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ユマニチュード研修とは?主な内容や5つのステップをご紹介!

3 days ago

「ユマニチュードって何?」「研修ではどのようなことを学ぶの?」と気になる方もいるでしょう。ユマニチュードとは、人間らしさを大切にしたケア技法のことです。研修では、見る・話す・触れる・立つなどの具体的なケア技法と、その背景にある哲学を学びます。この記事では、ユマニチュードの4つの柱や実践する際の5つのステップ、研修を受けるのに必要な期間についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ユマニチュードとは

日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」によると、ユマニチュードとは、「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語に由来した造語で、フランスの体育学専門家イヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって開発されたケア技法のことです。

ユマニチュードは、高齢者や認知症の方と向き合う際に、相手の尊厳を大切にしながら信頼関係を築くことを重視しており、見る・話す・触れる・立つなどを通して、相手に安心感を与えることを目的としています。実践することで、ケアを受ける側の落ち着きや心の安定が期待でき、ケアを行う側の負担軽減にもつながると考えられている技法です。

参考:日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」

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ユマニチュードの4つの柱

日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」によると、ユマニチュードでは「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を大切にすることで、ケアを受ける人の尊厳を守り、人間らしい関係を築くことを目指しています。ユマニチュードにおける4つの柱の行動は単なる技術ではなく、「あなたは私にとって大切な存在です」というメッセージを伝える手段とされています。

ここでは、4つの柱がもつそれぞれの意味と役割について、詳しく見ていきましょう。

見る

相手の目をまっすぐに見つめることは、ユマニチュードにおける最初の関わりの基本とされています。ただ見つめるのではなく、優しく、穏やかな表情でアイコンタクトを取ることで、「私はあなたに関心をもっています」「あなたを大切に思っています」という気持ちを伝えられるでしょう。

特に、介護の必要な方の中には言葉の理解が難しい方もいるため、視線を通じた非言語のコミュニケーションが大切になります。言葉でのコミュニケーションが難しく、周囲とのつながりを感じにくい状況にある人にとっては、「見る」という行為が安心するきっかけとなり、ケアを受け入れやすくなる場合もあるようです。

反対に、相手と目を合わせずに作業的に接してしまうと、相手に無関心や拒絶の印象を与えてしまう可能性もあるでしょう。

話す

言葉は単なる説明や指示の手段ではなく、相手に安心感を与える大切なコミュニケーションツールです。ユマニチュードでは、ケアの初めから終わりまで、声をかけ続けることが推奨されています。その際は、ゆっくりとした口調で、やわらかく、肯定的な言葉を選ぶことが大切です。

また、声のトーンやリズムが相手に与える印象を左右する可能性もあるため、ケアをするときは穏やかな声で安心感を届ける意識が求められます。ケアの相手と話すときは声のトーンやリズムを意識することにより、相手が不安や恐怖を感じにくくなり、心を開いてくれやすくなるでしょう。

触れる

ユマニチュードでは、肌に触れることで相手が驚いたり不快になったりしないように、事前に声をかけながらゆっくりと優しく、広い面積で触れることが大切にされています。突然冷たい手で触れることや、無言での接触は、相手に拒否されたり警戒心を抱かれたりする可能性があるためです。

あたたかく丁寧な触れ方は、「私はあなたを傷つけません」「あなたに安心してほしい」という意思表示になるでしょう。触れ方ひとつで、相手の表情や反応が変わることもあるようです。

立つ

ユマニチュードでは、可能な限り相手を「立つ」姿勢に導くことも重視しています。人は立つことで、周囲を見渡せたり、自分の意思で動けたりする感覚を得られるようです。そのため、「立つ」ことは単に身体機能の維持を目的とするだけでなく、本人の尊厳や自立心を支える行為でもあります。

また、長期間寝たきりでいると、筋力や認知機能が衰える原因にもなりかねないため、少しでも立つ機会をつくることが、身体の健康を守ることにもつながるでしょう。もちろん、ケアの対象者を立たせるときには、安全を確保したうえで、無理のない範囲で行うことが大前提です。

参考:日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」

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ユマニチュードを実践する際の5つのステップ

日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」によると、ユマニチュードでは前述した4つの柱を土台にしながら、ケアの全体を通じて信頼関係を築くための「5つのステップ」が大切にされています。5つのステップは単なる手順ではなく、相手の心に寄り添い、人としての尊厳を保つための関わり方の道すじです。
以下でユマニチュードを実践する際の5つのステップを、順に説明しますのでぜひチェックしてみてください。

