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環境因子とは?ICFの構成要素や具体例を紹介
13 hours ago

「環境因子とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。環境因子とは、ICF(国際生活機能分類)の構成要素の一つで、生活機能に影響を与えるもののことです。この記事では、ICFの概要や構成要素について紹介します。介護におけるICFの活用方法や環境因子の具体例についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
環境因子とは?
厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」によると、環境因子とは、人々の生活における、物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境などを構成する因子のことです。
厚生労働省「ICF(国際生活機能分類)-『生きることの全体像』についての『共通言語』-」によると、環境因子には、以下のようなものが含まれます。
- 物的な環境(建物・道路・交通機関・自然環境など)
- 人的な環境(家族・友人・仕事上の仲間など)
- 態度や社会意識としての環境(社会が生活機能の低下のある人をどう見るか、どう扱うか、など)
- 制度的な環境(医療・保健・福祉・介護・教育などのサービスや制度、政策)
なお、環境因子が生活機能に対して肯定的な影響を与えているときは「促進因子(Facilitator)」、否定的な影響を与えているときは「阻害因子(Barrier)」と呼ばれます。
環境因子は、ICF(国際生活機能分類)を構成する要素の一つで、人々の健康状態に影響を与え得るものであるのが特徴です。ICF(国際生活機能分類)については、次項で詳しく紹介します。
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
厚生労働省「第1回 社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会資料」
ICF(国際生活機能分類)とは?
厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」によると、ICFとは、「International Classification of Functioning, disability and health」の略で、人間の生活機能と障がいの分類法のことです。ICFは、2001年5月に世界保健機関(WHO)総会において採択されました。ICFは、日本語訳である「国際生活機能分類」と表現されることもあります。
ICFは、人間の生活機能と障がいに関する因子を約1500項目に分類したものです。このICFを活用することによって、以下のような効果が期待されています。
- 障がいや疾病をもった方やその家族、保健・医療・福祉などの幅広い分野の従事者が、障がいや疾病の状態についての共通理解を持てる
- さまざまな障がい者に向けたサービス提供における、サービスの計画や評価、記録などのために実際的な手段を提供できる
- 障がい者に関するさまざまな調査や統計について、比較検討する標準的な枠組みを提供できる
このように、ICFは医療や介護、福祉の現場で、対象者の状態を正しく評価したり、情報共有を行ったりする際に活用されています。
ICFとICIDHの違い
厚生労働省「ICF(国際生活機能分類)-『生きることの全体像』についての『共通言語』-」によると、ICIDHとは「WHO国際障害分類」のことで、「International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps」の頭文字からできた言葉です。日本語では「国際障害分類」と表現されます。
ICIDHは、ICFの前身となる考え方のことで、「疾病の帰結(結果)に関する分類」とし、主にマイナス面に着目するものであるのが特徴です。なお、ICIDHでは、障がいの発生に大きな影響を与える環境的な因子が考慮されていなかったり、社会的不利の分類が不足していたりと、いくつかの問題点がありました。
ICFでは「健康の構成要素に関する分類」として、環境因子に関する観点を追加し、プラス面での影響を評価できるようにするなど、それらの問題点を解消するような内容となっています。
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
厚生労働省「第1回 社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会資料」
ICFの構成要素
厚生労働省「ICF(国際生活機能分類)-『生きることの全体像』についての『共通言語』-」によると、ICFは「生活機能」の分類とそれに影響する「背景因子」の分類で構成されるのが特徴です。
さらに、生活機能は「心身機能・構造」「活動」「参加」、背景因子は「環境因子」「個人因子」から構成されており、それぞれの要素が相互に影響を与え合う関係にあるとされています。
なお、厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」によると、それぞれの要素の定義は、以下のとおりです。
- 心身機能:身体系の生理的機能(心理的機能を含む)
- 身体構造:器官・肢体とその構成部分などの、身体の解剖学的部分
- 活動:課題や行為の個人による遂行のこと
- 参加:生活・人生場面への関わりのこと
- 環境因子:人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子のこと
- 個人因子:個人の人生や生活の特別な背景であり、健康状態や健康状況以外のその人の特徴からなる因子のこと
