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宿直とは?日直や夜勤との違いを解説!

7 days ago

「宿直とはどのような働き方を指すのか分からない」という方もいるでしょう。宿直とは、夜間に病院で待機し、定期的な病室の巡回や緊急の文書・電話の収受などを行うことです。宿直においては、ほとんど労働をしないことが原則となります。この記事では、宿直と当直・夜勤の違いや許可基準を紹介しています。また、医療業界における宿直の業務内容や、「しんどい」と感じる主な理由についても解説するので、ぜひご覧ください。

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宿直とは

宿直とは、看護師や医師などが夜間に職場へ泊まり込み、緊急対応に備えて待機する勤務形態のことです。宿直では、通常の業務は行わず、夜間に急変などが発生した際に速やかに対応できるように配置されます。

厚生労働「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、継続的な宿直または日直勤務については労働基準監督署長の許可を受けることで、労働基準法で定める労働基準、休憩および休日に関する規定の適用を除外することが可能です。e-Gov 法令検索「労働基準法」によると、適用を除外できる労働基準の規定は以下のようになっています。

  • 労働基準法第32条:使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない
  • 労働基準法第34条:使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない
  • 労働基準法第35条:使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない

また、職員を継続的に宿直に就かせる場合には、施設の事業主が労働基準監督署に「継続的な宿直又は日直勤務許可申請書」を提出し、許可を受けたうえで定められた条件を守らなければなりません。

参考:e-Gov 法令検索「労働基準法」

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宿直の許可基準

厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」によると、医師や看護師の宿直許可基準は、以下のとおりです。

  • 通常の勤務時間の拘束から完全に開放されたあとのものである
  • 宿日直中に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限る
  • 宿直の場合は、夜間に十分な睡眠をとれる
  • 一般の宿日直許可の際の条件を満たしている

上記のように、宿直は通常業務から解放された待機勤務であることを前提に、軽度かつ短時間の業務に限定して労働基準監督署に許可されています。宿直する人が十分な睡眠や休息が確保できる体制であることも条件となるため、事業者が労働基準監督署の許可を受ける際には勤務体制や業務内容を確認し、宿直の許可基準に適合するよう環境を整えることが大切です。

参考:厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」

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宿直と当直の違い

宿直と当直の違いは、勤務する時間帯です。宿直は夜間に行う待機勤務で、当直は日中・夜間を問わず当番制で勤務時間外に行う待機勤務を指します。

宿直と当直はどちらも法定労働時間には含まれず、基本的に職員は通常業務をせずに待機し、緊急対応に備えるのが役割です。なお、当直のなかでも日中に行う勤務を「日直」、夜間に行う勤務を「宿直」と呼び、両者をまとめて「宿日直(日当直)」と表現する場合もあります。

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宿直と夜勤の違い

宿直と夜勤の違いは、「通常業務を行うか」「労働時間として扱うか」です。宿直は夜間に待機して基本的に通常業務をせず、法定労働時間には含まれません。一方、夜勤は日勤と同様の業務を夜間に行い、労働基準法上の労働時間に含まれます。

以下に宿直と夜勤の違いをまとめました。

項目 宿直 夜勤
労働時間 法定労働時間に含まれない 法定労働時間に含まれる
(週40時間以内)
業務内容 緊急時対応など最低限の対応のみ 日勤と同様の通常業務
睡眠設備 ベッドなどの睡眠設備あり 休憩や仮眠設備のみ
届出 労働基準監督署への届出が必要 届出不要
手当 宿日直手当 深夜割増賃金
上限回数 原則週一回まで 特に規定なし

宿直と夜勤は似ているようで、労働条件や制度上の扱いが異なる点に注意が必要です。宿直と夜勤の詳しい違いについて、以下で紹介します。

労働時間

宿直は法定労働時間外の扱い、夜勤は法定労働時間内の扱いというのが主な違いです。夜勤は日勤と同様に原則週40時間・1日8時間以内の枠で勤務する必要がありますが、宿直は緊急対応を目的とした待機であり、労働時間として計算されません。宿直と夜勤は夜間に働くという共通点はあっても、労働時間の捉え方が異なります。

業務内容

宿直と夜勤は「担当できる業務の範囲」が異なることも違いの一つです。宿直はあくまで緊急時の対応を目的とした待機要員であり、通常の業務は行いません。宿直中に許可されるのは定期巡回や電話・来客の対応など限られた業務にとどまり、非常事態に備えた態勢を整えるのが主な役割です。

一方、夜勤は、日勤と同じ内容の通常業務を夜間帯に継続して行う勤務形態であり、仕事内容に制限はありません。つまり、夜勤は昼間の業務を夜間にシフトして行うものであるのに対し、宿直はあくまでも「待機」が本務である点が異なります。

睡眠設備

「睡眠設備の必要性」も宿直と夜勤の異なる点です。宿直の場合は、労働基準監督署の許可を得る条件として、職員がしっかり休息できる仮眠室や宿直室などの睡眠設備を整えることが求められます。

厚生労働省「医療機関における宿日直許可 ~申請の前に~」によると、宿直業務は、夜間に十分な睡眠が取り得るものであるとされており、ベッドや寝具などの睡眠が可能な設備を設けなければなりません。
単なるソファや会議室では労働基準監督署から宿直の許可は下りず、ベッドや寝具など就寝を目的とした設備が求められ、申請時には見取り図や写真も提出する必要があります。

