豆知識
医療現場でのカンファレンスとは?目的や種類を紹介
12 days ago

「医療現場でのカンファレンスとはどのようなものかよく分からない」という方もいるでしょう。医療現場におけるカンファレンスとは、患者の状況や治療方針などについて、情報共有・意見交換を行う場のことです。この記事では、医療現場でのカンファレンスの目的や種類について紹介します。医療現場でのカンファレンスの進め方や参加するときのポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
カンファレンスとは?医療現場での目的
「カンファレンス(conference)」とは、会議や協議会、相談などを意味する言葉です。一般的には、複数の人が集まり、特定のテーマに対して意見を交わす場のことをカンファレンスと呼びます。ビジネスシーンにおいては、「ミーティング」より規模が大きく、よりオフィシャルな要素が強い会議のことを、カンファレンスと呼ぶケースが多いようです。
一方、医療現場で行われているカンファレンスは、ビジネスシーンでのミーティングに近く、数人から数十人の小規模で行われることも多いでしょう。医療の現場では「カンファ」と略され、より良い医療を提供するための情報共有や意見交換の場として、週に1回や月に1回など、定期的に開催されるのが一般的です。
ここからは、医療現場でのカンファレンスの主な目的を3つ紹介します。
チーム間での情報共有
医療現場でのカンファレンスの主な目的は、チームや他職種間で情報共有を行うことです。医療現場では、チームで連携をとりながら、日々の業務に取り組んでいます。そのため、チーム全体で治療方針などに対する共通認識をもつことが重要です。
カンファレンスでは、患者の状態を共有し合うことで、治療のゴールやチームの一人ひとりが取り組むべきことを明確にする目的もあります。
質の高い医療を提供するための意見交換
医療現場でのカンファレンスには、より質の高い医療を提供するための意見交換を行う目的もあります。特に規模の大きな病院では、一人の患者の治療に対して、複数の職種が関わっているケースも。そのため、医療現場でのカンファレンスは、病状や治療の内容について多角的に捉えられるよう、複数の職種が集まり、専門的な視点での意見を交わす場となっています。
人材育成やスキルアップ
医療現場でのカンファレンスは、多くの考えや症例に触れられるため、人材育成や個人のスキルアップの場として活用されることもあります。特に、現場での経験が浅い職員にとって、カンファレンスは、チームでの連携のとり方や職場での動き方を知る貴重な機会です。また、カンファレンスでは、自分とは異なる視点での意見が集まりやすいことから、現場経験が豊富な職員にとっても、知識を深められる場となるでしょう。
医療現場でのカンファレンスの種類
医療現場でのカンファレンスは、参加者や目的などによって、複数の種類に分けられるのが特徴です。ここでは、医療現場でよく行われるカンファレンスの種類を7つ紹介します。
ケアカンファレンス
ケアカンファレンスとは、言葉のとおり、「ケア」に焦点を当てたカンファレンスのことです。ケアカンファレンスでは、医師や看護師などの病院職員に加え、患者や患者の家族も参加し、治療方針についての情報を共有したり、意見を交わしたりします。
治療は、患者やその家族と医療従事者がともに向き合うことが大切です。そのため、ケアカンファレンスでは、患者自身が治療の内容をきちんと把握しているか、患者や家族の意向に沿った治療方針になっているか確認します。
チームカンファレンス
チームカンファレンスとは、医師や薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、複数の職種が集まり、専門的な視点から意見交換を行う場です。ほかのカンファレンスに比べると、より多くの職種が集まることから、「多職種カンファレンス」と呼ばれることもあります。
複数の職種が一つのチームとして連携をとりながら業務を行う「チーム医療」を行う上で、チームカンファレンスは必要不可欠です。自身の職種の役割だけでなく、治療全体の流れをつかむことで、新しいアプローチの方法が浮かんだり、他職種と連携することで効率良くケアを行えたりすることもあるでしょう。
ウォーキングカンファレンス
ウォーキングカンファレンスとは、入院患者のベッドサイドを訪問して行われるカンファレンスの一種です。ウォーキングカンファレンスでは、患者とともに検査や処置の内容の確認を行ったり、患者の状態や医療機器、ベッド周辺の環境をチェックしたりします。
患者の様子を実際に見ながら看護業務の引き継ぎを行うことで、効率良く状況を把握したり、患者の意向を確認しながらケアを進めたりするのが、ウォーキングカンファレンスの主な目的です。
退院前カンファレンス
退院前カンファレンスとは、入院患者が退院後、スムーズに自宅や施設での療養生活に移行できるよう、病状や今後の過ごし方などについての情報を共有するカンファレンスのことです。退院前カンファレンスでは、病院の医療ソーシャルワーカーなどが中心となり、在宅での生活支援を行う施設や事業所の職員へ情報共有を行います。
