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歯科器具の種類一覧!使用用途やメンテナンス方法とは?
3 days ago

「歯科で使用する器具にはどのようなものがあるの?」と気になる方もいるでしょう。歯科器具には、口腔鏡・探針・ピンセットなどの基本セットやマイクロモーター、スケーラーといった使用頻度の高いものがあります。この記事では、歯科器具の基本セットや使用頻度の高い器具、それぞれの使用用途について紹介するので、ぜひご一読ください。
歯科器具:基本セット
歯科器具における基本セットとは、以下の5つをまとめたもののことです。
- 口腔鏡
- 探針
- ピンセット
- バキューム
- エキスカベーター
ここでは、歯科器具の基本セットについてそれぞれ詳しく紹介します。
口腔鏡
口腔鏡とは、歯科医師が患者の口の中を観察するために使用する小さな鏡付きの歯科器具です。口腔鏡の使用により、奥歯の裏側などの直接見えにくい部分も確認できます。鏡の角度を調整することで光を反射させ、暗い部位を照らす照明の役割も果たすようです。
また、舌や頬をそっとよけることで歯科医師が処置しやすい視野を確保する補助器具としても活躍します。
探針
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「歯科用探針」によると、短針とは歯科診療で触診等に用いる手持型の器具(プローブ)のことです。短針の軸の先端の細い作業部分は用途に応じて針状または鉤型のもの、または鈍的形状のものがあります。短針は、患者の虫歯を探したりその進行度を調べたりするのに使用します。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「歯科用探針」
ピンセット
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「歯科用ピンセット」によると、ピンセットとは歯の診察や治療の際に必要な物体の保持・挿入・引出等に使用する歯科器具です。
ピンセットは、小さな物をつまんだり移動させたりするための器具で、詰め物や薬剤などを扱う場面で使われます。歯科治療では細部の作業が多く、歯科医師はピンセットを使って細かい作業を行っています。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「歯科用ピンセット」
バキューム
バキュームとは口腔内の唾液や水のほか、歯を削る際に発生する粉塵・金属片・血液なども吸い取る器具で、治療部位を乾燥させる役割もあります。また、患者の頬や舌を押さえることで器具の巻き込みを防ぎ、術者の視界を確保する補助機能も果たすようです。
バキュームは使用目的に応じて通常タイプや外科用、使い捨てのサライバエジェクター、根管治療時に使用するマルチサクションなど複数の種類があります。
エキスカベーター
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「エキスカベーター」によると、エキスカベーターとは虫歯の齲蝕象牙質(うしょくぞうげしつ)の切断および除去のために用いる、カーブの付いた切刃をもつ手持型歯科用器具のことです。
エキスカベーターは、虫歯の影響で柔らかくなった箇所を取り除く際に使用されます。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「エキスカベーター」
歯科器具:使用頻度が高いもの
ここまで、歯科器具の基本セットについて見てきました。では、そのほかの使用頻度が高い歯科器具にはどのようなものがあるのでしょうか。
マイクロモーター
マイクロモーターとは感染象牙質の除去時や修復物・補綴物の調整や研磨などの際に使用される歯科器具です。マイクロモーターはハンドピースに小型のモーターが付いており、1分間に100〜4万回転します。
スケーラー
