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児相とはどんな場所?一時保護・援助の流れや職員の仕事を紹介
14 days ago

「児相とはどんな場所で、何をするのかよく分からない」という方もいるでしょう。児相(児童相談所)とは、子どもに関する家庭からの相談にのったり、必要に応じて、子どもの一時保護を行ったりする行政機関です。この記事では、児相の主な機能や一時保護・援助の流れについて紹介します。職員の仕事内容や児相で働く方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
児相(児童相談所)とは
こども家庭庁「児童相談所の概要」によると、児相(児童相談所)とは、子どもに関する家庭などからの相談に応じ、子どもや家庭に効果的な援助を行う行政機関のことです。
児相は、都道府県や政令指定都市、児童相談所設置市に設置されており、2021年4月1日現在の設置数は、全国で225箇所にのぼります。
また、こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」によると、児相の援助対象となるのは、原則として18歳未満の子どもです。ただし、18歳以上の成年者も援助が必要と認められた場合は、例外的に児相の援助対象とみなされることがあります。
参考:こども家庭庁「児童相談所の概要」
こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」
児相の主な4つの機能
児相には、子どもの福祉を図り、その権利を擁護するための機能が備わっています。ここからは、こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」を参考に、児相の主な4つの機能をみていきましょう。
市町村援助機能
市町村援助機能とは、市町村による児童家庭相談への対応について、必要な援助を行う機能のことです。具体的には、市町村相互間の連絡調整や市町村に対する情報の提供などを行います。
地域の子どもや家庭に対して一体的な援助活動が行えるよう、市町村とともに地域の関係機関のネットワーク化を推進することが、児相の市町村援助機能がもつ役割です。
相談機能
相談機能とは、子どもに関する家庭や地域などからの相談に対して、専門的な知識や技術を基に援助を行う機能です。
こども家庭庁「児童相談所の概要」によると、児相で行われる相談の主な種類と内容には、以下のようなものがあります。
養護相談 | - 保護者の家出・失踪・死亡 - 保護者の入院などによる養育困難 - 虐待 - 養子縁組 |
保健相談 | - 未熟児 - 子どもの疾患 |
障害相談 | - 肢体不自由 - 視聴覚・言語発達・重症心身・知的障害 - 自閉症 |
非行相談 | - ぐ犯行為や触法行為 - 子どもの問題行動 |
育成相談 | - 家庭内のしつけ - 不登校 - 子どもの進学適性 |
参考:こども家庭庁「児童相談所の概要」
児相は、対象の子どもの家庭状況や生活歴、性格などについて専門的な角度から総合的に判断し、援助の指針を定めます。その援助方針を基に、地域の関係機関などと連携をとりながら、一貫した援助を行うのが児相の役割です。
また、上記の5つの種類に該当しないそのほかの相談についても、児相で広く対応しています。
一時保護機能
一時保護機能とは、必要に応じて、子どもを家庭から離して一時保護する機能のことです。
こども家庭庁「一時保護ガイドラインについて」によると、児相は以下の場合に一時保護を行います。
- 保護者がいない子どもや迷子、家出した子どもなどを緊急保護する場合
- 保護者による虐待や放任のため、子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合
- 子どもの行動が自己・他人の生命や身体、財産に危害を及ぼすおそれがある場合
- 援助方針を定めるために、行動観察や生活指導を行う必要がある場合
- 短期間の心理療法やカウンセリング、生活指導などを行う場合
一時保護した子どもは、児童相談所に設置されている一時保護所や児童福祉施設で一定期間保護されます。一時保護の期間は、一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とされており、原則2ヶ月までです。
措置機能
措置機能とは、子どもを児童福祉施設や指定医療機関に入所させたり、里親に委託したりする機能のことです。児童福祉司や児童委員、児童家庭支援センターの職員などによる、子どもやその保護者への指導も、措置機能の一つです。
参考:こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」
こども家庭庁「児童相談所の概要」
こども家庭庁「一時保護ガイドラインについて」
児相における一時保護や援助までの流れ
厚生労働省「一時保護に至る流れ」によると、児相での一時保護や援助の流れは、以下のとおりです。
- 相談・通告
- 受理会議
- 安全確認
- 個別ケース会議
- アセスメント(各種判定)
- 判定会議、援助方針会議
