いも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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精神科看護師の仕事内容

精神科看護師の仕事内容は、一般病棟での看護と異なる点が多くあります。創部管理や点滴などの医療処置は少なく、心理的なケアが多いのが特徴です。精神科看護師の仕事内容についてより詳しくみていきましょう。

医師の診療補助

精神科看護師は医師の診察に同席し、患者の状態観察や精神科専門療法の補助を行います。精神科に特化した検査・治療の補助だけでなく、バイタルサインの測定も日常的な業務です。

身体・精神状態の観察

精神科看護師は、入院・通院するきっかけとなった精神疾患の観察だけでなく、全身状態を観察してアセスメントに繋げます。身体の調子の悪さが精神状態の悪化に繋がることもあるため、見守るだけでなく患者に声をかけて、身体や心の調子について把握することが大切です。

心理的なケア

精神科において看護師に求められる仕事の一つは、心理的なケアです。看護師との日常的なコミュニケーションは、患者にとって精神的なストレスを緩和させ、疾患の回復に繋がることもあるでしょう。適切な対応は患者により異なり、マニュアルがなく難しい仕事ではありますが、精神科看護師ならではのスキルや経験が積める業務です。

内服管理(与薬)

内服管理は「与薬」とも呼ばれ、決められた時間に患者に薬を渡す業務です。精神科では薬を飲むのを拒否する患者も珍しくなく、認知症の方であれば誤って錠剤のシートごと飲み込んでしまうことも。与薬は食事と一緒に薬を渡し、下膳時にシートや袋を一緒に回収するのが一般的ですが、精神科では与薬から飲み込み、シート・袋の回収まで看護師が付き添うこともあります。

安全管理

精神科では致死観念がある患者や自傷行為をする患者、他者に危害を加える可能性のある患者も入院していることがあります。そのため、患者や職員が安全に過ごせるよう、病棟内の安全管理を行うのも看護師の重要な仕事です。

一般病棟では、包帯やテープを切るためのはさみやテープホルダーを看護師が個別に持ち歩いている姿がよくみられます。しかし、精神科では安全のため、刃物や鋭利なものなどを病棟内に持ち込んだり使用したりすることが禁止されていることが一般的です。入院時は、看護師が患者の持ち物をくまなく確認し、持ち込み禁止の物品が含まれていないかチェックを行います。精神科病棟に持ち込めないことが多い物品は、以下のとおりです。

持ち込めない物品
具体例
刃物、鋭利なもの - はさみ・カッター
- 裁縫道具
- 針金ハンガー
- カミソリ
- ガラス・瀬戸物製品(割れると鋭利で危険なため)
- 工具
ひも状のもの - ひも
- 電気コード
- 充電コード(短いものであれば持ち込み可の場合も)
誤飲・大量摂取すると危険なもの - 洗剤(漂白剤、柔軟剤含む)
- 酒類
火器類 - タバコ・電子タバコ
- ライター
- マッチ
その他 - 携帯電話
- ゲーム機器
- パソコン
- 貴重品

もし、はさみや爪切り、カミソリを使いたいと患者から希望があった場合は、ナースステーションの物品を貸し出して、看護師の付き添いの下で使用します。

日常生活の援助

精神科では一般病棟と同様に、高齢の患者の食事や排泄、入浴などの身体介助も行うのも看護師の仕事です。なかには身体の衰えや障がいがなくても、精神疾患によって身体を動かすことが嫌になってしまい、食事をとりたくない、入浴したくないという方もいます。看護師は、患者が自立して日常生活動作ができるよう、長期的にサポートしていきます。

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精神科看護師に求められる役割は?

精神科看護師に求められる役割は、健康な精神状態になるために援助が必要な方へ、専門知識と技術をもって回復をサポートすることです。その人らしさを大切に、患者の個性に合わせた看護を提供します。患者が自ら考えて治療に参加できるような環境づくりや、自立した生活を送れるようにサポートを行うのも精神科看護師の役割です。

精神科と一般病棟の違い

一般病棟では、身体的な疾患・障がいがある人の治療をサポートするのが看護師の役割です。精神科と一般病棟では、どのような違いがあるのでしょうか。

一般病棟は、疾患や治療法、治療部位により診療科が分かれています。入院加療を行うかは、最終的に患者側の同意が必要です。手術や積極的な加療を行うような「急性期病棟」であれば、5日~2週間程度で退院する方が多いでしょう。

