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介護報酬とは?単価・単位や改定が与える影響を解説

3 days ago

「介護報酬とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。介護報酬とは、事業者が利用者に提供した介護サービスに対して、事業者に支払われるサービス費用のことです。この記事では、介護報酬の算定方法や単位・単価について紹介します。介護保険サービスの一覧や介護報酬の改定が与える影響についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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介護報酬とは

厚生労働省「介護報酬について」によると、介護報酬とは、介護サービス事業者が利用者に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用のことです。介護報酬は、各サービスごとに設定されており、基本的なサービス提供にかかる費用に加えて、各事業所のサービス提供体制や利用者の状況などによって加算・減算される仕組みとなっています。

なお、介護報酬は、サービス費用の9割を保険者である市町村が、残りの1割を被保険者である介護サービス利用者が負担するのが原則です。ただし、厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」によると、一定以上の所得がある利用者の場合、利用者負担額がサービス費用額全体の2割または3割となることもあります。

また、介護報酬は、介護保険事業計画に基づき、定期的に見直し・改定がされるのも特徴です。厚生労働省「今後のスケジュール(案)等」によると、介護保険制度は原則3年を1期とするサイクルで事業計画が立てられています。そのため、介護報酬もそのサイクルに合わせて、3年ごとに改定されるのが基本です。

ただし、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」のとおり、臨時改定として、消費税増税への対応や介護人材の処遇改善などを目的とした介護報酬改定が行われることもあります。

参考:厚生労働省「介護報酬について」
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
厚生労働省「第119回社会保障審議会介護保険部会の資料について」
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

介護保険サービスの一覧

厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」によると、介護保険で利用できるサービスは、介護給付によるサービスと予防給付によるサービスの大きく2つに分けられます。
介護給付によるサービスは要介護1~5の認定を受けた方が、予防給付によるサービスは要支援1~2の認定を受けた方が利用の対象です。

厚生労働省「介護保険制度をめぐる状況について」によると、介護保険で利用できるサービスには、以下のようなものがあります。

                                     
給付の分類サービスの種類サービスの種類ごとの事業形態
介護給付を行う
サービス
居宅介護サービス - 訪問サービス(訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導)
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 通所サービス(通所介護・通所リハビリテーション)
- 短期入所サービス(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
施設サービス - 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
地域密着型介護サービス - 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
居宅介護支援
予防給付を行う
サービス
介護予防サービス - 訪問サービス(介護予防訪問入浴介護・介護予防訪問看護・介護予防訪問リハビリテーション・介護予防居宅療養管理指導)
- 介護予防特定施設入居者生活介護
- 介護予防福祉用具貸与
- 特定介護予防福祉用具販売
- 通所サービス(介護予防通所リハビリテーション)
- 短期入所サービス(介護予防短期入所生活介護・介護予防短期入所療養介護)
地域密着型介護予防サービス - 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防小規模多機能型居宅介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
介護予防支援

参考:厚生労働省「介護保険制度をめぐる状況について」

介護報酬は、上記のサービスごと、さらには利用状況に応じて「単位」が定められているのが特徴です。事業者に対して支払われる費用は、単位に基づき、算定されます。

参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」
厚生労働省「第116回社会保障審議会介護保険部会の資料について」

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介護報酬の算定方法

厚生労働省「地域区分」によると、介護報酬の基本的な算定方法は以下のとおりです。

サービスごとに算定した単位数×1単位の単価=事業者に支払われるサービス費

なお、介護報酬の算定に用いられる単位数や単価は、サービスの内容や地域などによって定められています。介護報酬の単位と単価については、後述をご覧ください。

参考:厚生労働省「第224回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」

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介護報酬の単位とは

厚生労働省「介護報酬の算定構造」によると、介護報酬の単位は、介護サービスの種類やサービスの提供時間などによって設定されているのが特徴です。
ここでは、一例として、訪問介護における基本部分の単位を紹介します。

サービスの種類
単位
身体介護 - 20分未満:163単位
- 20分以上30分未満:244単位
- 30分以上1時間未満:387単位
- 1時間以上:567単位(30分を増すごとに+82単位)
生活援助 - 20分以上45分未満:179単位
- 45分以上:220単位
通院等乗降介助 - 1回:97単位

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

介護報酬の単位は、上記のような基本単位をもとに、条件によって加算・減算され、算出されるのが決まりです。
たとえば、加算の対象となる項目には、20分以上の身体介護に引き続き生活援助を行うケースや2人の訪問介護員によるサービスの提供、夜間や早朝の対応などが挙げられます。一方で、事業所が高齢者虐待防止措置を行っていなかったり、業務継続計画を未策定であったりすると、介護報酬は減算され、事業所が受け取れる金額が少なくなる仕組みです。

