職種・資格情報
准看護師になるには?資格取得の方法や仕事内容を解説
a year ago
「准看護師になるには、どうすればよいの?」
「中卒や専業主婦でも目指せるって本当?」
このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。准看護師は正看護師より安く短期間で資格取得でき、医療機関や介護施設で活躍できる職業です。本記事では、准看護師になるにはどうすればよいのか、資格取得までの道のり、仕事内容について説明しています。資格を取るメリットや気になる年収も解説していますので、ぜひご覧ください。
准看護師とは
准看護師とは、医師や歯科医師、正看護師の指示のもとに、診療の補助や患者のケアを行う看護の専門職です。准看護師養成学校で修業し、資格試験に合格することで准看護師になれます。
厚生労働省の令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況によると、2020年末時点で准看護師として働いている人は全国に28万4,589人いたことが分かります。
准看護師と正看護師の違い
准看護師と正看護師は、仕事内容に大きな差がありません。ただし、准看護師は自らの判断による業務はできないとされています。そのほかの違いは以下のとおりです。
入学要件(最終学歴) | 中学校卒業 | 高等学校卒業 |
年限 | 2年以上 | 3年以上 |
資格発行者 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣(国家資格) |
仕事定義 | 保健師助産師看護師法の第六条において「『准看護師』とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者」と定められている | 保健師助産師看護師法の第五条において「『看護師』とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定められている |
さらにキャリアアップする際におすすめの資格 | 正看護師 | 保健師、助産師、特定看護師、専門看護師、認定看護師など |
引用:保健師助産師看護師法
准看護師になるには?よくある質問集
准看護師になるには、都道府県知事が実施している准看護師試験に合格しなければなりません。資格取得までの流れや、費用についても解説します。
資格取得の方法は?
准看護師資格を取得するには、准看護師養成学校へ入学する必要があります。准看護師養成学校の特徴は、入学要件が中卒以上であることです。入学試験も、中卒レベルの問題が出題されます。国語・数学・理科・社会・英語などの中から、数科目出るのが一般的でしょう。
准看護師養成学校に入学後は、座学と実習により看護知識と技術を修得し、その後准看護師試験受験となる流れです。
また准看護師養成学校の中には、高校の衛生看護科として存在しているものもあります。高校の衛生看護科は、看護課程と高校の一般課程を同時に修業できることが特徴です。准看護師資格とともに、高校卒業資格も得られるメリットがあります。
准看護師の試験はどのような内容?
准看護師試験は、各都道府県で年に1回、2月上旬から中旬にかけて行われます。都道府県によって受験日が前後しており、その場合は複数県の受験も可能です。
試験は四肢択一のマークシート方式で150問が出題され、試験時間は2時間半です。正答率6割以上で合格となります。
厚生労働省によると、准看護師試験の合格率は2022年度で97.9%で、合格率の高い試験です。
資格取得までの費用は?
准看護師になるための学費は学校によって異なりますが、100万~130万円ほどと考えておくと良いでしょう。
一般社団法人日本准看護師連絡協議会によると、准看護師養成学校の授業料、教材費、実習費用を併せると年間で50万円程度、2年間で約100万円程度です。加えて、入学金が15万円程度、准看護師試験の受験料が6,900円程度かかります。
通信でも資格は取れる?
准看護師の資格は通信教育では取得できず、准看護師養成学校への通学が必要です。准看護師養成学校では通学が難しいと考えている方に向けて、全日制に加えて半日制を採用している学校もあります。主婦や社会人の方などで全日制の学校に通えない場合は、半日制への入学を検討しましょう。
年齢制限はある?
