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診療情報管理士とは?仕事内容・年収・資格について紹介
4 days ago

「診療情報管理士とはどのような職種かよく分からない」という方もいるでしょう。診療情報管理士とは、医療機関でカルテや検査記録、看護記録などの管理・点検を行う職種です。この記事では、診療情報管理士の主な仕事内容や平均年収、資格の取得方法について紹介します。診療情報管理士に向いている人の特徴についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
診療情報管理士とは
一般社団法人日本病院会「診療情報管理士 通信教育」によると、診療情報管理士とは、医療機関において、患者の診療情報を中心に、人の健康に関する情報の収集・管理やデータの加工・抽出・分析・情報提供を行う専門職のことです。診療情報管理士は、診療録(カルテ)の管理を行うことから、「診療録管理士」と呼ばれることもあります。
診療情報管理士は、諸外国ではHIM(Health Information Manager)と呼ばれており、多くの国々で育成が進んでいる職種の一つです。2025年現在、日本の診療情報管理士の人数は約5万人にわたり、医療の安全管理や病院の経営管理に寄与する高い専門性とスキルを必要とする職種として、広く活躍しています。
なお、job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」によると、診療情報管理士の多くは総合病院で働いており、診療録管理室や病歴・図書室、診療情報管理部門などに配属されるケースが多いようです。場合によっては、事務部門の医療情報課や医事課で働くこともあります。
参考:一般社団法人日本病院会「診療情報管理士 通信教育」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」
診療情報管理士の主な仕事内容
診療情報管理士の主な仕事内容には、カルテをはじめとする各種記録の点検や管理、データの提供などが挙げられます。ここからは、診療情報管理士の主な仕事内容を、詳しく見ていきましょう。
カルテの管理・コーディング
診療情報管理士は主に、カルテの管理や点検、コーディングなどの業務を行います。コーディングとは、カルテに記載された病名や手術の術式、各種処置などを、特定のコード体系に沿ってコード化することです。
厚生労働省「ICDのABC」によると、日本ではICD(国際疾病分類)と呼ばれる、世界保健機関(WHO)によって作成された統計分類に準拠した分類が用いられています。疾病や病状などを国際基準に基づいてコード化することによって、他国の統計との比較もできるのが特徴です。
診療情報管理士は、医師が作成したカルテの内容を点検し、記入漏れや不備がないかをチェックします。その後、国際基準に基づいたコードを使用して、カルテの内容をコーディングするのが、診療情報管理士の主な仕事です。
診療情報管理士がカルテの内容をコーディングすることで、患者の病名や処置の内容などの情報が、データベース上で管理可能に。診療情報管理士が管理しているデータは、統計データを作成する際や診療報酬の請求を行う際などに活用されています。
サマリーの点検
診療情報管理士は、医師が作成した患者のサマリーの点検を行います。サマリーとは、患者の基本情報や病歴、検査の結果、治療の経過、看護記録などが記された記録のことです。サマリーは、他職種間で連携をとりながら治療を行う際や、退院・転院後に継続的なケアを受けられるよう、他院や地域の関係機関へ情報共有を行う際などに活用されます。
サマリーを点検し、不備を見つけた際には、医師に確認・訂正の依頼を行うのが、診療情報管理士の役割です。また、診療情報管理士はサマリーの点検結果を基に統計をとり、結果をまとめた点検報告書の作成も行います。
データの登録・提供
診療情報管理士は、収集したデータの登録や情報の提供などの業務にも携わります。
その一つが、がん登録です。厚生労働省「がん登録」によると、がん登録とは、がんの罹患や転帰の状況を登録する仕組みのこと。がん患者に関する情報は、医療機関から各都道府県、各都道府県から国(国立がん研究センター)へと情報提供され、がんの罹患状況の把握やがん研究に活用されています。
診療情報管理士が行うのは、医療機関におけるがん医療の状況を把握するため、がん患者の罹患・診療・転帰に関する情報を記録・保存することです。診療情報管理士は、個人情報をはじめとする機微な情報が多く含まれているがんの罹患情報を、正しく管理・提供する役割を担っています。
また、診療情報管理士は、治療において必要なカルテの情報を医師や看護師に提供したり、医療の質向上や医療事故防止の観点から、これまで行った診療に関する情報を収集・分析したりすることも。このように、必要なときに必要な情報が提供できるよう、データを管理しておくのも、診療情報管理士の役割の一つです。
参考:厚生労働省「疾病、傷害及び死因の統計分類」
厚生労働省「がん登録」
診療情報管理士の平均年収
政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、企業規模計が10人以上の企業における、診療情報管理士の平均給与は、以下のとおりです。
- きまって支給する現金給与額:33万900円
- 年間賞与その他特別給与額:84万3300円
上記の金額から年収換算(きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額)すると、診療情報管理士の平均年収は約481万円となります。
ただし、本調査において、診療情報管理士は「その他の一般事務従事者」に含まれています。そのため、診療情報管理士のみの場合、平均給与額や平均年収は、上記とは異なる可能性もあるでしょう。また、職場や地域によっても、平均年収に差が出るケースもあるようです。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
