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介護職の接遇マナーとは?5原則や現場でのポイントを紹介
3 months ago

「介護職における接遇マナーとは、どのようなものかよく分からない」という方もいるでしょう。介護の現場では、接遇マナーの5原則と呼ばれる、挨拶・身だしなみ・表情・態度・言葉遣いを意識することが大切です。この記事では、介護職の接遇マナーやポイントについて紹介します。介護の現場で接遇マナーが求められる理由についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
接遇マナーとは?
接遇マナーとは、思いやりの気持ちを持って、相手をもてなすことを意味する「接遇」と、相手に不快感を与えないための礼儀作法のことを意味する「マナー」からなる言葉です。つまり、接遇マナーとは、相手への思いやりやおもてなしの気持ちが伝わる礼儀作法のことを指します。
接遇マナーは、主に接客業のような、お客さまと対面する職業や職種において、重要視されることが多いでしょう。職場によっては、接遇マナーを身に付けるための社内研修が実施されていることもあります。
介護の現場で接遇マナーが求められる理由
接遇マナーは、介護の現場においても重要だといわれています。では、なぜ接客業ではない介護職に接遇マナーが求められているのでしょうか。ここでは、介護の現場で接遇マナーが求められる理由を3つ紹介します。
利用者との信頼関係を築くため
介護職は、利用者やその家族との信頼関係を築くために、接遇マナーが必要とされています。介護の現場では、利用者が安心して過ごせる環境づくりが大切です。そのなかで欠かせないのが、利用者と介護職員との信頼関係でしょう。
たとえば、身体介護が必要な利用者に対する介護では、介護職員が利用者の身体を支える場面があります。その際、接遇マナーが身に付いている介護職員に対しては、信頼して身体を預けられると感じる利用者も多いでしょう。一方で、接遇マナーが身に付いていない介護職員に対しては、不信感が生まれ、居心地の悪さを感じる利用者もいると考えられます。そのため、介護職員は、利用者が居心地の良さを感じたり、安心感を得られたりするよう、相手への思いやりが伝わる行動をとることが大切です。
また、介護施設を利用する場合、利用者は家族がいない場所で介護を受けることになります。そのため、利用者家族のなかには、自身の家族が介護サービスを受けるにあたって、不安を感じる方も。その場合でも、介護職員に接遇マナーが身に付いていると、利用者家族の不安軽減や安心感につなげられるでしょう。
利用者の尊厳を守るため
介護現場で接遇マナーが求められる理由の一つは、利用者の尊厳を守るためです。介護の現場では、利用者に対して敬意や思いやりを持っていないと、介護ケアを提供している介護職員と、介護ケアを受けている利用者との間で上下関係が生まれやすくなります。
その結果、利用者に対して強い口調になったり、利用者の意思を確認せずに一方的な介護ケアを行ったりと、利用者の尊厳を傷つけることにつながる場合も。具体的には、利用者に対して「◯◯しないでください」と命令口調になったり、子どものような扱いをしたりするケースなどが挙げられます。
これらの行為は、利用者に対して悪意がなかった場合も、相手への敬意に欠ける行動だと捉えられる可能性が高いでしょう。場合によっては、利用者自身が「尊厳を傷つけられた」と不快に感じることもあります。そのため、介護職員は利用者と対等な関係であることを認識したうえで、対等でありながらも敬意を持って接していることが利用者にも伝わる行動・態度が大切です。
コミュニケーションを円滑にするため
介護の現場では、コミュニケーションを円滑に行うために、接遇マナーが求められています。たとえば、誰かに話をする際、相手が目を合わせて頷いていたり、相槌を打ちながら聞いていたりしていると、「自分の話をきちんと聞いてもらえている」と感じ、話がしやすくなった経験がある人もいるでしょう。このように、聞き手の態度や姿勢は、話し手の話しやすさに影響を与えます。
介護の現場では、利用者やその家族の考えを汲み取り、利用者が自分らしい生活を送れるよう、介護ケアを提供することが大切です。そのため、介護職員が利用者に寄り添う姿勢をとり、利用者が自身の意思を伝えやすい関係性を築けると、利用者とのコミュニケーションが円滑にとれるようになるでしょう。
