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会計年度任用職員とはどのような職業?特徴や働くメリットを紹介
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「会計年度任用職員とは、どのような職業かよく分からない」という方もいるでしょう。会計年度任用職員とは、2020年4月に施行された地方公務員法の改正により制度化された、非常勤の地方公務員のことです。この記事では、会計年度任用職員の種類や服務規程について紹介します。会計年度任用職員の現状やメリットについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
会計年度任用職員とは
会計年度任用職員とは、e-Gov法令検索「地方公務員法 第22条の2」により定められた、非常勤の地方公務員のことです。
総務省「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」によると、会計年度任用職員制度は、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律に基づき、2020年度より導入されました。
会計年度任用職員には、一般事務職員や技能労務職員、教員、保育士、看護師など、さまざまな職種があります。また、会計年度任用職員は、フルタイムとパートタイムの働き方があるため、自身に合った雇用形態で働ける仕事を選ぶことが可能です。
なお、会計年度任用職員は、任期が定められており、一般的な任期は会計年度ごと(4月1日から翌年の3月31日まで)となります。ただし、求人の募集時期によっては、1年より短い期間での雇用となるケースもあるでしょう。そのため、次年度も継続して働きたい場合は、再任用の申請が必要となります。
会計年度任用職員の服務規程
総務省「会計年度任用職員制度について」によると、会計年度任用職員には、地方公務員法の服務に関する規定が適用されます。会計年度任用職員に適用される服務規程は、以下のとおりです。
- 服務の根本基準
- 服務の宣誓
- 法令等及び上司の職務上の命令に従う義務
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密を守る義務
- 職務に専念する義務
- 政治的行為の禁止
- 争議行為等の禁止
- 営利企業への従事等の制限(パートタイムの場合は適用外)
会計年度任用職員は、上記の服務規程に違反した場合、懲戒処分の対象となります。なお、「営利企業への従事等の制限」については、フルタイムの会計年度任用職員のみが適用の対象です。そのため、パートタイムの会計年度任用職員に対しては、副業が認められています。
参考:e-Gov法令検索「地方公務員法」
総務省「会計年度任用職員制度等」
総務省「会計年度任用職員制度について」
会計年度任用職員の現状とは
ここからは、厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」を参考に、2024年度の調査時点での、会計年度任用職員の現状を紹介します。
会計年度任用職員の人数
厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」によると、会計年度任用職員の人数は、以下のとおりです。
| 任用区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| フルタイム | 7万2030人 | 10.9% |
| パートタイム | 58万9338人 | 89.1% |
| 合計 | 66万1368人 | 100% |
参考:厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」
会計年度任用職員は、全体の約9割がパートタイムで任用されているのが特徴です。なお、会計年度任用職員のフルタイムとパートタイムの区分は、一般的には、1週間当たりの勤務時間が38時間45分(1日当たり7時間45分)以上であるか否かによって、区別されます。
同資料によると、パートタイム会計年度任用職員の1週間当たりの勤務時間は、「23時間15分以上31時間未満」が最も多くなっているようです。この区分に該当する働き方には、「週3日勤務(1日7時間45分、週23時間15分)」や「週4日勤務(1日7時間、週28時間)」、「週5日勤務(1日6時間、週30時間)」などが挙げられます。
会計年度任用職員の主な職種
厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」によると、会計年度任用職員の職種別の任用状況は、以下のようになっています。
| 職種 | 会計年度任用職員の人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 一般事務職員 | 21万5422人 | 32.6% |
| 技能労務職員 | 9万999人 | 13.8% |
| 保育所保育士 | 5万6347人 | 8.5% |
| 教員・講師 | 3万2077人 | 4.9% |
| 教育業務支援員 | 2万5533人 | 3.9% |
| 看護師 | 1万9308人 | 2.9% |
| 図書館職員 | 1万8430人 | 2.8% |
| 放課後児童支援員 | 1万8038人 | 2.7% |
| 医療技術員 | 1万2194人 | 1.8% |
| そのほか | 17万3020人 | 26.1% |
| 合計 | 66万1368人 | 100% |
参考:厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」
なお、同資料によると、「都道府県」や「市区」、「町村」などの団体区分によっては、会計年度任用職員の任用人数が多い職種が異なる場合があります。
たとえば、都道府県では、保育所保育士より教員・講師のほうが、任用人数が多いのが特徴です。また、「一般事務組合等」の区分では、一般事務職員と技能労務職員に次いで、看護師の任用人数が多い結果となっています。
そのため、会計年度任用職員への転職を検討している方は、団体区分によって募集が多い職種が異なることを踏まえ、求人の情報を探すと良いでしょう。
参考:厚生労働省「会計年度任用職員の施行状況等に関する調査結果について」
会計年度任用職員はデメリットしかない?