診療情報管理士になるには
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」によると、診療情報管理士として働くうえで、必須となる資格はありません。しかし、診療情報管理士の業務では、医学用語やデータを管理するITの知識など、高度な専門的知識が必要となります。そのため、無資格・未経験で診療情報管理士として働き始められるケースは少ないでしょう。
実際、診療情報管理士の求人では、診療情報管理士としての経験があれば無資格でも応募できるケースや、資格を保有していれば未経験でも応募できるケースなどが多い傾向にあります。そのため、未経験で診療情報管理士を目指す場合は、「診療情報管理士」の資格を取得しておくのがおすすめです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」
診療情報管理士の資格の取得方法
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」によると、診療情報管理士の資格は、一般社団法人日本病院会が指定する大学や専門学校を卒業するか、同法人が実施している通信教育を受け、認定試験に合格することで取得が可能です。
診療情報管理士通信教育
一般社団法人日本病院会「診療情報管理士 通信教育」によると、一般社団法人日本病院会が実施している通信教育の概要は、以下のとおりです(2025年12月現在)。
| 受講資格 | -一般(基礎課程から受講する場合):2年制以上の短期大学または専門学校卒以上の学歴を有する方(現在、病院に勤務している方は、当分の間高卒者でも良い) - 専門課程への編入する場合:いずれかの日本国の免許を有する方(医師・歯科医師・看護師・保健師・助産師・薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・言語聴覚士・歯科衛生士・歯科技工士・臨床工学技士・義肢装具士・救急救命士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師) |
| 修業期間 | - 基礎課程:1年 - 専門課程:1年 ※受講期間は通算6年 |
| 受講料 | 22万円(基礎課程:11万円・専門課程編入:11万円) |
参考:一般社団法人日本病院会「診療情報管理士 通信教育」
診療情報管理士通信教育は、働きながら診療情報管理士を目指す方も多く受講しています。なお、この通信教育は通算6年まで受講できるため、仕事が忙しく、2年で修了できなかった場合も、自身のペースで履修することが可能です。そのため、現在働いている方も、仕事と両立しながら受講できるでしょう。
診療情報管理士認定試験
診療情報管理士認定試験は、年に1度、例年2月ごろに実施されています。
一般社団法人日本病院会「第19回診療情報管理士認定試験 実施要項」によると、2026年2月に実施される、第19回診療情報管理士認定試験の概要は、以下のとおりです。
| 試験日 | 2026年2月8日(日) 午後1時~午後4時10分 |
| 試験地 | 15地区16会場 (北海道・宮城・栃木・東京(2会場)・神奈川・新潟・長野・愛知・大阪・岡山・広島・高知・福岡・鹿児島・沖縄) |
| 受験資格 | - 日本病院会の診療情報管理士通信教育を修了した方 - 指定された大学・専門学校で、指定単位を修得し、卒業した方(翌年3月末までに卒業が見込まれる方を含む) |
| 試験内容 | - 出題形式:多肢選択方式 - 試験分野:基礎分野・専門分野(各60分) |
| 受験料 | 1万円(税込) ※合格した場合、認定料3万円(税込)が別途必要 |
| 合否発表日 | 2026年3月18日(水) |
参考:一般社団法人日本病院会「第19回診療情報管理士認定試験 実施要項」
診療情報管理士認定試験では、医師や看護師、薬剤師などの医療系の国家資格を保有している場合、基礎分野の試験を免除する制度が設けられています。そのため、医療職の国家資格を保有している方は、自身がもっている資格が該当していないか、事前にチェックしておくと良いでしょう。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「診療情報管理士」
一般社団法人日本病院会「診療情報管理士 通信教育」
一般社団法人日本病院会「第19回診療情報管理士認定試験申し込みについて(2025.11.17)」
診療情報管理士に向いている人の特徴
診療情報管理士に向いている人の特徴の一つは、細かい作業が得意なことです。診療情報管理士は、カルテの内容に不備がないか点検したり、治療や検査の情報をデータ化したりする役割を担っています。これらの業務には、正確に情報を処理するスキルが必要となるため、細かい作業が得意で、小さな不備にも気づける人は、診療情報管理士に向いているでしょう。
また、コミュニケーション能力が高い人も、診療情報管理士に向いているといえます。診療情報管理士は、医師や看護師と連携をとりながら業務を進める場面が多くあるのが特徴です。場合によっては、ほかの職種の職員に、業務の対応依頼を行うこともあります。そのため、診療情報管理士には、コミュニケーション能力が高いことや気遣いができることも求められるでしょう。
診療情報管理士はカルテや検査記録の点検・管理を行う
- 診療情報管理士は主に、カルテのデータ化・管理や統計データの作成などを行う
- 診療情報管理士は入職にあたって、資格を取得しておくのがおすすめ
- 診療情報管理士の資格を取得するには、診療情報管理士認定試験に合格することが必要
- 診療情報管理士に向いている人の特徴の一つは、細かい作業が得意なこと