准看護師の受験資格に年齢制限はありません。中卒以上の学歴があり、准看護師養成学校卒業見込みの人であれば受験できます。
中には40代、50代の主婦も受験しており、子育てが一段落したあとに准看護師としての一歩を踏み出しています。
准看護師の資格を取るメリット
准看護師は中卒からでも資格が取れ、資格試験の合格率も高いことがわかりました。ほかにも資格を取ることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
2年間で資格取得できる
准看護師養成学校は2年課程です。卒業と同時に准看護師試験に合格すれば、すぐに准看護師として働けます。正看護師は、専門学校に3年か大学の看護学科に4年間通う必要があるため、養成学校入学から2年間で働けるのは准看護師の強みです。そのため、「早く資格を取得し、看護職として働きたい」という方にとって、准看護師は最適といえるでしょう。
主婦や働いている人も学校に通える
前述したとおり、准看護師養成学校では半日制を採用している学校もあります。全日制では学校に通うことが難しい子育て中の主婦や、ほかの仕事に就いている人でも学校に通いやすいです。
半日制のなかでも、授業時間が午後からと夜間からの学校がありますので、自分に合ったスタイルで資格取得を目指せます。
奨学金制度を利用できる
准看護師の資格取得には、奨学金が利用できます。奨学金の種類は、日本学生支援機構の奨学金、自治体や都道府県の奨学金などです。なかでも病院付属の准看護師養成学校に入学して学校の奨学金を利用した場合、資格取得後に付属病院に勤務すると奨学金返済免除もしくは減額の条件がつく場合もあります。
正看護師に比べて安い費用で資格取得できるうえ、奨学金制度も充実しているのは、准看護師を目指すなかで魅力的なポイントです。
正看護師へのステップアップも可能
前述の通り、准看護師は資格取得までにかかる費用が約100万~130万円といわれています。一方、東京都専修学校各種学校協会の令和4年度学生・生徒納付金調査によると、看護専門学校の初年度学費平均は、115万6,000円でした。これは1年次のみの学費ですので、ほとんどの看護専門学校が3年制であることを考えると、トータルの学費は200万~300万円ほどかかる計算です。大学の看護学部に入学すると修業期間も4年制となり、費用も看護専門学校以上にかかります。
それに比べ准看護師は、正看護師より安い費用で資格取得できます。また、資格取得までの期間も短いため、いち早く現場で経験を積んでから正看護師を目指すこともできるのです。正看護師になりたいが費用・期間の面で不安がある方にとって、准看護師の資格取得は正看護師を目指す第一歩になるでしょう。
准看護師の仕事内容
准看護師の仕事内容は、診療や手術の補助、患者への処置などです。
前述のとおり、准看護師は医師、歯科医師、正看護師の指示のもと業務を行うことが法律で定義されています。自らの判断で業務を行ってはいけません。
准看護師ができること・できないこと
看護師業務の中には、正看護師でしか行えない業務も存在しています。准看護師として業務にあたる際は、准看護師が行ってはいけない業務に抵触していないか注意が必要です。
(正看護師しかできないこと) |
|
---|---|
・バイタル測定 ・点滴の作成や投与 ・手術や処置の補助 ・食事、入浴介助 ・カルテ記載 など |
・自己判断で看護業務を行うこと ・ほかの看護師に指示を出すこと ・看護計画の立案 ・管理職への昇進 |
准看護師の勤務先
准看護師の勤務先は主に、病院や診療所、介護施設、保育園など多岐にわたります。厚生労働省の令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況によると、2020年末時点で准看護師の勤務先として多かった上位3位は、病院が35.7%、診療所が32.5%、「介護保険施設24.8%でした。准看護師の勤務先割合は、上位3施設で全体の9割以上を占めています。
では、准看護師は勤務先によってどのような仕事をしているのか、詳しくみていきましょう。
病院
准看護師の勤務先で最も多い施設が、病院です。準看護師は病院で、清拭・食事介助などのケアや、医師の診療補助、正看護師の看護補助などを行っています。厚生労働省の令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況にある就業場所別の実人員から換算すると、2020年度末時点では病院に勤務する看護師・准看護師の中で准看護師が占める割合は約10.3%であり、正看護師のほうが多い結果となっています。
