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看護方式とは?種類や特徴、最新のセル型についても解説

正看護師8 months ago

「看護方式とは何?」
「セル型はどのような看護方式なの?」
そのような疑問を持つ方もいるでしょう。この記事では、看護方式とは何か解説するほか、種類とそれぞれの特徴について紹介しています。混同しやすい「看護体制」についてや、看護方式として新しく提唱されたセル型についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください!

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看護方式とは

看護方式とは、病棟勤務の看護師がケアを進める際に、病棟全体でどのように看護を進めていくかを定めている方式のことです。看護方式は効率的に業務を進めるだけでなく、質の高い看護を提供したり新人看護師を育成したりするために決められています。看護方式には、病棟・病院の行動指針が反映されていることもあるようです。

後述する看護体制と異なり、看護師主体で自由に決められるという特徴があり、同じ病院内でも病棟によって看護方式が異なることも珍しくありません。

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看護体制とは

看護方式と似ている言葉に、「看護体制」があります。看護体制とは、病棟に入院している患者に対して、何人の看護師が配置されているかを表した比率のことです。入院患者〇人に対して看護師1名以上という意味で、「〇対1」と表記されます。病棟の特徴や治療を受けている入院患者の状態により、比率が異なる仕組みです。

看護体制は、診療報酬の入院基本料に大きく関わる事項です。看護師の人数が多い体制ほど入院基本料が高い仕組みになっており、適用できる病院・病棟が細かく定義されています。代表的な看護体制をみていきましょう。

看護体制
概要
2対1 ・看護体制の中で最も手厚い配置で、重篤な状態や急変リスクが高い状態の患者、大手術後の患者を看る病棟向けの看護体制
・ICU(集中治療室)に適用される
3対1、4対1 ・一般病棟での対応が難しい集中的・専門的なケアが必要な患者や、救急搬送された患者、術後ケアが必要な患者などを受け入れる病棟向けの看護体制
・3対1はNICU(新生児集中治療室)やSCU(脳卒中集中治療室)に適用されている
・4対1はHCU(高度治療室)や救急病棟での適用が多い
7対1、10対1 ・がんや外傷などで病状が急変するリスクがある患者を受け入れている病棟や、患者の入れ替わりが激しい病棟向けの看護体制
・7対1は、大学病院や総合病院、急性期病棟での適用が多い
・10対1は、7対1病棟よりもやや緊急度が低い地域の中核病院などでみられる
13対1 ・病状が安定している患者が入院している病棟向けの看護体制
・13対1は慢性期病棟や回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟などで適用されている
15対1、20対1 ・病状が安定しており、自宅に帰って生活するのが難しい患者や長期療養が必要な患者の病棟向けの看護体制
・15対1は慢性期病棟や精神科一般病棟で適用されている
・20対1は療養病棟に適用されている

看護体制は、看護方式との組み合わせによって看護の進め方が異なることもあります。双方をしっかり理解し、現場に適応できる看護師を目指しましょう。

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看護方式の種類と特徴

看護方式にはチームナーシングやプライマリー ナーシング、セル型などさまざまな種類があり、特徴やメリット・デメリットがそれぞれ異なります。過去には看護師国家試験にて「看護方式とその説明との組合せで正しいのはどれか」といった出題があったことも。看護方式の種類ごとの特徴を押さえ、違いを理解しましょう。

チームナーシング

チームナーシングは、病棟の看護師を2~3つのチームに分け、それぞれのチームでリーダーとメンバーを決めて看護を進めていく看護方式です。チーム替えは1日単位や週ごとなど、病棟や病院によって異なります。

チームナーシングでは、新人看護師は任される仕事を覚えながら、患者との関わり方を学ぶことが一番の業務です。一人前に仕事ができるようになるまで、チーム内で教えてもらいながら、報告・連絡・相談を密に行って仕事を進めます。

リーダーになった看護師の役割は、看護師ごとの受け持ち患者決めや、メンバーの状況把握、仕事の采配などです。チームの責任者としての役割もあります。教育担当になることもあるため、中堅看護師や早くても3~5年目以上の看護師がリーダーになる傾向があります。

チームナーシングは、新人看護師や苦手分野がある看護師がいても、チームでカバーして看護の質を担保できます。また、チーム内で担当患者について情報共有することで、自分以外の看護師の視点に気づけたり、患者に多角的に関われたりするといったメリットも。

一方、チームリーダーの役割が多く、負担が大きいというデメリットもあります。患者ごとの担当がいないため、患者の細かい変化を見落とさないようより丁寧な観察や工夫が必要でしょう。また、業務がスムーズに進むかはリーダーの采配によるところが大きいため、リーダーにより働きやすさが変わってしまうこともあるようです。

プライマリーナーシング

プライマリーナーシングは、患者の入院から退院までを一貫して1人の看護師が受け持つ看護方式です。担当看護師は「プライマリーナース」と呼ばれ、担当患者が入院したら看護計画を立案し、退院まで看護を実践します。

プライマリーナースが不在のときは、プライマリーナースが立案した看護計画をもとに、ほかの看護師がケアを実施します。不在時の対応に備えてほかの看護方式を組み合わせて運用されたり、サブ担当が決められたりすることもあるようです。

