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介護現場で外国人が働く仕組みとは?メリット・問題点を紹介
13 hours ago

「介護現場における外国人の受け入れの仕組みがよく分からない」という方もいるでしょう。介護現場では、「EPA」「在留資格『介護』」「技能実習」「特定技能1号」の4つの制度により入国を許可された外国人を、介護職員として受け入れています。この記事では、介護現場における外国人の受け入れの現状や制度について紹介します。介護施設で外国人を雇用するメリットや問題点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
介護施設で外国人を雇用する仕組み
介護施設で外国人を雇用する仕組みは、大きく分けて以下の4つがあります。
- EPA(経済連携協定)
- 在留資格「介護」
- 技能実習
- 特定技能1号
ここからは、それぞれの仕組みについて詳しく紹介します。
EPA(経済連携協定)
厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」によると、EPA(経済連携協定)とは、二国間の経済活動の連携強化を目的とした協定のことです。EPAによる外国人介護人材の受け入れでは、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国が対象となっています。
厚生労働省「経済連携協定に基づく受入れの枠組」によると、EPAに基づき日本で就労するための要件は、自国の政府による介護士認定を受けていることや、看護学校を卒業していることなどです。EPA介護福祉士候補者に求められる日本語能力は国によって異なり、インドネシアは日本語能力試験のN4以上、フィリピンはN5以上、ベトナムはN3以上が基準となります。
また、EPAに基づく外国人の受け入れでは、EPA介護福祉士候補者が日本の介護の現場で就労・研修を行いながら、介護福祉士の国家資格を取得することを目的としているのが特徴です。なお、EPA介護福祉士候補者の在留期間は4年が上限となっています。そのため、4年以内に介護福祉士資格を取得することが必要です。
介護福祉士国家試験に合格すると、在留資格「介護」が得られ、在留期間の更新回数に制限なく、日本に滞在・就労できます。ただし、介護福祉士国家試験の結果が不合格であった場合、原則、帰国しなければなりません。
在留資格「介護」
厚生労働省「介護福祉士資格を取得した外国人の方に対する在留資格『介護』の付与について」によると、在留資格「介護」とは、日本で介護福祉士国家資格を取得した外国人が、国内で介護福祉士として介護に従事できる仕組みのことです。
在留資格「介護」を付与された方は、上限なく在留期間の更新ができます。また、原則として家族の帯同が可能です。
厚生労働省「在留資格『介護』」によると、在留資格「介護」を得るには、養成施設ルートまたは実務経験ルートにより介護福祉士資格を取得し、介護福祉士として従事する必要があります。
養成施設ルートとは、在留資格「留学」として入国し、介護福祉士養成施設での2年以上の課程修了を経て、介護福祉士資格を取得するルートのことです。一方、実務経験ルートは、在留資格「特定技能1号」やEPA介護福祉士候補者として入国した後、介護施設などでの3年以上の就労・研修を経て、介護福祉士資格を取得するルートとなっています。
技能実習
厚生労働省「技能実習『介護』における固有要件について」によると、技能実習制度とは、国際貢献のため、開発途上国の外国人を日本で一定期間(最大5年間)受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度のことです。そのため、帰国後、習得した技能を要する業務に従事することが予定されている必要があります。
また、技能実習「介護」では、N4以上の日本語能力が必要です。介護職員として働くうえで必要な日本語および介護に関する知識については、入国前と入国後に実施される講習において習得する流れとなっています。
なお、技能実習では技能の定着を目的としているため、1年目・3年目・5年目の終わりに実技試験が実施されるのが特徴です。1年目と3年目の終わりに実施される試験については、合格することで在留期間が延長される仕組みとなっています。
特定技能1号
厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」によると、特定技能とは、人材確保が困難な分野において、一定の専門性や技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるための制度のことです。特定技能には、在留期間や家族の帯同などの条件が異なる「1号」と「2号」の2種があり、介護分野は1号に該当します。
特定技能1号は、特定の分野において、「相当程度の知識・経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。そのため、特定技能1号では、必要な技能や日本語能力が試験によって確認されます。介護分野の場合、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)に加えて、介護日本語評価試験も実施されるのが特徴です。
