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ダブルケアとは?問題点と対策、行政支援の例を紹介

a day ago

「ダブルケアとは?」とよく分からない方もいるでしょう。ダブルケアとは、育児と介護を同時に行う状態のことで、該当する人は「ダブルケアラー」と呼ばれます。この記事では、ダブルケアの現状や問題点、どのような対策をとればよいのかについて解説します。ダブルケアラーに対する行政支援にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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ダブルケアとは

内閣府 男女共同参画局「コラム1 一人で育児と介護を同時に担う『ダブルケア』」によると、ダブルケアとは、1人で育児と介護のケアを同時に担う状態のことです。

近年、初婚年齢や出産年齢が上がり、育児世代の平均年齢が上昇傾向にあります。そのため、子どもの育児を行いながら、親や祖父母の介護を行わなければならない状況になる人が増えており、問題視されるようになりました。

なお、「ダブルケア」の状態にある人は、「ダブルケアラー」と呼ばれます。

参考:内閣府 男女共同参画局「コラム1 一人で育児と介護を同時に担う『ダブルケア』」

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ダブルケア人口の現状

実際に、ダブルケアをしている人はどのくらいいるのでしょうか。
内閣府 男女共同参画局「第9図 ダブルケアをしている者の数及び割合(男女、就業状況別、年齢階級別・令和4(2022)年)」の2022年の調査によると、ダブルケアをしている人は全国に約201,000人います。そのうち、仕事をしながらダブルケアを行っている人は約158,000人いるようです。また、男女・年齢階級別のおおよその人数は、以下のとおりとなっています。

年齢階級 男性 女性
15~24歳 3,000人 2,000人
25~29歳 3,000人 7,000人
30~34歳 10,000人 20,000人
35~39歳 22,000人 36,000人
40~44歳 28,000人 45,000人
45~49歳 10,000人 6,000人
50歳以上 8,000人 2,000人
合計 84,000人 117,000人

参考:内閣府 男女共同参画局「第9図 ダブルケアをしている者の数及び割合(男女、就業状況別、年齢階級別・令和4(2022)年)」

ダブルケアラーは男性より女性の方が多く、年齢では40~44歳の人が最も多いのが特徴です。また、男女共通して30~34歳になると、25~29歳よりダブルケアラーの人数が3倍近く増えています。

なお、この調査の「育児をしている状態」とは、未就学児の育児に限定して集計が取られているため、小学生の育児をしている人まで含めると、さらに人数が多いことが予測できるでしょう。

参考:内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版 全体版(HTML形式)」

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ダブルケアがもたらす問題

仕事・育児・介護の両立を求められるケースも多いダブルケアは、具体的にどのような問題をもたらすのでしょうか。

女性に負担が偏りやすい

ダブルケアは、男性よりも女性に負担が偏りやすいという問題があります。

本来、仕事や育児、介護の担当に性差はありませんが、一部ではいまだに「仕事は男性がするもの」「家での育児や介護は女性がするもの」という古くからの価値観が残っていることもあるようです。夫婦共働きの家庭が増えた現代でもこの価値観が残り、働いている女性に育児や介護の負担が大きくのしかかるケースがみられます。

また、内閣府 男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」によると、ダブルケアを行う人のうち、育児・介護ともに「主に」担う人の割合は女性が約半数、男性は約3割となっています。

育児・介護のために離職や時短勤務を選択せざるを得なかったり、保育所や介護施設からの呼び出しはいつも自分の対応になっていたりという女性は、珍しくありません。

金銭面の負担が大きい

ダブルケアを行うと、金銭面の負担が大きくなることもあります。

ダブルケアと仕事を両立する場合、育児面では病児保育や延長保育を利用し、介護面では介護保険サービスを利用するケースも多くみられるでしょう。育児や介護のサービスを利用するには費用がかかるため、ダブルケアの場合は育児と介護、両方に費用がかかり、金銭面での負担が大きいことが問題視されています。

施設やサービスを利用せずにケアをしようとすると、ダブルケアラーが離職したりフルタイムから時短勤務に切り替えたりする必要に迫られることも。その場合はサービス利用の支出が減らせても、収入が減ってしまい、家計を圧迫する原因にもなります。

精神的な負荷が大きい

ダブルケアは、ケアをする人の精神的な負担が大きいことも問題とされています。

ダブルケアラーは1人で育児と介護の対応を行うケースがあるでしょう。1人で同時に2人以上のケアに対応しなければならない場面もあり、気が休まらず、精神的に疲れてしまうことも。また、「いつまでこの状態が続くのか」「自分がしっかりしなければ」という不安やプレッシャーが、ダブルケアラーの心身に負担をかけてしまうこともあります。

孤立しやすい

ダブルケアを行っていると、社会や周囲の人々から孤立しやすいという問題もあります。

ダブルケアラーは、兄弟姉妹や親戚の助けを得られずに1人でケアを行うことがあるほか、「ダブルケア」に対する世間の認知度がまだ低く、相談相手がいないという人も珍しくありません。

また、ダブルケアに対する支援制度は、まだ整備されてない自治体もあるのが現状です。住んでいる都道府県や市区町村に専用窓口がなかったり、育児と介護の窓口の連携が行われていなかったりすると、ダブルケアラーは行政に支援を求めにくい状況のなか、ケアをしなければなりません。

ダブルケアで感じる日々の悩みを共有できる人がおらず、悩みやストレスに追いつめられたダブルケアラーは、ネグレクトや虐待を行ってしまうこともあるため、周囲のサポートが必要です。

参考:内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」

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ダブルケアへの対策は?