スケーラーとは、患者の歯にこびりついた歯石や歯垢を効率的に取り除くための金属製の歯科器具です。スケーラーは先端が細く尖っており、患者の歯の表面に密着した汚れにピンポイントでアプローチできます。スケーラーの形状にはフック型や鎌型などの種類があり、いずれも鋭い先端を活かして細かい部位の清掃に使用されます。
スリーウェイシリンジ
スリーウェイシリンジとは噴霧(スプレー)によって口腔内を洗浄、あるいはエアーで口腔内を乾燥することにより、術野を注視しやすくする歯科器具です。
歯の治療では粉塵や水で術野が見えにくくなることがあるため、水だけ、空気のみ、スプレー(空気+水)の3通りの使い方ができるスリーウェイシリンジは歯科治療の補助に役立ちます。
歯科器具以外に使用頻度が高いもの
ここまで、歯科器具の基本セットやそのほかの使用頻度が高い歯科器具について見てきました。以下では、歯科器具以外に使用頻度の高いものを紹介します。
麻酔(表面麻酔・浸潤麻酔・伝達麻酔)
歯科医院で使用される麻酔の種類は、以下のとおりです。
- 表面麻酔:麻酔薬を歯茎に塗って表面の感覚を麻痺させる
- 浸潤麻酔:痛みをとりたい部分の歯肉に麻酔を注射する
- 伝達麻酔:比較的麻酔が効きにくい下顎の奥歯などに使用される
これらの麻酔は、治療内容や痛みの程度、患者の状態に応じて使い分けられます。
歯磨剤
歯磨剤とは、歯垢や着色汚れを落とすだけでなく、虫歯・歯周病の予防や口臭対策、知覚過敏の緩和などさまざまな効果を期待できる成分を含むオーラルケア用品です。目的や症状に合わせて適したタイプを選ぶことで、日常的な歯のセルフケアの効果を高められます。
綿球
綿球とは口腔内の洗浄や拭き取り、薬剤の塗布などに使われる消耗品です。綿球は歯科医師や歯科衛生士が、患者の口腔内という限られたスペースで安全かつ的確に処置を行うために欠かせません。綿球は使用する目的に応じてサイズが異なり、1cmは洗浄・消毒、7mmや5mmは薬剤塗布、3mmは止血や細部の処置に適しているとされています。
歯科器具のメンテナンス方法
ここまで、歯科器具の基本セットや使用頻度の高いものを見てきました。以下では、歯科器具のメンテナンス方法について紹介します。
洗浄
歯科器具のメンテナンス方法の一つは、洗浄です。
厚生労働省「令和6年度 院内感染対策講習会②」によると、洗浄とは対象物からあらゆる異物(汚れや有機物など)を取り除くこととされています。
歯科器具に付着した血液やタンパク質などの汚れを除去し、滅菌や消毒の効果を高めるための工程が洗浄といえます。器材の材質や汚染の程度に応じて洗浄剤の種類・濃度・温度などを適切に選ぶことが重要です。
用手洗浄・浸漬洗浄・超音波洗浄など、目的や器材に応じた洗浄方法を使い分けます。歯科器具の洗浄後は目視で確認し、洗浄不良がないことを確認することが大切です。
消毒
消毒も歯科器具のメンテナンス方法の一つです。
厚生労働省「令和6年度 院内感染対策講習会②」によると、消毒とは、生存する微生物の数を減らすこととされています。消毒は歯科器具に付着した病原性微生物を減らし感染リスクを下げる工程で、器材の材質や汚染の程度、対象微生物に応じた薬剤を選ばなければなりません。薬液消毒では濃度や温度の管理が必要で、すすぎ残しや薬剤の残留にも注意が求められます。
一方、ウォッシャーディスインフェクターによる熱水消毒は、薬剤の残留毒性がなく安全かつ経済的なメンテナンス方法とされています。
滅菌
歯科器具のメンテナンス方法の一つに、滅菌も挙げられます。
厚生労働省「令和6年度 院内感染対策講習会②」によると、滅菌とは細菌芽胞を含むすべての微生物を殺滅除去することです。
代表的な方法として高圧蒸気によるオートクレーブ滅菌があり、複雑な構造の器具にも蒸気を隅々まで行き渡らせることでより確実な滅菌が可能です。滅菌効果を検証・記録する「バリデーション」も行います。
参考:厚生労働省「令和6年度 院内感染対策講習会②」
歯科器具には治療時に必要となる基本セットがある
- 歯科器具の基本セットとは、診察や治療時に欠かせない標準的な道具のこと
- 歯科器具の使用頻度が高いものには、マイクロモーターやスケーラーなどが挙げられる
- 歯科器具のメンテナンス方法には洗浄や消毒、滅菌などが挙げられる