参考:厚生労働省「介護報酬」

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介護報酬の単価とは

厚生労働省「地域区分」によると、介護報酬の単価は、「10円」を基準とし、サービス別の人件費割合と地域別に定められた割合を上乗せして算出されます。具体的には、「10円×人件費割合×地域別上乗せ割合」で算出された金額を基準の10円に上乗せしたものが、1単位の単価です。

ここからは、同資料を参考に、サービス別の人件費割合と、地域別の上乗せ割合について、詳しく見ていきましょう。

サービス別人件費割合

介護報酬の単価は、介護サービスの種類によって、人件費割合が上乗せされます。同資料によると、介護サービスごとの人件費割合の区分けは、以下のとおりです。

介護サービスの種類
上乗せ割合
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 居宅介護支援
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
70%
- 訪問リハビリテーション
- 通所リハビリテーション
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 短期入所生活介護
55%
- 通所介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型通所介護
45%

参考:厚生労働省「地域区分」

介護サービスは、提供するサービスの種類によって、人件費にかかる割合が異なります。そのため、サービス種類に合った適切な介護報酬が支払われるよう、上記の3つの区分が設けられ、それぞれに上乗せ割合が設定されているのが特徴です。

地域区分

地域区分(級地)とは、各市町村ごとに設定されている上乗せ割合のことです。同資料によると、地域区分ごとの上乗せ割合は以下のとおりです。

  • 1級地:20%
  • 2級地:16%
  • 3級地:15%
  • 4級地:12%
  • 5級地:10%
  • 6級地:6%
  • 7級地:3%
  • そのほか:0%

地域区分(級地)は、1級地は東京都の特別区、2級地は横浜市や大阪市などのように、従業員の賃金が高い地域から順に区分けされているのが特徴です。地域区分の適用地域は、従業者の賃金や隣接地域の状況などを考慮し、定期的に見直し・変更されることもあります。

前述の人件費割合を踏まえると、1級地における訪問介護の場合、1単位の単価の算出方法は以下のとおりです。

  • 10円×70%(訪問介護)×20%(1級地)=1.4円
  • 10円(基準金額)+1.4円=11.4円

そのほかの地域の場合、上乗せ割合は0%となるため、1単位の単価はサービスの種類にかかわらず、基準の10円となります。

参考:厚生労働省「第224回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」

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介護報酬の改定が与える影響とは

ここまで、介護報酬の仕組みや算定方法について見てきました。では、実際に介護報酬が改定されると、介護の現場にはどのように影響するのでしょうか。ここからは、介護報酬の改定が与える影響を紹介します。

事業所の収益

介護報酬の改定に伴い、大きな影響を受ける可能性があるのが事業所の収益です。介護報酬の単位や単価の値、加算・減算の条件などが改定されると、これまでと同じ条件かつ同様のサービスを提供していても、事業所の収益が変動することがあります。
そのため、介護サービス事業者には、事業所の収益を確保できるよう、介護報酬改定の動向を確認しながら、事業所の運営に反映していく対応が求められるでしょう。

従業員の給料

介護報酬改定により、事業所の収益が増えると、事業所で働く従業員の給料に増収分が還元されるケースもあります。厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」によると、過去には2024年度の介護報酬改定により、介護職員の処遇改善に関する加算項目が整備されました。その結果、2025年度には介護職員の賃金が2%ベースアップできるよう、加算率が引き上げられています。

このように、介護報酬改定は従業員の給料に影響を与えることもあるため、改定された際には、介護職員も改定内容をチェックしておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

提供するサービスの内容

介護報酬改定では、サービスごとに設定されている単位数が変更されることもあるため、事業所が提供するサービスの内容にも影響を与える可能性があります。

たとえば、特定のサービスの対応が強化される新たな加算要件が設けられた場合、事業所によっては、そのサービスの提供を新たに始めたり、中心となるサービスをシフトしたりするケースもあるでしょう。その結果、主な業務内容が変化したり、新しい業務に携わる場面が増えたりすることも。このように、介護報酬改定は、事業所の従業員の働き方にも影響を与える可能性があると考えられます。

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介護報酬とは事業者が受け取る介護サービス費用のこと

  • 介護報酬とは、事業者が提供する介護サービスへの対価として支払われる費用のこと
  • 介護報酬は介護保険事業計画に基づき、原則3年ごとに改定される
  • 介護報酬はサービスの内容や人件費割合、地域などによって金額が算定される
  • 介護報酬は事業所の収益や従業員の給料、提供サービスの内容などに影響を与える

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