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歯科衛生士は男性も活躍できる?男女比やニーズを紹介
3 days ago

「歯科衛生士は男性も活躍できる職種なのかよく分からない」という方もいるでしょう。歯科衛生士は、男性が少ない傾向にあるものの、男性も活躍できる職種の一つです。この記事では、男性歯科衛生士の現状やニーズについて紹介します。男性歯科衛生士がキャリアアップする方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
男性の歯科衛生士は少ない?
政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、労働者人数が10人以上の企業における歯科衛生士の労働者人数は、全体で5万3980人です。
その内訳は、男性歯科衛生士が370人、女性歯科衛生士が5万3610人となっています。男性歯科衛生士は、女性歯科衛生士と比べると非常に人数が少なく、男性歯科衛生士の割合は、歯科衛生士全体の約0.7%です。
男性歯科衛生士が少ない要因の一つは、歯科衛生士法による歯科衛生士の定義において、「女子」という言葉が使用されていたことが影響しているといわれています。
厚生労働省「歯科衛生士法の一部を改正する法律の施行について」によると、歯科衛生士法は、1955年の法改正によって、定義に「女子」という言葉が使われるようになりました。男子については準用規定を設ける形で表記されていたものの、定義において「女子」と明記されていることから、「歯科衛生士は女性の職業」というイメージがつきやすい背景があったと考えられます。
厚生労働省「歯科衛生士法の一部改正の施行について(通知)」によると、その後、2014年の法改正によって、「女子」という言葉は「者」に変更されました。現在では「歯科衛生士は女性の職業」というイメージは薄れつつあり、法改正から10年経った2024年時点での男性歯科衛生士の人数は、前述のとおり、約370人まで増加しています。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
厚生労働省「歯科衛生士法の一部を改正する法律の施行について」
厚生労働省「歯科衛生士法の一部改正の施行について(通知)」
男性歯科衛生士の主な職場
公益社団法人日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」によると、歯科衛生士の主な職場には、以下のようなものがあります。
- 診療所
- 病院・大学病院
- 行政
- 歯科衛生士教育養成機関
- 企業・事業所
- 歯科健診・保健活動機関
- 社会福祉施設
- 介護保険施設
- 地域包括支援センター
- 研究機関
同資料によると、研究機関や商品開発・営業を行う一般企業、歯科衛生士教育養成機関などでは、ほかの職場に比べると、男性歯科衛生士が活躍している割合が高い傾向にあるようです。
参考:公益社団法人日本歯科衛生士会「調査報告書」
男性歯科衛生士のニーズ
男性歯科衛生士は、女性歯科衛生士と比べると数が少ないのが現状であるものの、男性歯科衛生士に対するニーズは十分にあると考えられます。ここからは、男性歯科衛生士のニーズを見ていきましょう。
力仕事を効率良く行える
歯科衛生士の業務には、薬品や器具、カルテの箱などの移動のように、力のいる仕事も含まれます。男性の場合、女性に比べると比較的筋力がある方が多いため、力仕事を効率良く行える点での男性歯科衛生士に対するニーズは高いでしょう。
男性による処置を希望する患者に対応できる
患者のなかには、「女性が苦手」や「女性歯科衛生士に口の中を見られることに抵抗がある」などの理由から、男性による処置を希望する方もいるようです。男性歯科衛生士が勤務している診療所や病院であれば、このような患者の希望に応えられるため、男性歯科衛生士には一定のニーズがあると考えられます。
ライフイベントによる退職が比較的少ない
男性の場合、女性に比べると、妊娠や出産などのライフイベントに伴う退職が少ないといわれています。男性歯科衛生士も、出産や育児のための一時的な休暇をとるケースはあるものの、女性に比べると、退職に至るケースは少ないようです。そのため、職場によっては、「より長く働き続けられる」と捉える場合もあるでしょう。
男性歯科衛生士の給与事情
政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、男性歯科衛生士の給与に関する金額は、以下のとおりです。
- 所定内給与額:33万1900円
- 年間賞与その他特別給与額:50万7600円
一方、歯科衛生士と同様に、国家資格を有する職種である「歯科技工士」の男性の場合、給与額は以下のとおりとなっています。
- 所定内給与額:34万2400円
- 年間賞与その他特別給与額:70万2900円
歯科衛生士の給与は、同じ歯科医療の分野で働く歯科技工士と比べると、やや少ない傾向にあります。そのため、男性歯科衛生士のなかには、スキルアップや資格取得などをとおして、年収アップを目指す方もいるようです。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
男性歯科衛生士がキャリアアップするには?
男性歯科衛生士がキャリアアップする方法の一つに、業務で活かせる資格を取得することが挙げられます。ここでは、「認定歯科衛生士」と「歯科技工士」の2つの資格について見ていきましょう。
認定歯科衛生士の資格を取得する
歯科衛生士のキャリアアップにつながる関連資格の一つが、公益社団法人日本歯科衛生士会による認定資格である「認定歯科衛生士」です。公益社団法人日本歯科衛生士会「認定歯科衛生士について」によると、認定歯科衛生士資格には、複数の専門分野が設けられており、それぞれの認定研修を受講することで資格が取得できます。
専門分野は、歯科の分野に対する理解を深められるものから、歯科衛生士の指導・教育に関するものまでさまざまです。そのため、自分の目的にあったものを選んで取得できるのが、認定歯科衛生士資格の特徴であり、メリットといえるでしょう。
なお、認定歯科衛生士の認定研修を受講するには、一定の実務経験が必要となります。そのため、認定歯科衛生士は、歯科衛生士としてある程度の経験を積み、さらなるスキルアップやキャリアアップを目指す方におすすめの資格です。
参考:公益社団法人日本歯科衛生士会「認定歯科衛生士について」
歯科技工士とのダブルライセンスを目指す
男性歯科衛生士が歯科技工士の資格を取得すると、キャリアアップにつながるうえ、活躍の幅も広がるでしょう。
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」によると、歯科技工士とは、歯科医師の指示に従い、人工的な歯や被せ物、矯正装置などを作成・修繕する職種です。国家資格である歯科技工士は、国家試験の合格によって資格が取得できます。
なお、歯科技工士の国家試験を受験する場合、歯科技工士教育機関に2年以上通い、指定科目を履修することが必要です。歯科技工士教育機関のなかには、夜間部を併設している学校もあるため、歯科衛生士として働きながら、歯科技工士の資格取得を目指すことも可能でしょう。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科技工士」
歯科衛生士は男性も活躍できる職種
- 2024年時点での男性歯科衛生士は、歯科衛生士全体の約0.7%と非常に少ない
- 男性歯科衛生士は、研究機関や歯科衛生士の教育養成機関などで多く活躍している
- 男性歯科衛生士がキャリアアップするには、関連資格の取得がおすすめ