「介護の研修にはどのような種類があるのかよく分からない」という方もいるでしょう。介護の研修には、介護士のキャリアアップにつながるものや、介護ケアの幅が広げられるものなどさまざまです。この記事では、介護の現場で役立つ資格を8種紹介します。目的別に紹介しているので、自分に合う研修を見つけるために、ぜひ参考にしてください。

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介護の研修にはどのような種類がある？

介護の研修は、研修を受講することで自身のスキルの証明につながるものや、介護の資格取得の要件となっているものなど、多岐にわたります。また、研修の内容も、介護全般に対する知識が身に付くものから、専門的な知識を深められるものまでさまざまです。

介護の研修を受講・修了することで、より多くの利用者の介護ケアに携わるきっかけとなることもあるでしょう。介護職として働く方は、どのような研修があるのか、自分に合った研修はあるかをチェックしてみてください。

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介護士としてキャリアアップしたい方におすすめの研修

介護士としてキャリアアップしたい方におすすめの研修を2つ紹介します。介護士としてある程度実務経験を積んだ後、さらに介護の知識を深めたい方はぜひチェックしてみてください。

介護福祉士実務者研修

厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」によると、介護福祉士実務者研修とは、幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力を身に付けるための研修です。

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位にあたる研修で、介護福祉士養成施設における2年以上の養成課程と同等水準の到達目標が設けられています。また、実務経験者が介護福祉士を目指す場合、3年以上の実務経験とともに必要となるのが介護福祉士実務者研修の修了です。

介護福祉士実務者研修の概要は以下のとおりとなっています。

参考：厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

介護福祉士実務者研修は、保有している資格によって、一部科目の受講が免除となるのが特徴です。そのため、研修の一部免除対象となる資格を有している場合、より安い費用で介護福祉士実務者研修を受講できます。
たとえば、無資格の場合は10～20万円程度が相場ですが、最も免除項目が多い介護職員基礎研修の修了者の場合、3～6万円程度で研修を受けられる場合が多いようです。

介護福祉士実務者研修は、スクーリングの項目がカリキュラムに含まれているため、養成施設やスクール講座での受講が必須となります。ただし、スクーリング以外の項目については、自宅での動画視聴などを通して受講できる通信講座のコースが設けられていることも多いため、自分に合った学習スタイルを選ぶと良いでしょう。

参考：厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

介護福祉士ファーストステップ研修

公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修」によると、介護福祉士ファーストステップ研修とは、公益社団法人日本介護福祉士会による民間資格です。介護福祉士ファーストステップ研修は、介護現場での小規模チームリーダーの養成を目的としています。

公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修ガイドライン」によると、介護福祉士ファーストステップ研修の概要は以下のとおりです。

参考：公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修ガイドライン」

介護福祉士ファーストステップ研修は、小規模チームのリーダーや初任者の教育係として活躍できる介護福祉士を育成するための研修であるため、研修受講には2年程度の実務経験が求められる場合が多いようです。

一般社団法人京都府介護福祉士会「ファーストステップ研修」によると、2024年7月に実施された介護福祉士ファーストステップ研修の場合、介護福祉士資格の取得後2年以上で、介護福祉士会主催の初任者研修または介護福祉士基本研修の修了者であることが受講要件となっています。

介護福祉士ファーストステップ研修は、日本介護福祉士会に研修実施申請を行った団体によって実施されており、受講費用は実施団体によって異なります。各介護福祉士会の会員である場合、安い金額で受講できる場合が多く、会員の場合7～10万円、非会員の場合10～15万円程度が相場です。

参考：公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修」
公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修ガイドライン」
一般社団法人京都府介護福祉士会「ファーストステップ研修」

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認知症介護の知識を深めたい方におすすめの研修

高齢化に伴い、認知症介護のニーズは増加傾向にあると考えられます。そのため、認知症介護についての知識が身に付くと、介護士としての活躍の場が広がるでしょう。

ここでは、認知症介護の知識を深めたい方におすすめの研修を2つ紹介します。

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修とは、適切な認知症介護を提供するための理念や知識・技術を習得することを目的とした研修です。

認知症介護実践者研修は、各自治体によって受講要件や受講時間などの詳細が異なります。
ここでは、大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第4回大阪市認知症介護実践者研修」を参考に、2024年度に大阪市で実施された認知症介護実践者研修の概要をみていきましょう。

参考：大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第4回大阪市認知症介護実践者研修」

認知症介護実践者研修では、講義や演習に加え、自身の職場での実習を行う必要があります。受講対象者は自治体によって異なりますが、実務経験が2年程度あることや、認知症介護基礎研修の修了者であることが条件となる場合が多いでしょう。

認知症介護実践者研修の受講費用は、3万円程度が相場となっています。ただし、自治体によっては無料で受講できる場合や、大阪市のようにテキスト代が別途かかる場合もあるようです。

参考：大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第4回大阪市認知症介護実践者研修」

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修とは、適切な認知症介護を提供できるケアチームを構築するための知識・技術の習得を目的とした研修です。認知症介護実践リーダー研修は、前項で紹介した「認知症介護実践者研修」の上位研修にあたります。

大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第2回大阪市認知症介護実践リーダー研修」によると、2024年度に大阪市で実施された認知症介護実践リーダー研修の概要は以下のとおりです。

参考：大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第2回大阪市認知症介護実践リーダー研修」

自治体によっては、研修修了後、実践リーダー研修修了者フォローアップ研修事業に協力することや、認知症サポーター養成講座の講師として活躍することなども受講の条件となっている場合があるようです。

