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調剤薬局とは?業務内容や薬剤師に必要なスキルを紹介

「調剤薬局とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。調剤薬局とは、処方箋に基づく薬の調剤や服薬指導などを行う医療提供施設のことです。この記事では、調剤薬局の業務内容やドラッグストア・院内薬局との違いについて紹介します。調剤薬局で働く薬剤師に必要なスキルについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
調剤薬局とは
調剤薬局とは、医師が発行した処方箋に基づき、薬の調剤を行い、提供する施設のことです。e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条」によると、薬局とは、主として薬剤師が販売・授与の目的で調剤の業務や薬剤・医薬品の適性な使用に必要な情報の提供、薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所と定義されています。
総務省「日本標準産業分類における『調剤薬局』の扱いに関する検討について」によると、従来、薬局の定義は「販売・授与の目的で調剤の業務を行う場所」とされていました。しかし、2019年の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の一部改正において、「薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所」の文言が追加されています。
そのため、調剤薬局は、薬の調剤だけでなく、調剤した薬の内容や適切な服用方法などについて、患者に説明・指導する施設としても大きな役割を担っているといえるでしょう。
調剤薬局とドラッグストアの違い
総務省「大分類I-卸売業、小売業」によると、ドラッグストアとは、主として医薬品や化粧品を取り扱い、家庭用品や加工食品などの最寄り品も販売する小売店のことです。
ドラッグストアでは、処方箋がなくても購入できるOTC医薬品の販売を主に行っており、薬の調剤や処方薬の提供は行わない点が、調剤薬局とは大きく異なります。なお、近年では、処方された医薬品をより手軽に受け取れるよう、調剤薬局が併設されたドラッグストアも増えているようです。
また、薬剤師の配置義務の有無も、調剤薬局とドラッグストアの違いの一つといえます。調剤薬局の場合、薬剤師は必ず配置されていますが、ドラッグストアでは、薬剤師の配置は義務付けられていません。そのため、OTC医薬品のなかでも、薬剤師による販売が必要な要指導医薬品と第一種医薬品を扱っていないドラッグストアでは、薬剤師がいない場合もあるのが特徴です。
調剤薬局と院内薬局の違い
調剤薬局と院内薬局は、薬を提供する患者が異なります。
そもそも院内薬局とは、医療機関内にある薬局のことです。院内薬局では、同医療機関で診療を受けた患者に対して薬を提供します。一方、調剤薬局は医療機関外にある薬局であるため、原則は医療機関を問わず、処方箋を持った患者に対して、薬を調剤・提供するのが特徴です。
参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
総務省「第8回産業分類検討チーム」
総務省「分類項目名、説明及び内容例示」
調剤薬局の業務内容
ここからは、調剤薬局の主な業務内容を紹介します。
処方箋の受付・疑義照会
調剤薬局ではまず、患者から処方箋やお薬手帳を受け取り、処方箋の内容や患者の既往歴、現在服用中の薬の有無などを確認します。
処方箋の内容の確認は、e-Gov法令検索「薬剤師法 第24条」に基づき、薬剤師が行う「疑義照会」と呼ばれる業務です。薬剤師は、薬剤名や用量・用法は正しいか、アレルギーや副作用はないか、現在服用中の薬との飲み合わせに問題はないかなどを確認します。処方箋に疑わしい点があるときは、処方箋を交付した医師に問い合わせ、処方内容に間違いはないか確かめるのも、薬剤師の役割です。
薬の調剤
処方箋の確認が終わった後、薬剤師は処方箋の指示に沿って薬の調剤を行います。調剤も、薬剤師が行う業務の一つです。
調剤業務では、一度に複数の薬が処方されている場合は一包化したり、嚥下機能が低下している患者に対しては、錠剤を粉砕して調剤したりと、患者に合わせて対応することもあります。
ただし、e-Gov法令検索「薬剤師法 第23条」によると、薬剤師は医師の交付した処方箋どおりに薬を調剤する必要があり、医師の同意なしでの変更は認められていません。そのため、処方箋の内容に変更が必要な場合は、医師の確認を得ることが必要です。
服薬指導
処方薬の説明や服薬の指導を行うのも、調剤薬局の薬剤師の役割です。薬剤師は、調剤した薬を患者に提供する際、薬の用量・用法、副作用などについて説明を行います。また、薬の服用について患者から質問や相談があった際に、必要に応じて医師に確認をとりながら、説明を行うのも薬剤師の業務です。
薬歴の管理
調剤薬局では、患者の薬歴の管理も行います。薬歴とは、患者の薬剤服用歴の記録のことです。薬歴には、調剤した薬の内容だけでなく、患者に服薬指導を行った内容も記録します。また、医師に疑義照会を行った際は、その内容も記録し、一定期間保管・管理することが必要です。
レセプト作成・調剤報酬請求
調剤薬局では、主に調剤薬局事務がレセプトの作成や調剤報酬の請求業務を行います。厚生労働省「第1章 レセプトとは」によると、レセプトとは、患者に対してどのような診断・検査・治療が行われ、どのくらい薬剤が処方されたかが記載された「診療報酬明細書」と呼ばれる書類のことです。
調剤薬局では、保険適用の処方に対してレセプトを作成し、審査支払機関に提出することで、健康保険の保険者に調剤報酬を請求する業務も行われています。
参考:e-Gov法令検索「薬剤師法」
厚生労働省「第5回医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」
調剤薬局で働く薬剤師に必要なスキル
薬剤師が調剤薬局で働くうえで必要なスキルには、以下のようなものがあります。
- 情報処理スキル
- 観察力や注意力
- コミュニケーションスキル
調剤薬局の薬剤師は、処方箋の内容と患者の情報を照らし合わせ、不備がないか、照会が必要な箇所はないかを確認する必要があります。そのため、迅速かつ的確に情報を処理するスキルや観察力、注意力などが求められるでしょう。
また、調剤薬局の薬剤師は、患者に適切な薬を提供できるよう、症状や既往歴を確認したり、薬に関する疑問や悩みを解消したりする役割も担っています。そのため、患者に寄り添って対応する姿勢や高いコミュニケーションスキルも必要となるでしょう。
調剤薬局とは薬の調剤や服薬指導が行われる施設
- 調剤薬局とは、処方箋の受付や薬の調剤、処方薬の説明などを行う医療提供施設
- 調剤薬局では、調剤だけでなく薬歴の管理やレセプトの作成なども行われている
- 調剤薬局では、主に薬剤師や調剤薬局事務が働いている
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