一方、夜勤については法定の仮眠設備の設置義務はなく、基本的には日勤と同様に休憩を取れば問題ありません。労働基準法で仮眠時間の確保は義務付けられていませんが、職員は休憩時間に仮眠をとるケースもあるようです。

参考:厚生労働省「医療機関における宿日直許可 ~申請の前に~」

届出

宿直には届出が必要ですが、夜勤には届出が不要です。宿直を導入する場合、事業者は労働基準監督署に「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」を提出して許可を得なければなりません。これは、宿直が法定労働時間外の待機勤務とされるため、緊急対応に備えた環境が整っているかを労働基準監督署が確認する必要があるからです。

厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」によると、「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」には、宿日直に従事する人数や回数、手当、就寝設備の内容など細かい情報を記載しなければなりません。

一方、夜勤は法定労働時間内で通常業務を行う勤務形態であるため、労働基準監督署への届出は原則不要となっています。

参考:厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」

手当

支給される手当の性質や計算方法も宿直と夜勤の違いの一つです。厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」によると、宿直勤務1回の宿直手当の最低額は、事業場において宿直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われる賃金の、一人1日平均額の3分の1を下らないものとされています。

一方、夜勤の手当は「深夜手当」「夜勤手当」の2種類です。e-Gov 法令検索「労働基準法第37条」によると、深夜手当は午後10時から午前5時までの労働に対して支払われる割増賃金のことです。深夜の割増賃金は、通常賃金の2割5分以上の割増となります。また、夜勤手当は事業所ごとに任意で設定されるため、金額や支給方法は職場ごとに異なるようです。夜勤手当が基本給に含まれている場合もあり、その場合は別途、夜勤手当の支給がないこともあるでしょう。

参考:e-Gov 法令検索「労働基準法」

上限回数

宿直と夜勤では勤務できる回数の制限に違いがあります。厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」によると、宿直業務は原則として週1回が限度です。ただし、職員全員が宿直業務を行ってもなお、人員不足であったり、労働密度が低かったりする場合は週1回を超える宿直が認められるケースもあります。

一方、夜勤には回数の上限は法律で定められておらず、週40時間の法定労働時間を超えない限り、回数に制限なくシフトを組むことが可能です。

参考:厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」

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宿直の業務内容

ここまで、宿直の概要や許可基準、当直や夜勤との違いについてみてきました。では、宿直の業務内容にはどのようなものがあるのでしょうか。厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」を参考に、医師と看護師の業務内容を以下で紹介します。

医師の宿直の業務内容

宿直中の医師の業務は、以下のとおりです。

  • 少数の要注意患者の状態の変動に対応するための問診などによる診察や、看護師に対する指示・確認
  • 休日・夜間において、少数の軽傷の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するための、問診等による診察等や看護師に対する指示・確認

宿直中の医師の業務は少数の患者に対する問診や診察、看護師への指示などに限定されます。医師の宿直業務は、あくまでも待機が中心で、手術後で容態の変化が心配される患者や、休日・夜間に軽傷で来院した外来患者などへの必要最低限の対応を行うことです。

具体的には、問診・簡易的な診察・軽度の処置・看護師への指示・確認といった範囲にとどめ、通常の日勤業務のような本格的な診療行為は行いません。

看護師の宿直の業務内容

宿直中の看護師の業務は、以下のとおりです。

  • 休日・夜間において、少数の軽症外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するための問診等を行うことや医師に対する報告を行うこと
  • 病室の定時巡回や患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈・検温を行うこと

宿直中の看護師の業務は、限られた患者の健康管理や医師への報告などに限られます。具体的には、夜間や休日に軽症の外来患者やかかりつけ患者が来院した場合の問診・観察・必要に応じた医師への報告・病室の定時巡回・要注意患者の定時検脈・検温などが中心です。

通常の看護業務のように処置やケアを行うのではなく、緊急時に備えた最低限の対応を行う役割とされるのが特徴といえます。

参考:厚生労働省「継続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する既定の適用除外許可申請について」

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宿直を「しんどい」と感じる主な理由

ここまで、宿直についてや、当直・夜勤との違い、業務内容についてみてきました。ここでは、宿直を「しんどい」と感じる理由について紹介します。

宿直が「しんどい」と感じられる主な理由は、長時間拘束や緊急時対応への不安、気の抜けない環境などです。宿直は基本的に軽微な業務に限られているものの、夜8時から翌朝8時までなど勤務時間が長くなる傾向があります。

さらに、勤務人数が少なく一人で対応しなければならない場面もあり、トラブル発生時のプレッシャーや責任の重さで精神的に負担を感じやすいようです。仮眠時間があっても熟睡できないケースもあり、気を張り続ける状況に疲弊することも考えられます。こうした要素が重なり、「宿直はきつい」と感じることもあるでしょう。

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宿直とは、夜間に職場に泊まり込みで待機すること

  • 宿直とは夜間に職場へ泊まり込み、緊急対応に備えて待機する勤務形態のこと
  • 宿直は法定労働時間外の待機勤務を指し、夜勤は日勤同様の業務を法定労働時間内に行う
  • 宿直を「しんどい」と感じる主な理由は、長時間拘束や緊急時対応への不安などである

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