認知症介護実践リーダー研修の受講費用は、5～7万円程度が相場となっています。

参考：大阪市社会福祉研修・情報センター「令和6年度 第2回大阪市認知症介護実践リーダー研修」

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介護ケアの幅を広げたい方におすすめの研修

ここでは、介護ケアの幅を広げたい方におすすめの研修を2つ紹介します。幅広い知識を身に付け、より多くの利用者に対して介護ケアを行いたい方は、ぜひご覧ください。

福祉用具専門相談員指定講習

job tag（厚生労働省 職業情報提供サイト）「福祉用具専門相談員」によると、福祉用具専門相談員とは、車椅子や特殊ベッドなどの福祉用具の貸与サービスや販売を行う事業所に勤務し、利用者や家族に対して適切な用具の選び方や使い方をアドバイスする職種です。福祉用具専門相談員になるためには、福祉用具専門相談員指定講習の受講が必要になります。

兵庫県「福祉用具専門相談員指定講習事業者指定状況（令和7年2月現在）」によると、2025年2月時点での兵庫県の福祉用具専門相談員指定講習の概要は以下のとおりです。

参考：兵庫県「福祉用具専門相談員指定講習事業者指定状況（令和7年2月現在）」

厚生労働省「『福祉用具専門相談員について』の一部改正について」によると、福祉用具専門相談員指定講習は、50時間のカリキュラムが組まれているため、ほかの自治体での受講日数も7日程度となるでしょう。

福祉用具専門相談員指定講習では、50時間の研修後、筆記試験による修了評価が行われます。ただし、習熟度を測るための試験であるため、難易度はそれほど高くないようです。
福祉用具専門相談員指定講習の受講費用は、4～5万円程度で受講できる場合が多いでしょう。

参考：job tag（厚生労働省 職業情報提供サイト）「福祉用具専門相談員」
兵庫県「各種研修事業者、介護福祉士養成校一覧」
厚生労働省「『福祉用具専門相談員について』の一部改正について」

介護予防指導士講習

介護予防指導士講習とは、特定非営利活動法人日本介護予防協会による民間資格です。介護予防指導士講習を受講すると、介護予防を指導する「介護予防指導士」としての資格を取得できます。

特定非営利活動法人日本介護予防協会「介護予防指導士講習」によると、介護予防指導士講習の概要は以下のとおりです。

参考：特定非営利活動法人日本介護予防協会「介護予防指導士講習」

介護予防指導士の資格を取得すると、「筋力訓練指導」「ストレッチング」「転倒予防」「栄養ケア」「口腔ケア」などの指導が可能となります。介護予防についての知識を身に付けることで、基本的な介護ケアに加えて、介護度が上がるのを防ぐケアも施せるようになるでしょう。

参考：特定非営利活動法人日本介護予防協会「介護予防指導士講習」

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障がい者への介護ケアを行う方におすすめの研修

障がいのある方に介護を行う場合、障がい者への介護ケアに関する専門的な知識があると、より良いケアを行えるでしょう。
ここでは、障がい者への介護ケアを行う方におすすめの研修を2つ紹介します。

移動支援従業者養成研修

移動支援従業者とは、障がいがあり、独りでの移動・行動が困難な方に対するサポートを行う職種です。移動支援従業者は、ガイドヘルパーと呼ばれることもあります。

兵庫県「兵庫県移動支援従業者養成研修事業者指定要綱」、兵庫県「兵庫県居宅介護従業者養成研修等事業者指定要綱」によると、移動支援従業者の養成研修は、サポートを行う対象者によって大きく3つの種類に分けられています。

• 同行援護従業者養成研修：視覚に障がいのある方をサポート
• 行動援護従業者養成研修：知的・精神障がい者の方をサポート
• 全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修：四肢に障がいのある方をサポート

移動支援従業者に関する研修は、いずれも日数は3日程度、金額は2～5万円程度で受講できる場合が多いようです。ただし、ほかの研修と同様、自治体や受講する研修の種類によって詳細は異なります。

参考：兵庫県「兵庫県移動支援従業者養成研修事業者指定要綱」
兵庫県「兵庫県居宅介護従業者養成研修等事業者指定要綱」

難病患者等ホームヘルパー養成研修

厚生労働省「難病患者等居宅生活支援事業の概要」によると、難病患者等ホームヘルパー養成研修とは、難病患者などの多様化するニーズに対応した、適切なホームヘルプサービスの提供に必要な知識や技術を身に付けるための研修です。

兵庫県「兵庫県難病患者等ホームヘルパー養成研修事業実施要綱」を参考に、難病患者等ホームヘルパー養成研修の概要を紹介します。

参考：兵庫県「兵庫県難病患者等ホームヘルパー養成研修事業実施要綱」

難病患者等ホームヘルパー養成研修は、在宅介護に関する知識をある程度身に付けた方が対象となる研修です。受講費用は受講する課程の種類によって異なりますが、1万円程度で受講できる場合が多いでしょう。

参考：厚生労働省「難病患者等居宅生活支援事業の概要」
兵庫県「兵庫県難病患者等ホームヘルパー養成研修事業実施要綱」

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介護の研修を通してスキルアップを目指そう

• 介護の研修受講は、キャリアアップや幅広い利用者へのケアにつながる
• 介護の研修には認知症や障がい、介護予防などに特化したものがある
• 介護の研修のなかには、研修の修了が別の資格取得の要件となっているものもある

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