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生活援助とは?主なサービス内容や身体介護との違いを紹介

「生活援助とはどのようなサービスかよく分からない」という方もいるでしょう。生活援助とは、掃除や洗濯、買い物など、利用者が日常生活を営むことを支援するサービスのことです。この記事では、生活援助の主なサービス内容や身体介護との違いについて紹介します。生活援助に携わるうえで必要な資格や研修などについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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生活援助とは

厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)」によると、生活援助とは、身体介護以外で、利用者が日常生活を営むことを支援するサービスのことです。生活援助は、介護サービス利用者の居宅を訪問し、介護サービスを行う「訪問介護」の現場で提供されています。

生活援助と身体介護の違い

生活援助のほかに、訪問介護の主なサービスとして挙げられるのが「身体介護」です。生活援助と身体介護は、利用者の身体に触れて行うサービスであるかという点が異なります。身体介護は、入浴や排泄、食事の介助など、利用者の身体に直接触れるサービスを行うのが特徴です。

厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)」によると、身体介護には、以下のようなサービスが含まれます。

  • 排泄・食事介助
  • 清拭・入浴・身体整容
  • 体位変換・移動介助・外出介助
  • 起床・就寝介助
  • 服薬介助
  • 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助

上記に加え、身体介護を行うための事前準備として行う利用者の体調の確認や環境の整備、サービス提供後の記録なども、身体介護のサービスに含まれます。

見守り的援助については、直接利用者の身体に触れないケースもあるため、身体介護か生活援助か迷う方もいるでしょう。

厚生労働省「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」によると、利用者の自立支援やADL(日常生活動作)などの向上に資するものは、身体介護に該当すると定められています。
そのため、掃除や洗濯などの日常生活の援助に関する行為であっても、手助けや声掛け、見守りをしながら一緒に行う場合は、身体介護に含まれるのが特徴です。

参考:厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
厚生労働省「平成30年度介護報酬改定について」

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訪問介護における生活援助の主なサービス内容

厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)」によると、生活援助の主なサービス内容は、以下のとおりです。

  • 掃除:居室やトイレなどの清掃・ゴミ出し・準備や後片付け
  • 洗濯:洗濯機または手洗いによる洗濯・物干しや取り入れ・衣服の収納・アイロンがけ
  • ベッドメイク:利用者不在のベッドでのシーツ交換・布団カバーの交換
  • 衣類の整理・被服の補修:季節ごとの衣類の入れ替え・ボタン付け・破れの補修
  • 調理や配下膳:一般的な調理・配膳・後片付け
  • 買い物・薬の受け取り:日常品の買い物・買い物の内容や品物、釣銭の確認・薬の受け取り

生活援助では、身体介護と同様に、サービス提供前の利用者の健康チェックや環境整備、サービス提供後の記録などもサービスに含みます。

生活援助に含まれないサービス

厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問介護(ホームヘルプ)」によると、直接利用者の援助に該当しないサービスや、日常生活の援助の範囲を超えるサービスについては、生活援助および訪問介護のサービスには含まれません。具体的には、以下のようなサービスが、生活援助の対象外となります。

  • 利用者の家族のための家事
  • 利用者家族の来客の対応
  • 草むしり
  • ペットの世話
  • 大掃除
  • 窓のガラス磨き
  • 正月の準備

生活援助で行うのは、「利用者」の「日常生活の援助」です。そのため、利用者以外を対象とした家事の支援などは、生活援助のサービスには含まれません。また、生活援助として行わなくても利用者の日常生活に支障がないものについても、生活援助には含まれないのが特徴です。

参考:厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問介護(ホームヘルプ)」

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訪問介護で生活援助を利用する条件

厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問介護(ホームヘルプ)」によると、訪問介護および生活援助のサービスを利用するには、要介護1~5の認定を受けることが必要です。そのため、要支援1~2の認定を受けている方や要介護認定を受けていない方は、訪問介護の利用ができません。

また、厚生労働省「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」によると、利用者が家族と同居している場合、家族による家事が困難な場合を除き、原則として訪問介護サービスの利用はできない決まりとなっています。

そのなかで、要支援の認定を受けている方が訪問介護の代わりに利用できるのが、介護予防・日常生活総合支援事業に基づく生活支援・介護予防サービスです。
厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業について(概要)」によると、介護予防・日常生活支援総合事業では訪問型サービスとして、訪問介護の生活援助と同様に、掃除や洗濯など、日常生活上の支援を受けられます。

生活援助の利用状況

厚生労働省「令和5年度 介護給付費等実態統計の概況」によると、訪問介護の内容類型別の利用割合では、訪問介護受給者の42.2%が生活援助のみのサービスを利用しています。
また、生活援助の利用割合が最も高いのは「要介護1」となっており、要介護度が高くなるにつれ、利用者割合が低くなっているのが特徴です。

