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保育士資格が活かせる仕事とは?保育園以外の転職先を紹介

「保育士資格が活かせる仕事にはどのようなものがあるのかよく分からない」という方もいるでしょう。保育士資格が活かせる仕事には、保育施設や福祉施設、一般企業などがあります。この記事では、保育士資格が活かせる仕事をカテゴリ別に17個紹介します。仕事・職場ごとの特徴についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
保育園以外の保育士資格が活かせる仕事とは?
保育士資格が活かせる仕事は、保育施設や福祉施設、一般企業など複数あります。「保育園以外で働きたい」と考えている保育士の方は、保育園とは異なる保育施設を探してみると、今とは違った働き方ができるでしょう。
また、子どもの保育は行わない仕事のなかにも、保育士資格が活かせるものが多くあります。そのため、保育以外の仕事で保育士資格を活かして働くことも可能です。
保育士資格が活かせる仕事:保育施設
保育士資格が活かせる仕事の一つが、保育園をはじめとする保育施設での仕事です。ここでは、保育園以外の保育施設での仕事を6つ紹介します。
認定こども園
認定こども園とは、教育と保育を一体的に行う施設のことです。
こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け 平成27年7月改訂版」によると、認定こども園は「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」の4つの類型に分けられています。
これらは、施設に備わっている主な機能が異なるため、職員の要件も類型によって異なるのが特徴です。認定こども園の類型ごとの法的性格と職員の要件は、以下のとおりです。
| 幼保連携型 | 学校かつ 児童福祉施設 |
保育教諭(幼稚園教諭+保育士資格) |
| 幼稚園型 | 学校 (幼稚園+保育所機能) |
- 満3歳以上:幼稚園教諭または保育士資格 - 満3歳未満:保育士資格 |
| 保育所型 | 児童福祉施設 (保育所+幼稚園機能) |
- 満3歳以上:幼稚園教諭または保育士資格 (教育相当時間以外の保育に従事する場合は、保育士資格が必要) - 満3歳未満:保育士資格 |
| 地方裁量型 | 幼稚園機能+保育所機能 | - 満3歳以上:幼稚園教諭または保育士資格 - 満3歳未満:保育士資格 |
参考:こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け 平成27年7月改訂版」
幼保連携型以外の3つの類型の認定こども園では、原則として、保育士資格があれば働くことが可能です。ただし、満3歳以上の子どもを担当する場合、幼稚園教諭の免許と保育士資格を併有していることが望ましいとされています。
企業内保育所
企業内保育所とは、企業で働く従業員の子どもを預かる施設のことです。企業内保育所は、社内に設置されていたり、職場に隣接していたりすることが多いため、利用者は保育所への送迎に時間をかけることなく、保育所を利用できます。
また、多くの企業内保育所では、施設の利用時間を従業員の勤務時間や勤務日に合わせているため、一般の保育所と比べると、より子どもを預けやすい環境が整えられているのが特徴です。
企業内保育所では、保育所資格があれば働けるケースが多いでしょう。ただし、施設によっては、保育士としての一定の実務経験が求められることもあるようです。そのため、保育園などで保育士として数年働いた後、保育園以外の職場へ転職したいと考えている保育士におすすめの仕事の一つです。
院内保育施設
院内保育施設とは、病院で働く職員の子どもを預かり保育する施設のことです。病院は24時間365日体制で稼働しているため、病院で働く職員は、休日や夜間に勤務が入ることもあります。その際、一般の保育施設では、休日や夜間の預かり保育を行っていない場合もあるため、院内保育施設を利用する病院の職員もいるでしょう。
院内保育施設で働くうえでは、保育士資格が必要となるのが一般的です。院内保育施設は、病院内に設置されているものの、基本的には健康状態に問題がない子どもを預かり保育します。そのため、保育士資格があれば、保育以外の特別な資格がなくても働ける場合が多いでしょう。
病児保育施設
病児保育施設とは、病気などにより集団保育が難しい子どもを預かり、保育を行う施設です。病児保育施設では、入院治療は必要ないものの、病気の治療中であったり、免疫機能が十分に回復していなかったりする子どもに対して、子どもの体調に合わせた保育を行います。そのため、病児保育施設では、保育士以外に看護師も多く働いているのが特徴です。
病児保育施設は、基本的には、保育士資格があれば働けるところが多いでしょう。ただし、病児保育施設で働く中では、病児に対するケアや小児の病気に関する知識が必要となる場面もあります。そのため、保育士資格に加えて、病児保育に関する資格も取得していると、転職時に有利になるでしょう。
託児所
託児所とは、一時的または長期的に子どもを預かり保育する、認可外の保育施設の一つです。託児所は保育所と同様に、0歳から小学校就学前までの子どもを対象としていることが多いでしょう。
託児所での業務内容は、保育園での業務と大きく変わりません。ただし託児所の場合、施設によっては、一般的な保育所より利用時間が長く設けられていたり、休日の預かりにも対応していたりすることもあります。また、託児所では、一時的な預かり保育に対応するところも多く、数時間だけ子どもを預かることも。そのため、託児所と保育園では、保育士の働き方が異なる場合もあるでしょう。