また、特定技能1号の在留期間は1年を超えない範囲内で個別に指定されており、期間ごとに更新することで、通算5年までを上限として在留許可が与えられます。なお、特定技能1号では、帰国が前提の制度であるため、家族の帯同は基本的には認められていません。
参考:厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
厚生労働省「介護福祉士資格を取得した外国人の方に対する在留資格『介護』の付与について」
厚生労働省「介護職種の技能実習制度について」
厚生労働省「介護分野における特定技能協議会運営委員会(令和6年度第1回)」
介護現場における外国人の受け入れの現状
厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」によると、介護現場における外国人の受け入れの現状は、以下のとおりです。
- EPA(経済連携協定):3252人/うち資格取得者452人(2025年3月1日時点)
- 在留資格「介護」:1万468人(2024年6月末時点)
- 技能実習:1万5909人(2023年12月末時点)
- 特定技能1号:4万4367人(2024年12月末時点)
EPAについては対象が3ヶ国に限定されているため、日本の介護現場で働く外国人介護職員の数は、ほかの制度に比べると少ない傾向にあるようです。
4つの制度の中では、特定技能1号に基づく外国人介護職員の数が多い傾向にあります。しかし、特定技能1号による在留期間は通算5年が上限となっており、その後帰国する流れが基本です。そのため、長期的な介護人材の確保の観点で見ると、在留資格「介護」を得て、介護福祉士として働く外国人を増やすことが大切でしょう。
参考:厚生労働省「介護分野における特定技能協議会運営委員会(令和6年度第1回)」
介護施設で外国人を受け入れるメリット
介護施設で外国人を受け入れる主なメリットは、人手不足を解消できることです。
厚生労働省「介護人材確保の現状について」によると、2026年度には約240万人の介護職員が必要と推計されています。しかし、2019年ごろから介護職員数はほぼ横ばいで、2023年度の介護職員数は約212万人です。つまり、2026年度に必要な介護職員数に達するには、1年に約10万人のペースで介護職員数を増やす必要があります。
介護現場では人手不足により、介護職員一人当たりの業務量が多かったり、提供できる介護サービスの量に限りがあったりすることも。そこで、今後より多くの外国人が介護施設で働くことで、介護サービスを必要としている利用者に多くのサービスを提供できるようになったり、介護職員の負担軽減につなげられたりするでしょう。
また、外国人の介護職員と日本人の介護職員では、仕事に対して求める条件が異なる場合もあります。そのため、日本人の介護職員が集まりにくい地域においても、条件や職場の環境などによっては、外国人介護職員が集まり、人手不足を解消できるケースもあるでしょう。
参考:厚生労働省「第3回福祉人材確保専門委員会 資料」
介護施設で外国人を雇用するうえでの問題点
介護施設で外国人を受け入れるメリットがある一方で、介護施設で外国人を雇用するうえで問題点や課題となる点もあります。具体的には、以下のような問題点が挙げられるでしょう。
- 言葉の壁により、コミュニケーションが難しいことがある
- 在留期間の上限が設けられており、長期的には働けない場合がある
- 教育や手続きに時間がかかる
外国人介護職員に対しては、いずれの制度に基づく場合も、最低限の日本語能力を有することが要件となっています。そのため、基本的なコミュニケーションが困難であるケースは少ないでしょう。ただし、日本語特有のニュアンスが掴めず、意思疎通がスムーズに行えなかったり、方言の聞き取りや理解が難しく、利用者とのコミュニケーションでつまづいたりすることはあると考えられます。
また、在留資格「介護」以外の制度では、在留期間に上限が設けられているのが特徴です。そのため、時間をかけて育てた優秀な人材であっても、一定期間を過ぎると帰国する可能性がある点は、外国人を雇用するうえでのデメリットとなるでしょう。
介護施設で外国人を受け入れるときのポイント
介護施設で外国人を受け入れるときのポイントは、以下のとおりです。
- 文化の違いがあることを理解する
- コミュニケーションを丁寧にとる
- 利用者やほかの職員に対して、事前に説明を行う
日本で働く外国人の介護職員は、国ごとにいろいろな文化をもっています。そのため、文化の違いがあることを理解したうえで関わることが大切です。
また、コミュニケーションにおいても、言葉や文化の違いにより、物事の捉え方が異なることもあります。そのため、こちらが伝えたいことがきちんと伝わっているか、相手が伝えたいことをきちんと理解できているかを、適宜確認することも重要でしょう。
なお、介護施設で外国人を受け入れる際は、介護職員だけでなく、利用者に対しても十分に説明を行う必要があります。外国人介護職員が入職した後は、適切に配慮を行いながらも、日本人の介護職員と同様に扱うことも大切でしょう。
介護現場では外国人の介護職員が多く活躍している
- 介護施設で外国人を雇用する仕組みには、EPAや技能実習などの制度がある
- 外国人の介護職員は、在留資格の種類によって就業できる期間の上限に差がある
- 介護施設で外国人を雇用するメリットは、人手不足を解消できること
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