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看護師が起業するには?開業までの流れや資金計画も解説
2 days ago

「看護師の経験を活かして起業したいけど、何から始めれば良いか分からない」「そもそもアイデアが浮かばない」という方もいるでしょう。看護師として起業する場合、訪問看護ステーションやデイサービスの開業といった、医療・介護の分野で専門性を活かすのがおすすめです。この記事では、看護師の起業方法や必要な資格、資金調達について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
看護師が起業する場合のアイデア10選
看護師としての知識や経験を活かし、自分らしい働き方を実現する手段として「起業」が挙げられるでしょう。ここでは、看護師から起業する場合のアイデアを10個紹介します。
訪問看護ステーションの開業
訪問看護ステーションとは、自宅で療養する人に対して看護師や准看護師などが訪問して医療ケアを行う事業所です。e-Gov 法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第61条」によると、訪問看護ステーションを開業するには、看護師または准看護師の資格が必要と規定されているため、看護師は訪問看護ステーションを開業できます。
厚生労働省「訪問看護ステーションの事業運営に関する調査詳細」によると、看護師が訪問看護ステーションを開業するには、都道府県知事から「指定居宅サービス事業所」の指定を受け、法人格の取得が必要です。
また、厚生労働省「介護サービス事業者の業務管理体制整備に関する届出について」によると、看護師が訪問看護ステーションを開業するには、業務管理体制の整備について記した届出書を関係行政機関に届け出る必要があります。届出書の提出先は、事業所の所在地によって国・都道府県・指定都市・中核市・市町村に分かれているようです。
通所介護(デイサービス)の開設
通所介護(デイサービス)とは、自宅で生活する高齢者が日帰りで施設に通い、介護やリハビリ、食事、入浴などのサービスを受けられる介護保険サービスです。開設者の資格要件は特に設けられていないので、看護師は通所介護(デイサービス)を開設できます。
e-Gov 法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」によると、通所介護(デイサービス)を運営する場合、管理者を設置することが求められています。
なお、管理者の資格要件については、通所介護事業所において特定の資格は法令上求められていないため、看護師が通所介護(デイサービス)の管理者となることもあるでしょう。しかし、地域によっては独自の要件が定められている場合もあるようなので、事業所を開設予定の地域の介護保険担当部署に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
放課後等デイサービスの開設
放課後等デイサービスとは、障がいのある就学児童(6〜18歳)が放課後や長期休暇中に通う、療育や生活支援を行う福祉サービスです。開設者の資格要件は特に設けられていないので、看護師は放課後等デイサービスを開設できます。
ただし、放課後等デイサービスの運営には、法令で定められた職員配置基準を満たす必要があるでしょう。厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」によると、放課後等デイサービスの運営には、指導員・保育士・児童発達支援管理責任者・機能訓練担当職員などの法定配置が求められます。
加えて、重症心身障害児を対象とする場合は、看護師や嘱託医の配置も必要になるため、医療的ケアが必要な子どもを支援する事業所では看護師の専門性を活かしやすいでしょう。
助産院の開業
助産院とは、助産師が中心となって妊婦の検診や出産、産後ケアなどを行う医療機関です。厚生労働省「助産所について」によると、助産院を開業するには助産師の資格をもっているか、開設地の都道府県知事の許可が必要となることが、医療法にて規定されています。ほかにも、医療法では助産院の施設内の構造や、管理者も助産師であることなどが規定されており、開業にはこれらの条件の遵守も必要です。
また、公益社団法人 日本助産師会「分娩を取り扱う助産所の開業基準」によると、助産院を開業するには5年以上の助産師としての実務経験および、200件以上の分娩に関わった実績も求められるといわれています。
そのため、病院で助産師として5年以上活躍した助産師であれば、助産院を開業するのに適しているといえるでしょう。
居宅介護支援事業所の設立
居宅介護支援事業所とは、介護を必要とする人が自宅で適切なサービスを受けられるように、ケアマネジャーが介護計画を作成・調整する事業所です。設立者の資格要件は特にないため、看護師は居宅介護支援事業所を設立できるでしょう。