ステップ1:出会いの準備

ケアの始まりは、いきなり相手の体に触れることではなく、自分が来たことを丁寧に知らせるところから始まります。部屋に入るときは、ドアをノックをして返事を待ってから入室しましょう。介護の必要な方は、ノックの合図を聞いてから理解するまで時間がかかることもあるため、焦らずにゆっくり待つことが大切です。

ステップ2:ケアの準備

出会いの準備を通じて相手との関係性のきっかけが生まれたら、次はケアのための準備を行いましょう。この段階では、相手の安心や快適さを優先しながら、動作や言葉を通じて「今からケアが始まりますよ」と丁寧に知らせます。

目を合わせ、穏やかな声で名前を呼び、これから何をするのかを伝えることで、相手は「無理やり」ではなく「迎え入れられた」感覚をもてるようです。たとえば、相手に「今から髪を洗いますね」と伝えながら、必要な物を揃え、空間も整えることで、ケアを一方的ではなく「一緒に進めるもの」にできるでしょう。

ただし、ここで注意が必要なのは、「いきなりケアに入らないこと」です。相手が準備できていないうちにケアを始めようとすると、相手が否定的な感情を引き起こしてしまうことも。特に拒否の表現が出やすい利用者の場合は、ケアの話題から無理に入らず、まずは安心できる雰囲気づくりを重視することが大切です。
拒否された場合も、無理に進めるのではなく、「少し時間を置く」「アプローチを変える」など、相手のペースを尊重する姿勢がユマニチュードの基本といえるでしょう。

ステップ3:知覚の連結

ケア中は、見る・話す・触れるを組み合わせて、相手の五感すべてに働きかけることが大切です。「目と目を合わせ、声をかけながら、優しく触れる」といった多重の刺激を相手に同時に与えることで、「今、自分は人と関わっている」という実感が生まれます。これが「知覚の連結」です。
認知機能が低下している方にとっても、こうした一体感のある関わりが、安心感を高める助けになるでしょう。

ステップ4:感情の固定

ケアの終わりには、「気持ちの良い体験だった」と相手に感じてもらえるように意識します。優しく微笑みかけ、「今日は楽しかったですね」「すっきりしましたね」といったポジティブな言葉をかけることで、相手の中に良い感情が記憶として残りやすいようです。これが「感情の固定」とされています。感情の固定の積み重ねが、次のケアを受け入れる土台になるでしょう。

ステップ5:再開の約束

最後に、再度会えることを約束して終わることで、相手に安心感と希望を残します。「またあとで来ますね」「次はお昼ごろに伺います」といった言葉を添えることで、「一人きりではない」「つながっている」という感覚が生まれやすいようです。
参考:日本ユマニチュード学会「ユマニチュードとは」

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ユマニチュード研修の内容と期間

ユマニチュード研修は、ケアにおける人間らしさを重視した技術と哲学を段階的に学べるプログラムで、「基礎研修1」「基礎研修2」「基礎研修3」「対面技術研修」の4段階で構成されています。各研修では、オンライン形式で理論を学ぶものや実践力を養う対面形式の技術研修などが用意されており、ケアの質を高めたいすべての人に向けた内容となっているようです。

以下に、4種類の研修についてそれぞれまとめましたので、ぜひご一読ください。

基礎研修1

IGM-Japon合同会社 ユマニチュード研修案内「基礎研修1」によると、基礎研修1は、ユマニチュードの理念と基本的なケア技術を学ぶ入門的な講座とされています。誰でも受講可能ですが、主な対象は看護・介護などの専門職とされているようです。

研修内容は「見る・話す・触れる・立つ」といったユマニチュードの4つの柱の基本技術を中心に、約7時間かけてオンラインで行われます。受講料は2025年5月現在、税込みで22,000円です。

基礎研修2

IGM-Japon合同会社 ユマニチュード研修案内「基礎研修2」によると、基礎研修2は、基礎研修1または1日間の対面もしくはオンラインによる入門コース、IGM-Japon合同会社の主催する2日間以上の研修を修了した方を対象に、「ケアの5つのステップ」を学ぶ講座とされています。ケアの一連の流れを体系的に理解することを目的としており、約4時間のオンライン形式で実施されます。受講料は2025年5月現在、税込みで17,600円)です。

