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鍼灸師とは?仕事内容や必要な資格、活躍できる場について解説!
2 days ago

「鍼灸師の仕事に興味があるけれど、どのようなことをするのか分からない」という方もいるでしょう。鍼灸師とは、東洋医学の理論に基づいた施術で体の不調を改善し、自然治癒力を引き出す専門職です。
この記事では、鍼灸師の平均年収や必要な資格、国家試験の合格率についてまとめました。鍼灸師の主な活躍場所もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
鍼灸師とは?
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師」によると、鍼灸師は、「はり師」と「きゅう師」という国家資格をもち、東洋医学の理論に基づいた施術を通じて体の不調を改善し、自然治癒力を引き出す専門職です。日本では、医師以外で人の身体に鍼を刺したり灸をすえたりできるのは、「はり師」と「きゅう師」の資格をもった方のみとされています。
東洋医学では、病気は体内の「気」「血」「水」のバランスが乱れることによって起こるとされており、鍼灸師はこのバランスを整えることで症状の緩和や体質改善を図ります。病気の治療というよりも、未病(まだ病気ではないが体調が悪い状態)の段階でのケアや、健康の維持のために利用されることもあるようです。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師」
鍼灸師の主な仕事内容と施術方法
鍼灸師の仕事は、患者の体調や症状を問診・触診・視診などを通して把握し、東洋医学の診断に基づいた治療方針を立てて、鍼や灸を使った施術を行うことです。鍼治療では、0.2mmほどの使い捨ての細い鍼をツボに刺して体の深部を刺激し、血流を促進したり、痛みの原因となる筋肉の緊張を緩和したりします。
一方、灸治療ではヨモギから作られた「もぐさ」に火をつけて皮膚の上で温め、免疫力の向上や血行促進を図ります。対象となる症状は、肩こり・腰痛・頭痛・不眠・消化器症状・生理不順・冷えなど多岐にわたるようです。
鍼灸師の平均年収
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師 」によると、鍼灸師の平均年収は459万3000円とされています。ただし、この年収はあくまで全体の平均であり、勤務先や働き方、地域、個人の経験・スキルによって収入には差が生じることも。
たとえば、企業や治療院などに雇用される立場で働く場合と、独立して鍼灸院を開業する場合では、収入の安定性も異なるでしょう。特に独立開業した場合は、経営が軌道に乗ることで高収入を目指すことも可能ですが、一方で経営や集客の難しさといった課題を抱えることも考えられます。
そのため、鍼灸師として収入を上げたい場合は、臨床経験を積みながら技術や接客力を磨くとともに、信頼される施術者として地域に根差した活動を行うことが大切です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師 」
鍼灸師になるには
鍼灸師になるには、養成施設で専門的な知識や技術を学び、国家資格を取得することが必要です。以下で詳しい鍼灸師のなり方をまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
鍼灸師を目指す場合に必要な資格
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師 」によると、鍼灸師になるには「はり師」と「きゅう師」という国家資格が必要です。これらの資格を取得するには、原則として厚生労働大臣または文部科学大臣が指定する養成施設(専門学校・短期大学・大学)で3年以上学び、必要な課程を修了することが条件になります。
養成施設で学ぶ内容には、東洋医学の理論や鍼灸技術、解剖学・生理学などの基礎医学、臨床実習などが含まれます。修了後に国家試験を受験し、合格することで資格を得られます。なお、「はり師」と「きゅう師」は別の試験ですが、同時に取得を目指すのが一般的です。
参考:job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「はり師・きゅう師 」
鍼灸師の国家試験の合格率はどれくらい?
厚生労働省「第33回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」によると、2025年における鍼灸師の国家試験の合格率は以下のとおりです。
試験区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
はり師 | 4150人 | 3066人 | 73.9% |
きゅう師 | 4094人 | 3068人 | 74.9% |
参考:厚生労働省「第33回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」
上記から、はり師ときゅう師の合格率は70%ほどであることが分かります。試験で実技はなく、マークシート形式の筆記試験のみで構成されています。国家試験に合格するには、基礎医学と東洋医学の理解、そして過去問を活用した対策が重要です。
なお、厚生労働省「はり師国家試験の施行」によると、試験の運営は、指定試験機関として指定された公益財団法人東洋療法研修試験財団が行うことになっています。
参考:厚生労働省「第33回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」
厚生労働省「はり師国家試験の施行」
鍼灸師の資格は働きながら取れる?
