豆知識
介護タクシーと福祉タクシーの違いとは?利用条件や料金を紹介
2 months ago

「介護タクシーと福祉タクシーの違いがよく分からない」という方もいるでしょう。介護タクシーは、要介護者の外出・移動を支援するものである一方で、福祉タクシーは、公共交通機関での移動が困難な方が利用できるものとなっています。この記事では、利用条件や料金、車両など、介護タクシーと福祉タクシーの違いを紹介します。介護タクシーと福祉タクシーの運転手の必須資格の違いも解説するので、ぜひ参考にしてください。
介護タクシーと福祉タクシーの違いとは
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「介護タクシー運転手」によると、介護タクシーとは、介護・介助が必要な高齢者や身体障がい者を利用対象とするタクシーのことです。介護タクシーのなかには、介護保険の適用となる身体介護サービスを受けられるものと、介護保険は適用されないものに分けられます。
介護保険を利用しないタクシーは、個人事業主でも運行が可能です。一方で、介護保険を利用できる介護タクシーの場合は、個人事業主では運行できず、法人化して訪問介護事業所の指定を受ける必要があります。なお、介護保険を利用できる介護タクシーは、介護保険が適用されない介護タクシーと区別するため、「介護保険タクシー」という名称が用いられる場合もあるようです。
一方、福祉タクシーとは、主に身体障がい者の外出を支援するタクシーのことです。国土交通省「福祉タクシー」によると、福祉タクシーとは、「一般タクシー事業者が福祉自動車を使用して行う運送」や、「障がい者などの運送に業務の範囲を限定した許可を受けたタクシー事業者が行う運送」のこととされています。
福祉タクシーの場合、介護保険は利用できず、全額自己負担が基本となるのが特徴です。ただし、自治体によっては、車椅子を常用している身体障がい者などを対象に、料金の一部補助を受けられる制度を設けている場合もあります。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「介護タクシー運転手」
国土交通省「福祉タクシー」
介護タクシーと福祉タクシーの違い:利用条件
介護タクシーと福祉タクシーの違いの一つは、利用条件や主な利用対象者です。
介護保険を利用できる介護タクシーは、訪問介護サービスの一つである「通院等のための乗車又は降車の介助」にあたります。そのため、介護タクシーは主に、要介護認定を受けている高齢者が利用対象となるのが特徴です。
また、介護タクシーを利用するには通常、ケアプランへの記載が必要となります。そのため、通院や日常生活上に必要な外出などを行う際にのみ利用可能となる点も、介護タクシーの特徴の一つです。
介護保険の適用範囲内で介護タクシーを利用できるケースには、以下のようなものがあります。
- 定期的な通院
- 日常生活上の必需品の買い物
- 代理での購入が難しい物品の買い物(眼鏡や補聴器など)
- 預貯金の引き出し
- 役所での手続き
- 選挙
一方、福祉タクシーは、身体障がい者や高齢者など、公共交通機関による移動が困難な方を主な利用対象としています。福祉タクシーは、介護タクシーと比べると、より多くの場面で利用できるのが特徴です。福祉タクシーの利用例には、以下のようなものがあります。
- 買い物
- 食事
- 理容室・美容室の利用
- 旅行・レジャー
- 冠婚葬祭
福祉タクシーは利用者を運送することを目的としたサービスであるため、利用目的は問われません。また、福祉タクシーは、要介護認定を受けていない高齢者や高齢者以外の障がい者など、さまざまな方が利用可能です。そのため、介護タクシーと比べると、利用者の幅が広いのが福祉タクシーの特徴といえます。
なお、介護タクシーと福祉タクシーは、どちらも完全予約制での利用となるのが基本です。介護タクシーや福祉タクシーは、一般的なタクシーのように、路上待機や流しは禁止されているため、利用する際は、事前に予約手続きを行う必要があります。
介護タクシーと福祉タクシーの違い:料金
介護タクシーと福祉タクシーは、利用料金の内訳や金額にも違いがあります。
介護タクシーの利用料金は、運賃や介護サービスにかかる費用、介護機器のレンタル費用などで構成されているのが一般的です。そのうち、介護保険の適用となるのは、介護サービスにかかる費用のみとなります。具体的には、身体介護や乗降介助などに対する費用です。
