「保育園の退職を検討しているけど、円満に辞めるためにはどうしたら良いのか分からない」という方もいるでしょう。保育園を円満に退職するには、上司への伝え方やタイミングが重要です。
この記事では、保育士が退職を考える主な理由や、辞める意思を上司に伝える適切なタイミング、退職意思を伝える際の例文を紹介するので、ぜひご一読ください。

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保育園を退職する主な理由

保育園を退職する主な理由には賃金の低さや労働時間の長さ、人間関係の難しさなどが挙げられます。ここでは、保育園を退職する主な理由についてそれぞれ見ていきます。

賃金が低い

保育士が保育園を退職する主な理由の一つは、賃金が低いことです。
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士のきまって支給する現金給与額は27万7200円、所定内給与額（給料）は27万300円、年間賞与等その他特別給与額は74万1700円でした。「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与等その他特別給与額」で、保育士の年収を算出すると、406万8100円となります。

また、国および地方公共団体以外の民営事業所における平均年収は526万9900円でした。

そのため、民営事業所全体の平均年収に比べると保育士の年収は低いことが分かります。

参考：e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」

仕事量が多く労働時間が長い

業務量の多さと長時間労働も、保育士が保育園を退職する要因の一つとなっています。
保育の時間以外にも指導案の作成や保護者対応、行事の準備、お便りの作成など、日々の仕事は多岐にわたります。

特に人手が不足している保育園では保育士一人ひとりの負担が重く、業務を勤務時間内に終わらせることが難しい場合もあるでしょう。その結果、サービス残業や持ち帰り仕事が常態化し、心身ともに疲弊してしまう人も少なくありません。

さらに、子どもから目を離せない環境の中で昼休みも実質的な休憩にならず、息つく暇がない状況が続くことも考えられます。こうした長時間労働と過重な業務の重なりが要因で、保育園の退職を決意する保育士がいます。

人間関係が難しい

職場内の人間関係が難しいことも、保育園の退職を考える理由の一つです。
保育の現場では、複数担任制でクラスを運営することが多く、保育士同士で日々密接にコミュニケーションを取りながら、協力して保育を進める必要があります。

そのため、性格や保育観が合わない相手とペアを組むと、ストレスを感じやすくなることもあるでしょう。1年間同じクラスを担当することが比較的多いため、ペアを組む保育士との関係がうまくいかないと心身の負担となってしまうでしょう。

また、職場によっては上下関係が厳しく、先輩や上司に意見を言いづらい雰囲気があることも考えられます。こうした環境では、相手に気を使い過ぎて疲弊したり、孤立を感じたりする保育士もいるかもしれません。

さらに、保護者との関係もストレス要因の一つです。保護者の中には過度な要求やクレームをする人もおり、対応に追われるうちに精神的に限界を感じて退職を決断するケースもあります。
人間関係の悩みは、業務そのものよりも心を消耗させる問題となりやすいのが特徴です。

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保育園を退職する意思を伝えるタイミング

保育園を退職する意思を上司に伝えるタイミングは、遅くとも3ヶ月前、できれば半年前を目安にするのが望ましいでしょう。上司に退職の意思を伝える際は園児対応で忙しい時間帯を避け、落ち着いて話せる時間を選ぶことが大切です。朝の登園時や夕方の降園時は避け、主任や園長と予定を合わせて時間を確保しましょう。

また、保育園では次年度のクラス編成や担任の決定が2月ごろに行われることが多いため、退職希望日を年度末（3月末）にし、12月ごろまでに退職の意思を伝えるのがおすすめです。年度途中で退職せずに済むため、入園式や運動会、発表会といったイベント時に同僚に負担が掛かりにくくなります。

また、退職に関する期日や手続きは保育園ごとに異なるため、就業規則を事前に確認しておきましょう。法律上は14日前の申し出で退職可能とされていますが、実際には1〜3ヶ月前の申告が一般的です。やむを得ず年度途中で退職する場合は保育園側とよく相談し、子どもや保護者に影響が出ないよう配慮することが大切です。

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保育園を円満退職するためのポイント

保育園を円満退職するためのポイントは以下のとおりです。

• 上司に相談したうえで園長に伝える
• 前向きな言葉に言い換えて退職理由を伝える
• 丁寧に引継ぎし仕事を最後までやり遂げる姿勢を見せる

ここでは、上記3つの保育園を円満退職するためのポイントについて見ていきます。

上司に相談したうえで園長に伝える

円満に退職するためにはまず直属の上司に相談し、次に園長へ退職の意思を伝えることがおすすめです。
いきなり園長へ退職の意向を伝えるのではなく、まずは主任や副主任など身近な上司に相談することで、話がスムーズに進みやすくなります。相談の際は「退職したい」という結論だけを伝えるのではなく、今の状況や気持ちを丁寧に説明し、理解を得る姿勢を見せることが大切です。

そのあと、タイミングを見て園長にも直接伝えるようにしましょう。上司をとおして園長に退職の意思が伝わってしまうと、誤解や伝達ミスが生じる可能性があります。誠意をもって自分の口で退職したい旨を伝えるようにしましょう。

