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集中治療室(ICU)とは?施設基準や一般病棟との違いを紹介

2 days ago

「集中治療室(ICU)とは?」と分からない人もいるでしょう。集中治療室(ICU)とは、特別な治療や管理が必要な患者を入院加療させるための病棟で、人員や設備が規定に沿って整えられています。この記事では、集中治療室(ICU)の施設基準や一般病棟との違いを紹介します。集中治療室(ICU)で働くのに向いている人の特徴や、よくある質問にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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集中治療室(ICU)とは

厚生労働省「集中治療室(ICU)における安全管理について(報告書)」によると、集中治療室は、急性臓器不全などの集中治療を要する重症患者を収容するための部門(ユニット)とされています。

また、日本集中治療医学会「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版」では、集中治療室は「重症患者の診療を行うために設備が拡充された診療区域」という定義です。

以上のことから、集中治療室(ICU)は、重症患者の診療を行うために設備や人員が整えられた部門(治療室)として、運用されていることが分かります。

参考:厚生労働省「集中治療室(ICU)における安全管理について(報告書)」
日本集中治療医学会「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版」

集中治療室と一般病棟の違い

一般病棟は、集中治療室などよりも集中的な治療や管理の必要性が低い患者が入室する病棟です。集中治療室に入室している患者の状態が改善したら、一般病棟に転棟するケースが多くみられます。

厚生労働省「入院(その6)高度急性期入院医療について」によると、集中治療室の看護配置は2:1です。一方、厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」によると、一般病棟の中でも患者の重症度が高い急性期病棟に算定される、急性期一般入院基本料で定められている看護配置は7:1となっています。このことからも、一般病棟は集中治療室より看護師の配置が少なく、集中治療室より比較的重症度の低い患者が入院していることが分かるでしょう。

また、集中治療室は診療科に関係なく重症患者を受け入れますが、一般病棟は診療科ごとに病棟が分かれていることが多いという違いもあります。

参考:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第570回)議事次第」
厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」

集中治療室とHCUの違い

HCUとは、「ハイケアユニット」「高度治療室」などと呼ばれる部門のことです。一般的に、集中治療室と一般病棟の間の重症度の患者を診療する部門として、位置づけられています。

厚生労働省「入院(その6)高度急性期入院医療について」、厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」によると、管理料により定められている集中治療室とHCUの施設基準の違いは、以下のとおりです。なお、集中治療室(ICU)とHCUには該当する管理料が複数あるため、それぞれ最も点数の高い管理料の施設基準を比較しています。

施設の種類
(管理料名)
主な施設基準
医師の配置
看護配置
集中治療室(特定集中治療室管理料1) - 専任の専門性の高い常勤看護師が治療室内に週20時間以上いること
- 専任の臨床工学技士が常時院内に勤務していること
- 直近1年間で新たに入室した患者のうち、入室日のSOFAスコア5以上の患者の割合が1割以上
- 治療室内に救急蘇生装置と除細動器を常時備えていること
- 専任の医師が治療室内に常時勤務(うち2人がICU経験5年以上) 2:1
HCU(ハイケアユニット入院医療管理料1) - 病床数が30床以下であること
- 一般病床にハイケアユニット入院治療管理を行うにふさわしい専用の治療室を有していること
- 救急蘇生装置・除細動器・心電計・呼吸循環監視装置を治療室内に常備していること(HCUが集中治療室と隣接している場合は共有使用でも良い)
- 専任の常勤医師が医療機関内に常時いる 4:1

参考:厚生労働省「入院(その6)高度急性期入院医療について」
厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

管理料の施設基準を見ても分かるとおり、HCUより集中治療室の方が厳しい施設基準で運営されていることが分かります。看護基準に至っては集中治療室はHCUの2倍の配置が必要です。

参考:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第570回)議事次第」
厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

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集中治療室(ICU)の施設基準

集中治療室の施設基準は、診療報酬における「特定集中治療室管理料」の算定要件の中で定められています。厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」を参考に、特定集中治療室管理料1で定められている施設基準を見ていきましょう。

医師

特定集中治療室管理料1の施設基準で、医師について定められている項目は、以下のとおりです。

  • 専任の医師が常時、特定集中治療室に勤務していること(特定集中治療の経験を5年以上有する医師を2名以上含むこと)
  • 特定集中治療室勤務の医師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での勤務および宿日直を併せて行ってはならない

集中治療室の医師は常勤であれば良いわけではなく、特定集中治療の経験も問われます。ほかの病棟との兼務を許可されていないことから、専門的な知識や経験のある医師が、集中的に治療を行っている環境であることが分かるでしょう。

