豆知識
自立生活援助とは?主なサービス内容や対象者を紹介

「自立生活援助とはどのようなサービスかよく分からない」という方もいるでしょう。自立生活援助とは、障がいのある方が一人で暮らせるよう、定期的な居宅訪問や相談対応などを行うサービスのことです。この記事では、自立生活援助の主なサービス内容や対象者について紹介します。自立生活援助と地域定着支援の違いや、サービス利用の流れについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
自立生活援助とは
厚生労働省「障害福祉サービスについて」によると、自立生活援助とは、障がいのある方が自立した日常生活を営めるよう、必要な援助を行う障がい福祉サービスのことです。
障がい福祉サービスは、「介護給付」と「訓練等給付」の大きく2つに分けられており、自立生活援助は「訓練等給付」に該当します。
自立生活援助では、障がいのある方が一人暮らしを行ううえで必要な情報の提供や助言、定期的な巡回訪問などを行うのが特徴です。
自立生活援助の主な対象者は?
厚生労働省「障害福祉サービスについて」によると、自立生活援助の対象には、以下のような方が該当します。
- 障がい者支援施設やグループホーム、精神科病院などから地域での一人暮らしに移行した障がい者で、理解力や生活力などに不安がある方
- 人間関係や環境の変化などにより、一人暮らしや地域生活の継続が困難である方
- 同居している家族が病気や障がいをもっており、実質的に一人暮らしと同様の状況で、自立生活援助による支援が必要な方
自立生活援助の主な対象者は、障がいがあり、一人暮らしをするうえでの支援が必要な方です。そのため、実質的に一人暮らしと同様の状況にある場合も、自立生活援助の対象となることがあります。
また、厚生労働省「自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、地域生活支援拠点等に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、年齢区分別にみた自立生活援助の利用者の現状は、以下のとおりです(2022年12月時点)。
| 年齢区分 | 利用者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 18歳未満 | 0人 | 0.0% |
| 18~19歳 | 11人 | 0.9% |
| 20~29歳 | 148人 | 11.6% |
| 30~39歳 | 193人 | 15.2% |
| 40~49歳 | 260人 | 20.5% |
| 50~59歳 | 404人 | 31.8% |
| 60~64歳 | 146人 | 11.5% |
| 65歳以上 | 109人 | 8.6% |
| 合計 | 1271人 | 100.1% |
参考:厚生労働省「自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、地域生活支援拠点等に係る報酬・基準について≪論点等≫」
自立生活援助は、40代・50代の利用者が多いのが特徴です。この背景には、家族が高齢者となり、家族による支援が困難になるケースも含まれていると考えられます。
自立生活援助と地域定着支援の違い
自立生活援助と混同しやすい障がい福祉サービスの一つが「地域定着支援」です。自立生活援助と地域定着支援は、主な支援の内容が異なります。
厚生労働省「自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、地域生活支援拠点等に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、地域定着支援とは、居宅において単身で生活している障がい者を対象に、常時の連絡体制の確保や、緊急時の支援などを行う障がい福祉サービスのことです。
前述のとおり、自立生活援助では、定期的および随時利用者の居宅を訪問し、必要な支援を行います。一方で、地域定着支援の場合、利用者と常時の連絡体制を確保したうえで、主に緊急時にのみ、居宅訪問や必要な支援を行うのが特徴です。このように、地域定着支援では、自立生活援助と比べると、より受動的な支援が行われます。
参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
厚生労働省「第40回『障害福祉サービス等報酬改定検討チーム』資料」
自立生活援助の主なサービス内容
厚生労働省「自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、地域生活支援拠点等に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、自立生活援助の主なサービス内容には、以下のようなものがあります。
- 定期的な居宅訪問
- 随時の通報を受けて行う訪問
- 利用者からの相談対応
- 必要な情報の提供や助言
- 関係機関との連絡調整
自立生活援助は、原則1年間を一定期間として支援を行います。ただし、市町村審査会における個別審査において、サービス利用の必要性が認められる場合は、利用期間の更新が可能です。
また、自立生活援助事業所では、サービス管理責任者や地域生活支援員の配置が義務付けられています。居宅訪問や個別の相談対応などは、地域生活支援員によって行われるのが一般的です。
なお、厚生労働省「ピアサポートの専門性の評価(1)(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定)」によると、自立生活援助では、ピアサポーターと呼ばれる障がいをもった方が支援員として、利用者と同じ目線に立って相談や助言を行うこともあります。
参考:厚生労働省「第40回『障害福祉サービス等報酬改定検討チーム』資料」
厚生労働省「4.障害者ピアサポート」
自立生活援助の利用までの流れ
厚生労働省「サービスの利用手続き」によると、自立生活援助の利用までの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 相談・申し込み
- アセスメント・サービスの利用意向の聴取
- サービス等利用計画案の提出
- 暫定支給決定
- サービス等利用計画の作成
- サービスの一定期間の利用(利用者の利用意思の確認、サービスが適切であるか確認)
- 個別支援計画の作成
- 支給決定
自立生活援助を利用するには、市町村の障がい福祉サービスに関する相談窓口での申請が必要です。すでに地域移行支援などのサービスを利用している場合は、利用している相談支援事業所で、サービス利用の相談や申請手続きを受けられることもあります。
サービスの利用申請後、実施されるのが認定のための調査や審査です。認定調査では、利用者の生活の状況などを調査し、サービスの支給対象としてふさわしいか審査が行われます。そして、認定審査を経て暫定的にサービスの支給が決定した後、実際のサービス利用に向けての準備が行われ、サービスの利用開始となるのが基本の流れです。
参考:厚生労働省「サービスの利用手続き」
自立生活援助では障がい者の一人暮らしの援助を行う
- 自立生活援助とは、障がいのある方が自立した日常生活を送れるよう支援を行うもの
- 自立生活援助の主な対象者は、障がいがあり一人暮らしを行ううえで支援が必要な方
- 自立生活援助では、定期的な居宅訪問や利用者からの相談対応などを行う
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