豆知識

児童発達支援とは?受けられるサポート内容や利用する方法を解説

2 months ago

児童発達支援とはどういったものか分からない方もいるでしょう。児童発達支援とは発達障がい児が円滑な社会生活を送るための、医療的・福祉的・教育的援助のことです。本記事では、児童発達支援のサポート内容や支援を受けられる施設を紹介します。また、児童発達支援を利用する方法や働く場合の主な職種についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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児童発達支援とは

厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」によると、児童発達支援とは、主に未就学の障がいのある子どもを対象に発達支援を提供するものとされています。
また、同資料によると、児童発達支援は障がいのある子どもに対し、日常生活における基本的な動作の指導や知識技能の付与、集団生活への適応訓練などを提供します。

厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」によると、児童発達支援を行っているのは児童発達支援センターと児童発達支援センター以外の事業所です。
児童発達支援センターは、通所利用障がい児への療育やその家族に対する支援を行うだけでなく、地域の中核的な支援施設として地域の障がい児やその家族の相談支援、障がい児を預かる施設への援助・助言を行います。
一方、児童発達支援センター以外の事業所は、通所利用障がい児への療育やその家族に対する支援を行います。

それでは、児童発達支援の対象者や放課後等デイサービスとの違い、利用する際の費用について見ていきましょう。

参考:厚生労働省「障害児支援施策」

児童発達支援の対象者

厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」によると、児童発達支援の対象児童は、集団療育および個別療育を行う必要があると認められる、主に未就学の障がい児です。
児童発達支援の対象児童には、療育を受けなければ福祉を損なう恐れのある児童も含まれており、医学的診断名や障がい者手帳の有無は必須条件ではありません。

参考:厚生労働省「第6回『障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)』資料」

児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

児童発達支援と放課後等デイサービスは、どちらも障がいのある子どもの成長を支える福祉サービスですが、対象年齢や利用時間、支援内容などに違いがあります。
厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」を参考にして、以下に児童発達支援と放課後等デイサービスの主な違いをまとめました。

項目
児童発達支援
放課後等デイサービス
対象 未就学の障がい児 小学校・中学校・高等学校などに就学している障がい児
利用時間 平日の1~7時間ほど - 放課後の1~3時間ほど
- 休日の5~7時間ほど
主な支援内容 - 日常生活における基本的な動作の指導
- 知識技能の付与
- 集団生活への適応訓練
- 生活能力向上のために必要な訓練
- 社会との交流の促進

参考:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」

なお、こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」によると、放課後等デイサービスは、18歳に達したあともサービスを受けなければ福祉を損なう恐れがあると認められる場合に限り、20歳に達するまで利用できます。

参考:厚生労働省「第6回『障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)』資料」
こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」

児童発達支援の利用にかかる費用

厚生労働省「障害者福祉:障害児の利用者負担」によると、障がい福祉サービスは、所得に応じて負担上限月額が設定されています。
所得に応じた月ごとの負担上限月額は、以下のとおりです。

                                                            
区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1収入が概ね920万円以下で、所得割28万円未満の市町村民税課税世帯通所施設、ホームヘルプ利用の場合4,600円
入所施設利用の場合9,300円
一般2上記以外3万7,200円

参考:厚生労働省「障害者福祉:障害児の利用者負担」

なお、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、負担上限月額以上の負担は生じません。

参考:厚生労働省「障害者福祉:障害児の利用者負担」

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児童発達支援で受けられる3つのサポート内容

児童発達支援で受けられるサポート内容は以下のとおりです。

  • 本人支援
  • 家族支援
  • 地域支援

ここでは、厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」を参考にして、上記3つの児童発達支援で受けられるサポート内容について、それぞれ詳しく見ていきます。

本人支援

本人支援の目標は、障がいのある子どもが将来、日常生活や社会生活を円滑に営めるようにすることです。
本人支援は、以下の5つの領域で構成されています。

  • 健康・生活:心身の健康や生活に関する領域
  • 運動・感覚:運動や感覚に関する領域
  • 認知・行動:認知と行動に関する領域
  • 言語・コミュニケーション:言語やコミュニケーションの獲得に関する領域
  • 人間関係・社会性:人との関わりに関する領域

また、本人支援には保育所などへの支援を行う移行支援も含まれています。移行支援は、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが共に成長できるようにするためのものです。障がいのある子どもが、可能な限り地域の保育や教育などの支援を受けられるようにし、同年代の子どもとの仲間作りを図れるようにすることを目的としています。

家族支援

家族支援では、障がいのある子どもを育てる家族からの相談に対する助言や、家庭の子育て環境の整備などを行います。家族支援における主な支援内容は、以下のとおりです。

  • 子育て上の課題の聞き取りと助言
  • 子どもを支援する輪を広げるための橋渡し
  • 相談支援専門員との定期的な支援会議
  • 家族支援プログラムの実施
  • 心理的カウンセリングの実施

家族支援では上記のような支援をとおして、障がい児の家族が安心して子育てを行えるよう、家族の負担を軽減するサポートを行っています。

地域支援

地域支援では保育所などの子育て支援機関との連携を進め、地域の子育て環境や支援体制の構築を図ります。障がいのある子どもの地域社会への参加・包容を推進するためです。

地域支援における主な支援内容は、以下のとおりです。

  • 保育所などの子育て支援機関との連携
  • 医療機関や保健所といった専門機関との連携
  • 地域支援の体制構築のための会議の開催
  • 保育所等訪問支援の実施
  • 障害児等療育支援事業や巡回支援専門員整備事業の実施

