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診療看護師(NP)とは?できる医療行為や資格について解説
a year ago

「診療看護師(NP)とは?」
「診療看護師(NP)はどのような医療行為ができる?」
このように考える方もいるでしょう。診療看護師(NP)は一般的な看護師ができない特別な医療行為が行える看護師のことです。この記事では、診療看護師(NP)ができる医療行為や、特定看護師と違うポイントなどを解説しています。資格取得までの流れや、一日の勤務スケジュールも説明していますので、ぜひ参考にしてください。
診療看護師(NP)とは?
診療看護師(NP)とは、大学院で診療看護師養成修士課程を修了し、NP資格認定試験に合格した看護師のことです。診療看護師(NP)は一般の看護師ができない「特定行為」や、一部の診療行為が行えるという特徴があります。
正看護師や准看護師と比べると人数は少なく、日本NP教育大学院協議会によると、2023年4月1日時点で診療看護師(NP)の資格認定者は759名です。医師不足といわれる医療現場において、医師の判断を待たずに、患者へ検査・処置・説明を行える診療看護師(NP)は、今後より需要が高くなると考えられます。
診療看護師(NP)ができること
診療看護師(NP)は、看護師が行える医療行為に加え、「特定行為」のすべてと医師の指示による相対的医行為を行えます。それぞれの詳細について見てみましょう。
特定行為
「特定行為」とは、医師の診療補助にあたる医療行為のことで、厚生労働省により定められています。看護師が特定行為を行う場合は、実践的な理解力・思考力・判断力や、専門的な知識と技能が必要です。特定行為の詳細は、以下のとおりとなっています。
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブまたは経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | ・人工呼吸器(侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気)の設定の変更 ・人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 ・人工呼吸器からの離脱 |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
循環器関連 | ・一時的ペースメーカーの操作および管理 ・一時的ペースメーカーリードの抜去 ・経皮的心肺補助装置の操作および管理 ・大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整 |
心嚢ドレーン管理関連 | 心嚢ドレーンの抜去 |
胸腔ドレーン管理関連 | ・胸腔ドレーンの吸引圧の設定およびその変更 ・胸腔ドレーンの抜去 |
腹腔ドレーン管理関連 | 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。) |
ろう孔管理関連 | ・胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテルまたは胃ろうボタンの交換 ・膀胱ろうカテーテルの交換 |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創傷管理関連 | ・褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 ・創傷に対する陰圧閉鎖療法 |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | ・直接動脈穿刺法による採血 ・橈骨動脈ラインの確保 |
透析管理関連 | 急性血液浄化療法における血液透析器または血液透析ろ過器の操作および管理 |
栄養および水分管理に係る薬剤投与関連 | ・持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 ・脱水症状に対する輸液による補正 |
感染に係る薬剤投与関連 | 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | インスリンの投与量の調整 |
術後疼痛管理関連 | ・持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 ・持続点滴中のナトリウム、カリウムまたはクロールの投与量の調整 ・持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 ・持続点滴中の糖質輸液または電解質輸液の投与量の調整 ・持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 |
精神および神経症状に係る薬剤投与関連 | ・抗けいれん剤の臨時の投与 ・抗精神病薬の臨時の投与 ・抗不安薬の臨時の投与 |
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射および投与量の調整 |
出典:厚生労働省「特定行為区分とは」より引用
診療看護師(NP)は、以上の特定行為すべてが行えることになっています。特定看護師も特定行為を行えますが、特定看護師になる上で研修を受けた区分の医療行為に限定されています。
医師の指示による相対的医行為
診療看護師は、相対的医行為も行えます。相対的医行為とは、医師の指示の上で看護師の実施が許可されている医療行為のことです。指示を出す医師や勤務する医療施設により詳細は異なりますが、具体的には腹腔穿刺や気管挿管、中心静脈ルート確保が該当します。診療看護師(NP)は医師のように処方はできませんが、相対的医行為として点滴・内服オーダーの代行入力を行うこともあるようです。
診療看護師(NP)と特定看護師の違いは?