会計年度任用職員は、地方公務員であるものの、任期が定められています。そのため、雇用が不安定であったり、キャリアアップが難しかったりすることもあるでしょう。このようなことから、「会計年度任用職員はデメリットしかない」といわれることもあるようです。
一方で、会計年度任用職員として働くうえでは、メリットもあります。たとえば、将来的に公務員として働きたい場合、会計年度任用職員になることで、公務員としての経験を積めるため、転職の際に有利になる可能性があります。
また、会計年度任用職員は、職場によっては異動がないケースもあるようです。そのため、任期の間は決まった職場で働き続けられることも、会計年度任用職員として働くメリットの一つとなるでしょう。
会計年度任用職員のよくある質問
ここからは、会計年度任用職員についてのよくある質問を紹介します。
会計年度任用職員は公務員なのか?
会計年度任用職員は、一般職の地方公務員にあたります。そのため、常勤の地方公務員と同様に、服務規程や休暇制度などが適用されるのが特徴です。
ただし、会計年度任用職員になるには、地方公務員試験ではなく、会計年度任用職員になるための採用試験を受ける必要があります。よって、入職までの流れは、一般的な地方公務員とは異なるため、注意が必要です。
会計年度任用職員に「5年ルール」は適用される?
会計年度任用職員には、労働契約法における「5年ルール」は適用されません。
厚生労働省「無期転換ルールについて」によると、5年ルールとは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約の期間が通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのことです。
5年ルールは、労働契約法に基づくルールであり、e-Gov法令検索「労働契約法 第21条」によると、労働契約法は地方公務員には適用しないと定められています。そのため、地方公務員にあたる会計年度任用職員は、5年ルールの適用外です。
参考:厚生労働省「無期転換ルールについて」
e-Gov法令検索「労働契約法」
会計年度任用職員は副業できる?
会計年度任用職員は、パートタイムでの雇用の場合に限り、副業が認められています。フルタイムの会計年度任用職員の場合、地方公務員法の「営利企業への従事等の制限」が適用となるため、一般の地方公務員と同様に、副業は原則禁止です。
会計年度任用職員から常勤職員になるには?
会計年度任用職員から常勤職員になるには、常勤職員になるための採用試験を受け、合格する必要があります。2025年12月時点では、会計年度任用職員から常勤職員へ転換する制度は設けられていません。そのため、会計年度任用職員から常勤職員へ直接登用されるケースは原則発生しないでしょう。
ただし、自治体によっては、会計年度任用職員を対象とした、常勤職員の採用試験を実施しているところもあります。そのため、会計年度任用職員として培った知識や経験を活かして、常勤職員を目指せるケースもあるでしょう。
会計年度任用職員とは非常勤の地方公務員のこと
- 会計年度任用職員とは、会計年度ごとに任期が定められた一般職の非常勤職員のこと
- 会計年度任用職員には、フルタイムとパートタイムの働き方がある
- 会計年度任用職員の職種には一般事務や技能労務職員、保育士などがある