地域支援は、支援を利用する子どもが地域で適切な支援を受けられるよう、関係機関と連携することのみならず、地域全体の子育て支援力を高めるためのネットワークを構築しています。

参考:厚生労働省「障害児支援施策」

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児童発達支援を受けられる施設

ここまで、児童発達支援の概要や受けられるサポートの内容を見てきました。以下では、児童発達支援が受けられる施設を通所型と入所型に分けて紹介します。

通所型

児童発達支援を受けられる通所型の施設は、以下のとおりです。

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 医療型児童発達支援

前述した児童発達支援や放課後等デイサービスに加え、医療型児童発達支援も児童発達支援を受けられます。
厚生労働省「障害児支援施策の概要」によると、医療型児童発達支援の主な支援対象は、肢体不自由があり理学療法などの機能訓練、または医学的管理下での支援が必要と認められた障がい児とされています。
医療型児童発達支援で受けられる主なサービスは、日常生活における基本的な動作の指導や知識技能の付与、集団生活への適応訓練などです。

参考:厚生労働省「社会保障審議会 (障害者部会)」

入所型

児童発達支援を受けられる入所型の施設は、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設です。

厚生労働省「障害児支援施策の概要」によると、福祉型障害児入所施設の支援対象は、障害児入所施設に入所する障がい児となっています。福祉型障害児入所施設で提供しているサービスは、入所している障がい児の保護や日常生活の指導、知識技能の付与などです。

また、同資料「障害児支援施策の概要」によると、医療型障害児入所施設の支援対象は、 障害児入所施設または指定医療機関に入所等をする障がい児となっています。
医療型障害児入所施設で提供している主なサービス内容は、入所している障がい児に対する保護や日常生活の指導、知識技能の付与、治療などです。

参考:厚生労働省「社会保障審議会 (障害者部会)」

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児童発達支援を利用する方法

児童発達支援のサービスは、住んでいる自治体が発行する「障害児通所受給者証」を取得することで利用できます。前述のとおり、医学的診断名や障害者手帳はなくても問題ありません。
児童発達支援の利用までの主な流れは、以下のとおりです。

  • 市区町村の障害福祉窓口や障害児相談支援事業所などで相談する
  • 利用を検討する児童発達支援事業所を選ぶ
  • 施設の見学や体験を行い内容を確認する
  • 自治体に障害児通所受給者証を申請する
  • 障害児通所受給者証が発行されたら施設と契約を結んで利用を開始する

障害児通所受給者証の申請時には、自治体の担当者が家庭や子どもの状況についてヒアリングを行い、必要な支援内容や利用日数を決定します。障害児通所受給者証の発行までには1ヶ月半~2ヶ月ほどかかることもあるため、早めに準備しておくのがおすすめです。
こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」によると、障害児通所受給者証の有効期間は最長1年間と定められています。通所給付決定期間が終了したあとは、改めて障害児通所給付費等の通所給付決定を受けることにより、継続して支援を受けられます。

参考:厚生労働省「第6回『障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)』資料」
こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」

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児童発達支援に関わる主な職種

児童発達支援に関わる主な職種は、以下のとおりです。

  • 児童発達支援管理責任者
  • 保育士
  • 児童指導員

ここでは、上記3つの児童発達支援に関わる主な職種について、それぞれ見ていきます。

児童発達支援管理責任者

job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童発達支援管理責任者」によると、児童発達支援管理責任者は障がいのあるこどもに対して療育を行う現場において、個々の子どもや家族のニーズに応じた、一連のサービス提供プロセスを管理する支援提供の責任者です。

児童発達支援管理責任者は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどにおいて、1名以上必置とされています。

job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童発達支援管理責任者」

保育士

厚生労働省「保育士になるには?」によると、保育士は、保育を行うにあたって必要な知識や技術が備わっており、なおかつ保護者への支援も行える者のことです。
保育士は児童発達支援において、子どもの発達段階に応じた支援を行ったり、保護者との連携を図ったりします。

厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」によると、児童発達支援施設の人員配置基準を満たすためには、1人以上の保育士の配置が必要です。

参考:厚生労働省「第6回『障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)』資料」

児童指導員

job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童指導員」によると、児童指導員は、子どもの日常生活の支援や社会ルールの習得、学習や遊びなどの支援・指導に当たります。児童指導員は、必要に応じて保護者や児童相談所などと面談し、対応方針の検討も行います。

また、厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」によると、児童発達支援施設の人員配置基準を満たすためには、1人以上の児童指導員を配置しなければなりません。

参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童指導員」
参考:厚生労働省「第6回『障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)』資料」

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児童発達支援とは障がい児の円滑な社会生活のための援助

  • 児童発達支援とは、主に未就学の障がいのある子どもを対象に発達支援を提供するもの
  • 児童発達支援で受けられるサポート内容は、「本人支援」「家族支援」「地域支援」
  • 児童発達支援を利用するには、自治体が発行する障害児通所受給者証の取得が必要
  • 児童発達支援に関わる主な職種は児童発達支援管理責任者や保育士、児童指導員など

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