精神科は、精神的な疾患・障がいがある人の治療を行う診療科です。統合失調症や強迫性障がい、うつ病などだけでなく、てんかんや認知症の患者も精神科で治療が行われます。精神疾患は、回復するまで時間がかかるとされており、半年から1年近く入院するのも珍しくありません。

また、精神科病棟は精神保健福祉法により入院の形態が定められており、患者自身や周りの人に危険が及ぶ状態の場合は、本人の意思を問わず入院させることが可能です。厚生労働省「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態について」によると、精神科病棟の入院形態は以下のとおりです。

入院形態
対象患者
件など
措置入院・緊急措置入院 入院させなければ自傷他害の恐れのある精神障がい者 精神保健指定医2名の診断の結果が一致した場合に都道府県知事が措置
(緊急措置入院は、急速な入院の必要性があることが条件で、指定医の観察は1名で足りるが、入院期間は72時間以内に制限される)
医療保護入院 入院を必要とする精神障がい者で、自傷他害の恐れはないが、任意入院を行う状態にない者 精神保健指定医(または特定医師)の診察および保護者(または扶養義務者)の同意が必要
(特定医師による診察の場合は12時間まで)
応急入院 入院を必要とする精神障がい者で、任意入院を行う状態になく、急速を要し、保護者の同意が得られない者 精神保健指定医(または特定医師)の診察が必要であり、入院期間は72時間以内に制限される
(特定医師による診察の場合は12時間まで)
任意入院 入院を必要とする精神障がい者で、入院について本人の同意がある者 精神保健指定医の診察は不要

引用:厚生労働省「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態について」

任意入院以外の入院形態で入院した患者は、自分の意思に反して精神科に入院しているため、「家に帰る」と病棟から出ていこうとすることも。認知症の患者であれば、今自分が入院していることが分からなくなってしまい、帰宅しようと病棟から出ていってしまうケースもあるようです。

精神疾患が寛解していない状態で外出すると、事故やトラブルにより患者本人が不利益を被ることもあるため、多くの精神科病棟は閉鎖病棟になっています。
閉鎖病棟とは、出入口が施錠されており、患者が病棟の内外を自由に行き来できないようにしている病棟です。面会時や病棟を出て検査・治療を行うときなどは、病棟スタッフが必ず付き添って施錠・開錠を管理しています。

一方、精神科病棟の中でも、慢性期病棟の場合は出入口に鍵がない開放病棟の場合もあるようです。入院する患者の疾患に合わせて、認知症病棟、依存症病棟など疾患別で病棟が分かれていることもあります。

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精神科で働く看護師のメリット

精神科で働く看護師は、どのようなメリットを感じられるのでしょうか。

患者一人ひとりと深く関われる

精神科の患者は入院期間が長いうえ、ケアの中心がコミュニケーションのため、看護師は患者一人ひとりと深く関われます。患者の人間性や価値観を理解して、症状の経過を見守るスキルも身に付けられるでしょう。最初はコミュニケーションを拒絶していた患者も、日々のケアの中で信頼関係ができると、反応や表情に良い変化が現れるのを感じられます。患者から頼られることも増え、やりがいも感じられるでしょう。

観察力が身に付く

精神科の患者の中には、自分の調子をうまく言葉に表せない方もいます。看護師は日頃からより気を配って患者を見守る必要があり、観察力が身に付くでしょう。勤務経験を積むことで患者の些細な変化に気づけるようになり、患者から必要な情報をうまく聞き出してアセスメントを行う力が付くようです。

認知症看護の経験が身に付く

認知症は脳外科や神経内科で治療されることもありますが、精神科でも治療を行う疾患です。専用病棟で認知症治療を行っている病院もあるため、精神科で働くと認知症看護の経験を身に付けられるというメリットもあります。高齢化社会に伴い、認知症の患者は増えているのが現状です。認知症看護の経験があると、一般病棟や介護施設で働く場合にも経験を活かせるでしょう。