そのため、車椅子やストレッチャーなどの機器のレンタル費用や運賃などは、基本的には全額自己負担となります。
一方、福祉タクシーの場合は、運賃や機器のレンタル費用などがかかるのが一般的です。また、場合によっては、貸し切り料金や予約料などが別途かかる場合もあります。前述のとおり、福祉タクシーは介護保険の適用外となるため、介護タクシーと比べると、利用料金が高くなりやすい傾向にあるようです。
ただし、介護タクシーと福祉タクシーは、利用するタクシー会社や利用する車両の種類などによっても、金額が変わることがあります。そのため、介護タクシーや福祉タクシーを利用する際は、サービスの特徴と金額を比較しながら、利用するタクシーを選ぶことも大切です。
また、自治体によっては、介護タクシーや福祉タクシーの利用に関する補助事業を行っていることもあります。条件によっては、補助を受けられる場合もあるため、自身が住む自治体のWebサイトなどで、利用できる制度がないか確認してみるのもおすすめです。
なお、補助事業の例は次項で紹介しているので、あわせてご覧ください。
介護タクシーに関する補助事業の例
目黒区「目黒区 介護タクシー利用補助事業のご利用案内」によると、東京都目黒区では、介護タクシー利用補助事業(車いす利用者への移動補助事業)が利用できます。
2026年度における事業の概要は、以下のとおりです。
| 利用対象者 | 以下のすべてに該当する方 - 身体障害者手帳を持っている、または要介護4・5の認定を受けている - 外出時に、車椅子やストレッチャーの利用を常時必要とする - 在宅者である(※医療機関に入院中、または有料老人ホーム・ケア付き高齢者住宅以外の介護施設に入所中の方は利用不可) |
| 補助内容 | - 介護タクシー利用補助券の交付(年間48枚) - 介護タクシー高額利用補助 |
参考:目黒区「目黒区 介護タクシー利用補助事業のご利用案内」
介護タクシー利用補助券は、予約料(最大500円)・迎車料(最大770円)・基本介助料(最大1000円)に対する費用が補助されるものです。予約料・迎車料・基本介助料については、上限額を超えた金額は自己負担となります。
具体的な利用者負担額の計算例は、以下のとおりです。
| 利用料金合計金額 | 1万円 | 1万100円 |
| 内訳 | - 予約料:500円 - 迎車料:770円 - 基本介助料:1000円 - 運賃:7730円 |
- 予約料:400円 - 迎車料:800円 - 基本介助料:1100円 - 運賃:7800円 |
| 自己負担額 | 7730円 (運賃7730円) |
7930円 (迎車料30円+基本介助料100円+運賃7800円) |
参考:目黒区「目黒区 介護タクシー利用補助事業のご利用案内」
また、介護タクシー高額利用補助とは、1年間の介護タクシー利用金額(補助券による補助金額を除いた自己負担額)が10万円を超えた場合に、超えた金額の50%の補助を受けられる制度です。なお、2026年度分の場合は、2026年4月1日から2027年3月31日までの間の介護タクシーの利用が対象となります。
福祉タクシーに関する補助事業の例
東京都目黒区において、社会福祉協議会事業として実施されている、福祉タクシーに関する補助事業の一つが「ハンディキャブ」です。
目黒区「目黒区 介護タクシー利用補助事業のご利用案内」によると、目黒区では、高齢や障がいなどにより、一人での外出が困難な車椅子利用者の移動手段支援として、車椅子ごと乗れる自動車(ハンディキャブ)の運行がされています。
具体的な事業内容は、以下のとおりです。
| 利用対象者 | 以下の条件をすべて満たす方 - 目黒区在住の方 - 身体障がい者や高齢者(原則、要支援・要介護の認定を受けている方) - 一人では、公共交通機関を利用して外出するのが困難である方 |
| 運行の範囲 | - 目黒区内およびその近郊(発着地のいずれかが目黒区内) - 目黒区を中心とした地図上の直線距離で半径15kmの範囲内 |
| 利用日時 | - 月曜日から金曜日(祝祭日や年末年始、車両整備に要する日などを除く) - 午前9時~午後5時(出庫してから入庫するまでの時間を含む) |
| 利用料金 | - 3kmごとに500円 - 迎車料金:150円 - 待機料金:最初の1時間までは150円/以降1時間ごとに200円加算 (※地図上の直線距離で片道5km以上の往復利用の場合に料金が発生) - 有料道路や有料駐車場などの実費は別途負担 |
目黒区「目黒区 介護タクシー利用補助事業のご利用案内」