そのため、退院前カンファレンスには、ケアマネジャーや訪問看護師など、病院外の関係機関の職員も参加するのが特徴です。退院前カンファレンスでは、地域の関係機関の職員と実際に顔を合わせて話すため、退院後の連携体制の構築や、患者と各機関の職員の顔合わせの場にもなっています。
デスカンファレンス
デスカンファレンスとは、患者が亡くなった際に、患者の病状の経過やケアの内容について振り返り、今後のケアに活かすための意見交換を行うカンファレンスのことです。デスカンファレンスでは、できなかったことや不十分であったことだけでなく、患者の状態や希望を踏まえて実際に行えたケアを整理する目的もあります。その結果、今後の取り組みやほかの患者へのケアに活かせる気づきを得られることもあるでしょう。
ストラテジーカンファレンス
ストラテジーカンファレンスとは、管理職や経営陣が集まり、病院の経営方針や戦略について意見を交わす会議のことです。病院では、患者の病状や治療の方針など、個々の症例を取り上げて話し合うカンファレンスが多く行われています。一方で、ストラテジーカンファレンスの場合、具体的な医療ケアの方法ではなく、病院全体の経営や運営上の課題などが主な議題となるのが特徴です。
オープンカンファレンス
オープンカンファレンスとは、病院内外の医療従事者や関係者向けに、自院での症例や取り組みを発表する場のことです。場合によっては、症例検討会と呼ばれることもあります。オープンカンファレンスは、専門知識を深めることや関係者と交流することなどを目的とし、一般的な講演会や学会に近い形で開催されるのが特徴です。
オープンカンファレンスの議題は、実際の業務に直接関係する内容ではないため、基本は自由参加であることが多いでしょう。そのため、自身の知識を増やしたい方や、地域の関係機関の職員との交流を深めたい方などが自主的に参加するものであることも、オープンカンファレンスの特徴の一つです。
医療現場でのカンファレンスの進め方
ここまで、医療現場で行われるカンファレンスの種類を見てきました。カンファレンスは種類によって、長さや規模、参加者などが異なります。しかし、基本的な進め方は共通している部分が多いでしょう。
医療現場でのカンファレンスの基本的な進め方は、以下のとおりです。
- 主催者がテーマに沿った資料を準備する
- 資料に沿って、議題を提示する
- 参加者が意見を交換する
- 議論の内容の振り返り・まとめをする
特定の事例に対して意見を交わすカンファレンスの場合、事例提供者が話す内容を聞いた後、その内容について残りのメンバーが質問をしたり、意見を交わしたりする流れが一般的です。
一方、前述のウォーキングカンファレンスのように、規模が小さいものや、情報共有の意味合いが強いカンファレンスの場合、情報の提示と質疑応答のみで簡潔に行われるケースもあるでしょう。
医療現場でのカンファレンスに参加するときのポイント
実際にカンファレンスに参加する際、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。ここからは、医療現場でのカンファレンスに参加するときのポイントを3つ紹介します。
積極性・主体性をもって参加する
カンファレンスには積極的に参加し、常に主体性をもって話を聞くことがポイントです。発言の機会がないカンファレンスに参加する場合は特に、受動的になりやすいでしょう。しかし、ただ話を聞くのではなく、自分ならどのように対応するかを考えたり、新たな視点や考え方を取り入れたりすることが大切です。
主体的に情報を捉える姿勢をもってカンファレンスに参加すると、学びを得られる機会も多く、有意義な時間となるでしょう。
時間を守って発言する
医療現場でのカンファレンスは、実際の医療ケアと並行して行われています。そのため、計画された時間どおりにカンファレンスが進められるよう、時間を意識しながら参加・発言することが大切です。
参加者が多いカンファレンスでは、症例について説明する際や、自身の意見を発言する際など、時間制限が設けられている場合もあるでしょう。その場合は、持ち時間を越えないよう、要点をまとめ簡潔に述べるよう意識することが重要です。症例の報告などを行う際は、先輩職員の報告方法を参考にするのも良いでしょう。
担当以外の患者の状況も把握する
医療現場のカンファレンスに参加する際は、自身の担当患者以外の情報もメモをとるなどし、把握するよう努めることが大切です。
チームや病棟で行われるカンファレンスでは、患者の情報や病状を基に、必要なケアや治療方針などについて話し合います。そのため、自身の担当外の症例についても、メモをとり把握しておくと、今後の自身のケアに活かせることもあるでしょう。また、これまでの経験を基に新しいアイデアが浮かぶと、チームとしてのケアの質向上にもつなげられます。
医療現場でのカンファレンスとは情報共有を行う場
- 医療現場でのカンファレンスは種類によって、参加者や規模などが異なる
- 医療現場でのカンファレンスは、他職種間での情報共有や意見交換も行われる
- 医療現場でのカンファレンスには、積極性・主体性をもって参加することが大切