病院で働く看護師には、多くの場合夜勤が発生します。夜勤では、医師も看護師も少ない人数の中で患者を診なくてはなりません。そのような環境で患者の容体に異変があったとき、看護師自身が自分の判断で行動することが強く求められます。一方、准看護師は自分の判断で業務を行えないため、病院では正看護師の方が重宝される傾向にあるようです。
ただし、准看護師にも夜勤の対応を求める病院もあります。
診療所
准看護師が診療所で行う仕事は、問診や検査説明、採血などの外来診療補助です。仕事内容は、病院の外来業務と似ています。
診療所は常に診察室に医師が常駐していることが多く、医師から直接指示をもらいやすい環境です。厚生労働省の令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況の就業場所別にみた実人員を元に計算すると、2020年末時点で診療所で働く看護師・准看護師の中で准看護師が占める割合は約35.2%でした。病院より多い割合となっています。
介護保険施設
准看護師が介護保険施設で行う仕事は、バイタルチェックや服薬管理、喀痰吸引などです。施設によっては、介護士とともに入浴・食事・排泄介助を行うことも珍しくありません。また、高齢者は急変のリスクが高く、夜間ケアも多いため、夜勤がある施設もあります。
厚生労働省の令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況の就業場所別にみた実人員からは、介護保険施設で働く看護師・准看護師の中で、准看護師が占める割合は2020年末時点で約41.1%でした。多くの准看護師が介護保険施設で活躍していることがわかります。
保育園
厚生労働省の保育所等における准看護師の配置に係る特例について(通知)において、保育所に勤務する保健師、看護師、准看護師は1人に限って保育士とみなすことができる、とされています。そのため、病院や診療所だけでなく保育園でみなし保育士として働いている准看護師もいます。
保育園での准看護師の主な仕事は、園児の健康管理や感染予防、職員・保護者への指導です。また、前述のとおり、みなし保育士として勤務する場合は、保育業務の補助も行っています。
准看護師の年収は?
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」を参考に計算すると、准看護師の年収は約418万円となります。同資料の数字を参考に割り出せる正看護師の年収は約508万円のため、准看護師の年収は正看護師と比べると低いといえるでしょう。これは、准看護師は夜勤の多い病院に勤務する割合が少ないこと、管理職やリーダー職への昇格がないことなどが関係しています。
准看護師の資格がなくなる可能性はある?
結論を述べると2023年現在、今すぐ准看護師制度が廃止される予定はありません。なぜそのように言われるようになったのか、准看護師資格の歴史から紐解くことができます。
そもそも准看護師資格ができたのは、保健助産師看護師法によると戦後間もない1951年です。当時は病院増設が進む中、看護師を増やすことが課題でした。女子の高校進学率が低かったことから、「高校進学しなくても中卒で看護職に就けるように」と考えられたのが准看護師制度だったのです。近年は女子の高校進学率も高く、最初から正看護師資格を取得する人が増えたことから、准看護師の資格取得者・就業者は年々減っています。
また、日本看護協会は、准看護師制度が創設された当時から、准看護師の養成停止と正看護師への一本化を提唱しています。さらに近年は准看護師の人数も減少してきたため、准看護師の資格がなくなるのではないかと心配される声が増えてきたようです。
一方、日本医師会は准看護師制度の廃止に反対を唱えています。准看護師は初期医療やへき地医療、高齢者の療養分野で活躍が期待できると評価しているのです。
准看護師には、正看護師になるのに比べて少ない費用・短い期間で資格取得ができること、育児中や他の仕事に就いている間でも資格が取りやすいなどのメリットがあります。
また、近年は高齢化社会が進んでおり、介護施設や在宅医療での看護師不足が深刻です。准看護師の存在は看護師不足を補う役目として、今後も需要がある職業といえるでしょう。
さらに准看護師資格を取得した後に、正看護師を目指すことも可能です。自身の現状やライフスタイルにあわせて、准看護師資格の取得を検討するとよいでしょう。
准看護師になるには2年間学校に通い試験に合格する
- 准看護師養成学校は2年制で、半日制もあるため主婦や社会人も通いやすい
- 幅広い年代の方が准看護師を目指しており、試験の合格率も高い
- 准看護師は病院、診療所、介護施設などさまざまな施設で活躍できる
- 准看護師は、正看護師へのキャリアアップも可能
- 近年は看護師不足が問題となっており、今後も准看護師の存在は重宝される
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