一方、身体介護のみの場合は生活援助とは逆に、要介護度が高くなるにつれ、利用者割合も高くなる傾向にあります。また、身体介護のみのサービスは、訪問介護受給者の59.5%が利用しており、生活援助のみと比べると、利用者割合が高いのが特徴です。

なお、厚生労働省「用語の定義」によると、同一被保険者が2種類以上のサービスを受けた場合、受給者数はサービスごとにそれぞれ計上されています。

参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問介護(ホームヘルプ)」
厚生労働省「報道発表資料 2009年12月」
厚生労働省「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」
厚生労働省「令和5年度 介護給付費等実態統計の概況(令和5年5月審査分~令和6年4月審査分)」

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生活援助に携わるには?

生活援助に携わるには、「生活援助従事者研修」や「介護職員初任者研修」などの研修を修了していることが求められる場合があります。

介護職員初任者研修を受講すると、生活援助だけでなく、身体介護などの介護業務全般に携わることが可能です。そのため、将来的に介護職で働きたいと考えている方は、介護職員初任者研修の受講を検討するのも良いでしょう。

なお、生活援助従事者研修を修了した場合、介護職員初任者研修の受講時間が一部免除になる制度も設けられています。よって、まずは生活援助従事者研修を受け、生活援助の経験を積んだ後、介護業務全般に携わるために介護職員初任者研修を受講するのもおすすめです。

生活援助従事者研修の概要

厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」によると、生活援助従事者研修とは、生活援助中心型のサービスに従事する方が、業務に必要な知識を習得することを目的とした研修です。生活援助従事者研修は、各都道府県が主な実施主体となります。

生活援助従事者研修の研修科目と研修時間は、以下のとおりです。

研修科目 研修時間
職務の理解 2時間
介護における尊厳の保持・自立支援 6時間
介護の基本 4時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 3時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化と認知症の理解 9時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 24時間
振り返り 2時間
合計 59時間

厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」

上記カリキュラムでは、移動・移乗に関連した実習や、必要に応じて、施設の見学などが行われます。また、生活援助従事者研修では、カリキュラム修了後、筆記試験による修了評価が実施されるのが特徴です。修了評価によって、一定の知識や技術の習得が評価されると、生活援助従事者研修修了者として、生活援助の業務に携われるようになります。

なお、前述のとおり、生活援助従事者研修修了者が介護職員初任者研修を受講する場合、一部科目の読み替えができるため、より短い時間での研修受講が可能です。具体的には、通常130時間の介護職員初任者研修が71時間で受講できます。つまり、59時間分のカリキュラムの読み替えが可能です。そのため、「いきなり130時間の介護職員初任者研修を受講するのは、ハードルが高い」と感じている方は、生活援助従事者研修から順に研修を受講すると良いでしょう。

参考:厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」

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訪問介護で生活援助を行う職員の一日のスケジュール

ここからは、訪問介護で生活援助を行う職員の一日のスケジュールを紹介します。

時刻
主な業務内容
午前9時 出勤、訪問の準備、利用者宅へ移動
午前9時30分 利用者宅で生活援助(2~3件程度)
- ベッドメイク
- 居室やトイレなどの清掃
- 洗濯
- 調理・配下膳
午後1時 お昼休憩
午後2時 利用者宅で生活援助(2~3件程度)
- 居室やトイレなどの清掃
- 買い物
- 薬の受け取り
- 衣類の整理・被服の補修
- 調理
午後5時30分 事業所にて記録の作成・業務報告
午後6時 退勤

厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)」によると、2023年の調査に基づいた、常勤の訪問介護員1人の1日当たりの勤務状況は、以下のとおりです。

  • 1日あたりの訪問件数の平均:5.5件
  • 1日あたりのサービス提供時間の平均:274.8分

つまり、1件の訪問・サービス提供にかかる時間は50分程度が平均となります。ただし、地域や提供するサービスの内容によっては、訪問件数が増減することもあるでしょう。

また、「生活援助の利用状況」の項目で述べたとおり、訪問介護では、身体介護のみや身体介護と生活援助の両方のサービスを利用するケースも多くみられます。
そのため、常勤の訪問介護員として働きたい場合は、身体介護にも携われるよう、資格の取得や研修の受講をしておくのがおすすめです。生活援助のみに携わりたい方は、短時間のパートや非常勤などの働き方も検討してみるのも良いでしょう。

参考:厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」

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生活援助では利用者が日常生活を営む支援を行う

  • 生活援助とは家事や買い物など、利用者の日常生活の援助を行うサービスのこと
  • 訪問介護の生活援助の利用は、要介護認定を受けた方が対象となる
  • 生活援助は利用者の要介護度が高くなるにつれ、利用割合が低くなる傾向にある
  • 生活援助従事者研修では、生活援助を行ううえで必要な知識が習得できる

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