ハンディキャブは、一般的な福祉タクシーと同様に、通院や買い物、プライベートな外出など、さまざまな用途での利用が可能です。また、利用日や利用時間、移動の範囲などが決められているため、利用は限定的となるものの、一般的な福祉タクシーより安く利用できます。
ただし、ハンディキャブの運転手は、乗降時のサポートのみを行うため、利用にあたっては介助者(2名まで)の乗車が必要です。
上記のように、自治体によっては、福祉タクシーに関する補助制度が設けられている場合もあるため、条件が合えば、利用を検討してみるのも良いでしょう。
参考:目黒区「車いす利用者への支援(介護タクシー利用補助事業)」
介護タクシーと福祉タクシーの違い:車両
介護タクシーと福祉タクシーでは、利用者が乗り降りしやすいよう、ワンボックスカーのような車両が多く使用されているのが特徴です。ただし、介護タクシーや福祉タクシーとして使用される車両は、タクシー会社によって、種類が異なります。
介護タクシーも福祉タクシーも、使用される車両形態に厳密な決まりはないため、一般車が用いられるケースもあれば、 車椅子専用車や回転シート車、寝台専用車(ストレッチャー付き車両)などの専用車両が用いられるケースもあるでしょう。
また、一部の介護タクシー会社のなかには、医療ケアが必要な方も利用できるよう、人工呼吸器や吸引器などの設備が整えられている車両を取り扱っている場合もあります。
なお、専用車両を利用する場合、早めの予約が必要となったり、別途利用料金が加算されたりすることも。そのため、利用する車両の希望がある場合は、事前にケアマネジャーへの相談やタクシー会社への問い合わせなどをしておくのがおすすめです。
介護タクシーと福祉タクシーの違い:家族の同乗の可否
介護タクシーと福祉タクシーには、家族の同乗の可否に関する違いもあります。
介護タクシーでは、基本的には家族の同乗は認められていないのが特徴です。
前述のとおり、介護タクシーは「通院等のための乗車又は降車の介助」にあたり、介護サービスの一種として利用する形となります。そのため、介護サービスの利用者である本人のみの利用が原則です。ただし、状況によっては、家族の同乗が認められるケースもあるため、特別な事情がある場合は、ケアマネジャーへ相談してみると良いでしょう。
一方、福祉タクシーでは、家族やヘルパーなどの付き添いの方も同乗できるのが特徴です。福祉タクシーは、介護タクシーとは異なり、タクシーへの乗降時や外出先での移動時の介助などは行われません。そのため、一人での乗降や移動が困難である場合は、家族や介助者の同乗が必要となります。
介護タクシーと福祉タクシーの違い:運転手の必須資格
介護タクシーと福祉タクシーでは、運転手の必須資格の種類も異なります。
介護タクシーと福祉タクシーの運転手に共通して必須となるのは、運転免許(普通自動車二種免許)です。福祉タクシーの場合、運転免許以外に取得が必須となる資格はありません。
一方で、job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「介護タクシー運転手」によると、介護タクシーの運転手が、乗降時や移動時の介助を行う場合は、介護職員初任者研修の受講や介護福祉士資格の取得などが必要となります。
厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」によると、介護職員初任者研修とは、基本的な介護業務に従事するために必要な知識や技術を身に付けるための研修です。介護職員初任者研修は、介護職未経験の方も受講できます。また、研修時間も130時間程度と、比較的短いのが特徴です。
介護職員初任者研修を修了すると、介護の基本に加えて、老化や認知症、障がいなどに対する理解を深められ、介護業務全般に携われるようになります。そのため、介護タクシーの運転手として働き始める場合は、まず介護職員初任者研修を受講するのがおすすめです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「介護タクシー運転手」
厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」
介護タクシーと福祉タクシーは条件や料金に違いがある
- 介護タクシーは要介護者、福祉タクシーは障がい者や高齢者が主な利用対象となる
- 介護タクシーは一部介護保険の適用となる点が、福祉タクシーとの違いの一つ
- 介護タクシーは福祉タクシーと比べて、利用の目的が限定される