幼稚園
幼稚園とは、満3歳から小学校就学までの幼児を対象に保育を行う施設のことです。e-Gov法令検索「学校教育法 第1条」によると、幼稚園は学校教育法において、「学校」の一つとして定められています。そのため、幼稚園では生活や遊びをとおして、子どもの心身の成長を促したり、社会性を身に付けられる活動を行ったりするのが特徴です。
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「幼稚園教員」によると、幼稚園教員として働くには、幼稚園教諭の免許状が必要となります。幼稚園教諭の免許状には、大学を卒業して得られる「一種免許状」と、短大などを卒業すると得られる「二種免許状」、大学院で修士課程を経ると得られる「専修免許状」の3つがあります。
なお、保育士免許を保有しており、一定の実務経験がある場合、認定試験に合格することで「二種免許状」の取得が可能です。そのため、保育園以外で働きたい保育士は、幼稚園教諭を目指してみるのも良いでしょう。
参考:こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」
e-Gov法令検索「学校教育法」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「幼稚園教員」
保育士資格が活かせる仕事:福祉施設
保育士資格は、子どもに関する福祉施設での仕事においても活かせるでしょう。ここでは、保育士資格が活かせる福祉施設での仕事を5つ紹介します。
放課後等デイサービス
厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、放課後等デイサービスとは、小学校や中学校、高等学校などに就学しており、放課後や休業日の支援を必要としている障がい児を対象にした福祉施設のことです。
放課後等デイサービスでは、障がい児に対して、生活能力向上のために必要な訓練や、社会との交流の促進などの支援を行います。放課後等デイサービスでは、児童指導員または保育士の配置が義務付けられているのが特徴です。
放課後等デイサービスで働くうえでは、障がい児支援に対する知識が必要となる場面もあると考えられます。しかし、子どもへの適切な接し方を身に付けている保育士であれば、保育士としての経験を活かしながら、柔軟に対応できるでしょう。
児童養護施設
厚生労働省「社会的養護の施設等について」によると、児童養護施設とは、保護者のいない児童や、保護者に監督・保護させることが適当でない児童の養育を行う施設です。児童養護施設では、主に20歳未満の子どもが生活を送っています。そのため、児童養護施設で働く保育士は、一般的な保育所と比べると、より幅広い年齢層の子どもの世話を行うのが特徴です。
また、児童養護施設では、保育士が洗濯や調理、買い物などの家事を行うこともあります。そのため、保育業務以外の仕事に携わる場面も多いでしょう。
なお、児童養護施設は24時間体制で稼働しているため、保育士は夜勤対応をすることもあります。また、児童養護施設によっては、保護者から虐待を受けた子どもや障がいをもつ子どもがいる場合もあるため、専門的な知識やケアが必要となることもあるでしょう。
乳児院
厚生労働省「社会的養護の施設等について」によると、乳児院とは、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設のことです。
乳児院では、主に0~2歳程度の子どもを対象としている施設が多いでしょう。ただし、施設によっては、小学校就学前までの子どもを受け入れている場合もあります。そのため、乳児院では乳児の保育が中心となるものの、保育所での勤務に近い働き方ができるのが特徴です。
母子生活支援施設
厚生労働省「社会的養護の施設等について」によると、母子生活支援施設とは、生活に困窮する母子の保護や、入所者の自立促進のための生活支援などを行う施設のことです。母子生活支援施設で働く保育士は主に、就労中の母親に代わり、施設内の保育スペースで子どもの保育を行います。
また、e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第28条」に基づき、保育士資格を保有している場合、母子支援員として働くことも可能です。母子支援員は、母子が自立した社会生活を送れるよう、相談対応や関係機関との調整などの支援を行います。そのため、保育以外の業務に携わりたい保育士は、母子支援員として働くのも良いでしょう。
障がい児入所施設
こども家庭庁「障害児入所施設について」によると、障がい児施設には、福祉型と医療型の2つがあります。
福祉型の障がい児入所施設の場合、施設に入所している障がい児の保護や日常生活の指導、知識や技能の習得のための支援などを行うのが特徴です。一方、医療型の場合、指定医療機関に入院している障がい児も対象となるほか、子どもの保護や日常生活の指導に加え、治療を行うことも施設の役割に含まれています。
障がい児入所施設の利用対象は、原則18歳までの子どもです。障がい児入所施設で働く保育士は、主に児童指導員と連携をとりながら、障がい児に対する支援を行います。
参考:厚生労働省「第39回『障害福祉サービス等報酬改定検討チーム』資料」
厚生労働省「社会的養護の施設等について」
e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」
こども家庭庁「第1回今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会福祉型障害児入所施設ワーキンググループ」