看護師の上位資格として診療看護師(NP)とともにあげられる資格が、特定看護師です。一般的な看護師では行えない医療行為ができるなどの共通点もありますが、資格試験や許可されている医療行為において明確な違いがあります。診療看護師(NP)と特定看護師の具体的な違いは以下のとおりです。
行える医療行為 | ・一般的な正看護師と同じ業務 ・特定行為の全区分 ・相対的医行為 |
・一般的な正看護師と同じ業務 ・特定行為のうち、特定行為研修を受けた区分の行為 |
資格取得までの道のり | 実務経験→大学院修士課程を修了→NP資格認定試験に合格 | 特定行為の中から受講したい区分別科目を選び、特定行為研修を修了する |
資格取得に必要な実務経験年数 | 5年以上 | 明確な条件はなし(3~5年以上の実務経験が想定されている) |
教育機関 | 大学院の診療看護師養成修士課程 | 特定行為研修を実施している大学・大学院、病院 |
資格試験(主催団体) | 診療看護師(NP)資格(一般社団法人 日本NP教育大学院協議会) | なし(研修修了をもって特定行為区分の特定看護師となる) |
資格更新手続きの有無 | 有(5年ごと、更新時に審査有) | 無 |
診療看護師(NP)の一日の勤務スケジュール
診療看護師(NP)の勤務スケジュールは、多くの医療施設において看護師よりも医師に近いスケジュールになっていることが多いようです。救急科や麻酔科、外科など所属する診療科によってもスケジュールは大きく異なります。ここでは、内科勤務の診療看護師(NP)を想定し、日勤帯のスケジュールの例を見てみましょう。
8:15 | 診療科カンファレンス | 担当患者のプレゼンを行い、問題点の共有や治療方針の確認・決定を行う |
9:00 | 外来診療 | 初診担当、問診担当など業務を分けて割り振られることもある |
11:00 | 外来治療患者の回診 | 透析患者や、外来化学療法を受けている患者の元へ回診を行う |
13:00 | 手術室・処置室での処置 | 内シャント増設術やポート増設を行う |
15:00 | 病棟回診、病棟での処置 | 腹腔穿刺や人工呼吸器の調整なども行う |
16:30 | 申し送り | 夜勤の看護師や当直医師へ申し送りをする |
17:00 | 退勤 | 申し送りやカルテ記載が完了したら退勤 |
なお、日本NP教育大学院協議会「令和3年度診療看護師(NP)活動実態調査」によると、日勤のみの勤務形態で働いている診療看護師(NP)が最も多く57.4%でした。続いて多いのが、日勤と必要に応じて当直がある場合で14.8%、日勤と夜間オンコールありが12.7%です。病棟看護師の一般的な勤務形態である、2交代制・3交代制勤務の診療看護師(NP)は合わせて10.1%となっています。このことからも、診療看護師(NP)で夜勤を行う人は少なく、当直やオンコールといった医師と同様の勤務形態の人が多いことがわかります。
診療看護師(NP)になるまで
診療看護師(NP)になるには、看護師としての実務経験を5年以上積み、大学院に入学して診療看護師養成修士課程を修了します。その後、NP資格試験に合格するまでが診療看護師(NP)になるまでの流れです。診療看護師(NP)になってからも5年に1度、資格更新のための更新審査を受ける必要があります。
実務経験を積んで大学院を修了する
前述のとおり、診療看護師(NP)になるには、大学院の診療看護師養成修士課程を修了する必要があります。大学院の出願条件には、「5年以上の看護師の実務経験があること」が含まれているため、実務経験は必須です。専門学校卒業者は実務経験のほかに、入試前に書類審査がある場合もあります。
入学試験の内容は大学院により異なりますが、面接や学力試験、小論文などの中から2〜3種類実施されることが多いようです。
大学院は2年課程で、2年次には臨床実習があります。実習は5~7か月間、平日の日中に行われるため、働きながら大学院に通う方は休職制度などが利用できるか、確認しておくのがよいでしょう。
授業日は週3~5日と大学院により異なり、授業時間も昼間制・夜間制・日によって昼夜どちらかに授業がある場合とさまざまです。一部授業でオンデマンド配信を行うなど、e-ラーニングを活用している大学院もありますので、自分に合った学校を探しましょう。
診療看護師(NP)教育課程のある大学院一覧
日本NP教育大学院協議会によると、2023年6月時点で診療看護師養成修士課程のある大学院・新設予定の大学院は、以下のとおりです。
- 北海道医療大学大学院
- 秋田大学大学院
- 山形大学大学院
- 東北文化学園大学大学院
- 国際医療福祉大学大学院
- 東京医療保健大学大学院
- 国立大学法人富山大学大学院
- 佐久大学大学院
- 愛知医科大学大学院
- 藤田医科大学大学院
- 森ノ宮医療大学大学院
- 島根県立大学大学院
- 公立大学法人大分県立看護科学大学大学院
- 令和健康科学大学大学院(2025年度より学生募集予定)
2023年6月時点で診療看護師(NP)の養成課程がある大学院は上記の14校のみとなっています。今後、診療看護師(NP)の需要が高まれば、さらに増える可能性もあるでしょう。
NP資格認定試験に合格する
診療看護師(NP)の認定試験は、一般財団法人日本NP教育大学院協議会主催の「NP資格認定試験」です。プライマリ・ケア(成人・老年)、プライマリ・ケア(小児)、クリティカルの3領域から、資格を取得したい領域の試験を受けることになります。
例年1月に、修了した大学院へ受験申込を行い、3月初旬に試験が行われます。合格発表は試験の5日~1週間後に行われるようです。
資格取得後は5年ごとに更新審査がある
診療看護師(NP)の資格を取得したあと、資格を継続するには更新審査を受けなければなりません。更新審査を受けるには、診療看護師(NP)としての臨床経験が2000時間以上必要です。また、日本NP教育大学院協議会が定めた「実績項目一覧表」に基づき、実績点数を5年間で50点以上取る必要があります。実績点数は、学会発表や研究活動、教育活動などにより取得できる仕組みです。臨床経験と実績点数を満たした上で、更新審査に合格すると資格が継続できます。
診療看護師(NP)の給与
総務省統計局「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の給与平均は35万1,600円となっています。
診療看護師(NP)は基本給が一般の看護師より高かったり、給与に資格手当が付いたりするケースが多いようです。診療看護師(NP)の資格手当は6万円程度が相場のようですので、一般の看護師より給与が高い場合もあるでしょう。
診療看護師(NP)は特別な医療行為ができる看護師
- 診療看護師(NP)は、特定行為や相対的医行為が行える看護師である
- 診療看護師(NP)になるには、実務経験と修士課程修了を経て資格試験に合格する
- 診療看護師(NP)の勤務は、交代制の夜勤よりも当直やオンコールがある場合が多い
- 診療看護師(NP)は、資格手当により一般の看護師より給与が高いこともある
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