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MEとはどんな職種?臨床工学技士の主な業務内容やなり方を紹介

8 days ago

「MEとはどのような職種かよく分からない」という方もいるでしょう。MEとは臨床工学技士を指す名称で、人工呼吸器や人工透析装置などの医療機器を扱う専門職のことです。この記事では、MEの主な業務内容や職場について紹介します。MEになる方法や国家試験の概要、キャリアアップにつながる資格についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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MEとは?

MEとは、「Medical Engineer」の略で、臨床工学技士を指す用語です。臨床工学技士は、ME機器と呼ばれる医用工学(Medical Engineering)を用いた機器を扱うことから、その呼び名がついたとされています。

MEとCEの違い

MEと似た用語に「CE」があります。CEとは「Clinical Engineer」の略で、MEと同様に臨床工学技士を指す用語です。つまり、MEもCEも臨床工学技士を指す用語で、意味の違いはありません。

1988年に臨床工学技士法が施行されてから、臨床工学技士は、臨床を意味する「clinical」を用いた「CE(Clinical Engineer)」と呼ばれるようになりました。その結果、医療機関によって、MEやCEなどの呼び方の違いが生じているようです。

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MEの主な業務内容

MEの業務内容は、医療機器の操作や保守点検・管理などが代表的です。ここでは、MEの主な業務内容を紹介します。

生命維持管理装置の操作

MEの主な業務は、医師の指示の下、人工呼吸器や人工透析装置、人工心肺などの生命維持管理装置を操作することです。医療機関では、手術室や集中治療室、検査室など、さまざまな場所で生命維持管理装置が使用されています。ほかの職種と連携を取りながら、治療や手術の際に生命維持管理装置を操作したり、機器のメンテナンスを行ったりするのが、MEの主な役割です。

また、生命維持管理装置の操作に付随する業務として、薬剤の投与や透析治療の際に行われる穿刺(体内に針を刺す業務)も、MEが行う場合があります。

手術室業務

MEは、手術で使用する医療機器の操作や点検、メンテナンスなどを行います。手術室で使用される医療機器は、電気メスなどの小さなものから麻酔器などの大型の機器まで、さまざまです。MEはこれらの機器を管理し、手術が円滑かつ安全に行われるよう、医師のサポートも行います。

医療機器管理業務

MEは、医療機器の安全性を保ったり、機器の性能を維持したりするため、医療機器の保守・点検を行います。医療スタッフが使いやすい機器を他職種と連携して選定したり、故障時には修理対応をしたりするのも、MEの業務の一つです。

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MEの主な職場

公益社団法人日本臨床工学技士会「臨床工学技士の業務実態報告 2023」によると、2023年の調査時点での、臨床工学技士の勤務先別割合は、以下のとおりです。

勤務先 人数 割合
病院(医育機関附属の病院を除く) 7932人 76.1%
診療所 1233人 11.8%
医育機関(医学部を有する大学またはその附属機関) 976人 9.4%
臨床工学技士養成施設・大学 142人 1.4%
企業・メーカー 43人 0.4%
訪問看護施設 4人 0.0%
そのほか 45人 0.4%
休業中・無職 48人 0.5%
合計 1万423人 100%

参考:公益社団法人日本臨床工学技士会「臨床工学技士の業務実態報告 2023」

臨床工学技士の多くは、実際にME機器を扱う病院や診療所などの医療機関で働いています。一方で、臨床工学技士としての経験を活かし、教育機関や医療機器メーカーなどで働く臨床工学技士もいるようです。

参考:公益社団法人日本臨床工学技士会「【調査・統計委員会(統計委員会など)報告】」

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MEになるには?

公益社団法人日本臨床工学技士会「技士免許取得の方法」によると、MEになるには、臨床工学技士養成校において厚生労働大臣の指定する科目を修得した後、国家試験への合格が必要です。

臨床工学技士養成校には、大学(4年制)や短大(3年制)、専門学校(3~4年制)などがあります。看護師や臨床検査技師などの医療系国家資格の養成所や大学、高等専門学校などで一定期間修業し、指定の科目を履修している方向けの専攻科(1~2年制)では、通常より短期間で国家試験の受験資格が得られるのが特徴です。

臨床工学技士国家試験の概要

厚生労働省「臨床工学技士国家試験の施行」、公益財団法人医療機器センター「午前問題」、公益財団法人医療機器センター「午後問題」、厚生労働省「第38回臨床工学技士国家試験の合格発表について」によると、2025年に実施された臨床工学技士国家試験の概要は、以下のとおりです。

項目
概要
試験日時 - 2025年3月2日(日)
- 午前と午後の二部制(午前9時30分~正午、午後1時30分~午後4時)
試験地 - 北海道
- 東京都
- 大阪府
- 福岡県
試験科目 - 医学概論(公衆衛生学・人の構造および機能・病理学概論・関係法規を含む)
- 臨床医学総論(臨床生理学・臨床生化学・臨床免疫学・臨床薬理学を含む)
- 医用電気電子工学(情報処理工学を含む)
- 医用機械工学
- 生体物性材料工学
- 生体機能代行装置学
- 医用治療機器学
- 生体計測装置学- 医用機器安全管理学
合格発表 - 2025年3月26日(水)
合格基準 - 1問1点の配点
- 180点満点中108点以上(全体の60%以上の得点率)

