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機能訓練とは?リハビリとの違いや機能訓練指導員についても紹介
2 days ago

「機能訓練とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。機能訓練とは、運動機能や日常生活動作能力の向上を目的とした訓練のことです。この記事では、機能訓練の主なメニューやリハビリテーションとの違いについて紹介します。機能訓練が行われる施設や機能訓練指導員についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
機能訓練とは
厚生労働省「自立訓練に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、機能訓練とは、自立した日常生活・社会生活を営むために必要な身体機能・生活能力の維持や向上を目的とした訓練のことです。
機能訓練は、地域生活を営むうえで一定期間の訓練が必要な高齢者や障がい者を対象に行われます。そのため、機能訓練は、デイサービスをはじめとする介護施設や障がい者支援施設、介護・福祉サービスの利用者の居宅などで実施されるのが特徴です。
障害福祉の分野においては、身体機能の維持・向上を主な目的とした機能訓練と、生活能力の維持・向上を主な目的とした生活訓練をまとめて、「自立訓練」と呼ぶこともあります。
自立訓練(機能訓練)の現状
厚生労働省「自立訓練に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、2022年12月時点での自立訓練(機能訓練)における主な利用者の障がい種別は以下のとおりです。
障がい種別 | 利用者数 | 割合 |
---|---|---|
身体障がい | 1,651人 | 75.8% |
知的障がい | 72人 | 3.3% |
精神障がい | 426人 | 19.6% |
難病など | 28人 | 1.3% |
合計 | 2,177人 | 100% |
参考:厚生労働省「自立訓練に係る報酬・基準について≪論点等≫」
2022年12月時点での自立訓練における機能訓練は、全体の7割以上が身体に障がいがある方の利用によるものです。
なお、2018年4月の施行規則の改正に伴い、それまで身体障がい者による利用に制限されていた機能訓練は、知的障がい者や精神障がい者による利用も可能になっています。その影響もあり、精神障がい者による機能訓練の利用割合が増加傾向にあるようです。
機能訓練とリハビリテーションの違い
機能訓練と同様に、身体機能の回復や向上を目的としたものに、リハビリテーションがあります。機能訓練とリハビリテーションの主な違いは、実施者です。
厚生労働省「(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究(結果概要)」によると、リハビリテーションの場合、主に理学療法士や作業療法士、言語聴覚療法士などが行うのが特徴です。一方、機能訓練は、機能訓練指導員と呼ばれる、特定の資格を有する専門員によって実施されています。機能訓練指導員については、後述の項目をご覧ください。
また、リハビリテーションと機能訓練は、医師の指示に基づくものか否かで区別されることもあるようです。
同資料によると、介護の分野におけるリハビリテーションは、医師の診療に基づき実施される計画的な医学的管理の下で、理学療法や作業療法などを行うものとされています。
一方、厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1217(リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について)」によると、機能訓練は、機能訓練指導員が中心となって作成する個別機能訓練計画に基づき実施されるのが特徴です。
個別機能訓練計画の作成にあたっては、医師の指示や医学的管理は必須ではありません。ただし、必要に応じて、各事業所に配置されている機能訓練指導員以外の職種からの助言を受けることが望ましいとされています。
このように、機能訓練とリハビリテーションの定義は異なりますが、介護や障害福祉の現場によっては、厳密には区別されていないこともあるようです。
参考:厚生労働省「第40回『障害福祉サービス等報酬改定検討チーム』資料」
厚生労働省「第128回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」
機能訓練の主なメニューの例
機能訓練は、障がいにより低下した身体機能を向上させたい方や、老化による身体機能の低下を予防したい方など、さまざまな目的をもった方を対象に行います。そのため、機能訓練のメニューは多岐にわたるのが特徴です。
ここでは、身体機能の維持・向上を目的としたメニューと、日常生活動作能力の維持・向上を目的としたメニューとに分けて、機能訓練の具体的なメニュー例を紹介します。
身体機能の維持・向上を目的としたメニュー
身体機能の維持・向上を目的としたメニューには、以下のようなものがあります。
- ストレッチや体操
- ボール運動
- 関節可動域訓練
- ウォーキングマシンやフィットネスバイクを用いたトレーニング
- 咀嚼や嚥下機能の訓練
- クイズやゲームなど、認知機能に関する訓練
身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練では、身体の柔軟性を高めるストレッチや可動域を広げる運動、筋力をつけるためのトレーニングなどが行われます。また、嚥下機能の回復や低下を予防するためのトレーニングや、認知機能の改善・認知症予防のための訓練なども、身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練の一つです。
なお、介護施設や障がい者支援施設などでは、集団であることを活かし、体操やゲームなどのレクリエーションを通じた機能訓練が行われることもあります。
日常生活動作能力の維持・向上を目的としたメニュー
日常生活動作能力の維持・向上を目的としたメニューには、以下のようなものが挙げられます。
- 歩行訓練
- 階段昇降の訓練
- 入浴や更衣などの訓練
- 買い物や調理などの手段的日常生活動作(IADL)の訓練
日常生活動作能力の維持・向上を目的とした機能訓練では、「一人で入浴ができる」「一人でスーパーに行き、買い物ができる」などの目標に沿って、訓練のメニューを立てていくのが基本です。
そのため、訓練のメニューは、座る・立つ・歩くなどの基本的日常生活動作(BADL)ができることを目標とする場合もあれば、より複雑な動作が含まれる手段的日常生活動作(IADL)に関する内容にすることもあるでしょう。
日常生活動作能力の維持・向上を目的とした機能訓練は、個人の身体状況や生活に基づいて実施されるため、機能訓練指導員と対象者が一対一となって行われるメニューが多いのが特徴です。
機能訓練が行われる施設
厚生労働省「介護人材関係について」によると、機能訓練指導員による機能訓練が行われている施設には、以下のようなものがあります。
- 通所介護/デイサービス(※地域密着型を含む)
- 短期入所生活介護/ショートステイ(※介護予防を含む)
- 認知症対応型通所介護/認知症デイサービス(※介護予防を含む)
- 特定施設入居者生活介護(※介護予防および地域密着型を含む)
- 介護老人福祉施設/特別養護老人ホーム(※地域密着型を含む)
上記の施設では、機能訓練指導員の配置が義務付けられているのが特徴です。また、前述のとおり、機能訓練は、障がい者支援施設や自立訓練事業所などで行われることもあります。
参考:厚生労働省「第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
機能訓練指導員とは?働くうえで必要な資格
厚生労働省「介護人材関係について」によると、機能訓練指導員とは、機能訓練の対象者に対して機能訓練の方法を指導し、訓練を実施する人のことです。
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされており、「機能訓練指導員」という名称の資格があるわけではありません。機能訓練指導員として働くには、原則として、以下のいずれかの資格の取得が必要です。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護職員
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
厚生労働省「平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について」によると、2018年度の介護報酬改定により、はり師ときゅう師も機能訓練指導員の対象資格に追加されています。
ただし、はり師ときゅう師は、上記6つのいずれかの資格を保有する機能訓練指導員を配置した事業所で6ヶ月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験を有することが条件となっています。
また、日常生活やレクリエーション、行事などを通じて行う機能訓練については、生活相談員や介護職員による実施も可能です。
参考:厚生労働省「第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
厚生労働省「平成30年度介護報酬改定について」
機能訓練とは主に身体機能の維持・向上を目的とした訓練
- 機能訓練の主な対象は、身体機能の維持・向上を目指す高齢者や障がい者
- 機能訓練は、介護施設や障がい者支援施設、対象者の居宅などで行われる
- 機能訓練指導員になるには、特定の国家資格の取得が必要
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