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保育士になるには?資格の取得方法や就職までの流れを解説!
10 days ago

保育士になるにはどうすれば良いのか分からない方もいるでしょう。保育士になるには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する必要があります。保育士試験は、条件を満たすことで、保育士とは関係のない学校を卒業した場合も受験資格を得られます。ここでは、保育士資格の取得方法や必要な費用と期間、就職までの流れについて解説するので、ぜひご一読ください。
保育士になるには
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「保育士」によると、保育士になるには、保育士資格が必要となります。保育士資格を取るには、養成課程のある学校や施設を卒業、もしくは保育士試験に合格しなければなりません。
e-Gov 法令検索「児童福祉法第18条18」によると、保育士資格をもっている人が保育士になるには、保育士登録簿に氏名や生年月日、その他内閣府令で定める事項を登録しなければならない旨が記載されています。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「保育士」
e-Gov 法令検索「児童福祉法」
保育士になるために必要な資格
前述のとおり、保育士になるには保育士資格が求められます。
厚生労働省「保育士になるには?」によると、保育士資格とは、保育を行ううえで必要な専門知識が備わっていることを、公的に証明する制度です。保育士資格は、養護と教育に関する知識や技術を備え、保護者への支援を行えることを示します。
参考:厚生労働省「保育士になるには?」
保育士資格の取り方
厚生労働省「保育士になるには?」によると、保育士の資格を取得するには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格しなければなりません。保育士資格の取得方法について、それぞれ詳しくみていきましょう。
指定保育士養成施設を卒業する
厚生労働省「保育士になるには?」によると、指定保育士養成施設を卒業した場合、保育士試験を受けることなく資格を得られます。主な指定保育士養成施設は、4年制大学や2年制の短期大学、2〜3年制の専門学校などです。
指定保育士養成施設の場合、実際の現場で実習を行えるため、実践的に保育について学べるでしょう。
保育士試験を受験する
厚生労働省「保育士になるには?」によると、受験資格を満たし、年2回実施される保育士試験に合格すれば、保育士資格を得られます。そのため、指定保育士養成施設以外の学校を卒業した場合も、保育士を目指すことは可能です。
保育士養成課程等検討会「保育士資格関係資料」によると、保育士試験の受験資格は、以下のとおりとなっています。
- 大学や短期大学に2年以上在学して62単位以上修得した人
- 高校卒業後に2年以上児童福祉施設で勤務し、2880時間以上児童の保護に従事した人
- 5年以上(7200時間以上)児童の保護に従事した人
また、通常の保育士試験とは別に、都道府県・自治体によっては「地域限定保育士試験」が実施されることもあるようです。
厚生労働省「地域限定保育士試験の概要」によると、地域限定保育士試験の合格者は、地域限定保育士として登録後、3年間は受験した自治体(特区区域内)のみで保育士として働けます。
地域限定保育士の登録を行ってから3年を経過すれば、全国で保育士として働くことが可能です。
また、通常の保育士試験で合格した科目については、地域限定保育士試験においても免除され、地域限定保育士試験で合格した科目も、次回以降の保育士試験において免除されます。
参考:厚生労働省「保育士になるには?」
保育士養成課程等検討会「保育士資格関係資料」
厚生労働省「地域限定保育士試験の概要」
保育士資格の試験概要
保育士資格の試験概要を受験資格と試験科目に分けてみていきましょう。
受験資格
厚生労働省「保育士になるには?」によると、保育士試験の受験資格はおおむね「短期大学卒業程度」とされています。ただし、最終学歴が高等学校卒業の場合も、「児童福祉施設で実務経験2年以上」といった条件を満たすことで受験することが可能です。
参考:厚生労働省「保育士になるには?」
試験科目
厚生労働省「保育士になるには?」によると、保育士試験は、筆記と実技の2段階に分かれています。
筆記の試験科目は以下のとおりです。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
上記9つの試験科目に合格しなければ、保育士資格の実技試験に進めません。
保育士資格の実技試験は、「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3つから2分野を選択します。
参考:厚生労働省「保育士になるには?」
保育士試験の合格者数
こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)」によると、2023年における保育士試験の受験申請者数は6万6625人で、合格者数は1万7955人でした。保育士試験の合格率を、合格者数÷受験申請者数×100%で算出すると、26.9%となります。
保育士になるために必要な費用と期間
保育士になるために必要な費用と期間は、資格の取得方法によって異なります。指定保育士養成施設を卒業する場合と保育士試験を受ける場合のそれぞれについて、見ていきましょう。
指定保育士養成施設を卒業する場合
指定保育士養成施設を卒業する場合は、入学金や授業料、教材費などが必要です。
指定保育士養成施設に該当する2年制短期大学の場合の費用は、1年次に110万〜150万円ほど、2年次に90万〜110万円ほどが目安となります。
また、指定保育士養成施設に該当する4年制大学の場合の費用は、1年次に110万〜150万円ほど、2〜4年次には年間90万〜130万円ほどが相場のようです。
指定保育士養成施設に該当する専門学校の場合の費用は、1年次に110万〜125万円ほど、2年次に94万〜114万円ほどが相場となります。
保育士になるための期間は、短期大学に通う場合で2年、大学で4年、専門学校で2年程度必要になるでしょう。
