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医師の種類とは?平均年収や専門医資格についても解説!
10 days ago

医師にはどのような種類があるのか興味がある方もいるでしょう。医師には内科や外科をはじめとする診療科ごとに専門分野が分かれており、それぞれの業務内容や必要な知識などに違いがあります。この記事では、診療科別の仕事内容や平均年収、専門医資格、医師になるための方法、キャリアパスなどについて解説するのでぜひご一読ください。
医師の主な種類一覧
医師には、診療の対象や治療方法などに応じてさまざまな専門分野があります。代表的な医師の種類は以下のとおりです。
- 内科医
- 外科医
- 美容外科医
- 小児科医
- 産婦人科医
- 救急医
- 精神科医
- 麻酔科医
- 歯科医
上記の医師はそれぞれ異なる専門性をもち、患者の症状やニーズに応じた医療を提供しています。次項でそれぞれの医師がどのような業務を行っているのかを詳しく解説するので、ぜひチェックしてみてください。
医師の種類別の仕事内容
医師は専門分野によって診療内容や役割が異なります。ここでは、各分野の医師が具体的にどのような業務を担っているのかをご紹介するので、ぜひご一読ください。
内科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」によると、内科医とは、は、内臓や神経、血液などの疾患を対象に診断と治療を行う医師のことです。内科の医師は、問診・視診・聴診・打診・触診を通じて患者の状態を把握し、症状や検査結果に基づいて尿検査や血液検査、超音波検査、心電図検査などを実施します。
主に内科に含まれるのは、以下の診療科です。
- 消化器内科
- 循環器内科
- 呼吸器内科
- 内分泌・糖尿病内科
- 脳神経内科
- 緩和ケア内科
- 心療内科
- 血液内科
- 免疫・膠原病・感染症内科
- 肝臓内科胆道内科
- 腎臓内科
上記の診療科はそれぞれ特定の臓器や疾患に専門性をもち、患者の症状や必要な検査結果に応じて診療を行います。たとえば、消化器内科は胃や腸の疾患、循環器内科は心臓や血管などの疾患を主に診るようです。
また、得られた検査結果を分析し、病状を見極めたうえで診断を下すことも内科医の仕事内容の一つになります。治療方針や使用する医薬品を決め、必要に応じて処方を行うこともあるでしょう。加えて、高血圧や糖尿病といった慢性的な病気に対しては、食事の内容や運動習慣など日常生活の改善について、患者に対するアドバイスやサポートを行う場合もあります。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」
外科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「外科医」によると、外科医とは、手術を通じて患者の病気や外傷を治療する医師のことです。患者本人や家族からケガの症状を確認し、血液検査やX線・CT・MRIといった画像診断の結果を見たうえで、傷病名を診断します。
主に外科に含まれるのは、以下の診療科です。
- 消化器外科
- 整形外科
- 呼吸器外科
- 脳神経外科
- 移植外科
- 乳腺・内分泌外科
- 脳神経外科
- 心臓血管外科
- 小児外科
- 皮膚科
- 泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科
- 眼科
- 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
- 形成外科
外科医も、上記のように複数の領域に分かれており、各診療科が専門とする部位や手術内容は異なります。たとえば、整形外科では骨や神経などの疾患に、移植外科では臓器移植に対応するようです。
また、患者本人や家族に対して手術のプランや結果を詳しく説明することも外科医の仕事になります。外科医における手術には、局所麻酔や麻酔なしで行われる患部の洗浄や切開、縫合といったものもあれば、全身麻酔や人工心肺などを使用して数十時間かけて行うものもあります。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「外科医」
美容外科医
美容外科医とは、患者の見た目に関する悩みや希望に応じて、施術を行う医師のことです。美容外科医は、患者の外見上のコンプレックスや希望に応じて、二重まぶたの手術や小顔整形、鼻の整形などの治療方針を提案します。
美容外科医は、単に技術的な処置を行うだけでなく、患者の理想像を的確に把握し、不安や悩みを解消するための治療計画を立てる必要があるでしょう。患者の希望や心理面にも配慮し、カウンセリングや手術、アフターケアを一貫して丁寧に対応することが求められます。