夜勤の休憩が取りやすい・残業が少ない

精神科病棟は一般の急性期病棟のように急変が起きたり、急な検査・処置が入ったりすることが少ないため、退勤時間になれば時間どおり帰れることが多いようです。
一般病棟では夜間の点滴交換・体位交換や緊急入院など、夜勤帯に対応しなければならないことも多く、仮眠休憩が取れない日もあります。一方、精神科は一般病棟よりも緊急入院の頻度が少なく、夜間はせん妄や不穏症状のある患者の対応が主となるため、夜勤の休憩時間をフルで使えることが多いというメリットもあるようです。

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精神科で働く看護師のデメリット

看護師が精神科で働くことにデメリットも存在します。精神科での勤務を希望されている方は、デメリットも理解しておきましょう。

患者の言動に傷つくこともある

精神科で働く看護師は、患者の言動に傷つく可能性があることも理解しておかなければなりません。
精神科の患者には、疾患の影響でマイナスな発言を繰り返す方や、他者へ攻撃的になりケアを拒否する方もいます。精神科での勤務経験がない看護師の方がそのような言動を目の当たりにしたとき、驚いて傷ついてしまうこともあるでしょう。暴言や拒否を受けても真に受けず、疾患のせいだからと割り切ることや、仕事でのストレスをうまくリフレッシュできるようにすることが大切です。

医療技術や看護スキルを磨く機会が少ない

精神科病棟は、一般病棟に比べると専門的な手技が必要な処置を行う機会が少なく、対話による精神科専門療法が多い特徴があります。そのため、医療技術や看護スキルを磨く機会が少ない職場といえるでしょう。精神科の患者が、身体的な疾患の治療を優先する場合も、一般病棟に転院・転棟するのが一般的です。精神科で経験を積むほど、専門的な手技を経験しない期間が長くなってしまうことも考えられます。

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精神科で働くのに向いている看護師の特徴

精神科で働くには、どのような看護師が向いているのでしょうか。

心理学やコミュニケーションによるケアに興味がある

精神科のケアでは、心理学やコミュニケーションによるケアがより重要視されます。そのようなケアに興味がある方は、精神科で働くのに向いているでしょう。

精神科のケアには必ずしも正解があるわけではないため、難しい一面もありますが、看護師の言動で患者の状態が改善に向かうこともあります。経験の中で患者への接し方が徐々に理解できることもあるようです。患者の心に寄り添い、治療の伴走者としての役割が果たせると、やりがいを感じられるでしょう。

精神的な強さがある

前述のとおり、精神科には疾患によって暴言を吐いたり、攻撃的な態度を取ったりする患者もいます。そのたびに患者の言動を真に受けていては、看護師側が精神的なつらさを感じてしまうことも。よって、精神的な強さがある人、切り替えが上手な人は精神科で働くのに向いているでしょう。
なかには疾患の影響で、看護師とのコミュニケーションを拒否する患者もいます。患者に拒否されても根気強く対応して、「こちらの心は開いている」という姿勢を見せることで、心を通わせられることもあるようです。

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精神科看護師に関するよくある質問

ここでは、精神科看護師に関するよくある質問についてお答えします。

看護師として精神科で働くには資格は必要?

精神科で働く看護師は、看護師国家資格以外に特別な資格は不要です。精神科で働きたいと考えている看護師は、転職活動を始めたり異動希望を出したりしてみても良いでしょう。なお、精神科ですでに働いている看護師向けには、精神科認定看護師や精神看護専門看護師などの資格があります。どちらの資格も看護師としての勤務経験5年以上、うち精神科での勤務3年以上が必要ですので、精神科でキャリアアップしたい人は取得を目指してみるのも良いかもしれません。

精神科看護師の仕事は楽?きつい?

精神科看護師の仕事は、一概に「楽」「きつい」とは言い切れないでしょう。急変や緊急入院が少なく残業があまりないことや、点滴や採血、注射などを行う機会が少ないことを「楽」と感じる人もいるかもしれません。一方で、精神科に入院している患者には、コミュニケーションを取るのが難しい患者もいます。患者に心無い言葉をかけられることもあり、精神的に「きつい」と感じる人もいるでしょう。

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精神科看護師は患者に寄り添い心のケアを行っている

  • 精神科看護師は患者の心のケアや身体・精神面の観察、安全管理などを行っている
  • 精神科で働く看護師は患者一人ひとりと深く関わったケアができ、観察力も身につく
  • 精神科で働く看護師は、精神的な強さがある人や心理学に興味がある人が向いている

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