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健康運動実践指導者とは?資格の取得方法や活かせる就職先を紹介
11 days ago

健康運動実践指導者の職種について気になる方もいるでしょう。健康運動実践指導者とは安全で効果的な運動を実施するためのプログラム作成や指導を行う者とされています。本記事では、健康運動実践指導者になるための方法や年収、資格を活かせる就職先を紹介します。また、健康運動実践指導者と健康運動指導士の違いについても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
健康運動実践指導者とは
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」によると、健康運動実践指導者とは積極的な健康づくりを目的とした運動を、安全かつ効果的に実践指導できる能力を有すると認められる者とされています。第2次国民健康づくり運動の一環として、1989年に健康運動実践指導者の養成が開始されました。
健康運動実践指導者は運動生理学や医学的知識を活かし、メタボリック症候群や生活習慣病といった健康課題にも対応できるのが特徴です。運動不足が問題視される現代社会において、健康運動実践指導者は健康維持・増進に欠かせない存在といえます。
ここでは、健康運動実践指導者の主な仕事内容や健康運動指導士との違いを見ていきます。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」
主な仕事内容
健康運動実践指導者の主な仕事は、幅広い年代の人々に対して安全かつ効果的な運動方法を指導し、健康づくりを支援することです。
フィットネスクラブや公共施設、医療機関などで運動プログラムに沿ってトレーニングを指導したり、利用者の状態に合わせて独自のメニューを作成したりすることもあります。
特に、運動に慣れていない人や高齢者の場合、誤ったフォームで運動を行うとケガの原因になる可能性があるでしょう。健康運動実践指導者はケガのリスクを防ぎながら、安全に体を動かすための正しい姿勢や動作を教えます。
健康運動実践指導者と健康運動指導士の違い
健康運動実践指導者と健康運動指導士は、担当する役割と求められる専門性に違いがあります。
健康運動指導士は対象者の健康状態や体力レベルを分析し、安全で効果的な運動プログラムを設計・管理する職種です。主に計画立案やプログラム作成を担い、運動の理論的な部分を中心にサポートします。
一方、健康運動実践指導者は健康運動指導士が作成したプログラムに基づき、現場で実際に運動を指導する立場です。利用者が安全に体を動かせるようフォームや呼吸法を指導し、継続できるようサポートします。
つまり、健康運動指導士がプログラムを考える人、健康運動実践指導者が運動を実際に教える人という役割分担です。健康運動指導士には運動に関する理論的知識が求められ、健康運動実践指導者には現場での実技指導スキルや分かりやすく伝える力が求められます。
健康運動実践指導者になるには
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」によると、健康運動実践指導者になるには、健康運動実践指導者養成校の講座修了後に認定試験を受ける、もしくは実践指導者養成講習会を受講後に認定試験を受ける必要があります。ここでは、健康運動実践指導者になるための2通りの方法について解説します。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」
健康運動実践指導者養成校の講座修了後に認定試験を受ける
健康運動実践指導者になる方法の一つは、健康運動実践指導者養成校の講座修了後に認定試験を受けることです。
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者養成校のご紹介」によると、健康運動実践指導者養成校は全国168校の大学や専門学校とされています(2025年10月現在)。健康運動実践指導者養成校の講座を修了すると、健康運動実践指導者養成講習会を受講せずに認定試験を受験できるのが特徴です。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者養成校のご紹介」
実践指導者養成講習会を受講後に認定試験を受ける
実践指導者養成講習会を受講後に認定試験を受けることも健康運動実践指導者になるための方法の一つです。ここでは、健康運動実践指導者養成講習会を受講する場合の受講条件や講習内容を紹介します。
実践指導者養成講習会の受講資格
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」によると、健康運動実践指導者養成講習会を受講するには以下のいずれかに該当する必要があります。
- 体育系短期大学または2年制の体育専修学校もしくはこれと同等以上の学校の卒業者(卒業見込み含む)
- 3年以上運動指導に従事した経験のある者(規定算出方法あり)
- 運動指導に関連する資格を有する者
- 保健医療に関する資格を有する者
- 学校教育に関する資格を有する者(教科不問)
上記のいずれかを満たすことで健康運動実践指導者養成講習会を受講でき、終了後に認定試験を受けられます。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」
実践指導者養成講習会の講習内容
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」によると、健康運動実践指導者養成講習会の講習内容は以下のとおりです。
- 健康づくり施策概論
- 運動生理学
- 機能解剖とバイオメカニクス
- 栄養摂取と運動
- 運動指導の心理学的基礎
- 体力測定と評価
- 健康づくりと運動プログラム
- 健康づくり運動の実際
- 運動障害と予防・救急処置