また、ほかの医師と異なり、自費診療による治療を提供していることも、美容外科医の特徴です。
小児科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「小児科医」によると、小児科医とは、乳幼児から成人までの患者を対象に小児期の病気を治療する医師のことです。新生児の疾患や先天性疾患、遺伝子疾患、小児がんなどの治療に携わることが多いでしょう。また、小児科医は、子どもの発達段階に応じた診療や予防接種、療育方法の検討なども行います。
さらに、地域の保健福祉事業と連携して、子どもを取り巻く環境や地域社会全体の支援に携わることも、小児科医の仕事です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「小児科医」
産婦人科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「産婦人科医」によると、産婦人科医とは、妊娠・出産に関する医療行為や、女性の体に関わる健康課題に対応する医師のことを指します。
産科の医師は、妊娠の初期から出産・産後までの健康管理を行い、胎児と母体の定期的なチェックを行うのが仕事です。分娩の際は自然分娩や帝王切開などに対応し、出産時の母体・胎児両方のリスクに備えなければなりません。
一方、婦人科の医師は子宮筋腫や子宮・卵巣がん、更年期障害など、女性に見られる病気の診断・治療を行います。必要に応じて手術などの外科的処置を行うこともあるでしょう。
医療機関によって、産科と婦人科の医師が分かれている場合と、「産婦人科の医師」として同じ医師が産科も婦人科も担当している場合がみられます。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「産婦人科医」
救急医
救急医とは、救急搬送された患者の初期診療を行い、必要に応じて専門医に引き継ぐ医師のことです。ただし、ほかの診療科では十分な対応が難しい症状の場合は、救急科が主治医として治療を担当することも考えられます。
救急医が主に取り扱う疾患としては、呼吸不全や脳血管障害、多発外傷、広範囲熱傷などが挙げられるでしょう。
また、救急科は24時間365日体制で診療を行っているので、救急医はシフト制の対応となります。さらに、大規模な事故や自然災害などで救急患者が多数搬送されてきた場合は、病院全体のリーダーとして指揮を執ったり、災害派遣医療チーム「DMAT」の一員として被災地で活動することもあるでしょう。
精神科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「精神科医」によると、精神科医とは、うつ病や統合失調症、不眠症などの診断・治療を行う医師のことです。精神科医は、患者の訴えを丁寧に聞き取り、睡眠や食事の状態を把握します。
必要に応じ、心理検査を活用して患者に診断を下したり、薬物療法や入院によるケアも行ったりすることもあるでしょう。また、地域の社会福祉関係者や患者の家族と協力して治療を行うことも、精神科医の仕事といえます。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「精神科医」
麻酔科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「麻酔科医」によると、麻酔科医とは、手術の際に麻酔を管理する医師のことです。麻酔科医は手術前に患者の全身状態を確認し、麻酔の方法や考えられるリスクを患者や家族に説明したうえで、麻酔施行の同意を得ます。
手術中は患者の呼吸や循環、体温などのチェックを続け、異常があればすぐに対応しなければなりません。術後は引き続き疼痛管理や、合併症対策を行うことも。また、集中治療が必要な重症患者の管理や、ペインクリニック・緩和ケアなどで痛みの治療・緩和に携わることもあります。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「麻酔科医」
歯科医
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科医」によると、歯科医師とは、虫歯や歯の治療、予防指導を行う医師のことです。歯科医師は、虫歯の除去や詰め物の装着、歯を残すための予防治療も行います。そのほかにも、虫歯のチェックやブラッシング指導、歯石除去を行うことも歯科医師の仕事内容の一つです。
さらに、歯科医療機関では治療分野が専門的に分かれています。たとえば、親知らずの抜歯や顎関節症などを扱う「顎口腔外科」、入れ歯やインプラントの専門である「義歯補綴科」などのように、診療科が細分化されているようです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科医」
医師の平均年収は?