保育士資格が活かせる仕事:一般企業
保育士資格は、保育施設や福祉施設以外でも活かせる場面が多くあります。ここからは、一般企業において、保育士資格が活かせる仕事の例を見ていきましょう。
ベビーシッター
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「ベビーシッター」によると、ベビーシッターとは、個人宅を訪問し、子どもの世話や保育をする仕事のことです。ベビーシッターの仕事は、ベビーシッターを紹介する会社に登録し、個人宅に派遣されるものや、個人で求人を出しているものなどがあります。そのため、資格要件や保育をする子どもの年齢などはさまざまです。
求人のなかには、無資格で応募できるものもありますが、保育士資格や保育・育児の経験があると、優遇されやすい傾向にあります。そのため、保育士としての経験があると、利用者からの信頼を得やすくなるでしょう。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「ベビーシッター」
幼児教室のスタッフ
幼児教室とは、幼児を対象にした学習教室のことです。幼児教室では、勉強や遊びをとおして、子どもたちの身体機能の向上を図ったり、社会性を身に付けたりする場としての役割を担っています。幼児教室では主に、小学校就学前の子どもを対象としているため、保育士としての知識や経験を活かせる場面が多いでしょう。
なお、幼児教室で扱う内容には、運動や音楽、語学など、さまざまな種類があるのが特徴です。そのため、幼児教室のスタッフとして働くうえでは、教室での指導内容に合った知識が求められる可能性もあるでしょう。
写真館
写真館のスタッフも、保育士資格が活かせる仕事の一つです。写真館では、家族写真の撮影や七五三のような節目となるイベントでの撮影など、子どもを撮影する機会が多くあります。特に小さな子どもは、写真撮影をする際に、不安や緊張などで泣いたり、うまく笑顔が作れなかったりすることもあるでしょう。
そのような場合に、保育士としての経験があると、子どもをリラックスさせたり、子どもの興味をひいて、良い表情を引き出すサポートができたりすることも。また、保育士資格があることで、保護者やほかのスタッフからの信頼も得やすいでしょう。
子ども向けサービスの企業
玩具やベビー用品、子ども服など、子ども向けのサービス・商品に関わる企業では、保育士の資格・経験が活かせることがあります。子ども向けの商品を販売する際の主なターゲットは、実際に育児を行う保護者などです。そのため、保育の専門職としての意見は、商品を売り出すうえで重要視されるでしょう。
また、保育士の経験や知識があると、営業や商品開発など、さまざまな部署で活躍できる機会が多いと考えられます。よって、子ども向けのサービス・商品に関わる企業は、保育士のキャリアチェンジ先の一つとしてもおすすめです。
保育園の運営会社
保育園の運営会社では、一般的な会社と同様に、事務や営業、人事などの業務を行います。主な業務内容は、所属する部署によって異なるものの、いずれの部署も管理・運営の立場で保育に携わるため、保育士としての経験が活かせる場面もあるでしょう。
また、場合によっては、運営している保育園を巡回し、保育士の教育や保育体制の指導などを行うことも。その際には、現場経験がある保育士視点での意見が重宝される可能性も高いと考えられます。
メディア制作会社
保育士資格が活かせる仕事には、メディア制作会社の仕事もあります。メディア制作会社では、保育士資格を活かして、保育に関するWebサイトの記事や動画などの制作や監修に携わることも可能です。
また、SNSを使って、子育てをする保護者向けのコンテンツを発信したり、動画サイトで子どもの興味をひくようなコンテンツを投稿したりすることも、保育士資格を活かせる仕事の一つです。
保育士資格が活かせる仕事・転職先を探す方法
ここまで、保育士資格が活かせる仕事を、カテゴリ別に紹介してきました。では、保育士資格が活かせる仕事は、実際にはどのように探したら良いのでしょうか。ここでは、保育士資格が活かせる仕事・転職先を探す方法を2つ紹介します。
業務内容で探す
保育士資格が活かせる仕事を探す際にはまず、どのような業務に携わりたいかを絞ることが大切です。たとえば、保育業務に携わりたい場合は、保育施設での仕事を中心に探すのが良いでしょう。
一方で、保育以外の業務を行いたい場合は、実際に子どもと関わる仕事か、子どもとは直接関わらない仕事かで、さらに条件を絞ることが可能です。このように、携わりたい業務内容から、自分に合った施設や仕事を絞り込めると、転職先探しがスムーズに進められるでしょう。
働き方で探す
保育士資格が活かせる仕事・転職先は、働き方の違いに注目して探す方法もあります。たとえば、プライベートと仕事を両立させたい方は、日勤中心で働ける仕事や、土日休みのように、勤務日と休日のリズムが一定である仕事などが向いている可能性が高いでしょう。
また、給与面でこだわりたい方は、夜勤がある仕事や、保育士資格に対して手当や優遇を受けられる仕事を探してみるのもおすすめです。
このように、保育士資格が活かせる仕事探しでは、まず自分に合った働き方ができる仕事をピックアップした後、業務内容などからさらに仕事を絞り込んでいくのも良いでしょう。
保育士資格が活かせる仕事は保育・福祉施設などに多い
- 保育士資格が活かせる保育施設の仕事は、認定こども園や託児所などがある
- 児童養護施設や乳児院などの福祉施設にも、保育士資格が活かせる仕事がある
- 子どもに関するサービスを扱う一般企業の仕事も、保育士資格が活かせる