これらの要素は、すべてが相互に影響・作用し合う関係にあり、人々の健康状態に大きく関与するものであるとされています。
参考:厚生労働省「第1回 社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会資料」
厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
ICFの書き方
厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」によると、ICFは、アルファベットと数字を組み合わせたコードで表されるのが特徴です。コードの最初のアルファベットは、以下のカテゴリーによって決まります。
- b:心身機能(body functions)
- s:身体構造(body structures)
- d:活動・参加(activities and participation)
- e:環境因子(environmental factors)
そして、上記のアルファベットの後ろには数字が付き、分類されるカテゴリーを示します。具体的には、数字が続くにつれ、大カテゴリー、中カテゴリー、小カテゴリーと、より細かいカテゴリーに分類される仕組みです。
たとえば、「b210」で表される「視覚機能」の場合、以下のようなカテゴリーに沿ってコード化されています。
- b:心身機能
- 2:感覚機能と痛み
- 10~29:視覚および関連機能
そして、ICFのコードは、評価点が加えられて完全なものとなります。評価点とは、健康レベルの大きさや問題の重大さを表すものです。なお、評価点は、小数点(分離点)と数字を用いてコード化されます。
評価点を加えたコードとレベルの例は、以下のとおりです。
| コード表記 | 健康レベルの大きさ | 程度 |
|---|---|---|
| xxx.0 | 問題なし(なし・存在しない・無視できる) | 0~4% |
| xxx.1 | 軽度の問題(わずかな・低い) | 5~24% |
| xxx.2 | 中等度の問題(中程度の・かなりの) | 25~49% |
| xxx.3 | 重度の問題(高度の・極度の) | 50~95% |
| xxx.4 | 完全な問題(全くの) | 96~100% |
| xxx.8 | 詳細不明 | - |
| xxx.9 | 非該当 | - |
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
たとえば、「視覚機能」に中等度の問題がある場合は、「b210.3」のコードで表すことが可能です。なお、場合によっては、後ろに第2評価点、第3評価点と続き、より詳細な情報を示すこともあります。
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
ICFにおける環境因子の具体例
ICFにおける環境因子は、主に物的環境・人的環境・社会(制度)的環境などの観点から記録されるのが一般的です。
ここでは、厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」を参考に、項目ごとの環境因子の具体例を見ていきましょう。
| 物的環境 | - 自宅の生活スペースには手すりがついている(e115+2) - 自宅前の道は急な坂となっており、歩行が困難(e210.3) |
| 人的環境 | - 家族が近隣(徒歩圏内)に住んでいる(e310+3) - 近隣住民との交流が盛んである(e325+3) |
| 社会(制度)的環境 | - 週に2回程度、生活支援サービスを利用している(e575+2) |
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
環境因子は、肯定的な影響を与える促進因子であるか、または否定的な影響を与える阻害因子であるかをコードで表します。前述のとおり、評価点は小数点と数字で表すのが基本ですが、促進因子を示す場合は、小数点の代わりに「+」を用いるのが特徴です。
たとえば、環境因子の家族(e310)について示す場合、「e310+2」と表すことで、家族が中等度の肯定的な影響を与えていることが明確に分かるようになります。
実際の介護の現場では、誰でも簡単に状況が理解できるように、コードではなく言葉で記録をとる場合もあるようです。しかし、状況によっては、言葉だけでは具体的な程度がうまく伝わらないことも。そのため、環境因子を記録する際は、必要に応じてコードを書き添えるなど、目的に合わせて書き方を選ぶことも大切です。
参考:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」
介護におけるICFの活用方法
介護の現場では、利用者のアセスメントを行う際に、ICFを活用できます。たとえば、ICFの要素に沿って利用者のアセスメントを行うと、必要な情報を分かりやすく整理することが可能に。また、ICFを活用し、利用者の「できること」に目を向けることで、起きている事象を肯定的に捉え、問題の解決や生活環境の改善にアプローチできるようになります。
さらに、職員間や職種間で情報共有を行う際にも、ICFのコードを活用すると、認識のずれが生じにくくなり、効率良く情報の把握ができるでしょう。その結果、利用者の状況を正しく判断できるようになり、問題解消の糸口が見つかったり、新たな課題の発見につながったりすることもあると考えられます。
環境因子とは生活機能に影響を与える要素の一つ
- 環境因子とは、生活における物的・人的・社会的環境などによって構成されるもの
- 環境因子とは、ICF(国際生活機能分類)を構成する要素の一つ
- 環境因子は、心身機能や日常生活における行動などに影響を与える
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