前向きな言葉に言い換えて退職理由を伝える

円満に保育園を退職するためには、ネガティブな理由をそのまま伝えるのではなく、前向きな表現に言い換えることが大切です。
「人間関係がつらい」「仕事量が多い」などの不満を直接口にしてしまうと、園側に悪い印象を与えたり、「改善するから続けてほしい」と引き止めにあったりする可能性があります。

そのため、「新しい環境でスキルを伸ばしたい」「これまでの経験を活かして幅を広げたい」など、前向きな理由として伝えるのがおすすめです。

たとえば、人間関係や保育方針の違いが理由で退職する場合、「これまでの経験を活かしながら、自分の理想の保育を追究したい」とすると良いでしょう。また、給与や待遇への不満 が理由で退職する場合は、「自分のスキルをより活かせる環境でチャレンジしたい」といったように言い換えると、相手に前向きな印象を与えられます。

ポジティブな伝え方を意識することで、園長や上司、同僚などとの関係を保ちながら、スムーズに退職手続きを進められるでしょう。

丁寧に引継ぎし仕事を最後までやり遂げる姿勢を見せる

保育園を円満に退職するためには、最後まで責任をもって業務に取り組み、丁寧に引継ぎを行う姿勢を見せることが大切です。
退職が決まったあとは「もう辞めるから」と気を抜かず、普段通りに保育や事務作業を行いましょう。最後まで真摯に仕事に向き合うことで、同僚や上司との関係性を保ったまま退職しやすくなります。

また、引継ぎは余裕をもって計画的に進めることが重要です。後任が決まっている場合は、子どもの発達状況や家庭環境、日々の保育の流れ、行事や備品管理の方法などの情報を整理して伝えましょう。
特にクラス担任や役職をもっている場合は、引継ぎ用のメモやマニュアルを作成しておくと、後任者が安心して業務を引き継げます。

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保育園を退職する意思を伝える際の例文

「保育園の退職を検討しているけど、上司や園長にどのように伝えたら良いか分からない」と悩みを抱えている方もいるでしょう。ここでは、退職理由がキャリアアップや体調不良、ライフイベントの場合における、退職の意思を伝える例文を紹介します。

キャリアアップが理由の場合

キャリアアップを目的とした退職は、前向きで理解されやすい理由の一つです。
「これまでとは違う環境で保育士としての経験を積みたい」といった明確な目標を伝えることで、引き止めにあいにくい可能性があります。
キャリアアップが理由の場合における、退職の意思を伝える例文は以下のとおりです。

上司に退職の意思を伝える際は、これまでの経験に感謝を示しながら、自分の成長のための決断であることを丁寧に伝えると良いでしょう。

体調不良が理由の場合

体調不良が理由で退職する場合、円満に辞めるためにも「仕事のストレスで体調を崩した」といった直接的な言い方は避けるのが無難です。体調不良が理由で保育園を退職する場合の例文は、以下のとおりです。

無理をして勤務を続けることで症状が悪化すれば、本人だけでなく園側にも責任がおよぶ可能性があります。そのため、療養を理由とした退職はやむを得ない判断として受け入れられることが多いでしょう。

ライフイベントが理由の場合

引っ越しや親の介護などのライフイベントが理由で、保育園の退職を検討している方もいるでしょう。以下では、引っ越しが理由の場合と親の介護が理由で保育園を退職する場合における、退職の意思を伝える例文を紹介します。

引っ越し

引っ越しは、やむを得ない事情として理解されやすい退職理由の一つです。特に、家族の転勤や結婚に伴う引っ越しなどは、保育園側も引き止めづらい理由となります。上司や園長に退職の意思を伝える際は、感謝の気持ちとともに「通勤が難しくなるため」「家族の事情により」など、具体的かつ誠実に伝えることが大切です。

このように、やむを得ない事情であることを伝えつつ、これまでの感謝を添えることで、円満に退職を進めやすくなります。

介護

家族の介護を理由に退職を申し出る際は、やむを得ない事情であることやこれまでの感謝の気持ちを丁寧に伝えることが大切です。介護は突然必要になるケースも多く、職場も理解を示してくれることが多いでしょう。

上司や園長に退職の意思を伝える際は、いきなり退職日を伝えるのではなく、できるだけ早めに相談し、引継ぎの期間を確保できるようにしましょう。誠意をもって状況を説明すれば、円満に退職を進めやすくなります。

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保育園を退職する際に返却するもの

退職時には、保育園から貸与されていたものをすべて返却しなければなりません。返却漏れがあると、あとから連絡が来たりトラブルになったりするおそれもあるため、事前に確認しておきましょう。
保育園に返却・提出が必要なものは、以下のとおりです。

• 健康保険証
• 社員証や IDカード
• 制服・名札・備品類
• 業務資料（マニュアルや子どもの記録など）

これらは、在職中に保育園から貸与・支給されていたものです。健康保険証は退職日に資格が失効するため、翌日以降は使用できません。社会保険から脱退するため、国民健康保険への加入や家族の扶養、任意継続などの手続きを忘れずに行いましょう。
また、子どもたちの個人情報を含む資料などは自分で破棄せず、保育園に返却するのがマナーです。

