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作業療法士とは?仕事内容や国家試験について紹介
3 days ago

「作業療法士とはどのような職種かよく分からない」という方もいるでしょう。作業療法士とは、身体的・精神的な障がいがある方に対して、日常生活における作業や動作を用いたリハビリを行う専門職です。この記事では、作業療法士の仕事内容や国家試験の概要を紹介します。作業療法士の主な職場や理学療法士との違いについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
作業療法士(OT)とは
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」によると、作業療法士とは、身体や精神に障がいがある方に対して、生活の中における作業や動作などを用いた訓練・指導・援助を行う医療技術者のことです。「OT」(Occupational Therapist)と呼ばれることもあります。
作業療法士は、患者の身体機能や認知機能、日常生活動作の能力について観察や検査を行い、患者の訓練目標に沿った訓練プログラムを作成・実施するのが仕事です。
作業療法士(OT)と理学療法士(PT)の違い
作業療法士と混同しやすい職種に「理学療法士」があります。
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「理学療法士(PT)」によると、理学療法士とは、身体に障がいがある方に対して、医師の指示の下、運動の指導や物理療法を行う医療技術者のことです。「PT」(Physical Therapist)と呼ばれることもあります。
作業療法士と理学療法士の大きな違いは、対象となる患者と症状へのアプローチ方法です。理学療法士は、身体に障がいがある方を対象に、関節可動域練習や筋力増強練習などの運動療法や、温熱や電気、超音波などを用いた物理療法を主に行います。
一方、作業療法士は、身体に障がいがある方に加えて、精神的な障がいがある方へもサポートを行っているのが特徴です。食事や歯磨きなどの日常生活における動作や、芸術活動、スポーツなどの作業・動作をとおして訓練・指導を行います。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「理学療法士(PT)」
作業療法士の仕事内容
厚生労働省「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」によると、作業療法士の仕事には以下のようなものがあります。
- 移動・食事・排泄・入浴などの日常生活活動に関するADL(日常生活動作)訓練
- 家事や外出などのIADL(手段的日常生活動作)訓練
- 作業耐久性の向上や作業手順の習得、就労環境への適応などの職業関連活動の訓練
- 福祉用具の使用に関する訓練
- 退院後の住環境への適応訓練
- 発達障害や高次脳機能障害などに対するリハビリテーション
作業療法士は、身体や精神に障がいがある方が心身機能を回復させ、日常生活・社会生活に復帰できるように訓練する役割を担っています。そのため、患者それぞれの訓練目標に沿った訓練プログラムを作成し、作業療法を実施するのが、作業療法士の主な仕事です。
参考:厚生労働省「関係通知・パンフレット 人材確保・人材育成を含む医療提供体制について(医政局)」
作業療法士の主な職場
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」によると、作業療法士の主な職場には、以下のようなものがあります。
- 病院、クリニック
- 障がい者施設
- 児童福祉施設
- 老人保健施設、デイケア施設
- 保健所
- 地域包括支援センター
- 就労支援施設
- 特別支援学校
作業療法士は、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者に対して、訓練や指導を行うのが特徴です。そのため、作業療法士は医療機関だけでなく、児童福祉施設から老人保健施設までさまざまな職場で活躍しています。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」
作業療法士になるには?資格の取得方法
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」によると、作業療法士になるには、作業療法士国家試験に合格することが必要です。作業療法士国家試験は、国が指定した作業療法士養成課程のある大学・短大・養成施設などで3年以上学び、卒業することで、受験資格が得られます。
作業療法士国家試験の合格率
厚生労働省「第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について」、厚生労働省「第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について」、厚生労働省「第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について」によると、過去3年間の作業療法士国家試験の合格率は、以下のとおりです。
実施年度(実施回) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度(第58回) | 5,719人 | 4,793人 | 83.8% |
2023年度(第59回) | 5,736人 | 4,822人 | 84.1% |
2024年度(第60回) | 5,693人 | 4,887人 | 85.8% |
参考:厚生労働省「第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について」
過去3年間の作業療法士国家試験の合格率は、85%前後となっています。2022年度からの3年間では、実施年度によって受験者数・合格者数が大きく変わることもなく、合格水準は比較的安定しているようです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「作業療法士(OT)」
厚生労働省「第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について」
厚生労働省「第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について」
作業療法士の平均年収
政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、作業療法士の平均給与額は以下のとおりです。
- きまって支給する現金給与額:31万1400円
- 年間賞与その他特別給与額:70万4700円
上記の金額から年収換算(きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額)すると、作業療法士の平均年収は約444万円です。
ただし、上記の金額は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均給与額であるため、理学療法士のみの給与額や年収とは異なる場合があります。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
作業療法士は身体的・精神的なリハビリを行う専門職
- 作業療法士は、身体・精神障がい者の心身機能の回復を目的とした訓練や指導を行う職種
- 作業療法士は、病院や児童福祉施設、老人保健施設などさまざまな場所で活躍している
- 作業療法士国家試験の平均合格率は85%前後