また、接遇マナーを身に付けることで、介護職員同士のコミュニケーションがとりやすくなるメリットもあります。たとえば、日ごろから周囲への気配りができている職員が多い職場だと、積極的に声を掛け合って業務をサポートし合えたり、職場内の良い雰囲気や活気が生まれやすかったりするでしょう。また、職員間のコミュニケーションが円滑であると、良い雰囲気が利用者にも伝わり、多くの利用者がより快適に過ごせる環境づくりにもつながります。
介護職における接遇マナーの5原則
接遇マナーには、意識するべきポイントを示した5原則があります。5原則の項目は、「挨拶」「身だしなみ」「表情」「態度」「言葉遣い」の5つです。
ここからは、介護現場での例を挙げながら、接遇マナーの5原則の項目について見ていきましょう。
挨拶
挨拶は、コミュニケーションを行ううえでの基本となります。利用者やほかの職員、外部の施設の方など、職場で人と会った際には、大きな声で挨拶をすることが大切です。介護の現場では、明るい挨拶をすることで、利用者が過ごしやすい雰囲気が作れるでしょう。
介護現場での挨拶に関する接遇マナーに関するポイントは、以下のとおりです。
- 大きな声で相手に届くように挨拶をしているか
- 声色は明るいか
- 相手の目を見て挨拶をしているか
- 挨拶を返すときは手を止め、相手に目線を向けているか
- 介護ケアを行う際は、都度利用者に声掛けを行っているか
誰かに挨拶をされた際は、相手の目を見て挨拶を返すことも重要なポイントといえます。声だけで挨拶を返すと、相手に声が届かなかった場合、「挨拶を返されなかった」と相手に不快感を与えるおそれも。そのため、介護の現場では、忙しい場合も一度手を止め、相手にきちんと伝わるように目を見て挨拶を返すと良いでしょう。
身だしなみ
身だしなみは、相手への印象につながりやすい要素の一つです。そのため、介護の現場では、清潔感のある印象を与えられるよう、身だしなみを整える必要があります。具体的には、以下のようなポイントを意識し、身だしなみを整えると良いでしょう。
- 衣服に汚れは付いていないか
- 髪の毛は顔にかからないようにまとめているか
- 派手な服装や過度な化粧をしていないか
- ユニフォームがある場合、着崩さずに着用しているか
- 爪は短く切り揃えられているか
- 香水や洗剤、整髪剤などの強い匂いがしていないか
身だしなみを整えることは、安全に業務を行ううえでも大切です。たとえば、爪が長いと、身体介護を行う際に、利用者の肌を傷つけるおそれがあります。また、匂いに関しても、人によっては苦手な匂いがあったり、体質によっては体調不良を引き起こしたりするケースも。そのため、接遇マナーにおける身だしなみでは、見た目だけでなく、業務に支障をきたさないかという観点でもチェックすることが大切です。
表情
コミュニケーションにおいて、表情は相手の感情を読み取れる要素の一つです。介護の現場でも、表情から介護職員の感情が利用者に伝わることがあります。そのため、介護職の接遇マナーでは、以下のようなポイントをおさえておくと良いでしょう。
- 口角は上げ、目尻は下げた自然な笑顔が作れているか
- アイコンタクトをとりながら会話ができているか
- その場に適した表情ができているか
介護の現場において、笑顔は必要不可欠ですが、常に笑顔でいる必要はありません。その場に適していない表情をしていたり、過度な感情表現をしたりすると、かえって相手に不信感を与えることもあります。そのため、自然に相手に寄り添った表情で接するよう意識したり、表情が豊かになるよう、表情筋のトレーニングをしたりすることも大切です。
態度
態度は、相手との信頼関係を築くうえで注意すべきポイントの一つです。介護の現場での態度を、接遇マナーとしてふさわしいものにするためのポイントには、以下のようなものがあります。
- 忙しさが態度に出ていないか
- 足や腕を組んでいないか
- ダラダラと歩いていないか
業務が忙しい際に、明らかに忙しい様子で業務を行っていると、声を掛けづらく感じる利用者や職員も出てくるでしょう。その結果、コミュニケーション不足によるインシデントにつながるおそれもあります。そのため、介護現場での接遇マナーでは、一般的にマナーが悪いと捉えられやすい態度を改めるだけでなく、相手への気配りが感じられる態度をとるよう心掛けることが大切です。
言葉遣い