自分がダブルケアラーになりそうなとき、どのような対策をとるのが良いでしょうか。ここでは、ダブルケアへの対策について紹介します。

ダブルケアに関する情報収集を事前にしておく

ダブルケアに直面するまえに、事前に準備をすることが大切です。特に、介護はいつ必要になるかわからないので、家族が健康なうちから情報収集や対応の検討を進めておきましょう。

ダブルケアに対する支援には、育児であれば保育所や託児所、介護であれば介護保険サービスなどがあります。自分の住んでいる地域で保育所を利用したい場合の手続きの方法や、介護保険サービスを利用したいときに相談できる窓口を調べておくと良いでしょう。

特に介護保険サービスは、訪問介護の在宅型やデイケアなどの通所型、特別養護老人ホームなどの入居型など、介入の度合いやサービスの種類などが多岐にわたります。「平日は3日働いて、残り2日は訪問介護に来てもらう」など、サービス利用について具体的に想像しておくと、突然ダブルケアに直面したときも安心です。

家族や親戚と話し合っておく

ダブルケアに直面した場合、家族や親戚全体でどのように対応していくか、話し合って決めておくことも重要な対策になります。家族それぞれの状況も加味して、全員が納得できる対応方法を見つけていくことが大切です。結論を出すまでは時間がかかることが多いため、話しづらいテーマかもしれませんが、早いうちから話をしておくのが良いでしょう。

たとえば、「育児中に家族が介護が必要な状態になったら、誰がケアをするか」や、「ダブルケアとなったときの役割分担」、「在宅で介護をするのか、施設入居を検討するのか」など、具体的に対応を決めておくことが大切です。また、費用負担といった金銭面についても事前に決めておくと、トラブルに発展することを防げます。

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ダブルケアに対する行政支援の例

前述のとおり、ダブルケアに対する認知度はまだ低いのが現状ですが、一部の自治体では、ダブルケアに対する行政支援が行われています。ここでは、ダブルケアに対する行政支援の例をみていきましょう。

岐阜県

岐阜県では、ダブルケアの体験談やダブルケアラーが利用できる行政サービス・相談窓口を取りまとめた「ダブルケアハンドブック」を作成し、支援を進めています。

岐阜県「ダブルケアハンドブック」によると、子育てに関する支援として、地域子育て支援拠点や子育て世代包括支援センター、ファミリー・サポート・センターなどが紹介されています。

介護が必要になった場合は、まず地域包括支援センターに相談することが紹介されています。介護保険で受けられるサービスについても説明されており、介護保険サービスに関する知識がない方向けの内容になっているのが特徴です。

また、ダブルケアを行うことになったらどうすれば良いのか、制度だけでなく精神的なサポートになる内容も含まれており、ダブルケアに不安や悩みがある人に寄り添ったハンドブックになっています。

参考:岐阜県「ダブルケアハンドブック」

埼玉県越谷市

埼玉県越谷市では、埼玉県越谷市「子育て中のケアラー(ダブルケア)の方が利用できる支援」というWebページに、ダブルケアラーが利用できる支援がまとめられています。

同ページには、ダブルケアの悩みを相談したい人向けに、育児・介護の相談ができる窓口が掲載されているほか、ダブルケアラー自身の心身の健康についても相談できる健康相談の窓口が紹介されています。

また、同じ悩みをもつ当事者同士の交流ができる施設の紹介もされており、育児に関して親同士・子ども同士の交流ができる場が整備されているのが越谷市の特徴です。

参考:埼玉県越谷市「子育て中のケアラー(ダブルケア)の方が利用できる支援」

大阪府堺市

大阪府堺市では、ダブルケアラー向けの相談窓口が開設されています。
堺市「ダブルケア相談窓口」によると、堺市内の7か所の基幹型包括支援センターで、保健師や主任ケアマネジャー、社会福祉士などの専門職員がダブルケアに関する相談に応じているようです。

また、認定こども園・保育園の利用調整時にダブルケアを優先順位に反映したり、特別養護老人ホームの入居基準でダブルケアを加点したりするなど、ダブルケアラーに向けての支援体制も整えられています。

参考:堺市「ダブルケア相談窓口」

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ダブルケアとは育児と介護を同時に行うこと

  • ダブルケアとは育児と介護を同時に行う状態のことで、日本に約20万人いる
  • ダブルケアの問題点には、金銭面・精神的な負担が大きく孤立を招きやすい点がある
  • ダブルケアの対策としては、事前の情報収集や家族と対応を話し合うことが大切

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