児相では相談や通告を受けると、まずその情報を基に受理会議を行い、緊急性の判断や初期調査の内容を検討します。その後、通告から48時間以内に、家庭訪問や立入調査などによる目視での安全確認を行い、子どもの一時保護や援助の要否を判断するのが一般的な流れです。
一時保護や援助が必要と判断された場合、子どもに対して、社会・心理・医学・行動などの観点から診断が行われ、適切な援助方針が決定されます。子どものアセスメントは、児童福祉司や児童心理司、医師などの専門職の職員が行うのが特徴です。
また、会議で作成した援助方針が保護者や子どもの意向と一致しない場合、児童福祉審議会の意見も取り入れながら、最終的な援助が実行されます。
参考:厚生労働省「一時保護に至る流れ」
児相で働く職員の仕事内容
こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」によると、児相で働く職員の仕事内容は、「総務部門」「相談・判定・指導・措置部門」「一時保護部門」の大きく3つに分けられます。
児相職員の主な仕事内容は以下のとおりです。
総務部門 | - 所属職員の人事 - 施設の維持管理 - 一時保護している子どもの所持品の引取り・保管・処分 |
相談・判定・ 指導・措置部門 |
- 相談の受付・連絡調整 - 管轄区域における子どもや家庭が抱える問題の把握・予防的活動 - 一時保護手続 - 里親などに委託または児童福祉施設へ措置した後の家庭指導 - 調査・社会診断や医学診断、心理診断および指導 - 判定会議・援助方針会議の実施 |
一時保護部門 | - 一時保護所で行う一時保護の実施 - 一時保護している子どもの保護・生活指導・行動観察・行動診断・健康管理 - 観察会議の実施とその結果の対応 |
参考:こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」
規模の大きな児相では、業務の流れを考慮し、より細かく部門が分かれている場合もあります。円滑に相談援助活動を実施するためには、各部門ごとの連携が必要不可欠です。
参考:こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」
児相で働くには?職員の主な職種
こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」によると、児相職員の主な職種は以下のとおりです。
- 児童心理司
- 児童福祉司
- 医師(精神科医や小児科医など)
- 保健師
- 理学療法士
- 臨床検査技師
- 看護師
- 保育士
- 栄養士
児相では、子どもや家庭からの相談に応じる相談員のほかにも、複数の職種の職員が働いているのが特徴です。医師や保健師、看護師など医療・福祉系の専門職は、主に援助を行う子どもや家庭に対する調査や分析、一時保護している子どもへの対応などを行います。
児童相談所相談員とは
児相で働く職員として多くの人が思い浮かべるのが、子どもや保護者に直接対応する「相談員」でしょう。job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童相談所相談員」によると、児童相談所相談員とは、「児童心理司」や「児童福祉司」と呼ばれる職種のことを指します。
児相で児童相談所相談員として働くには、地方公務員試験への合格が必須です。また、児童心理司と児童福祉司には任用資格が定められているため、児童相談所相談員になるにはこのいずれかの任用資格を得る必要があります。
児童心理司
児童心理司とは、子どもとの面接や行動観察、心理検査などを通して、子どもの心理状態や生活能力などを調査・診断する職種です。児童相談所運営指針により、児童相談所には児童心理司を置くことが標準とされています。
厚生労働省「児童相談所関係資料」によると、児童心理司の要件は、大学で心理学を専修する学科または同等の課程を修めて卒業した人やこれに準ずる資格を有する人となっています。
児童福祉司
児童福祉司とは、保護者との面接や家庭訪問を行い、家庭環境や生育歴などを調査・判断する職種です。児童福祉司は、子どもに関する問題の原因を探る役割を担っています。児童福祉法第13条第1項などにより、児童相談所には必ず児童福祉司を配置しなければなりません。
厚生労働省「児童相談所関係資料」によると、児童福祉司になるには、大学で心理学・教育学・社会学のいずれかを専修する学科を卒業し、指定施設で1年以上の相談援助業務に従事することが必要です。また、児童福祉司の養成校を卒業した人や医師、社会福祉士なども、児童福祉司の任用資格を得られます。
参考:こども家庭庁「児童相談所運営指針の全部改正について」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「児童相談所相談員」
厚生労働省「児童相談所関係資料」
児相とは子どもに関する相談・援助を行う行政機関
- 児相は、家庭や地域からの子どもに関する相談・通告を基に適切な援助を行う
- 児相が行う一時保護や措置は、原則として18歳未満の子どもが対象
- 児相の職員は、子どもの一時保護や児童福祉施設への斡旋などを行う
- 児童相談所相談員として働くには、児童心理司や児童福祉司の任用資格が必要