社会人向けに夜間部や土日通学コースを設けている養成施設もあるため、鍼灸師の資格は働きながら取得を目指すことも可能です。昼間は仕事を続けながら、夜や週末に通学して学べます。
とはいえ、3年間で一定の授業時間・実習時間が定められているため、スケジュール管理や体力的な負担はあるでしょう。通信制のコースも、実技指導や臨床実習は対面となるため、定期的な通学は必須となります。そのため、職場や家庭の理解を得ながら資格取得を目指す必要があるでしょう。
鍼灸師の主な活躍場所
以下に鍼灸師の主な勤務先と特徴をまとめたので、チェックしてみてください。
鍼灸師の主な活躍場所 | 内容・特徴 |
---|---|
鍼灸院・整骨院 | 肩こりや腰痛などの慢性的な症状を中心に施術を行う |
医療機関 | 医師の指示の下で、補完医療として鍼灸を行う |
介護施設 | 高齢者の機能維持や痛み緩和を目的に定期的な施術や訪問鍼灸を行う |
美容サロン | 美容鍼(リフトアップや肌質改善)の施術を提供する |
スポーツ関連施設 | アスリートのケアやコンディショニング、リハビリなどに対応する |
教育機関・研究機関 | 養成学校の教員や鍼灸の科学的研究を行う |
このように、医療・介護・美容・スポーツ・教育など幅広い分野でニーズがあり、自分の興味や得意分野に合わせてキャリアを選びやすいのが鍼灸師の特徴です。
鍼灸師に関するよくある質問
ここでは、鍼灸師に関するよくある質問をQ&A形式でご紹介します。鍼灸師の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
「鍼灸師」の読み方を知りたいです
「鍼灸師」の読み方は「しんきゅうし」です。鍼灸師は、鍼(しん)と灸(きゅう)という治療法を用いる専門職。鍼は細い針を使って体のツボに刺激を与え、灸は乾燥した艾(もぐさ)を使って温熱刺激を与える治療法です。「師(し)」はその専門的な職業を意味し、鍼灸師はこの2つの技術を駆使して患者の体調不良や痛みを改善する役割を担います。主に病院や治療院で活躍し、体調の回復をサポートしています。
鍼灸師は「やめとけ」って本当?
人によって感じ方は異なるため、鍼灸師は「やめとけ」とは一概には言えません。しかし、働き方によっては、安定した収入や労働条件に不安を感じる可能性があります。特に独立して開業する場合は集客や経営面での課題を抱える場合もあるため、安定した収入を求める場合は向かないことも。そのため、鍼灸師を目指す前に、自分のライフスタイルや価値観に合っているかを慎重に考えることが大切です。
鍼灸師に向いている人の特徴は?
鍼灸師に向いているのは、「人の役に立ちたい」という思いをもち、患者の痛みや不調に寄り添える人です。鍼灸治療はすぐに効果が現れないこともあるため、患者と信頼関係を築きながら粘り強く対応する姿勢が必要になります。
鍼灸師として開業する方法を知りたいです
鍼灸師として開業するには、「はり師」と「きゅう師」の国家資格を取得して実務経験を積んだあと、保健所へ開設届を提出する必要があります。開業にあたっては施術所の基準(衛生面や設備など)を満たすことが求められ、資金計画や物件選び、地域のニーズ調査を行うことも重要です。
また、個人事業主として税務署へ開業届も提出します。鍼灸師として開業する際は、技術だけでなく経営や集客の知識も必要になるため、準備期間中にセミナーや専門書で学ぶことがおすすめです。
鍼灸師は東洋医学に基づいて体の不調を改善する職種
- 鍼灸師は鍼や灸を用いて体のツボを刺激し、自然治癒力を高める専門職
- 鍼灸師の平均年収は、約459万円
- 鍼灸師になるには養成施設で知識や技術を身につけて国家資格を取得する