健康運動実践指導者養成講習会では講義を16単位、実習を17単位、合計33単位(1単位90分)取得する必要があります。健康運動実践指導者養成講習会ですべての単位を取得できていない場合は、認定試験を受けられません。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」
健康運動実践指導者認定試験に合格したら登録手続きを行う
健康運動実践指導者認定試験に合格したあとは、登録手続きを行うことで健康運動実践指導者として認められます。
健康運動実践指導者認定試験の合格率は例年70〜80%前後とされています。健康運動実践指導者認定試験は指導実技試験と筆記試験の2部構成で、理論と指導力の両面から総合的に評価されるのが特徴です。
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」によると、健康運動実践指導者認定試験の指導実技試験と筆記試験の両方に合格すると、健康運動実践指導者の登録資格が与えられます。初回登録時には25,300円(税込)の登録料が必要です。
また、健康運動実践指導者の資格は5年間有効で、所定の講習会を受講したうえで22,000円(税込)の更新料を納付することにより更新できます。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「令和7年度 健康運動実践指導者養成講習会開催要領・申込」
健康運動実践指導者の年収
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「2019年健康運動指導士・健康運動実践指導者実態調査結果報告書」によると、健康運動実践指導者の年収分布は以下のとおりです。
| 健康運動指導士・健康運動実践指導者の年収 | 健康運動指導士のみ | 健康運動実践指導者のみ | 健康運動指導士と健康運動実践指導者の両方保有 | 全体の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円以下 | 21.5% | 32.5% | 28.3% | 25.2% |
| 201万~400万円 | 35.7% | 45.3% | 48.1% | 39.5% |
| 401万~600万円 | 24.9% | 13.4% | 13.3% | 20.5% |
| 601万~800万円 | 9.9% | 4.1% | 5.3% | 7.9% |
| 801万~1000万円 | 3% | 0.8% | 1.5% | 2.3% |
| 1001万円以上 | 1.6% | 0.4% | 0.8% | 1.2% |
| 無回答 | 3.4% | 3.5% | 2.6% | 3.4% |
| 合計 | 4068人 | 1864人 | 607人 | 6602人 |
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「2019年健康運動指導士・健康運動実践指導者実態調査結果報告書」
上記によると、健康運動実践指導者の資格保有者における年収は201万〜400万円の割合が最も多いことが分かります。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「2019年健康運動指導士・健康運動実践指導者実態調査結果報告書」
健康運動実践指導者の資格を活かせる主な就職先
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」によると、健康運動実践指導者の資格を活かせる主な就職先にはフィットネスクラブや診療所、介護老人保健施設などが挙げられます。
ここでは、健康運動実践指導者の資格を活かせる就職先をそれぞれ紹介します。
参考:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動実践指導者とは」
フィットネスクラブ
健康運動実践指導者の資格を活かせる就職先の一つは、フィットネスクラブです。フィットネスクラブでは、会員の年齢や体力レベルに合わせて無理のない運動メニューを提案し、安全で効果的な運動指導を行います。
健康運動実践指導者のフィットネスクラブにおける業務内容は運動指導だけでなく、運動機器の点検・整備、受付業務など多岐にわたります。健康づくりを目的とした利用者も増加傾向にあるため、単に体を鍛えるだけでなく生活習慣の改善に焦点を当てた運動指導が求められる場合もあるでしょう。
フィットネスクラブでは正社員や契約社員として勤務するほか、フリーランスとして複数の施設で指導するスタイルも選択可能です。
診療所・病院
健康運動実践指導者の資格は、診療所や病院でも活かせます。健康運動実践指導者の診療所や病院における役割は、患者一人ひとりの体力や症状に応じた運動プログラムを作り、リハビリや日常生活のサポートを行うことです。
健康運動実践指導者には医師や看護師、理学療法士と協力しながら、患者の健康維持や回復を助けることが求められます。また、健康運動実践指導者は運動習慣が重要とされる生活習慣病などの指導においても、専門知識を活かせます。
介護老人保健施設・介護老人福祉施設
介護老人保健施設や介護老人福祉施設も健康運動実践指導者の資格を活かせる就職先の一つです。介護老人保健施設や介護老人福祉施設では、高齢者や障がいのある方が安全に体を動かせるよう、運動プログラムの指導やリハビリサポートを行う役割があります。
介護老人保健施設や介護老人福祉施設内では、利用者の体力や健康状態に応じた運動の提案が求められ、利用者の健康維持や生活の質向上に貢献します。運動の機会が少ない方に対して無理のない運動を提供できる専門知識や技術が、健康運動実践指導者には求められるでしょう。
健康運動実践指導者とは安全で効果的な運動の指導者
- 健康運動実践指導者とは、運動を安全かつ効果的に実践指導できることを示す資格
- 健康運動実践指導者になるには養成校の講座修了後か講習会受講後に試験に合格すること
- 健康運動実践指導者の資格を活かせる主な就職先はフィットネスクラブや病院など