参考:厚生労働省「臨床工学技士国家試験の施行」
公益財団法人医療機器センター「午前問題」
公益財団法人医療機器センター「午後問題」
厚生労働省「第38回臨床工学技士国家試験の合格発表について」

臨床工学技士の国家試験は、年に1回、例年3月の上旬に実施されています。
なお、公益財団法人医療機器センター「臨床工学技士国家試験 出題基準について」によると、2026年の3月に実施予定の第39回臨床工学技士国家試験より、出題基準が変更となるようです。

臨床工学技士国家試験の合格率

厚生労働省「国家試験合格発表」によると、過去5年の臨床工学技士国家試験の合格率は、以下のとおりです。

実施年度(実施回) 受験者数 合格者数 合格率
2020年度(第34回) 2,652人 2,232人 84.2%
2021年度(第35回) 2,603人 2,096人 80.5%
2022年度(第36回) 2,706人 2,311人 85.4%
2023年度(第37回) 2,630人 2,068人 78.6%
2024年度(第38回) 2,598人 2,049人 78.9%

参考:厚生労働省「第34回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第35回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第36回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第37回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第38回臨床工学技士国家試験の合格発表について」

過去5年間の臨床工学技士国家試験の合格率は、80%前後で推移しています。ただし、前項で述べたとおり、2025年度(第39回)の試験から出題基準が変更となるため、第39回以降、試験の難易度が変わる可能性もあるでしょう。

参考:公益社団法人日本臨床工学技士会「技士免許取得の方法」
厚生労働省「臨床工学技士国家試験の施行」
公益財団法人医療機器センター「過去の試験問題等」
厚生労働省「第38回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
公益財団法人医療機器センター「臨床工学技士国家試験 出題基準について」
厚生労働省「第34回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第35回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第36回臨床工学技士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第37回臨床工学技士国家試験の合格発表について」

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MEのキャリアアップにつながる資格

MEには、臨床工学技士の国家資格を取得後、キャリアアップにつながる民間資格が複数あります。ここでは、「専門臨床工学技士」と「認定臨床工学技士」の資格の概要について見ていきましょう。

専門臨床工学技士

公益社団法人日本臨床工学技士会「専門・認定臨床工学技士制度について 2025年度版(2025年5月作成)」によると、専門臨床工学技士とは、指導的立場で専門的治療の対応ができる知識や技術、技能を有する臨床工学技士の育成を目的とした認定制度のことです。

専門臨床工学技士には、以下の7つの資格があります。

  • 専門呼吸治療臨床工学技士(「専門CE」呼吸治療)
  • 専門血液浄化臨床工学技士(「専門CE」血液浄化)
  • 専門手術臨床工学技士(「専門CE」手術)
  • 専門不整脈治療臨床工学技士(「専門CE」不整脈治療)
  • 専門心・血管カテーテル臨床工学技士(「専門CE」心・血管カテーテル)
  • 専門高気圧酸素治療臨床工学技士(「専門CE」高気圧酸素治療)
  • 専門内視鏡臨床工学技士(「専門CE」内視鏡)

専門臨床工学技士は、上記の領域ごとにeラーニングによる講習が設けられています。講習の受講後、検定試験に合格すると、資格が得られる仕組みです。専門臨床工学技士の検定試験は、前半90分・後半90分の計180分で実施されます。
なお、専門臨床工学技士の資格取得後は、5年ごとの資格更新が必要です。

認定臨床工学技士

公益社団法人日本臨床工学技士会「専門・認定臨床工学技士制度について 2025年度版(2025年5月作成)」によると、認定臨床工学技士とは、臨床工学技士の基礎的な資格として、医療機器の安全運用や保守管理の普及と啓発を目的とした認定制度です。

認定臨床工学技士には、以下の5つの資格があります。

  • 認定血液浄化臨床工学技士(「認定CE」血液浄化)
  • 認定集中治療臨床工学技士(「認定CE」集中知慮)
  • 認定医療機器管理臨床工学技士(「認定CE」医療機器)
  • 認定手術臨床工学技士(「認定CE」手術)
  • 認定医療安全臨床工学技士(「認定CE」医療安全)

認定臨床工学技士は、専門臨床工学技士と同様に、領域ごとの講習を受講し、検定試験に合格すると資格が得られます。認定臨床工学技士の認定試験時間は、120分です。
また、資格の有効期限は5年間となっているため、専門臨床工学技士と同様に、5年ごとに更新する必要があります。

参考:公益社団法人日本臨床工学技士会「専門・認定臨床工学技士制度」
 
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ME(臨床工学技士)とは医療機器を扱う専門職のこと

  • MEとは臨床工学技士を指す用語で、CEとも呼ばれる
  • MEの主な業務は、生命維持管理装置などの医療機器の操作や保守・点検
  • MEになるには、臨床工学技士国家試験への合格が必要

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