プライマリーナーシングでは患者との信頼関係を築きやすく、患者の些細な変化にすぐに気づいて、心理的にサポートしやすいというメリットがあります。基本的に自分1人で担当するため、看護師は主体性や責任感をもって看護に取り組むことができ、やりがいや充実感につながりやすいという魅力もあります。

ただし、担当が決まっていることから、看護師個々のスキルの差によって看護の質にばらつきが出るというデメリットも存在します。看護計画の質によって、プライマリーナースが不在時の患者対応が、患者に沿ったものにならないことも。また、看護師が少人数の場合、運用が難しい看護方式であるという側面もあります。

固定チームナーシング

固定チームナーシングは、チームナーシングにおいてチームを半年以上固定する看護方式です。チームで看る患者が固定されるのが特徴で、チームナーシングとプライマリーナーシングの特徴をもつ看護方式となっています。

メンバーが固定されるため、メンバー間のコミュニケーションが取りやすくなるとともに、長期にわたり計画的に新人育成ができるのがメリットです。患者からみると顔なじみの看護師が数人いる状態のため、安心してケアを受けられるでしょう。チーム内で能力をカバーしあえる点も魅力です。

一方、メンバーが固定されるため、相性が合わないメンバーがいる場合はストレスを感じることもあるでしょう。チームが固定される期間が長いと、経験できる症例が減り、スキルアップの機会が少なくなることにもつながるようです。

モジュールナーシング

モジュールナーシングは病棟の看護師を2つ以上のチームに分け、チームの中で看護師をさらに数人の「モジュール」にわける看護方式です。モジュールは、患者の病態や状態を考慮しながら、重症度や介護度に偏りが出ないよう決めていきます。

モジュールナーシングは、モジュールごとに患者の入院から退院までを一貫して受け持つことで、やりがいをもって看護にあたれるメリットがあります。患者に合わせた看護を複数人で提供するため、ケアのなかで不足している部分はチーム全体で補うことが可能です。

しかし、ほかのモジュールの看護師とはコミュニケーションが少なくなったり、ほかのモジュールの患者については状況を把握できていないこともあるというデメリットもあります。

パートナーシップナーシングシステム(PNS)

パートナーシップナーシングシステム(PNS)は、2人の看護師でペアを組み、お互いの能力・特徴を補い合いながら業務を進める看護方式です。PNSだけを採用するわけではなく、ほかの看護方式とともにPNSを採用し、ペアを組むことが一般的となっています。新人教育の方式としてPNSが採用されることが多いため、、新人とベテランがペアになることが多いようです。

PNSでは、分からないことがあればペアの看護師にすぐ聞けるため、不安なく業務を進められるメリットがあります。ペアで不足部分を補いあえるため、看護の質が落ちにくいのも魅力です。
 
ただし、新人看護師の主体性や自分で考える力がつきにくいというデメリットも存在します。新人・ベテランペアの場合、どうしてもベテランの負担が大きくなりやすいということもあるでしょう。

機能別看護方式

機能別看護方式は、看護業務を分業・専業化し、業務ごとに担当を決めてケアを行う看護方式です。点滴・投薬、採血、バイタルチェックなどで担当を分けて、業務ごとに異なる看護師が患者のもとに行ってケアを行うことになります。担当業務は1日ごとに変わることもあるようです。

機能別看護方式は、分業により看護師一人ひとりの負担を分散でき、個人の得意分野や能力にあった業務を行えるというメリットがあります。チーム制ではないので、少人数で効率的に業務を進められる点も魅力的です。

デメリットとしてはケアの種類ごとに違う看護師が担当するため、不安に感じる患者もいる点があげられます。看護師間のコミュニケーションの機会が少なくなったり、患者と深い関係性を築きにくいという懸念点もあります。

セル型

セル型は「セル看護提供方式」とも呼ばれ、看護師がナースステーションを主な拠点とせず、基本的に患者の近くで業務を行う看護方式です。看護師には1日ごとに患者が割り振られ、担当患者に関する業務を担当看護師が一手に受け持ちます。
 
看護師は、電子カルテの入力ができるパソコンやケアに必要な物品を載せたカートを押して移動し、担当患者の部屋や部屋の近くで業務を行うのが大きな特徴です。
 
看護師は常に患者のそばにいるため、ナースコールが鳴っても素早く対応できます。場合によっては、ナースコールが鳴る前に看護師が患者の異変に気づき、迅速に対応することができるでしょう。また、セル型では一般的に割り振られる患者数が少ないため、担当患者の状態を細かく把握できる点もメリットです。

一方、急な検査・処置や急変が発生すると、看護師間の業務量に偏りが出やすいというデメリットも。ほかの看護師がフォローに入りたくても、自分の業務が落ち着かないとフォローするのが難しいという課題もあります。

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看護方式の種類や違いを理解して仕事を進めよう

  • 看護方式とは、看護師が病棟で看護を進めていく方式のこと
  • 看護体制とは、患者何人に対して看護師1名でケアをするかを表した比率
  • チームナーシングやモジュールナーシングは、複数の看護師でケアにあたる看護方式
  • PNSはほかの看護方式と組み合わせて運用されることが多い

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