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チーム医療とは?看護師の役割や専門チームについて解説

14 hours ago

「チーム医療の看護師の役割は?」と疑問に思う方もいるでしょう。チーム医療の看護師の役割は、患者への看護ケアや相談役、多職種間の調整役などです。この記事では、チーム医療とは何かや、専門チームについて紹介しています。看護師がチーム医療に携わる方法や、活動のうえで大切なことにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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チーム医療における看護師の役割

チーム医療において、看護師はどのような役割を担っているのでしょうか。

患者への看護ケア

チーム医療における看護師の役割の一つは、患者へ注射や点滴、創傷処置などの医療的処置を行ったり、身体介護などの療養上の世話を行ったりする、看護ケアです。

看護ケアは、チーム医療でなくても看護師が担当しますが、チーム医療においては「チームの中で看護師は看護ケアを任されている」という位置づけになるでしょう。そのため、必要に応じてチーム内の他職種と連携してケアを進めることになります。

患者や家族への精神的なケア・相談役

チーム医療において、看護師は患者や家族の精神的なケアを行ったり、相談役になったりする役割もあります。

看護師は、チーム医療内の医療従事者の中でも、特に患者と接する時間が長い職種です。その分、患者や家族との距離感も近くなります。患者や家族は、病気になったことのショックや今後の不安などを抱えていることも珍しくありません。そのため、看護師は患者の身体的なケアだけではなく、話を聞いたり相談にのったりといった精神的なケアも行います。

患者や他職種間の調整・仲介役

看護師は、チーム医療において患者や他職種間の調整・仲介役を担うこともあります。

前述のとおり、看護師はチーム医療の中でも患者と接する時間が長い職種です。入院患者のサポートであれば、看護師は24時間病棟にいるため患者から相談を受けやすく、患者の変化にも気付きやすいでしょう。

看護師は、患者から専門外の相談を受けたり、患者の異変に気付いたりしたときは、すぐにチーム内の他職種に伝える必要があります。家族を交えて専門職と面談が必要になった場合などは、看護師が患者家族や専門職に連絡を取り、スケジュールを調整することもあるようです。

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そもそもチーム医療とは

厚生労働省「チーム医療の推進について(案)」によると、チーム医療とは、医療に従事する多種多様な医療スタッフが、患者の状況に的確に対応した医療を提供することです。医療従事者は各々の高い専門性をもって目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合うことが求められます。

チーム医療として、各医療職が専門知識や技能を活かしつつ協力することで、期待できる効果は以下のとおりです。

  • 疾病の早期発見・回復促進・重症化予防など医療・生活の質の向上
  • 医療の効率性の向上による医療従事者の負担の軽減
  • 医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上

チーム医療で診療を進めることで医療の質が高まるため、患者にもメリットをもたらします。また、医療従事者側も各職種の負担軽減や医療安全の向上という恩恵を受けられるでしょう。

参考:厚生労働省「チーム医療の推進について(案)」

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チーム医療を構成する医療従事者

チーム医療はどのような医療従事者で構成されているのでしょうか。チーム医療のメンバーとして構成されることの多い医療従事者は、以下のとおりです。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士・栄養士
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)
  • 臨床検査技師
  • 臨床工学技士
  • 臨床心理士・公認心理師
  • リハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)
  • 歯科医師・歯科衛生士
  • 医療クラーク

チーム医療のメンバーは、基本的に患者の治療・サポートに携わるすべての医療従事者が含まれます。専門チームであれば、中心となるメンバーや構成職種が異なることもあるでしょう。関わる患者によっては、ケアマネジャーや保健師、ケースワーカーなど、病院外の専門職がメンバーに加わることもあります。

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チーム医療における専門チームの例

チーム医療には病棟や外来単位のチームだけでなく、ある分野に特化して、病院全体の患者のサポートを行う専門チームもあります。ここでは、チーム医療における専門チームにはどのようなものがあるのかをみてみましょう。

栄養サポートチーム(NST)

栄養サポートチーム(NST)は、栄養状態の悪い患者に対し、最適な栄養管理を提供したり、栄養状態の悪化の原因となっている疾患や症状の改善・合併症の予防を行ったりするチームです。