看護師・臨床工学技士

特定集中治療室管理料1の施設基準で、看護師・臨床工学技士について定められている項目は、以下のとおりです。

  • 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師を、治療室内に週20時間以上配置すること
  • 特定集中治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での夜勤を併せて行ってはならない
  • 専任の臨床工学技士が常時、院内に勤務していること

集中治療室の看護師も、医師と同様に集中治療の経験が求められ、ほかの病棟との兼務が許可されていません。なお、「適切な研修」とは、国や医療関係団体などが主催する600時間以上の研修のことで、集中治療が必要な患者の看護に関わる知識・技術を修得する内容となっています。

また、集中治療室で使用する医療機器は、専門の知識が必要なものも多いため、臨床工学技士の常時勤務についても定められています。

設備・医療機器

特定集中治療室管理料1の施設基準で、設備や医療機器について定められている項目は、以下のとおりです。

  • 救急蘇生装置(気管内挿管セット、人工呼吸装置など)と除細動器を治療室内に常時備えていること
  • ペースメーカー・心電図・ポータブルエックス線撮影装置・呼吸循環監視装置を治療室に常時備えていること(治療室内でなくても医療機関内に備えられており、必要な際に迅速に使用でき、緊急の事態に十分対応できる場合はこの限りではない)
  • 自家発電装置を有している病院であって、電解質定量検査・血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施できること
  • 特定集中治療室の広さは1床あたり20平方メートル以上であること

集中治療室は、病床の広さや配備が必要な医療機器などについても規定があります。特に医療機器については、急変や救命措置に使用することの多い機器をすぐに使えるようにしておかなくてはなりません。

参考:厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

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集中治療室(ICU)にはどんな人が入る?

厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」によると、集中治療室の施設基準の中で、「直近1年間において新たに集中治療室に入室した患者のうち、入室日のSOFAスコア5以上の患者の割合が1割以上であること」という基準があります。

厚生労働省「SOFAスコアを用いた特定治療室の評価」によると、SOFAスコアとは、呼吸・凝固・肝・循環・中枢神経・腎の6項目からなり、それぞれ0~4までの5段階で評価して算出するスコアのことです。患者の重症度を簡易的に測る指標として、集中治療室に入室した患者にはスコアを付けることが決まりになっています。

SOFAスコアは、スコアが高いほど重症度が高いと評価できる仕組みになっているため、集中治療室ではSOFAスコアの高い、つまり、重症度の高い患者が優先的に入室できる決まりです。
もちろん、SOFAスコアだけが集中治療室の入室基準になっているわけではなく、最終的には医師が患者の状態を総合的に判断して、入退室を検討しています。

参考:厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
厚生労働省「SOFAスコアを用いた特定治療室の評価」

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集中治療室(ICU)で働くのに向いている人は?

集中治療室で働くのに向いている人は、高度急性期や集中治療の知識・スキルを深めたい人です。前述のとおり、集中治療室には重症度の高い患者が入室するため、一般病棟では経験できない治療や管理、急変対応が経験できるでしょう。一般病棟よりも専門的な知識やスキルを求められるため、勉強が苦にならない人も向いているといえます。

また、集中治療室では直ちに命に関わる容体の患者も多いため、冷静・迅速に判断できる人も向いているでしょう。動揺している家族に寄り添えるコミュニケーションスキルも求められます。

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集中治療室(ICU)に関するよくある質問

ここでは、集中治療室に関するよくある質問にお答えしています。

集中治療室(ICU)で働くのに必要な資格や経験はある?

施設基準上、集中治療室で働くには、特別な資格は必要ないとされています。ただし、集中治療室では重症度の高い患者を診ることになるため、新卒の医療従事者よりも、急性期病棟や救急病棟などでの臨床経験が数年ある人が求められる傾向にあるでしょう。また、病院によっては集中治療室の看護師に、クリティカルケア分野の認定看護師や急性・重症患者看護の専門看護師の資格を取得するよう、求めるケースもあるようです。

集中治療室(ICU)の勤務体制は?

集中治療室の勤務体制は、看護師は一般病棟と同様に2交代制か3交代制をとり、24時間体制で看護を行っているのが一般的です。なお、医師は一般病棟では宿直で夜間対応することが多いですが、集中治療室では24時間体制で患者を診る必要があるため、日勤と夜勤のシフトに分かれて勤務することが多くなっています。

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集中治療室(ICU)では重症患者の治療を行う

  • 集中治療室とは、集中管理を要する患者の治療を専門的に行う部門
  • 集中治療室は、一般病棟やHCUよりも厳しい配置基準で運用されている
  • 集中治療室で働く医師や看護師は、集中治療における経験を問われることがある
  • 集中治療室で働くのに向いている人は、高度急性期の知識や経験を身に付けたい人

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