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歯科技工士とは?仕事内容や必要な資格について紹介!
9 days ago

歯科技工士とはどのような職種なのか気になる方もいるでしょう。歯科技工士とは、歯科医師の指示にしたがって人工的な歯を作ったり、修繕したりする職種です。この記事では、歯科技工士の主な仕事内容や平均年収、向いている人の特徴を紹介します。また、歯科技工士になるための方法や主な職場、独立開業の方法についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
歯科技工士とは
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」によると、歯科技工士とは、歯科医師の指示にしたがって人工的な歯を作ったり、修繕したりする職種のことです。
歯科技工士は入れ歯や歯の被せ物・詰め物、矯正装置などの作成・加工・修理を行うため、高度な精密技工技術が必要になります。また、患者ごとに異なる歯の色や形を把握する審美感覚が求められる職種です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」
歯科技工士の主な仕事内容
先述のとおり、歯科技工士の主な仕事内容は歯科医師の指示書にしたがって、入れ歯・歯の被せ物・歯の詰め物・矯正装置などの作成や加工・修理を行うことです。
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」によると、具体的には、石膏で歯型模型を作り、陶材・金属・合成樹脂などを使って歯科技工物を設計・加工し、CAD/CAM冠の適合研磨や矯正予測模型の作成も行います。
また、完成した歯科技工物を歯科医院に納品し、必要に応じて修理や調整も行います。そのほか、器具の手入れや義歯・歯型などの記録管理、在庫確認なども歯科技工士の仕事です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」
歯科技工士が作成する主な歯科技工物
厚生労働省「歯科技工士について」によると、歯科技工士が作成する主な歯科技工物は、以下のとおりです。
クラウン(歯の被せ物) | 歯全体に人工の冠(クラウン)を被せて歯の形や機能を回復させるもの |
ブリッジ | - 歯の無いところに歯の形と機能を回復するためのもの - 残っている近くの歯に橋脚の役割を求め、橋(ブリッジ)のようにつなぐ |
総義歯(入れ歯) | 歯が1本も無くなった場合の入れ歯 |
局部義歯(部分入れ歯) | - 失われた歯の機能を回復するためのもの - 残っている歯や顎などを支えに、歯の形と機能を回復する |
インプラント | 顎の骨に支柱を植え、それを支えに歯の形と機能を回復するもの |
矯正装置 | 歯並びや顎の位置がずれている場合に、適切な位置にするための装置 |
マウスガード | スポーツをする際に口の中の怪我を防止するために装着するもの |
エピテーゼ | 失われた顔や体の一部を人工の材料を使って形態などを補う方法 |
参考:厚生労働省「歯科技工士について」
歯科技工士が上記の技工物を作成する際は、患者ごとに異なる歯の形や色を把握したうえで、自然な見た目と機能性を両立させる作業が求められるでしょう。
参考:厚生労働省「第103回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料」
歯科技工士になるには
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」によると、歯科技工士になるには、歯科技工士国家試験に合格する必要があります。
厚生労働省「歯科技工士国家試験の施行」によると、歯科技工士国家試験の受験資格は以下のとおりです。
- 文部科学大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者
- 都道府県知事の指定した歯科技工士養成所を卒業した者
- 歯科医師国家試験または歯科医師国家試験予備試験を受けられる者
- 外国の歯科技工士学校または歯科技工士養成所を卒業した者
- 外国で歯科技工士の免許を受けた者
歯科技工士国家試験は学説試験と実地試験に分かれており、試験科目には歯科理工学や歯の解剖学、顎口腔機能学などがあります。
厚生労働省「令和6年度歯科技工士国家試験の合格発表について」によると、歯科技工士国家試験の合格基準は、学説試験が80点満点中48点以上、実地試験が90点満点中54点以上です。なお、2024年度における合格率は93.3%となっています。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」
厚生労働省「歯科技工士国家試験の施行」
厚生労働省「令和6年度歯科技工士国家試験の合格発表について」
歯科技工士の平均年収
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、歯科技工士のきまって支給する現金給与額は32万9300円、所定内給与額(給料)は31万5400円、年間賞与等その他特別給与額は59万2000円でした。
「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与等その他特別給与額」で、歯科技工士の年収を算出すると、454万3600円となります。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
歯科技工士に向いている人の特徴
ここまで、歯科技工士の仕事内容や平均年収などについて見てきました。では、歯科技工士に向いている人の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。
緻密な作業が好き
歯科技工士の仕事は、細かい作業に集中して取り組める人に向いています。被せ物や入れ歯などは、かみ合わせが少しずれるだけで患者の違和感につながり、繊細な作業が必要になるからです。
また、デジタル技術の導入が進むなかでも、最終的な微調整は人の手で行うため、丁寧に作業を進められる力が求められるでしょう。
コミュニケーション能力がある
歯科技工士は基本的に作業に集中する時間が多いものの、歯科医師とのやりとりやほかの歯科技工士との協力作業もあるため、円滑なコミュニケーション能力が求められる傾向があります。被せ物や矯正装置などの製作では、歯科医師の要望を正確に把握し、必要に応じて提案や確認を行うことが求められるでしょう。
常に学び続けることが好き
歯科技工士は自ら学び続ける姿勢がある人に適した職業といえます。歯科技工士の業界では、医療の進歩にあわせて技術や使用する材料が日々進化しているようです。特に近年では、CAD/CAMによるデジタル化や新素材の開発が進んでおり、歯科技工士には最新の知識や技術の習得が求められる傾向があります。
歯科技工士の主な職場
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」によると、歯科技工士の主な職場は、歯科技工所や歯科診療所(歯科医院)、歯科技工士教育機関などです。
厚生労働省「現状と今後の検討の進め方について」によると、就業場所別に見た2022年時点での歯科技工士数は、以下のようになっています。
職場 | 歯科技工士の人数 |
---|---|
歯科技工所 | 2万4012人 |
病院・診療所 | 8159人 |
歯科技工士学校 または養成所 |
280人 |
事業所 | 249人 |
そのほか | 242人 |
参考:厚生労働省「現状と今後の検討の進め方について」
上記から、就業している歯科技工士が最も多いのが歯科技工所、次いで病院・診療所であることが分かります。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」
厚生労働省「第3回 歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会」
歯科技工士が独立開業する方法
歯科技工士が独立するには、歯科技工所を開業する方法があります。
歯科技工所とは歯科技工を業とする施設で、病院や診療所の中で自施設の患者の技工を行う場合は対象外ですが、外部からの依頼に応じる場合は歯科技工所としての規制を受けます。
e-Gov 法令検索「歯科技工士法 第二十一条」によると、歯科技工士が歯科技工所を開設した場合、開設後10日以内に開設の場所や管理者の氏名などを保健所に届け出なければなりません。構造や設備にも衛生・品質管理の基準が設けられており、これらを満たすことが開業の前提となります。届出を怠ると30万円以下の罰金が科されることがあり、手続きを正確に行うことが大切です。
参考:e-Gov 法令検索「歯科技工士法」
歯科技工士は医師の指示をもとに人工的な歯を作る職種
- 歯科技工士とは医師の指示書にしたがって入れ歯や矯正装置などの作成や修理を行う職種
- 歯科技工士になるには、歯科技工士国家試験に合格しなければならない
- 歯科技工士に向いているのは、緻密な作業が好きな人や常に学び続けられる人である