保育士試験を受ける場合
保育士試験を受ける場合は、受験料や参考書代のほか、通信講座を利用する場合はその費用も必要になります。
保育士養成課程等検討会「保育士資格関係資料」によると、保育士試験の受験料は1万2700円(別途事務手数料が必要)です。保育士試験を受ける場合の参考書代は、数冊買うことを考慮すると5000円〜1万円程度かかります。
また、通信講座を受講する場合の費用は、2万〜9万円ほどが相場です。
資格試験を受験して保育士になる場合に必要な期間は、個人の能力や勉強方法などにより異なりますが、90〜180時間が目安とされています。
参考:保育士養成課程等検討会「保育士資格関係資料」
保育士の資格取得までのスケジュール例
ここでは、保育士試験を受験して保育士資格を取得するまでのスケジュール例を紹介します。保育士試験は前期と後期で年に2回実施されるため、それぞれ参考にしてみてください。
1月ごろ | 7月ごろ | 受験資格を満たし、保育士試験に申し込む |
4月ごろ | 10月ごろ | 筆記試験を受ける |
6月ごろ | 12月ごろ | 筆記試験の合格発表 |
6月ごろ | 12月ごろ | 筆記試験に合格した場合は、実技試験を受ける |
7月ごろ | 1月ごろ | 実技試験の合格発表 |
7月ごろ | 1月ごろ | 実技試験に合格したら、登録事務処理センターにて保育士登録をする |
先述のとおり、筆記試験で9科目すべてに合格しなければ実技試験に進めないため、不合格となった場合は、再度筆記試験を受けなければなりません。ただし、9科目の中ですでに合格している科目は、3年間(条件を満たした場合は最長5年)免除されるようです。
保育士資格の取得要件を満たしたあとは、登録事務処理センターにて保育士登録を行います。保育士登録に期限は設けられていませんが、登録手続きには2ヶ月程度掛かるため、なるべく早めに済ませておきましょう。
保育士の資格試験に合格するための勉強法
保育士の資格試験に合格する勉強法には、独学と通信講座受講の2つの方法があります。それぞれの勉強方法について詳しくみていきましょう。
独学で勉強する
保育士の資格試験に合格するための勉強法の一つとして、独学が挙げられます。独学で保育士の資格試験を受ける場合は、テキストを一通り読み込むことが大切です。そして、過去問や問題集を繰り返し解き、自分の苦手な分野を把握し復習しておきましょう。
独学で保育士の資格試験を受験する場合、費用を抑えながら、自分のペースで好きな時間や場所で勉強できるのが主なメリットです。独学の場合、「自分の苦手な分野に重点的に取り組む」といった柔軟な学習計画を立てられるでしょう。
自分に合った参考書や問題集、過去問などを活用し、計画的に学習を進めることが大切です。
通信講座を受講する
保育士の資格試験に合格するための勉強方法には、通信講座を受講することも挙げられます。通信講座では、テキストや動画講義、添削課題、模擬試験など、さまざまな教材やサポートを活用して学習を進められるのが特徴です。
通信講座を受講する場合、 法改正などの最新情報も随時提供されるため、常に最新の情報に基づいて学習できるのがメリットといえます。
保育士として就職するまでの主な流れ
指定保育士養成施設を卒業または保育士試験に合格し、保育士登録を行うことで、保育士として就職できます。
厚生労働省「保育士登録の取扱いについて」によると、保育士の登録申請は、申請時点で居住している都道府県で行うこととされています。
厚生労働省「保育士登録の円滑な実施について」によると、保育士登録に必要な書類は以下のとおりです。
- 保育士登録申請書
- 指定保育士養成施設卒業証明書または保育士養成課程修了証明書(指定保育士養成施設を卒業した場合)
- 保育士試験合格通知(保育士試験に合格した場合)
申請時点で居住している都道府県で保育士登録を行い、保育士証を受け取ります。保育士証を受け取ったら、仕事を探し、働くことが可能です。
参考:厚生労働省「保育士登録の取扱いについて」
厚生労働省「保育士登録の円滑な実施について」
保育士に関するよくある質問
ここでは、保育士に関するよくある質問にお答えしています。
保育士の年収はどれくらい?
e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、保育士のきまって支給する現金給与額は27万7200円、所定内給与額は27万300円、年間賞与等その他特別給与額は74万1700円でした。「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与等その他特別給与額」で保育士の年収を算出すると、 406万8100円となります。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
保育士になるメリットとは?
保育士になるメリットは、居住地やライフステージが変わっても、資格を活かして働き続けられる点です。保育現場は全国各地にあるほか、保育士資格は更新不要で一度取得すれば一生ものの資格となります。転居や結婚・出産などのライフイベントで一度仕事から離れたとしても、再就職しやすいのが強みです。
また、正社員だけでなく、パートや派遣社員などの選択肢があるため、ライフステージに応じた働き方ができる点もメリットでしょう。
保育士に向いている人の特徴とは?
厚生労働省「おしえて!先輩保育士さん保育の豆知識」によると、保育士に向いているのは、「探求心」「楽しめる気持ち」「目標に向かって突き進む力」が備わっている人です。保育には正解がなく、子どもの個性や状況、タイミング、発達段階などによって保育のパターンは異なります。
日常生活の中で楽しみを見つけるのが得意であったり、目標を立てて達成できるように行動していたりする場合は、保育士に向いているでしょう。
参考:厚生労働省「おしえて!先輩保育士さん保育の豆知識」
保育士になるには、国家資格の取得が必要
- 保育士資格を取るには指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する
- 保育士になるには資格取得後、居住している都道府県で登録を行い保育士証を受け取る
- 保育士になるための勉強法には、独学または通信講座の受講がある