介護の現場では、相手への敬意が伝わりやすくなるよう、正しい言葉遣いをすることもポイントです。具体的には、以下のような点に注意すると良いでしょう。
- 利用者に対して敬語を使用しているか
- きつく聞こえる言葉を使用していないか
- 必要に応じて、クッション言葉を使用しているか
特に、敬語や丁寧語などは適切に使用しないと、相手に失礼な印象を与える場合があります。そのため、意識せずとも正しい言葉遣いができるよう、初めのうちは、介護の現場でよく使う言い回しをチェックしておくことも大切です。
また、介護の現場での言葉遣いでは、言い回しを工夫することで、より相手への思いやりの心が伝わりやすくなる場合もあります。たとえば、利用者やほかの職員に対して、何かを依頼する際、「◯◯をしてください」という表現を使うこともあるでしょう。この表現は、日本語として誤っているわけではありませんが、人によっては命令されているように感じる可能性もあります。
そのため、介護の現場では、「◯◯をしていただけますか」と相手に判断を委ねる表現にするのがおすすめです。この場合、柔らかい印象を与えられ、相手を思いやる気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
介護現場での接遇マナーに関するポイント
ここからは、介護現場での接遇マナーに関するポイントを4つ紹介します。
利用者への敬意が伝わる接し方をする
介護現場では、利用者への敬意が伝わるよう、接遇マナーを意識しながら接する必要があります。
介護の現場では、親しい利用者に対して敬語を使わなかったり、利用者の名前をあだ名で呼んだりするケースも見られるようです。利用者のなかには、このような行動に対して親しみを感じるため、気に留めないという方もいるでしょう。しかし、利用者の家族やほかの利用者から見ると、利用者への敬意が欠けていると捉えられる可能性もあります。
そのため、介護の現場の接遇マナーでは、敬語を使用したり、利用者の名前をきちんと呼んだりと、利用者への敬意が伝わる適切な距離感を保つことが大切です。
利用者に合わせたコミュニケーションをとる
介護職員は、利用者一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとることも大切です。たとえば、コミュニケーションをとる際、心地良いと感じる相手との距離感は人によって異なります。
介護の現場でも、相手との距離が近いほうが安心感を得られる利用者もいれば、一定の距離感を保ったコミュニケーションを好む利用者もいるでしょう。そのため、介護職員は、利用者の性格や考え方を考慮し、目の前の相手に合わせたコミュニケーションをとることが大切です。
具体的な接遇目標を立てる
介護職員は接遇マナーを身に付けるために、具体的な接遇目標を立てることもポイントです。介護職員の接遇目標は、以下のようなものが考えられます。
- 利用者と目線を合わせて会話をする
- 介助をする際には、利用者への声掛けを積極的に行う
- 出勤したら、利用者に挨拶をしてから業務に取り掛かる
介護職員のなかには、接遇マナーが重要であることは理解していても、実際に何を意識すれば良いのか分からないという方もいるでしょう。その場合は、具体的な目標を立て、自身の振る舞いを振り返ることで、まだ身に付いていない接遇マナーや意識的に行動に起こすべきポイントが明確になります。
職員間のコミュニケーションも接遇マナーを意識する
介護の現場では、職員間のコミュニケーションにおいても、接遇マナーを意識することが大切です。介護現場での職員間の会話は、利用者の耳に届く場合もあります。よって、職員間のコミュニケーションで丁寧さに欠ける言葉遣いをしていたり、ほかの職員に対して敬意のない接し方をしていたりすると、利用者からの信頼も失いかねないでしょう。
また、職員間の関係性は、職場の雰囲気に影響を与えることもあります。そのため、介護現場では、ほかの職員に対しても敬意を払った行動をとることが大切です。
介護現場では接遇マナーを意識した行動をとろう
- 介護職における接遇マナーとは、利用者への思いやりが伝わる礼儀作法のこと
- 介護の現場での接遇マナーは、利用者との信頼関係を築くうえで必要
- 介護職の接遇マナーの5原則は、挨拶・身だしなみ・表情・態度・言葉遣いの5つ
- 介護の現場では、職員間のコミュニケーションにおいても接遇マナーが重要
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