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退職時に保育園から受け取るもの

退職時には、今後の手続きや転職に必要な書類を保育園から受け取ります。
受け取り忘れがあると、失業手当や保険の切り替えに支障が出る可能性もあるため、必ず確認しておきましょう。
退職時に保育園から受け取る主な書類は、以下のとおりです。

• 雇用保険被保険者証
• 健康保険被保険者資格喪失証明書
• 離職票
• 源泉徴収票

これらの書類は、退職後の各種手続きで必要になります。
たとえば、離職票と雇用保険被保険者証は失業手当の申請に、健康保険喪失証明書は新しい保険加入時に使います。
また、源泉徴収票は確定申告や次の職場での年末調整に必要です。

上記の書類をなくした場合、再発行に時間が掛かることがあるため、受け取ったらすぐに内容を確認し、大切に保管しておきましょう。

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保育園を退職する際に必要な書類と書き方

保育園を退職する際は、退職願と退職届が必要です。ここでは、退職願と退職届の書き方を例文を添えて紹介します。

退職願

退職願は、「退職したい」という意思を上司や園長に正式に伝えるための書類です。退職願の書き方の手順は、以下のとおりです。

1.　表題として「退職願」と書き1行あけて退職願を提出する日付を記載する
2.　次の行に宛名として法人名・園名・提出先の役職・氏名などを正式名称で記入する
3.　所属部署名と氏名を記入し氏名の下に押印する
4.　1行あけて「私儀」と記載する
5.　「一身上の都合により」と書き退職予定日と退職理由を簡潔に示す
6.　「以上」と記入する

また、退職願を書く際の例文は以下のとおりです。

退職願を提出した時点では、まだ退職が確定しているわけではありません。保育園側が退職願を受理してはじめて、退職が成立します。
ただし、園長や上司に口頭で退職の相談をして了承を得られた場合は、退職願の提出が不要となることもあります。

退職届

退職届は、退職が正式に決定したあとに提出する書類です。すでに園側が退職希望を受理しているため、「退職することが確定した」という事実を文書として明確にする目的があります。

退職届の提出のタイミングは、退職願を提出したあとに園長や上司などと相談して決めましょう。
退職願や事前の相談をせずに、いきなり退職届を出すのは避けるべきです。突然の退職届の提出は園側の引継ぎや人員確保が間に合わず、迷惑をかけてしまう原因になります。誠意をもって段階を踏むことで、円満な退職につながります。

退職届に記載する際の主な手順は、以下のとおりです。

• 表題として1行目の中央に「退職届」と記載する
• 2行目に提出日を記載する
• 園名や提出先を正式名称で記入する
• 所属とフルネームを記入し氏名の下に押印する
• 「私儀」と記載する
• 退職理由と退職日を記入する
• 「以上」と記入する

また、退職届を書く際の例文は以下のとおりです。

退職届は、退職願よりも形式的で公式な文書です。丁寧に清書し誠意をもって提出するよう心掛けましょう。

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保育園を退職する際のよくある質問

保育園を退職するにあたって、疑問点や不安なことがある方もいるでしょう。ここでは、保育園を退職する際のよくある質問をまとめているので、ぜひ参考としてご一読ください。

保育園を退職する場合の保護者への挨拶の仕方は？

保育園を退職する場合の保護者への挨拶は、園の方針や職場の慣習に合わせて行うことが大切です。まずは園長や上司に確認し、どのような形で伝えるのが望ましいかを相談しましょう。

園だよりや連絡帳などを通して保護者に一斉に退職する旨を伝える場合もあれば、口頭で直接伝えるケースもあります。
いずれの場合も、送り迎えのタイミングで保護者と顔を合わせた際に、改めて一言お礼を伝えると丁寧です。

保育園を退職すると家賃補助はどうなる？

借り上げ社宅制度や家賃補助制度は、基本的に「保育園に在職している期間のみ」が対象です。そのため、退職日をもって家賃補助も終了するのが一般的です。

退職が2〜3ヶ月前に決まっていれば、スムーズに解約手続きができますが、年度途中の退職など急な場合は注意が必要となります。退職日以降に発生した家賃は、自己負担になる可能性があります。

退職の相談時に引き止められた場合はどうしたらいい？

人手不足を理由にしたその場しのぎの引き止めをされた場合は、流されずに自分の意思をはっきりと伝えることが大切です。感情的にならず、落ち着いて「決意は変わらない」という姿勢を示しましょう。

どうしても辞められない、話が進まないという状況であれば、各都道府県の労働局・労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーへ相談する方法もあります。第三者の意見を聞くことで、冷静に判断しやすくなります。

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保育園を退職する際は伝え方やタイミングが重要

• 保育園を退職する主な理由は賃金の低さや労働時間の長さ、人間関係の難しさなど
• 保育園を退職する意思を上司に伝えるタイミングは、遅くとも3ヶ月前が目安
• 保育園を円満退職するためには、前向きな言葉で退職理由を伝えるのがポイント
• 退職する際に返却するのは、社員証や制服などの保育園から貸与されていたものすべて

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