基礎研修3

IGM-Japon合同会社 ユマニチュード研修案内「基礎研修3」によると、基礎研修3では、感情に働きかける認知症ケアの技法を学びます。基礎研修2または1日間の対面による入門コース、IGM-Japon合同会社の主催する研修(2日間以上)の修了が前提条件で、約4時間のオンライン講座です。ケアを受ける人の「感情記憶」に残る関わりを目指す内容で、受講料は2025年5月現在、税込みで17,600円となっています。

対面技術研修

IGM-Japon合同会社 ユマニチュード研修案内「対面技術研修」によると、対面技術研修は、実際のケア現場で役立つ応用技術を身につけることを目的とした研修です。対象者は、基礎研修2または1日間の対面による入門コース、IGM-Japon合同会社の主催する研修(2日間以上)を修了している必要があります。

内容は、見る・話す・触れるを同時に使うマルチモーダル・コミュニケーション技術などで、休憩時間1時間を含み約7.5時間かけて対面で研修が行われるようです。

参考:IGM-Japon合同会社 ユマニチュード研修案内「個人向け研修」

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ユマニチュード研修と同様に認知症介護に活かせる資格

認知症ケアの専門性を高め、現場での役割を広げていきたい方に向けて、ユマニチュード研修以外にも活用できる研修制度をご紹介します。ここでは、介護職としてのステップアップにもつながる、公的な認知症関連の研修をまとめたので、ぜひチェックしてみてください。

認知症介護基礎研修

厚生労働省「(6)認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業(速報値)」によると、認知症介護基礎研修は、認知症の方に対して適切なケアを提供するために必要な、基礎知識と技術を身につけることを目的とした研修です。介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を持っていない方は、入職後1年以内に研修を修了することが2024年4月から義務付けられています。

認知症介護基礎研修は約150分の講義動画視聴と確認テストからなる、eラーニング形式です。動画は1本5〜10分程度に区切られ、認知症の方を取り巻く現状やケアの基本理念・考え方などを学べます。また、認知症の原因や症状、行動と心理症状(BPSD)の理解と対応方法、基本的なコミュニケーションの取り方などについても具体例とともに学べる構成になっています。

また、認知症の方の語りを収録した映像を通じて、認知症の方主体のケアや意思決定支援の重要性についても理解を深められる内容となっているようです。

参考:厚生労働省「第27回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会(Web会議)資料」

認知症介護実践者研修

厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」によると、認知症介護実践者研修は、認知症の方々に対する質の高いケアを提供するための実践的な知識と技術を習得することを目的とした研修です。この研修は、介護現場で中心的な役割を担う人材の育成を目指しており、各都道府県が主体となって実施しています。

研修の対象者は、原則として介護保険施設や事業所等に従事する介護職員で、主体となって認知症介護実践者研修を実施する長が適当と定めた人です。

厚生労働省「介護保険最新情報」によると、認知症介護実践者研修は「2時間30分程度のeラーニング」「24時間の講義と演習」「4時間の課題設定」「4週間の職場実習」「3時間の実習まとめ」で構成されており、オンラインと対面を交えながら行われます。

また、同資料によると、認知症介護実践者研修を修了すると、「認知症対応型サービス事業管理者研修」「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」などの受講資格を得られることが特徴です。

参考:厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」
厚生労働省「介護保険最新情報」

認知症介護指導者養成研修

厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」によると、認知症介護指導者養成研修は、認知症介護に関する最上位の公的研修であり、介護現場での指導的役割を担う人材を育成することを目的としています。

認知症介護指導者養成研修の受講対象者は、以下のとおりです。

  • 医師や保健師などの資格をもっている方
  • 介護保険施設や事業者などに従事している方
  • 福祉系大学や養成学校などで指導をしている方
  • 民間企業で認知症介護の教育に携わっている方

厚生労働省「介護保険最新情報」によると、研修は112時間の講義と演習が行われ、そのうち30時間は職場でオンライン研修を受けることになっています。また、5週間の職場実習と施設・事業所にて行われる21時間ほどの実習もカリキュラムに含まれます。また、認知症介護指導者養成研修を修了すると、「認知症介護指導者」の修了証の交付を受けられるのが特徴です。

参考:厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」
厚生労働省「介護保険最新情報」

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ユマニチュード研修では人間らしさを尊重したケア技法を学ぶ

  • ユマニチュード研修とは、認知症の方との信頼関係の築き方を学ぶ研修のこと
  • ユマニチュードの4つの柱は、「見る」「話す」「触れる」「立つ」で構成される
  • ユマニチュードの5つのステップとは、認知症の方と向き合う際の順序のこと

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