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、医師の「きまって支給する現金給与額」は102万5900円、「年間賞与等その他特別給与額」は106万9300円でした。きまって支給する現金給与額×12ヶ月分+年間賞与等その他特別給与額で医師の年収を算出すると、 1338万100円となっています。
なお、年齢階級別における医師の平均年収は以下のとおりです。
年齢階級 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特 別給与額 | 平均年収 (きまって支給する現金給与額×12ヶ月分+年間賞与等その他特別給与額) |
---|---|---|---|
20~24歳 | 42万2600円 | 1万8400円 | 508万9600円 |
25~29歳 | 56万6200円 | 18万1500円 | 697万5900円 |
30~34歳 | 69万1900円 | 41万9400円 | 872万2200円 |
35~39歳 | 101万2600円 | 91万3900円 | 1306万5100円 |
40~44歳 | 100万9600円 | 155万2800円 | 1366万8000円 |
45~49歳 | 129万7100円 | 158万2400円 | 1714万7600円 |
50~54歳 | 131万8.5円 | 191万8200円 | 1774万200円 |
55~59歳 | 152万3100円 | 150万4500円 | 1978万1700円 |
60~64歳 | 140万6800円 | 175万1200円 | 1863万2800円 |
65~69歳 | 132万5100円 | 201万6300円 | 1791万7500円 |
70歳~ | 122万5200円 | 74万8600円 | 1545万1000円 |
全年齢の平均 | 102万5900円 | 106万9300円 | 1338万100円 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
上記によると、年齢を重ねるにつれて医師の給与は増加し、55〜59歳では1978万1700円と最も平均年収が高くなっています。なお、医師は勤務医か開業医か、または診療科や役職によっても給与が異なるため、上記は参考値としてご覧ください。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
医師の専門医資格とは
一般社団法人 日本専門医機構「一般の皆様へ」によると、医師における専門医資格とは、産婦人科や内科などの診療分野において、科学的な根拠に基づいた適切な治療や診療が可能な医師に与えられる資格です。
専門医資格を取得するには、臨床研修後に選択した診療科に合わせて基本領域(19領域)を選び、指導医が定めた3〜5年の間、専門研修を受けます。専門研修を終えたあとは、それぞれの診療分野に応じた認定試験が実施され、合格をもって基本領域の専門医資格を取得できるようです。
また、専門医資格は一度取得すれば終わりではなく、原則として5年ごとに更新手続きが必要となっています。専門医資格を所持し続けるには、最新の医療知識を学び続けることや、一定の診療経験を重ねることが必要だといえるでしょう。
基本領域の専門医資格を得たあとは、さらに専門性の高いサブスペシャルティ領域(29領域)の専門医資格を得ることも可能です。たとえば内科専門医の資格を得た医師は、循環器内科や呼吸器内科などの29領域からサブスペシャルティ領域を選べます。
参考:一般社団法人 日本専門医機構「一般の皆様へ」
医師になるには?国家試験について
医師や歯科医師になるには、大学で専門の課程を修了したうえで国家試験に合格し、臨床研修の修了が必要です。ここでは、医師と歯科医師それぞれの国家試験の受験資格や試験内容、合格後の流れを紹介します。
医師
厚生労働省「医師国家試験の施行について」、job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」によると、医師国家試験の受験資格を得るには、6年制大学の医学部や医科大学で必要な単位を修了し、卒業試験に合格する必要があります。
医師国家試験に合格し医師免許を取得してもすぐに一人前の医師として働けるわけではなく、大学病院などで2年間の臨床研修を修了すると、医師として働ける仕組みです。なお、医師免許を取得すれば、全身の疾患に対する診療が行える決まりですが、歯や歯茎、口蓋などの歯科領域の診療を行う場合は、歯科医師免許が必要となります。
参考:厚生労働省「医師国家試験の施行について」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」
歯科医師
厚生労働省「歯科医師国家試験の施行について」、job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科医」によると、歯科医師国家試験の受験資格を得るには、6年制の大学医学部や歯科大学で必要な単位を修了しなければなりません。
なお、歯科医師国家試験に合格し、歯科医師免許を取得したあとは、1年間の臨床研修を受けることが義務付けられています。臨床研修を修了したあとは、正式に歯科医師として働ける仕組みです。
参考:厚生労働省「歯科医師国家試験の施行について」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「歯科医」
厚生労働省「第118回歯科医師国家試験の合格発表について」
医師のキャリアパス
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」によると、医師は臨床研修を終えたあと、病院で勤務医として多くの症例を経験しながら実力を高めていきます。診療技術や知識を積み重ね、診療科長などになる医師もいれば、自らのクリニックを開業して地域医療に貢献する道を選ぶ場合もあるでしょう。
また、大学病院などの教育機関に残り、研究を行いながら講師や教授になることも可能です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「内科医」
医師は種類があり専門分野や役割などが異なる
- 医師は専門分野の種類によって、診療の対象の疾患や治療方法が異なる
- 専門医資格は、適切な治療や診療が可能な医師に与えられる上級資格
- 医師のキャリアパスには勤務医として経験を積み、診療科長や開業医になるなどがある