e-Gov 法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」によると、居宅介護支援事業所では、居宅サービス計画の作成に関する業務をケアマネジャー(介護支援専門員)が行います。そのため、看護師が居宅介護支援事業所を設立する場合は、ケアマネジャー(介護支援専門員)を配置するか、看護師自身がケアマネジャーの資格を取得することが必要です。
また、居宅介護支援事業所の設立の際は、市町村に対して当該居宅サービス計画の届出を行う必要があります。
医療系Webライター
医療系Webライターとは、医療・健康・介護などに関する情報を、読者に向けて分かりやすく執筆するライターのことです。医療系Webライターとしての資格は特に必要なく、看護師の資格があれば医療分野の専門的な情報を提供する際に信頼性を高められるでしょう。
なお、案件や求人によっては、特定の資格の有無や特定の診療科・病棟での勤務経験を問われることもあります。また、Webライティングのスキルも習得しておくと、仕事に活かせる可能性があるでしょう。
また、国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、フリーランスとしてWebライター業を営む場合、開業届を税務署に提出しなければなりません。開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署長です。
美容サロンの開業
看護師としての専門知識や経験を活かして起業する場合のアイデアとして、美容サロンを開業することが挙げられます。美容サロンとは、美容に関する施術やサービスを提供する店舗の総称で、美容室やエステサロン、ネイルサロン、まつ毛サロンなどが含まれることが一般的です。特にメディカルエステやリラクゼーションサロンなどでは、看護師の国家資格を有することで、ほかのサロンとの差別化が図りやすくなることもあるでしょう。
美容サロンを開業する場合、「個人事業主」として開業するケースが多くみられます。国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、個人事業主としての開業に際しては税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。さらに、エステやリラクゼーションなどの一部業態では、保健所への届出が必要な場合もあるようなので、事前に所在地の保健所で確認することが重要です。
コミュニティカフェの開業
コミュニティカフェとは、地域の人々が気軽に集まり、交流や情報交換ができる場として運営されるカフェのことです。コミュニティカフェを開業する場合、特別な資格は必要ないため、看護師はコミュニティカフェを開業できます。
ただし、接客や飲食業に関連する知識が求められる場合もあるようなので、注意しましょう。看護師資格を活かして、健康志向のメニューや栄養に配慮したサービスを提供するのもアイデアの一つです。
また、厚生労働省「営業許可業種について」によると、飲食物を提供するコミュニティカフェを営業するには、飲食店と同じ扱いになるため、保健所への届出が必要です。
フリーランス看護師
フリーランス看護師とは、医療機関に所属せず、独立して自分で契約を結んで働く看護師のことです。フリーランス看護師として働くには、看護師免許が必要となります。
フリーランス看護師の主な仕事は、常勤看護師のヘルプや訪問看護、研修のサポート業務、講師としての講演などがあるようです。また、在宅医療や訪問看護などの専門的な看護分野に特化したスキルや経験があると、仕事の幅を広げられるでしょう。
国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、フリーランス看護師として独立して働く場合は新たに事業を始めることになるため、開業届を税務署に提出する必要があります。
カウンセラーやコンサルタント
カウンセラーやコンサルタントとは、クライアントの問題解決や目標達成をサポートする専門職です。看護師がカウンセラーになる場合は、民間資格や公認心理師、臨床心理士の資格を取得する場合もあります。
コンサルタントでは、医療機関や介護施設で、経営改善や業務プロセスの最適化について助言を行うことが一般的です。また、製薬会社や医療機器メーカーで、マーケティングや治験支援などにも携わることもあります。
カウンセラーやコンサルタントとして起業する場合、看護師として医療現場で経験したことを活かしたアドバイスやカウンセリングができるでしょう。
また、国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、個人事業主のカウンセラーやコンサルタントとして起業する際は、税務署に開業届を提出する必要があります。
参考:
e-Gov 法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
厚生労働省「訪問看護ステーションの事業運営に関する調査詳細」
厚生労働省「介護サービス事業者の業務管理体制整備に関する届出について」
