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栄養士とは?主な仕事内容や管理栄養士との違いを解説!
2 months ago

栄養士への転職を検討している方のなかには、どのような仕事をするのか気になる方もいるでしょう。栄養士の主な仕事内容は、献立作成や栄養指導、食材の管理などです。この記事では、栄養士の仕事内容に加えて平均年収や管理栄養士との違いをご紹介します。また、栄養士になるための方法や必要な資格、主な就職先についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
栄養士とは?
厚生労働省「栄養士」によると、栄養士とは、病院・社会福祉施設・企業・学校・行政機関などで、栄養に関する指導・助言や食事の管理などを行う職種です。
また、e-Gov法令検索「栄養士法」により、栄養士は都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者と定められています。
栄養士の主な仕事内容
厚生労働省「栄養士」によると、栄養士の主な仕事内容は、病院や保健所、学校などで食事管理を行うことです。患者や生徒の健康や栄養状態、材料の種類、予算などを考慮しながら献立作成を行います。
また、食事療法の際に医師が処方する指示書「食事せん」をもとに、入院患者の病状に合わせて食事内容を考えることも栄養士の仕事です。
さらに、国や自治体が行う健康や栄養についての広報活動や調査研究、食品系の企業で消費者向けの広報や調査、相談などを行うこともあります。
参考:厚生労働省「栄養士」
栄養士の平均年収
e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、栄養士のきまって支給する現金給与額は27万4000円、所定内給与額(給料)は25万8400円、年間賞与等その他特別給与額は65万4600円でした。
「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与等その他特別給与額」で栄養士の平均年収を算出すると、 394万2600円となります。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
栄養士になるには
厚生労働省「栄養士」によると、栄養士になるためには、厚生労働大臣の指定した栄養士養成施設を卒業しなければなりません。
厚生労働大臣の指定する栄養士養成施設には、通信教育や夜間の学校は含まれておらず、すべて昼間の学校となっています。厚生労働大臣が指定する栄養士養成施設には、4年制の大学や2年制の短期大学、2〜4年制の専門学校などがあるようです。
文部科学省「3 栄養士、管理栄養士制度の概要」によると、栄養士養成施設における必修科目は以下のようになっています。
- 社会生活と健康
- 人体の構造と機能
- 食品と衛生
- 実験・実習
- 栄養と健康
- 栄養の指導
- 給食の運営
- 実習
栄養士になるためには、栄養士養成施設で2年以上必要な知識及び技能を修得しなければなりません。そのうえで都道府県知事に申請し、免許を取得することで、正式に栄養士として働けるようになります。
参考:厚生労働省「栄養士」
文部科学省「3栄養士、管理栄養士制度の概要」
栄養士と管理栄養士の主な違い
栄養士と管理栄養士の主な違いは、主な対象者や担える業務の範囲、資格の取得方法です。
栄養士は主に健康な人を対象に、栄養指導や食事管理などを行う人を指します。
e-Gov法令検索「栄養士法」によると、管理栄養士は、傷病者を対象として療養のために必要な栄養の指導を行う職種です。個人の身体の状況や栄養状態などに応じた高度な専門的知識・技術を要します。
「特定保健指導」といった健康の保持増進のための栄養指導や、特別な配慮を必要とする給食管理などを行えるのが管理栄養士です。
また、栄養士は養成施設を卒業し、都道府県知事に申請することで免許を受けられます。一方、管理栄養士は養成施設を卒業し、国家試験に合格することで、厚生労働省から免許を受けられるのが違いです。
参考:e-Gov法令検索「栄養士法」
栄養士の需要
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「栄養士」によると、2023年における栄養士の有効求人倍率は4.27倍です。全職業の有効求人倍率は例年1.3倍前後で推移しているため、栄養士の場合は求職者一人あたりの求人数が比較的多く、採用側としては人材が不足していることが分かります。