厚生労働省「(5)栄養サポート等の分野」によると、NSTの主なメンバーは以下のとおりとなっています。

  • 医師
  • 看護師
  • 管理栄養士
  • 薬剤師
  • 臨床検査技師
  • 言語聴覚士
  • 歯科医師
  • 歯科衛生士

NSTでは多くの場合、入院患者の中で低栄養や摂食障がい、嚥下障がいの患者をピックアップしてサポートを行うのが一般的です。NSTでは患者ごとに栄養計画を立て、栄養状態の評価や現状に適した栄養補給、口腔内環境の改善、嚥下機能の向上などを行います。

参考:厚生労働省「(5)栄養サポート等の分野」

褥瘡管理チーム

褥瘡管理チームとは、活動性が低下して褥瘡ができそうな患者へ予防を行ったり、褥瘡のある患者へ適切なケアを行うためのチームです。主なチームメンバーは、以下のとおりとなっています。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 義肢装具士
  • 臨床検査技師

褥瘡管理チームでは、医師が褥瘡の評価や治療方針の決定を行い、看護師が患部の観察やケア、体の向き・位置の調整などを行うのが主な業務です。薬剤師やリハビリ職、義肢装具士も協力して、患者の身体の特定の部分が圧迫を受けないよう、ベッド・マット・クッションの選定や位置の調整、患部に適したドレッシング材・薬剤の選定などを行います。

緩和ケアチーム

緩和ケアチームは、主にがんの終末期である患者や家族をサポートするチームです。主なチームメンバーは、以下のとおりとなっています。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 臨床心理士・公認心理士
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)
  • 地域の訪問診療事業所の職員(医師・看護師)

末期がんの患者に対しては積極的な加療を中止し、身体的な苦痛を取り除いてQOLを向上させることに重きを置いた「緩和ケア」に移行するケースが珍しくありません。
緩和ケアチームでは、医師や薬剤師は痛み止めなどを使用して患者の精神的な苦痛を取り除き、看護師や臨床心理士などは身体のケアに加えて、患者や家族の死に対する不安を和らげるケアを行います。

患者の中には、「最期は住み慣れた自宅で迎えたい」と希望する方もいます。その場合は、医療ソーシャルワーカーが患者の自宅周辺にある訪問診療事業所とコンタクトをとり、訪問診療の医師や看護師も、患者の入院中から緩和ケアチームに加わることもあるようです。

感染制御チーム

感染制御チームは、院内感染の予防や対策、市中感染の持ち込み予防などを行うチームです。病院によっては、「感染防止チーム」「院内感染対策チーム」などと呼ばれることもあります。主なメンバーは以下のとおりです。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 救急救命士
  • リハビリ職(理学療法士、作業療法士)
  • 臨床検査技師
  • 臨床工学技士

入院中の患者には免疫力が下がっている方も多くおり、細菌やウイルスに感染しやすいほか、感染すると重篤な状態になる場合もあります。加えて、院内では職員が病棟や外来の垣根を越えて活動している上、リハビリ室や医療機器など、多くの患者が利用する部屋や機器もあるため、職員や設備、機器が意図せず感染拡大の原因になる可能性もあるでしょう。

そのため、感染制御チームは、院内全体へ感染症に対する予防教育や対策を行うのが主な役目です。もし、院内感染が起こった場合は、感染制御チームが適切な処置の指示と感染拡大予防策を取ります。

また、インフルエンザやノロウイルスなど、市中で感染症が流行しているときには、入院中の患者に感染させることがないよう、対策を講じるのも感染制御チームの役目です。

医療安全チーム

医療安全チームは、医療機器や薬剤の安全利用を呼びかけたり、医療事故の予防・再発防止対策などを行ったりするチームです。主なチームメンバーは、以下のとおりとなっています。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士・栄養士
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)
  • 臨床検査技師
  • 臨床工学技士
  • 臨床心理士・公認心理師
  • リハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)
  • 歯科医師・歯科衛生士
  • 事務職(医療事務・医療クラークなど)

医療安全チームは、院内でインシデントや医療事故を起こす可能性のある職種が広く集められて、構成されることが多いでしょう。

医療安全チームは、医療機器や薬剤の正しい使用・管理を呼びかけたり、患者間違いを防ぐための氏名・生年月日の確認やWチェック、指さし呼称などの推奨を呼びかけたりするのが主な役割です。

