豆知識
アクティブエイジングとは?3つの柱や日本での取り組みを紹介
12 days ago

「アクティブエイジングとは?」と分からない方も多いでしょう。アクティブエイジングとは国際保健機関(WHO)が提唱した概念で、高齢者の健康維持や社会参加などの機会を最大限に高めるプロセスのことです。この記事では、アクティブエイジングの詳細や掲げられている3つの柱を紹介しています。アクティブエイジングとして高齢者が活躍できる職種や、日本国内での取り組みについても触れていますので、ぜひご覧ください。
アクティブエイジングとは
厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」によると、アクティブエイジングとは、「健康の維持、家族や地域社会への営みへの参加、安心できる社会づくりのためのさまざまな機会を最大限に高めるプロセス」のことを指します。国連の会議などで提唱され、国際保健機関(WHO)が定義している国際的な概念でもあります。
現代の先進諸国は共通して厳しい経済・財政状況といわれており、これまでの経済・社会モデルでは高齢化社会に対応することが難しいとされています。そのため、老齢人口の増大に伴って、年金や医療などの公共サービスをどのように維持するかが各国の課題です。社会全体で高齢者の支援を行うために、世界各国でアクティブエイジングへの取り組みがなされています。
参考:厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」
アクティブエイジングの3つの柱
アクティブエイジングには、参加・健康・安全の3つの柱が示されています。ここでは、アクティブエイジングの3つの柱について、厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」を参考に、それぞれの意味を紹介します。
参加(Participation)
アクティブエイジングにおける「参加」とは、高齢者が基本的な人間の権利・能力・ニーズ・嗜好に従って、社会経済的・文化的・生産的活動に全面的に参加することをサポートする環境のことです。
高齢者はこのような活動に参加できる環境であれば、年を重ねても社会に生産的な貢献をし続けられると考えられます。高齢者が参加できるジャンルとしては、労働市場・雇用や教育、保健、社会政策・プログラムなどがあるでしょう。国や自治体は、高齢者がこれらのジャンルを中心に社会参加できるよう、環境や制度を整える必要があります。
健康(Health)
アクティブエイジングにおける「健康」とは、年を重ねても健康状態を保ちながら生活を営むことができ、高額な治療やケアサービスを受ける高齢者が少ない状態のことです。
WHOは、環境と行動の両面で慢性疾患と生活機能低下のリスク要因が少なく、予防要因が多くなっているときに、人はより長く質の高い生活を送れるとしています。そのため、ケアが必要な高齢者に対しては、権利とニーズに対応した健康・社会サービス全般へのアクセスが持てるよう、国や自治体は取り組みを行う必要があるでしょう。
安全(Security)
アクティブエイジングにおける「安全」とは、高齢者に生じる安全に対するニーズと高齢者の権利に対応した政策やプログラムが、自立して生活できなくなった高齢者の保護・尊厳・ケアを保証していることです。
高齢になるに伴って生じる安全に対するニーズには、社会的・経済的・精神的なものなどがあります。家族やコミュニティが高齢者支援をする際には、政策やプログラムによってサポートを受ける仕組みづくりが必要です。
参考:厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」
日本におけるアクティブエイジングの取り組み
世界各国でアクティブエイジングへの取り組みがなされている中、日本でも同様の動きが進んでいます。
厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」によると、日本における高齢者への取り組みとしては、「健康日本21」という健康促進への取り組みや地域包括ケアシステムの構築、公的年金制度による支援、介護保険法施行に伴う保健医療サービス・福祉サービス関連の給付などが当てはまるでしょう。
中でも、高齢者の雇用に対し行われた施策としては、シルバー人材センターの設置があります。
公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会「シルバー人材センターとは」によると、シルバー人材センターとは、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るととに、地域社会の活性化に貢献する組織です。原則として市区町村に設置されており、都道府県知事の指定を受けた社団法人が独立した運営をしています。
シルバー人材センターでは、臨時的・短期的または軽易な業務やボランティア活動を提供することで、高齢者が能力やライフスタイルに合わせた社会活動ができるよう、体制が整えられているのが特徴です。
参考:厚生労働省「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会報告書(案)」
公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会「シルバー人材センターとは」
アクティブエイジングとして活躍できる職種
前述のとおり、アクティブエイジングでは、高齢になっても可能な限り労働市場や教育などに参加することで、社会に生産的な貢献をし続けられるとしています。ここでは、アクティブエイジングの取り組みの一環として、資格や経験がなくても、高齢から始められる職種をみていきましょう。
看護助手
看護助手は、医療機関で看護師のサポート業務を行う職種です。看護師の業務のうち、医療業務以外を任されることが多いでしょう。
具体的な仕事内容は、ベッドメイキング・清掃・消毒などの環境整備や備品の管理・消毒、消耗品の補充・整理などです。食事・排泄・入浴・移動などの介助を行うこともあります。
介護助手
介護助手は、介護施設で働く介護職員のサポート業務を行う職種です。介護職員が行うような身体介護は介護の資格を持っていなければできないため、介護助手は身体介護以外の仕事を任されることが多く、高齢からでも働きやすいでしょう。
仕事内容はベッドメイキング・清掃などの環境整備や調理補助、配膳・下膳、備品管理など、看護助手と似ている仕事が多いことも特徴です。
保育補助
保育補助は、保育所などで保育士の補助業務を行う職種です。園児の食事・トイレのサポートや遊ぶ時間・お昼寝時の見守り、おもちゃや施設内の設備の消毒などを行います。
子育て経験や孫と関わる機会がある高齢者は経験を活かせるでしょう。自治体によっては保育補助への就労支援の講習が開かれている場合もあるため、保育現場で働くのが初めての人も安心して働けるのが特徴です。
アクティブエイジングは高齢者の生活の質に関する概念
- アクティブエイジングは高齢者の生活の質に関してWHOが提唱している概念のこと
- アクティブエイジングの考え方は、参加・健康・安全の3つの柱で構成されている
- 日本におけるアクティブエイジングの取り組みには健康日本21や公的年金などがある
- アクティブエイジングとして活躍できる職種には看護助手や介護助手、保育補助がある