高齢化社会の進展や健康志向の高まりなどにより、病院や介護施設はもちろん、学校や企業などにおいても栄養に関する専門知識が重要視される傾向があるようです。そのため、栄養士の需要は、今後も安定して高い水準を維持することが見込まれるでしょう。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「栄養士」
栄養士の主な就職先
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「栄養士」によると、栄養士が活躍している主な職場は、以下のとおりです。
- 病院
- 社会福祉施設
- 小・中学校
- 食品会社
栄養士は、病院や社会福祉施設、学校、企業などで働くのが一般的です。そのほか、栄養士として経験を積んだあとに栄養コンサルタントとしてフリーで働いたり、フードコーディネーターとして独立開業したりすることも可能でしょう。
栄養士が活躍している主な職場について、以下に詳しくまとめました。
病院
病院では、患者一人ひとりの病状や栄養状態に応じた食事の提供が、栄養士に求められます。栄養士は、入院患者の健康維持や回復を目的に、栄養学的な視点から栄養バランスの取れた食事を提供することが大切です。
社会福祉施設
栄養士は社会福祉施設で、利用者の身体状況を考慮して栄養バランスの取れた食事を提供します。特に介護施設では、疾患を抱える方や食事が進みにくい方、噛む力や飲み込む力が低下している方などがおり、「ミキサー食にしてほしい」「きざみ食にしてほしい」といったさまざまなニーズに対応する必要があるでしょう。
小・中学校
栄養士は小・中学校において、学校給食の献立作成や衛生管理などを担います。栄養士は、文部科学省が定める「学校給食摂取基準」に基づいて給食を提供しなければなりません。
和食・洋食・中華をはじめ、行事食や郷土料理、世界各国の料理など、子どもたちが食文化に触れられるような工夫も栄養士には求められるでしょう。
また、栄養士の仕事においては、食べ物のアレルギーへの対応も重要です。アレルギーの原因材料を取り除いた献立を作成するなど、食べ物へのアレルギーがある子どもたちが安全に給食を食べるための配慮も必要になります。
食品会社
食品会社で働く栄養士は、商品開発や研究、企画業務などに携わるようです。栄養士は、消費者のニーズや市場動向を調査し、栄養バランスやカロリーなどを考慮したうえで新商品の開発を行います。
商品の見た目や味だけでなく、健康面への配慮が重視される現代では、栄養士の専門知識が求められる傾向にあるようです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「栄養士」
栄養士から管理栄養士になるための方法
栄養士から管理栄養士になるには、栄養士免許を取ったあとに実務経験を積み、管理栄養士国家試験に合格しなければなりません。
厚生労働省「管理栄養士国家試験」によると、管理栄養士国家試験の受験資格を得られるのは、以下のいずれかを満たす場合です。
- 修業年限が2年の栄養士養成施設を卒業後、3年以上栄養指導に従事した者
- 修業年限が3年の栄養士養成施設を卒業後、2年以上栄養指導に従事した者
- 修業年限が4年の栄養士養成施設を卒業後、1年以上栄養指導に従事した者
- 修業年限が4年の管理栄養士養成施設を卒業後、栄養士免許を取得した者
管理栄養士国家試験の受験資格を得るには、栄養士免許の取得後に一定の実務経験を積む必要があります。ただし、4年制の管理栄養士養成施設を卒業した場合のみ、栄養士免許の取得後すぐに管理栄養士国家試験を受験することが可能です。
同資料によると、管理栄養士国家試験の試験科目は、以下のようになっています。
- 社会・環境と健康
- 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
- 食べ物と健康
- 基礎栄養学
- 応用栄養学
- 栄養教育論
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 給食経営管理論
管理栄養士国家試験は、例年2〜3月ごろに行われているようです。
また、厚生労働省「管理栄養士国家試験実施状況」によると、管理栄養士国家試験における例年の合格率は、50~65%程度となっています。
参考:厚生労働省「管理栄養士国家試験」
厚生労働省「管理栄養士国家試験実施状況」
栄養士とは、人の健康を支える食の専門職のこと
- 栄養士とは栄養に関する指導や助言、食事管理などを行う職種のこと
- 栄養士の主な仕事内容は、患者や生徒などの健康を考えた献立を作成すること
- 栄養士になるには、厚生労働大臣が指定する養成施設を卒業する必要がある