また、定期的に医療安全委員会(カンファレンス)を開催して、院内で起きたインシデントについて原因分析と対策決定を行い、院内のルール整備や呼びかけの強化などを行います。不定期に病棟を巡回して、医療安全上問題のある病棟運用がなされていないか、チェックを行うこともあるようです。

退院支援チーム

退院支援チームは、入院患者が退院後も必要な医療ケアや療養生活を継続したり、社会復帰を果たしたりするためにサポートするチームです。上記で紹介した専門チームと異なり、患者ごとに退院の目途がつき次第、主治医や担当看護師、病棟担当薬剤師などによって組織され、院内の退院支援部門を加えて活動するケースが多くみられます。主なチームメンバーは、以下のとおりです。

  • 医師(主治医・担当医)
  • 看護師(病棟の担当看護師・病棟の看護師長・退院支援部門の看護師)
  • 薬剤師
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)
  • 転院先の施設・事業所職員(ケアマネジャー・看護師・介護職員など)
  • 地域のケースワーカー

退院支援チームに関わる職種は、患者のADLや退院先、退院後の生活によって異なります。在宅ケアを受ける予定の患者の場合は訪問看護や訪問介護の事業所の職員、病院や介護施設へ転院する場合は転院先の施設職員、患者が生活保護を受けている場合はケースワーカーなどが、メンバーに加わるようです。

退院支援チームは、患者の退院が近づくと退院支援カンファレンスを開き、退院後のケアや生活状況の方針を決定します。具体的には、利用する介護サービスの検討や在宅環境の整備、地域でのサポート状況の確認、家族のサポートの有無の確認などがなされるようです。

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看護師がチーム医療に携わるには

ここまで、チーム医療における看護師の役割や、専門チームについて解説してきました。では、看護師がチーム医療に携わるには、どうすれば良いのでしょうか。

チーム医療が行われている職場で働く

看護師がチーム医療に携わるには、チーム医療が行われている職場で働くと良いでしょう。現在は全国的にチーム医療に対する理解が浸透しており、チーム医療が行われている医療機関は多くみられます。
チーム医療は医師や看護師だけでなく、多くの職種で構成されるのが一般的です。そのため、クリニックではなく、病床数の多い大規模病院で働くと、チーム医療に携われるでしょう。

専門チームが活動している職場で働く

看護師がチーム医療に携わるには、専門チームが活動している職場で働くのがおすすめです。病床数の多い病院や診療科の多い病院では、前述した専門チームが活躍していることが多いでしょう。病院のWebサイトに専門チームの活動について掲載されているケースもあるため、気になる方は調べてみても良いかもしれません。

特定の分野に対する専門性を高める

看護師がチーム医療に携わるには、特定の分野に対する専門性を高めるのも一つの手です。病棟勤務の看護師であれば退院支援チームのメンバーとなる機会は多いですが、それ以外のチームに入る機会はあまりないでしょう。そのため、前述したような専門チームで働きたい場合は、特定の分野の専門看護師や認定看護師の資格を取得すると、チームメンバーに選ばれやすくなります。

資格取得が難しい場合でも、感染制御チームに携わりたい場合は感染症病棟に勤務するなど、専門性の高い職場で働くと良いでしょう。

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チーム医療の看護師に大切なこととは?

チーム医療の看護師に大切なことは、チーム全体に目を向け、患者とメンバーの間に立ってメンバーをサポートすることです。

前述のとおり、チーム医療において看護師は、患者に関わる機会が多い職種であり、患者と他職種との仲介役や調整役を担うこともあります。患者の病状を理解し、患者との信頼関係を築いていることが多い看護師が、チーム医療において積極的に他の職種に情報提供を行うことで、チーム全体の活動が円滑に進むでしょう。

一方、看護師だけで判断や解決が難しい事象にあたった場合は、チームメンバーに相談して、専門的なサポートをしてもらうことが大切です。チームメンバーから自分の専門外の領域についてサポートを得ることで、患者へ適切な対応ができるだけでなく、看護師自身の成長にも繋がるでしょう。

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チーム医療の看護師の役割は患者への心身的なケア

  • チーム医療における看護師の役割は患者の心身ケアや他職種間の調整役
  • チーム医療には、NSTや緩和ケアチーム、感染制御チームなどの専門チームもある
  • チーム医療の看護師に大切なことは、患者の間に立ってメンバーをサポートすること

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