厚生労働省「放課後等デイサービスガイドラインについて」
厚生労働省「助産所について」
公益社団法人 日本助産師会「分娩を取り扱う助産所の開業基準」
国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
厚生労働省「営業許可業種について」
看護師が起業するまでの主な流れ
看護師の方のなかには、「起業したいけれど何から始めれば良いか分からない」という方もいるでしょう。以下に、看護師が起業する場合の基本的な流れをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
アイデアを明確にする
看護師が起業を考える場合は、自分が提供したいサービスや事業のアイデアを明確にすることが大切です。自分の専門知識や経験を活かし、どの分野で起業するかを絞り込む必要があります。
たとえば、訪問看護やデイサービス、カウンセリングサービスなど、起業の方向性を決めたうえで、看護師のスキルを活用できる事業を選ぶと良いでしょう。明確なアイデアが決まれば、次のステップに進む準備が整いやすくなります。
市場調査とニーズを確認する
アイデアが決まったら、次は市場調査を行います。市場調査では、どの地域で、どのようなニーズがあるのかを確認することが重要です。競合の有無や市場の成熟度、ターゲット層のニーズを把握することで、事業が成功する可能性を高められるでしょう。
オンライン調査や地域のニーズ調査、業界団体のデータを活用することで、マーケットに対する理解を深められます。
事業計画を立てる
市場やニーズを把握したら、具体的な事業計画を立てます。事業計画では、自分のビジョンを具体的な計画に落とし込む必要があるでしょう。
具体的には、事業の内容やターゲット市場、マーケティング戦略、財務計画、人員計画などを詳細に検討・決定します。この事業計画が、のちの資金調達や事業運営において重要な資料となり得るからです。
資金調達を行う
事業計画に沿って起業に必要な資金を集めるために、資金調達を行います。自分の貯金や家族からの支援だけでなく、銀行融資や政府の支援プログラム、クラウドファンディングなど、複数の方法で資金を調達する方法を検討するとよいでしょう。
事業計画を基に、どのくらいの資金が必要なのかを計算し、具体的な調達方法を決定します。
企業形態を選び届出を行う
企業形態は、個人事業主や合同会社、株式会社など、事業の規模や将来の計画に応じて選択します。それぞれ、税金の種類や納税額の申告方法、経営責任の範囲が異なるため、自分にとって最適な形態を選ぶことが大切です。
選んだ企業形態に基づいて、必要な届出や登録を行います。たとえば、個人事業主の場合は税務署への開業届、株式会社の場合は法務局への登記などが必要となるようです。
集客と営業準備を行い開業する
起業準備が整ったら、実際に営業活動を始めます。集客のために、Webサイトを作成したり、SNSやチラシ、メディア広告などで広報活動を行ったりすることが一般的です。
また、利用者が来店・利用しやすいように施設の準備を整え、スタッフの教育も行う必要があります。
看護師が起業する場合の資金調達方法
看護師が起業する際、事業開始に必要な資金の調達方法に迷う方もいるでしょう。以下に、起業の際に役立つ資金調達方法を紹介します。
自己資金
自己資金で起業する場合、自分の貯金や退職金、資産などを利用することになります。自己資金の利点は外部から借り入れを行わないため、返済に追われるリスクがない点です。
しかし、起業のための資金が不足している場合は、全額を自己資金で賄うのが難しい場合もあるでしょう。
銀行や信用金庫からの融資
銀行や信用金庫からの融資は、事業計画が明確になっている場合に利用できます。銀行や信用金庫からの融資を受けるには、事業の安定性を証明するために事業計画書の作成が必要です。
融資は返済義務があるため、事業が軌道に乗るまでは慎重に計画を立てる必要があるでしょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを利用して多数の人々から資金を集める方法です。特に、社会的な意義やユニークなビジネスモデルがある場合に支援を集めやすいでしょう。
そのため、クラウドファンディングで資金調達をするには、魅力的なプレゼンテーションや信頼性のあるプロジェクトであることが重要です。また、支援者にリターンを行うのであればその内容を考えたり、リターンを行わないのであれば活動報告を行うことを検討したりと、資金調達後の動きについても考える必要があります。
看護師の起業なら医療介護の知識を活かすのがおすすめ
- 看護師が起業する場合、訪問看護ステーションや通所介護の開業がおすすめ
- 看護師の起業は、アイデアの明確化の後に市場調査や事業計画の立案を行う流れが一般的
- 看護師が起業する際の資金調達方法は、自己資金や融資利用などがある
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